オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
「………………★月◐日。VTの最終起動テストを始める…エクシェスとリンク開始」
様々なケーブルが繋がれたHUDをかぶり小さく呟く…瞳が赤みを帯びた金色の虹彩に輝いた瞬間、エクシェスの瞳が赤く輝く
ーリンク成功………各部異常なし、量子波伝達速度およびヴォワチュール・リュミエール展開………ウィルス散布開始ー
一際強く双眸が輝くと背中にある二対の翼が開き金色の光があふれ粒子にも似た何かが舞う。それは取り囲むよう並ぶジン、ゲイツ、シグーに吸い込まれた……
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数分後、黒塗りのMSの周りには泣き別れになったシグー、互いのコックピットを貫き通し立つゲイツ、ジン…各々が大破しあたりに残骸が撒き散りおちている。その中を無傷で立つ黒塗りのMSは光の翼を閉じゆっくりとその場から飛翔する
「リンク解除……エクシェス、自律機動帰投モード………vampire・territory……………コレでアイツを、大東。いやGspirits隊を…」
椅子から立ち上がりHUDを脱ぐ少年の赤みがかった金色の瞳からどす黒く渦巻く憎悪の炎が揺らめく…自らの持つ知識と理論、そして自ら設計に携わったMS《ガンダム・エクシェス》…家族を奪った《Gspirits隊》へ突き立てる牙。形を為した写し身が帰還しハンガーに固定される…
「………復讐してやる…この力で………復讐してやる……ハーティ、ノインお姉ちゃん、リナ母さん、カイジじいちゃん……仇はとるから必ず。大東、あんたを、いやGspirits隊は皆殺しにしてやる」
…薄暗い室内からMSデッキへ出て、軽く床を蹴りハッチにふれ開放されたコックピットへ身を滑り込ませ目を閉じる少年《アレス・ルセディス》の脳裏にはエクシェスでGspirits隊を一方的に蹂躙する己の姿、……泣き別れになったエピオン、深々とコックピットに大穴が穿たれたHiνガンダムヴレイヴ、なにかに握りつぶされオイルとリフレクターの破片を撒き散らすダブルエックス、左半分が高出力のビームで完全に溶解、蒸発したラファエル…その夥しい躯のうえに立つエクシェス
「………もう少しだエクシェス……ククク…あはははははははははは!!」
復讐の炎が猛り狂い心を焦がすアレスの笑いが木霊する……数日後にストリートチルドレン達を率いる雪音クリスと出会った事で、その運命が流転する事を知らずに
…空に二条の光、一つは黒にグレーの塗装が施された機体《Hiνガンダムインフラックス》、緑の塗装が目を引く《ファントム》に両手に握られたアメイジングピストルの引き金を引く。
「くっ!」
「さすがに速い…だがインフラックスをなめて貰っては困るな。そこだ!」
「ファントム!?接近戦に持ち込めれば……」
回避するも、ソレを予想し撃たれた弾が数発当たるも致命傷を避けながらバレルロールするファントム…それを操るマルスこと《ホアシン・リー》はモニターこしに軽く舌打ちする
(あのパイロット、こちらの動きを読んで状況にあわせて武器を変えて対応している……あの戦い方どこかで…)
(……致命傷を避けるように回避した!?……まて、あの動きは…まさかな)
苛烈な戦闘の最中の錯綜する意志…次期主力機最終選考をかけ始まった模擬戦という名の実戦。互いに相手の出方を探り合う二人の戦いにティワズ主任アラン、そしてAE主任のモーゼスも息をのみ手に汗を握りながら見守っている
傭兵部隊サーペントテール、六人目のメンバー《アマルス・レディーレ》
第81独立機動群《ファントムペイン》所属《ルウェン・エル・バヤン》
あの三つ巴の海戦での出会いを経て南米アマゾン、そしてココでの戦いで三度目
(……劾さんやイライジャさんと任務で戦ってきた相手とは違う…間違いない。あの時のストライクのカスタム機の)
(連合にもここまでオレと戦える相手はいない……こんなに熱くなるのは……間違いない、あの時のパイロットだ!)
Mission:《ファントム》VS《Hi-νガンダム・インフラックス》後編
バーニアを全開にし接近、背部のブレードを両手に構え切りかかる。とっさにフレイムソードで防ぐファントムのコックピットに声が響いた
「まさか、こんな所であうとはな」
「やっぱり、あの時のパイロット……ルウェンさん」
「ホアシン・リー……いやマルス・レディーレ。火星(マルス)と火星(ホアシン)。わかりやすい名前だ」
「そうですね…でも、今回は勝たせて貰います…」
「どうやってだ?」
逆手に構えたブレードがファントムのフレイムソードを切り払い、弾き飛ばし無防備状態になる。まさに絶好の機を逃さず逆袈裟からの斬撃、迫る刃を前にファントムは微動だにしない。その意図に気づきアランはインカムをつかみ取り慌ててさけんだ
「だ、ダメだ!ホアシン!!あれはまだ未完成……」
「ファントム、僕に力を…………」
制止の言葉と共にファントムの瞳が輝く、身体から炎が揺らめき、ブレードをつかみ取るやいなや力任せにインフラックスを投げ飛ばす。バーニアをふかし体勢を整えたインフラックス、ルウェンかみたのは全身から炎、いや高出力のメガ粒子を背中からあふれさせる
姿
ティワズ主任アランはF99「レコードブレイカー」とティワズ第二MS開発部門の木星圏運用を目指した「アマクサ」の開発データを掛け合わせて生み出した
。F99で初採用となった小型化ミノフスキードライブは理論上、亜光速にまで達する最高傑作機になるはずだった
しかし光の翼の制御と発動時に生まれる放熱に機体が耐えきれず封印した機能《ファントムライト》…その封印が解かれた事に驚きながらアランは端末を操作し目を見開いた
(バ、バイオコンピューターが起動している?………彼は一体。まさか会長はこうなることを予想していた?)
「ミノフスキードライブだと……ティワズめ小型化に成功していたのか……ルウェン少尉、インフラックスのFCSを切れ。奴に対抗するなからこちらも手加減はいらん」
「了解した……」
FCSをカットしたインフラックス。不安定になるも圧倒的な機動力を得てファントムに迫る。向き直りざま炎のように揺らめく剣《フレイムソード》のビームの刃を紙一重でかわしながら背中に備え付けられたキヤノン砲を前面に展開、ビームを撃つも当たる寸前でかき消された
「……ビームが効かない……ミノフスキードライブを制御する為に強力なIフィールドで押さえ込んでいるのか…」
「バイオコンピューター強制冷却続行、機体の放熱…間に合わない……動けるのはあと一分…」
FCSを切り不安定な機動を卓越した操縦でカバーし、マルス…ホアシンも機体状況に目を向けながら意識は眼前のインフラックスを捉えるフレイムソードを大きく振りかぶり、インフラックスもブレードを構え片方で受け右肩を切り払い片腕が空を舞う、しかしフレイムソードも不規則に変化し左バインダーを切り払いバランスが崩れ、見逃さずまま胴を凪ごうとするファントムの刃がせまる。勝った…アラン率いるチームの誰もがおもった
しかし、ファントムの身体から炎が消え力なく墜ちていく。放熱がまにあわずオーバーロードを起こしたのだ。インフラックスはそのままブレードを収めライフルでロックオンし静かに引き金を引く真っ直ぐにビームが落ち行くファントムの体を捉えた飲み込む。爆発はしないビームを訓練レベルにまで下げた結果だった
「さ、最終選考テスト………勝者、AEのHiνガンダムインフラックス!!」
AE陣営の指揮車両内が歓声に包まれ、モーゼスの表情も緩み笑みを浮かべている、しかしティワズ陣営はただ静かだった
ただアランは次こそは必ずと胸の奥で誓いを立てながらある決意をした
★★★★★★★★
「ファントムを僕にですか!?ティワズの試作機ですよね?」
「まあ聞いてくれないかな。今回は負けたけど君はファントムの力を十分、いや十二分に引き出した。今までのパイロットは八割ぐらいが限度だった…ファントムを譲渡するのはマクマード会長からも承認は貰っているからね……ですよね?会長」
『久しぶりだな。若いの……うちのファントムを任せる。アランから《ファントムライト》まで稼働させたって聞いた時は驚いたな』
「マクマードさん?ですが僕は……」
『まあ、こん前の借りを少し返すだけだ。ファントムの補修と予備パーツも纏めて送る』
有無を言わさない初老の男性、ティワズ会長《マクマード・バリストン》の口から出た「借り」とは、以前に護衛した時にマクマードの乗るシャトルを身を呈して守り、襲いかかってきた連合崩れの愚連隊のデュエルダガー、ストライクダガー三個中隊をすべて返り討ちにした時の事。マクマードはマルスを気に入りなにかに付けては援助、もしくはティワズへ勧誘してきていたが傭兵であるのもあって断り「なら借りにしておこう」となった
「………………わかりました。ファントムありがたく使わせていただきます」
『ああ、頼むぞ……あとファントムのバイオコンピューター開発責任者も補修パーツと一緒に送ろう。なかなか優秀だ。まあ何かあれば何時でもいってくれ』
ニヤリと笑いながらモニターが消え、ため息をつきながらファントムをアランに任せ外へでたときだ。背後に気配を感じ振り返ると銀髪に連合軍制服に身を包んだ青年がつかつかと歩いてきた
「……こうして顔をあわせるのは初めてだな……
マルス・レディーレ」
「ルウェン・エル・バヤン……」
「身構えなくていい。すぐここで決着をつける気はない…オレたちが戦う場所は戦場だ。次に会うときは互いの乗り慣れた機体で会おう……言いたいのはそれだけだ」
「はい」
「ふ、オレは敵だぞ?まあ、今回だけは見逃してやる」
言いたいことは言った。そうとれる会話を切り上げ背を向け歩き出したルウェン…命のやりとりをした相手とは何度か生身で会ったことはあるが面と向かって話しかけてきたのは初めてだった
一人残されたマルスはしばらく空を見上げ星を見てるとアランから準備ができたと連絡を受け、MS輸送機にファントム、スカイグラスパーを積み込み島をあとにした
Mission:《ファントム》VS《Hi-νガンダム・インフラックス》後編
了
機体名称:ファントム
型式番号:TXMS-00《Phantom》
装甲材質:不明(後にガンダニュウム合金に変更)
全高:16M
本体重量:不明
主動力:熱核融合炉
出力:不明
推力:不明
センサー有効半径:不明
開発組織:テイワズMS開発第一室
推進システム:ミノフスキードライブ
特殊機能:ファントムライト
搭載コンピューター:バイオコンピューター
武装
フレイムソード
バタフライバスター
テイワズで開発された試作可変モビルスーツ
外観はガンダムに非常に似ているがガンダムではないが数多くの新技術が盛り込まれている。最大の特徴は理論上《亜光速》に到達可能なミノフスキー・ドライブ、そしてパイロットの操縦および認識(曖昧なモノまで)し反映するバイオコンピューター搭載されている。さらに長距離を移動する関係上、機体を構成する四つのブロックの位置を入れ替え、長距離を移動する為の巡航形態「蜃気楼鳥(ミラージュ・ワゾー)」への可変機構を備える。
ただ搭載されているミノフスキー・ドライブは技術的に未成熟であり、完成度は50%程度。余剰エネルギーとして放出される「光の翼」も出力が安定せず、苦肉の策として複数の《Iフィールド・ジェネレーター》を外装し無理やり安定させることに。それでも排熱の問題もあって稼働時間は短く、非常に扱い辛いものになってしまっている。
……悪いことばかりに見えるが搭載されたミノフスキー・ドライブ、外装したIフィールド・ジェネレーターの効果によって「ファントム・ライト」と呼ばれるIフィールドバリアと光の翼双方の利点を持った現象を引き起こす事も出来るとテイワズMS開発第一室主任アランは導き出していたが、今までのテストパイロットには無理だった
初のミノフスキー・ドライブ搭載機というその性質上、推力・機動力に秀でており、特に蜃気楼鳥形態時の加速力・巡航能力は既存のモビルスーツ、モビルアーマーのそれを上回る。しかし、リニアシートを用いてもその加速Gは完全に相殺する事が出来ず、加速中に急旋回を行った場合はパイロットはおろか機体の耐久力をも上回るため危険がつきまとう為、卓越した操縦技術もつパイロット、もしくは強化処置をされたパイロットに限定されつつある
強制放熱モード時、ミノフスキー・ドライブの発する熱に対応する為に機体の出力に応じて第一段階と第二段階に分けられ、第二段階になるとフェイス部分に加え頬のパーツが展開し放熱され外観はまさに鬼のように見える