オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
同ファクトリー
「よし、ゼロフレームのストレスチェック終わり。あとは電装系とマッチングテストだけだな~お~い千夏。昼飯にしようぜ」
「はい。でも短期間でゼロフレームの総メンテを終わらせるなんてすごいですよ」
「そうか?まあ、オレは宇宙一のジャンク屋だからな~装甲やエネルギーバイパスは昼飯終わってからにしようぜ」
肩を叩きながらジャンク屋組合食堂へ歩き出す二人。数日前、限界寸前の翔真のウイングゼロカスタムをトレミーから《ギガフロート》へ運び込んだ千夏。仕事ぶりをみたロウにすっかり気に入られたみたいだ
「なあ、いっその事ジャンク屋やってみないか?」
「あはは、まあ、考えておきます」
と誘われるも本当の目的があるため首を縦に振れなかった。
夜も明け切らない朝。南極海に浮かぶソレスタルビーィングの母艦《プトレマイオスⅡ》のMSデッキでは機体の整備を整備主任兼MSパイロットのマルスがオレンジ色のつなぎを着て並べられた各MSの整備状態をハロたちと、8(ハチ)と共に確認しながら指示をとばしている
「オレンジくんはエイハブリアクターの同調調整、パープルくんはユニコーンの肩の動作チェックと五番と二番のサイコミュを、イエローちゃんはニャイアの腕を、僕はアストレアのグラビカルアンテナ交換、8(ハチ)さんはみんなの機体のOSのチェックをお願いできますか?」
《リョウカイ、リョウカ~イ×2》
《まかせておけ。しかしこのニャイア?はミラージュサードイシューにコンセプトは似てるなあ》
「確かに似てるかも……クリスちゃんのアストレイか……なんかアストレイと縁があるかな」
《お~い感慨にふけってる場合じゃないぞマルス、ニャイアの修理はオレとハロたちと進めておく。早くしないと《あの子》が怒るぞ》
「え?も、もうそんな時間?……8さん、ハロのみんなゴメン!行かなきゃ…じ、じゃあとはお願いします!!」
ぺこりと頭を下げその場を後にするマルスをハロたちは跳ねながら見送る中、8も液晶パネルで《頑張れ》と返しカレル数台にみこしに担がれるように移動しながら整備に戻っていった
PHASE-43.7~44「再会する白と紅」-45「虚無の申し子 バンシィノルン 前編」
「……どうしたんでしょうマルスさん…今日は私と鍛錬の日なのに…」
「ご、ごめん!アインハルトさん遅れてごめんなさい!」
「だいじょうぶです。マルスさんも皆さんのMS整備担当してるの大変だってわかってますから…今日は何を?」
「今日は次の馬歩から震脚…構えてみて馬歩から一気に前へと踏み込む!」
馬歩の構えから一気に踏み込む。トレミーの特殊装甲が軋み、微かに空気が震え風が起こり髪を押さえるアインハルトの瞳はしっかりと動きみていた…いや見ほれていた
微かに湯気立つ身体に真剣な眼差し、ただ前に進み踏み込むまでの無駄ない動き。肘打ち、相手の頭を掴み体勢を崩すまでの流れは武術をたしなむ者として見入るのは仕方なかった
「今のが震脚。まずはゆっくりやってみようか?」
「は、はい……(たしか力を貯めて)」
馬歩の構えから一気に前へ踏み込むアインハルト…その動きを真剣に見るマルスを意識してかなかなか上手くいかない…何度目かの踏み込みをしようとした時、背後から手を添えられた
「マ、マルスさん?一体なにを!?」
「僕と動きを、呼吸をあわせて……そうゆっくり…」
(ま、マルスさんの手が私の手に!?身体が息づかいがいろいろ密着してます!?)
いきなりのことにトランザムバースト並みにドギマギ
しながらマルスに身を任せるように踏み込んだ瞬間、あたりの空気が大きく震える。呆けるも少しずつ明るい笑みを浮かべる
「で、できました……」
「よくできました。アインハルトはやっぱり筋がいいね。今の感覚を忘れたらだめだよ」
「は、はい!ありがとうございます。あの……その……もういいですよね」
「え?あ、ご、ごめん!いきなりこんなことして」
「あっ……」
パッと離れる。少し残念そうな顔になったことにマルスは気づいていない…
「あ、そろそろ一夏さんと買い物の約束の時間近いんじゃないかな?」
「そうですね…マルスさん。明日は?」
「ごめん、明日は僕の機体のメンテンスなんだ……それにナガスミくんが届けてくれた《本来のエクシェスの手足》を組み込もうかなって……ごめんね」
「い、いえ、いいんです……じゃあ私はここで」
「うん、楽しんできてねアインハルト」
「はい。またあとで」
軽く頭を下げトレミーのシャワールームに向かうのを見届け自室に戻ろうとした…
「あ~に~き」
「ぐはっ!!」
響いた声に振り返り見えたのは銀色の髪…たたらを踏みながら背中から倒れたマルスが目をあけ息が止まる。白のフリルが目立つシャツに紺色のタイトスカート、膝上まで白のオーバーニー姿の義妹?《雪音クリス》が馬乗りになり笑顔で見下ろしている。しかも体勢的に色々とまずい
「く、クリス?はやく退いて…いろいろとその」
「色々ってなんだよ兄貴……(うわあ~顔真っ赤にしてんな~セラさんのコーディネートの効果ぐんばつだ)」
「だ、たから…その……それに汗かいててよごれてるし…っ!?」
「汚れてなんかねえし…」
身体をぴたりとあわせ首筋に顔を近づけ息を吸う…それ以上に90センチの二つの膨らみが否応無しに胸板に押し付けられバクンバクンと、心臓が鼓動し女特有の甘い匂いにクラクラしている
(ダメだ、クリスは記憶を失う前の僕の義妹、そう義妹だ……で、でもこの柔らかさ、なんか懐かしい気が……だ、だめだ流されるな僕!)
(無愛想な兄貴もいいけど、こっちのアニキもいいなあ。よし、このまま一気にしかけっか……他の二人には悪いけど次を貰ってやる………)
逃げようと身をよじるマルス…しかしマウントを取られ猫みたいにじゃれつくのを力ずくでのかすのも出来るのだけど、傭兵モードなら排除できるが今は素の状態。なすがままにされるかと思った時、セブンソードが突き刺さる様な凄まじい怒気に震えた
もしやと思い首だけを器用に目を向ける…そこにいたのはソレスタルビーィングの制式制服に身を包んだノーヴェがハイライトが消えた瞳で笑顔を浮かべ手にはスポーツドリンクに青いタオルがギリギリと握りしめられている
「の、ノーヴェさん!な、なんでここに」
「……朝からがんばってんなあ~と思ってしかも来てみたんだけどさあ~義妹とそんなにイチャイチャしやがって妹萌え属性でも持ってんのか?それとも疑似近親相姦願望もってんのか?マルス!!」
「い、いや違うから!ク、クリスも何か言って!?」
「……ナニ勘違いしてんだよ。そんなことするわけないだろ」
クリスの言葉にほっとする…だが次の言葉がまずかった
「今からアニキとわたしの愛の結晶を作るんだから邪魔するなよ。そこでみてなよ」
ビキキ……手に持ったスポーツドリンクの容器が爆ぜ、おどろおどろしい怒気が登りセットアップしたのを目にしたマルスは詰みだと悟った
「こ、このケダモノおおおお!!」
「ふ、不幸だあああああああああああ!!」
トレミーⅡ甲板で爆発音と悲鳴が南極海に響き渡るもフリーダムの発進アナウンスでかき消された…数分後、ひさしぶりにネプテューヌと二人っきりで過ごしていたツバサがいるメディカルルームに運び込まれた
「せっかくの二人っきりがああああ」
「やれやれ…ここはマルスの部屋じゃないんだがな…」
「ゴメン、兄貴」
「わりぃ少しやりすぎた……っうか離れろよ!」
「ああ?悪いけど兄貴の看護は私がするから暴力女は視界から消えろよ?」
ギスギスした空間に変貌するメディカルルーム…しかしツバサからの雷でなんとかその場は収まったらしい
PHASE-43.7~44「再会する白と紅」-45「虚無の申し子 バンシィノルン 前編」
了
この世界に来るのは二度め、でも何だろう…………すごく懐かしい
二つの月、海……それに街並みは…ダメだ。思い出せない
この世界を僕は知ってい…
《集中しろマルス!今は戦闘中だ》
「了解。これより綾崎翔真の援護およびGspirits隊と戦闘行動に入る…8(ハチ)、サポートを頼む」
《了解!》
今は作戦を成功させる…そのための露払いを僕はする為にエクシェスの装備を追加している…
「……照合確認、M1アストレイ複数確認。道を切り開く…いくぞエクシェス」
強く操縦桿を握り翔真さんの道を切り開くために敵陣ど真ん中へ突入する…Gspirits隊…戦力調査依頼を遂行する機会に恵まれたんだ
ならば全力でいく
……………この時に気づけばよかったんだ。僕がこの世界で生まれて、Gspirits隊に大事なモノを奪われた記憶を思い出すキッカケになることを
僕………俺、アレス・ルセディスの憎悪の炎(記憶)が燃えあがる事を