オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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コレは護衛任務を終え、トレミーに帰投した翌日の事。誰も居ないMSデッキで一人、何かをいじっている。柔らかい材質で出来た色違いの丸い球体が五、六個ある。慣れた手つきで工具を使い最後に回路を接続すると丸い球体達が一斉に動き出した

《ハロ!マルス!!》


《マルス、整備ありがとう。ありがとう》


「どういたしまして、みんなドコも異常は無かったよ。でも《ピンクちゃん》と《イエローくん》は少しおとなしくしてね」

《わかりましたわ~》


《いぇっさ~》


丸い球体達に囲われ笑みを浮かべるマルス、足元から緑に銀が混じったカラーのハロが転がっていくのを見て振り返ると碧銀の髪を揺らし学生服姿の女の子が足下ではねるハロにあたふたしている

《ハロハロ!?マルス、お客さん、お客さん》

「グリーンくん?……はい大人くして、困ってるだろ」

「い、いえ困ってないですし…あの、この子ハロっていうんですか」

「うん、ここのMSの整備を手伝う仲間だよ…確か君はナカジマさんと一緒にいた……」


「あ、申し遅れました。私はアインハルト・ストラトスです。えとマルスさん?」


「い、いや。女の子が朝早くに何しに来たの?あんまり面白くない場所かも……ストラトスさん」

MSデッキはパイロット、整備に関わる人間が集まる場所。年頃の女の子には面白いとは思えないと素直に言ったマルスに少しだけ笑みを返した


「そんなことありません。ハロがたくさんいて、色違いの子達も個性的で…それに可愛いです」


「じゃあ、ストラトスさんに懐いてるグリーンをあげるよ」


「え?良いんですか?」


「うん、それにストラトスさんが使うデバイスと同じ機能も持ってるし、それに自己学習型だからどんどん賢くなるんだ……」


《ハロ、アインハルト。よろしく、よろしく》

《ハロハロ!友達、アインハルト友達、友達》



《マルス、友達。アインハルト、友達♪》

「こ。こらみんないっぺんに来たら………うわあ!?」


「きゃ!?」


足下ではねるハロを思わず踏み大勢が崩れた二人、そのままもつれ合うように倒れた

「た、たたた…ストラトスさん?だ、だいじょ……はう!?」


「あの?マルスさ……………………!?」


顔を起こしたマルスが見たもの…魅惑の緑と白のストライブ、そしてまだ肉付きが少ない太もも、甘い匂い…紐縞パンが後数センチすれば触れるぐらいの顔面に跨がれるような位置、対するアインハルトはマルスの股間に手をおき軽く握った状態……僅かな逡巡


「き、きゃあああああああ!?」


「ブ、ブウウウウウウァ」

アインハルトの叫びと共に体勢を直した瞬間、顔面を思いっきり殴られ鼻血を吹き出しながら弧を描き冷たい床に落ちた

それから医務室で意識を取り戻したマルスはノーヴェとソーナ、セラフォールの力を借りて何度も頭を下げた末、ようやく許してもらえた


ただし許す条件にマルスが今は亡き拳神バリー・ホーから学んだ格闘術を教えるということで………


Parts:00『新たなアストレイ』side:ASTRAY★

一年半年前

 

リ・ホーム

 

 

「ん~ボディは使えるか……しかし何なんだコレはΔ、連合のG系X105に似てるし…8はどう思う?」

 

 

《わからない。装甲はVPSってのは解るがメインフレームにアクセスしようにもプロテクトが堅すぎるぞ?》

 

 

「やっぱりか……マルスが劾のとこ行く前に詳しく調べたかったんだけどな…しゃあない。プロテクト解除はあとにして機体を復元するぞ」

 

 

《了解~ならアメノミハシラでミナの機体の余剰パーツで脚と拾ったパーツで腕が作れるぞ?》

 

 

「おし、なら善は急げだ」

 

 

8の言葉に頷くロウ、大小様々なクレーンアームがジャンク品から腕?らしきものを引きずり出し装甲を取り外し、様々なケーブルにつなぎ動作チェック、隣のベッドに一人歩き出したロウはかけられていたシートを引き剥がす。その下には金属色の塗装すら施されていない完成品の脚部がさらされる

 

 

「待ってろよ、完璧に仕上げてやるからな……エクシェスいや《アストレイ・エクシェス》」

 

 

脚部が置かれた先にあるケージに固定された胴体…殆どの装甲が外された《エクシェス》。ロウの言葉に応えるかのように双眸に光を見せた

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

すべて(記憶)を失った復讐鬼《アレス・ルセディス》の愛機《エクシェス》はASTRAYー王道でないーを駆る者《ロウ・ギュール》、《8》の手で新たな手足を得て生まれ変わる…

 

 

Parts:00《新たなアストレイ》side:ASTRAY

 

 

「手と脚の接続とパワーシリンダーアッセンブリよしっと。装甲は発砲金属にVPSハイブリッドになるか…8~武装のレストアはどうだ?」

 

 

《基礎部分は終わったぞ。ただエネルギー食いだなコレは》

 

 

「…どれどれ………ん~確かにな……ならコイツはどうだ?」

 

8のディスプレイにカタカタと打ち込むのはあるシステム。エネルギーカートリッジを装填、必要なエネルギーを基部に備え付けられたらエネルギーチャンバーへEカートリッジを送り使うモノ

 

 

 

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これなら本体からのエネルギー供給を無くし、稼働時間を大幅に伸ばせる。それにEカートリッジはユーラシア連邦とアクタイオン社が開発したCAT-X《ハイペリオン》シリーズの武装にも採用されているし、カートリッジ自体容易に手に入るためコストも供給も安くすむ。8はロウのアイデアに賛成し早速製作に入る。もう一つの修復武器ドラグ・リムにも組み込んだ

 

 

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ドラグ・リムは量子通信を使った浮遊砲台のみならず、相手をつかみ挟みきり更には変形し身の丈を超える超高出力ビーム剣《ライオットザンバー》へ変わるマルチウェポンとしての姿を持つ。当然エネルギーを喰うためだ。固定されたライオットザンバーモードを起動。

 

 

 

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「マジでエネルギーくいだな」

 

 

凄まじいまでのエネルギーが溢れた極厚のビームの刃でジャンクとして置いてあったコロニーシャフトを切ってみたら手応えを感じさせずに溶断、威力に満足しながらエネルギー供給を止めドラグ・リムへともどす

 

 

 

 

 

《ロウ、あとはVLの調整だけだな?》

 

 

「ああ、実はソレなんだけどさ。ストライカーパックをつけられるようにしたいんだ。マルスも傭兵になるんなら状況にあわせた装備が劾みたいに必要になると思うからさ…」

 

 

《まあ可能だぞ?ストライカーパックは優秀だからな》

 

 

「よし、じゃあ早速プラグをつけてみるか」

 

 

《もう作ってたのかよ?》

 

 

「まあな。んじゃ手伝ってくれよ」

  

 

《┓( ̄∇ ̄;)┏》

 

 

…文句をいいながらも背部VLユニットを取り外し、露わになったフレームにストライカーパック装備用プラグを組み込み調整するロウ、もちろん連合系ストライカーのほかにザフトのニューミレミアムシリーズのウィザードと(こっそりシルエットもつけられるようにしていたのは秘密だが)装着可能な追加改造も

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

そして、マルスが劾達の元へ向かう日がきた

 

 

「ロウさん、樹里さん、8さん、ジョージさん、プロフェッサーさん、リアームさん、今日までいろいろありがとうございました」

 

 

「マルス、身体には気をつけてくださいね」

 

 

「傭兵が嫌になったらギルドにいらっしゃい。仕事なら幾らでも斡旋するわよ」

 

 

『キャプテンだ……なにかあったら何時でも呼びたまえ!星の海の果てからでも駆けつけるぞ!!』

 

 

《向こうでも元気でやれよマルス》

 

 

「え~ん。もうマルスの《見た目はアレだけど激ウマ混ぜご飯》が食べられなくなるよお~」

 

 

別れを惜しみながらも新しい門出を祝うリアーム、プロフェッサー、ジョージ、8、樹里…半年間、一緒にお宝を探したり、150ガーベラでシャフト袈裟切りするのをみたり、初めて任されたMSがキチンと修理出来た時はすごく嬉しかった

 

でも、自分の中で何かが噛み合わない…叢雲劾と出逢った時に浮かんだ言葉がまるで《お前の居場所はここじゃない》と囁いた

 

でもジャンク屋をやるのも悪くないし、嫌いじゃない…悩みに悩み抜いた末に出した答え《サーペントテールに入る事》だった

 

 

長いようで短かったジャンク屋生活も終わり、傭兵としての新たな道が開く

 

「マルス、劾達の所に行く前に渡したいモノがあるんだ」

 

 

ロウに手招きされ向かったのはMS格納デッキ。レッドフレームがあるハンガーの隣にはシートに包まれたMSハンガー。ニヤリと笑いながらシートを一気に引っ張る。その下から現れたのは一体のMSが姿を見せる

 

蒼みかかった黒地の装甲、脚部は天ミナ、両腕はX105、200系。胴体は自身が半年間冷凍睡眠していたMSのボディーだとわかった。さらに特徴的なのは背中にある翼…VLユニット装備した姿に言葉を失うマルスにイタズラが成功したような笑顔を見せた

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「どうだ、すごいだろ。俺からの餞別だ。名前はアストレイ・エクシェスだ」

 

 

 

「………ロ、ロウさん?いくら何でもMSまで…」

 

 

「コイツはお前と共にあった。マルスの命を半年も守っていたんだ……つまりはお前に取って半身だ。一緒につれていきなよ」

 

 

少し考え込み、やがて黒いMS…アストレイ・エクシェスの足下へ歩き出した。そして昇降床に乗りコックピット近くに上昇、ゆっくりと手を添えた

 

 

「………アストレイ・エクシェス。僕の命を守っていたんだ…と一緒に来てくれるかな?」

 

 

マルスが声をかける、しかしMSであるエクシェスは答えない…しかし連れていってくれと声が聞こえた気がした

 

「ロウさん、アストレイ・エクシェス。ありがたく使わせて貰います」

 

 

「いいって、それより機体もだが《身体》に何かあったらすぐに連絡しろよ?火星にいても、すぐに駆けつけてやるぜ」

 

 

「何から何まで、本当にありがとうございます…皆、本当に、ありがと…ございます」

 

 

涙声で礼をいうマルス…それから数時間後、劾が用意した輸送船にエクシェスを積み込みアジトへ向かうマルスをレッドフレームで見送った

 

 

アストレイはパイロットと共に成長する…新たなアストレイ《エクシェス》はマルスと共に戦場を駆けながら自身のルーツを探す。その果てに待つのは本人はおろか誰も知らない

 

 

 

 

 





現在より少し先の未来……



「そこをどけよ……仇を討たせろ、母さんとじいちゃん、ハーティ、ノイン姉さんの仇を……」



『止めろマルス!んなことやってもノインは喜ばねぇってわかんなぇのか!!馬鹿マルス!!』



『やめて、復讐なんて馬鹿げてます!マルスさん…何時もの優しくて天然でコケたら押し倒すアナタに戻ってください!!』



「ナカジマ、ストラトス……………俺はマルスじゃない……俺は」


光の翼を輝かせるアストレイ・エクシェス…完全形態となったエクシェスに必死に呼びかけるアストレアF-Dash…ノーヴェ、アディナルガンダム…アインハルト。背後には推進力を失ったトレミー。無情に両肩のドラグ・ファングが上下に開く、パルスレーザーが照射。プラズマが収束と圧縮、結晶化寸前まで高まり周囲に凄まじいまでの放電現象が荒れ狂う


「………俺はアレス・ルセディスだ!!」







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