オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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「ロアノーク大佐、コレは?」


「俺も詳しいことはわからないんだけど、コイツが連合の開発した機体では無いとだけ確かだ……一年前にヘブンズベース基地近海に落ちてきたらしい」


ザフトとの戦いで介入したソレスタルビーイングにより痛手を受け南米で補給と修理を受ける連合旗艦タケミカヅチの隣に浮かぶコンテナ内であるものを見つめる黒塗りの連合軍制服に頭を完全に覆う仮面が目立つ青年と士官。その前には大小さまざまな色違いのケーブルに繋がれた黒く巨大な円錐形状の体躯の左右に鋏にも似たユニットと思しきモノがついた異様な物体…カブトガニにも似たナニかが固定されている


「……んで技術開発部門が調べたんだが装甲はVPS、エネルギー反応からみて動力は核エンジン?らしい事、そして最近見つけたコックピットからデータを吸い出し解析したらMAだとわかった」



「MA?」


「しかも宇宙から地上、水中戦もこなせる破格のMAだ……んで、コイツが俺の部隊に配備されることが決まったんだが…怪しさ満載なMAよりウィンダムを十五機送れよな~」


「名前はなんなんですか?大佐」


「……………データ解析した時、度々《エクシェス》、《アレス》と言う単語が出てきた……まあ《エクシェス》でいいんじゃないの?」


「いいんですかそれで?大佐」


「まあ名前がないと不便だろ?とりあえず、あの三人の誰かを乗せてみるかな……まあ、ありがたく使わせてもらうか」


再び目を向けるロアノークと技術士官…一年前に空から墜ちてきた正体不明の80メートル級MA《エクシェス》のカタログスペックに目を通していく。目覚の時は近いと言うように微かに目に当たる部分が光った


PHASE-38.5「ハイペリオンー天高く往くものー、黒ーノワールー再び」side:ASTRAY★

『………ノーヴェ・ナカジマ。任せます』

 

 

無機質で感情と言えるモノを削ぎ落とした声が響く。モニターには二つの黒…二日前にあたしたちが戦った連合所属のMS《GAT-X105E》ストライクノワール。フラガラッハを両手に構えマルスのエクシェスに襲いかかる。寸前で防ぎ切り結びながら離れてく

 

 

……任せるって何をなんだよ?まったくわかんねぇ!?

 

 

PHASE-38.5「天高く往くものーハイペリオンー、黒ーノワールー再び」

 

 

「マルス、あたしに用って何だ?」

 

 

「依頼受けたんですけど……手が足りなくて……疲れてるところ悪いんですけど…今出られるのがアストレアF-Dashしかなくて」

 

 

二日前の海戦であたしたちの機体は少なからずダメージを受けた。とくにウィングゼロ、フリーダム、バルバトスはマルスがハロ達を使ってフルメンテナンス中。今動かせるのはあたしのしかないらしい

 

 

「あ、無理ならいいんです…やっぱりまだ疲れてますよね。ナカジマさん女の子なんですし…」

 

「………な、なにいってやがる!あたしをそこらへんの女と一緒にすんな!……それに疲れてなんかいねぇし、どうしてもっていうならついていってやるよ!」

 

「え、え、で、でも今回の依頼は…」

 

 

「あ?んなこと関係ねぇんだよ!とにかくだ、あたしのアストレアしかないんだろ?ならマイスターのあたしが行くしかないだろ」

 

「で、でも」

 

 

「でももへったくれももないんだろ?とにかく連れてけ。いいな!!」

 

 

「は、はい……」

 

 

(ねぇねぇソーナたん。マ~ちゃんとノンノンにあたまがあがらないみたいだね?)

 

 

(そ、そうですね…少し将来が心配です……傭兵なんて危なっかしい仕事を止めて騎王学園に来て普通の学生生活をおくって欲しいんですけど)

 

 

……とまあ、こんなやりとりが聞こえた気がしたけど気のせいか。先日、ナガスミがギガフロートから持ってきた補給コンテナのリストをチェックしてエールストライカーと布に包まれたでっかい剣(?)を装備したエクシェス、アストレアF-dashの調整を終えて軽いミーティングをマルスの部屋で始める。男の部屋は初めて入るけど日用品ってのがない。あるのは端末と作りかけの赤いボール?みたいなのが一つだけ、それより依頼内容、いや依頼人を聞いて驚いた

 

 

「今回は連合から…正確に言えばある将校の依頼です。アクタイオン社が開発した《CAT-X1/3》ハイペリオンを載せた輸送機が南米上空で行方を断ちました。依頼内容はハイペリオンの捜索もしくは破壊です。後者は敵に奪われた場合のみ適用されます」

 

 

「まて!なんで連合から依頼を受けるんだよ?この前あたしたちは、やりあったばかりだぞ!依頼人がやれば片づくだろ」

 

 

「……はい、でも依頼人は自分たちの部隊に配備する予定の機体が行方不明になった事で危うい状況におかれ部隊も動かせないんです。もし何者かの手でハイペリオンが起動し南米の森林地帯が焼き払われるとなったら地球環境をも狂わせる可能性がある。彼の言葉からは強い後悔と必死な姿勢からウソ偽わりないと判断し依頼を引き受けることにしました」

 

 

「………わかったよ…ただし、そのハイペリオンをどうにかしたらさっさと引き上げるからな」

 

 

「はい、ありがとうナカジマさ「ノーヴェ」…え?」

 

 

「ノーヴェでいい。あたしもマルスの名前よんでんだからさ。じゃさっさといくぞ」

 

 

「はい……ノ、ノーヴェさん」

 

 

照れながら目をそらす…なんか真面目なのも良いけど今の仕草はマジ可愛い。しばらくして武装コンテナにあたしのアストレアF-Dash、マルスのエクシェスと追加装備を載せトレミーから切り離し海中を潜行しながら南米へと向かいながら隣で赤いボール?を組むマルスをみている。何作ってんだろ

 

 

「よし、出来た」

 

 

 

『ハロ、ハロハロ!?マルス、マルス』

 

 

「な、なんだコレ?」

 

 

「この子はハロ。8さんが設計してくれたんです。ソーナ義母さんやセラさん、アインハルトや翔真さん、ツバサさん、ナガスミくんにも色違いだけど何個かあげたんです。それに簡単な整備から機体OSの更新やリアルタイム通信もできるんですよ」

 

 

「へえ~こんなにちっこいのが?」

 

 

『チッコくない、チッコくない……ぷんぷん』

 

 

ん~なんか愛らしいなあって手にもってたら懐かれたみたいでマルスが「ノーヴェさんに赤ハロあげます。言うことよく聞くんだよ」って手渡された。そうしている内に南米アマゾン川河口に到着。武装コンテナに偽装システムを起動させハッチを開く。マルスのエクシェスとあたしのアストレアF-Dashが水中をすすみコンテナから離れたのを確認して浮上、レーダーに引っかからない高度スレスレで飛行する

 

『ノーヴェ・ナカジマ。識別が途絶えた地点につく…周辺索敵と警戒怠るな』

 

……やっぱり変わりすぎた。ツバサやナガスミ、翔真が言う傭兵モードのマルスは。

 

一切の無駄を省いて必要最低限な言葉しか喋らない。普段のおどおどして、ボケッとして天然でよく転けるマルスと違う。まったくの別人だ

 

どっちが本当のマルスなんだろ……そんな時、熱源反応を知らせるアラートに我に返る。黄色い閃光が迫る。操縦桿を傾けGNバーニアで回避……いまのビームは?

 

 

『ノーヴェ・ナカジマ、ハイペリオンを確認……ハイペリオンのパイロット、当機は攻撃の意志はな…』

 

 

呼びかけるけど、返答代わりに肩にかけ現れた砲塔から極太のビーム二発がマルスのエクシェスに襲いかかる。ひらりひらりとかわしていくけど微かに装甲に跡がついてく

 

エクシェスはなぜかわからないけどエールストライカーを装備、さらに手にはデカい剣を持ってる。なぜって出撃前に聞いたら「もしハイペリオンと戦うのならコッチの方が役に立ちます」っていってた

 

でも今は目の前のハイペリオンが呼びかけに応じない。それに迂闊に攻撃が仕掛けられねぇし。なぜなら下には緑一色の絨毯…アマゾン熱帯雨林が広がっている。ここはザフトも連合も非戦闘地域にして《地球の三分の一の酸素を生み出す》場所。

 

ハイペリオンはあたしやマルスの下に配置している。つまりは迂闊にビームを撃ち外れたら森が焼き払われてしまう。それに対してハイペリオンは撃ちほうだい

 

あたしのアストレアF-DashはGNカノン、GNライフル以外にGNナックルがある。なら接近戦で仕掛ける!

 

「おらあああ!GNナックル!!」

 

 

一気にスロットルを最大にし二段加速、同時に殴りかかる、入ったと思った瞬間何かに阻まれた。バリアーみたいなのがハイペリオンの全方位をすっぽり覆ってる。驚くあたしに向けビームマシンガンを構え撃ち放つ咄嗟に避けたけど数発がかする

 

なんで内側からの攻撃は通るんだ?

 

 

『………アルミューレリュミエール、モノフェーズ機能を持つから内側から攻撃が可能な光波防御帯か。だが破る方法はある………ノーヴェ・ナカジマ。牽制を頼む』

 

「な?もう!しゃあねえな!攻撃がとおんねぇけどやってやらあ!!」

 

再びアストレアFDashをハイペリオンに近づけ殴りかかる。でも固いアルミューレリュミエールには傷一つつかないどころかGNナックルにもミシミシと悲鳴があがる。そのときマルス、いやエクシェスがバーニア全開で接近。極太のビームをかわしながら布に巻かれた剣を両手に握り大きく振り上げ突き刺した…通らないと思った。でも切っ先が吸いこまれるように深々とアルミューレリュミエールを貫き布が燃え現れたのは青い大剣。柄にあるバーニアから勢いよく放熱してる

 

 

『アルミューレリュミエールの弱点は対ビームコーティングされた武器を通しやすい。それはラミネート装甲でも同じだ……お前の敗因は一つ。性能に頼り過ぎた事だ』

 

 

静かにまるで死刑宣告を告げるのと同時に大剣の中心が開き、四門のガトリング砲が回転し実体弾とビームの雨がハイペリオンに降り注ぎ風穴だらけにしていく。マルスはまさか弱点がわかってたから装備を変更したのかよ…弾丸の雨がやむと同時にアルミューレリュミエールが消えそのままアマゾン川に水しぶきをあげ落ちた

 

 

『……ミッションコンプリート……』

 

 

大剣を軽く振るうエクシェスから通信越しに抑揚もない声が響く。任務は終わり、さあ帰ろうとしたとき熱源反応。あたしとマルスはかわしながらみたのは連合のMSの姿…2日前に交戦した機体GAT-X105E《ストライクノワール》。今のマルスの装備…エールストライカーにあのデカい剣、アーマーシュナイダーじゃ勝てない

 

加勢しようとしたら、来るのを拒むように通信越しに聞こえた『任せる』って意味わかんねぇ…弾もバッテリーも余り無…………まさか、そういうことかよ

 

 

あたしはアストレアF-Dashを二人に背を向ける形で加速し離れていく…任されたからにはしっかりやらないとな

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「まさか、こんなところでまた出逢えるとは。目的は同じ様だな」

 

 

「……………そのようだ、このまま見逃してくれると助かる」

 

 

「それは出来ない…ザフトも手を出さない中立地帯で起きた不祥事を目撃したのが例えソレスタルビーイングでも見逃せない!」

 

 

通信を切りフラガラッハを構え加速、勢いをつけて切りかかるのをタクティカルアームズ(ラミネート装甲仕様)で受ける。このパイロットと剣を交えるのは二度目、機体もGAT-X105をカスタムしたモノだ。おそらくパイロットの意見と実働データを基に改修されている。

 

繰り出された蹴りに楯代わりにタクティカルアームズで防ぎながらバッテリー残量をみる。すでに二割を切ってるか…エネルギーを喰う武器は使えない。タクティカルアームズを川へ落とし変わりにアーマーシュナイダーを両手に構える

 

 

『何のつもりか知らないが、決めさせてもらう!』

 

 

腰にマウンドされたバレルが短いビームライフルを撃ってくる。目の前に迫るビーム弾をアーマーシュナイダーで次々と切り払う。それを見ておどろいているみたいだ

 

 

『ビームを切り払った!?面白い…ならコレならどうだ!』

 

 

「くっ!」

 

 

ビームライフルをしまうとフラガラッハを切りかかってきた。アーマーシュナイダーでビーム刃を防ぎ断片的に接触回線が開く…声の感じからして同年代か。それに的確に急所を狙い切りつけてくる。脇腹、肩、袈裟切りに来るビーム刃、実体刃が触れるたびに火花が散る、逆手に構えたビームコーティングされた刃が悲鳴をあげ折れ新緑の絨毯に落ちていく。

 

 

『俺の勝ちだ…サーペントテール、いや《死を呼ぶ凶鳥》…』

 

 

コックピット近くに刃が当てられ、ゆっくりと突き立てられようとした時、動きが止まる……

 

 

『…………ち、わかった。悪いが今日は引き上げさせてもらう。《女神》に感謝するんだな。オレは地球連合軍第81独立機動群ファントムペイン所属《ルウェン・カル・バヤン》だ』

 

 

「…………マルス・レディーレ」

 

 

名前を告げたルウェン・カル・バヤンのストライクノワールは踵を返し飛去った……連合にまだあんなパイロットがいる。もしエースを投入してきた場合、少数精鋭のトレミーが…いや、今考えても仕方ない。タクティカルアームズを回収しノーヴェ・ナカジマとの合流点へと向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

「あの~ノーヴェさん?」

 

 

「べつにぃ~」

 

 

あうう~怒ってる……間違いなく《あの時の僕》に対してだ。エクシェスに乗るとあんな風になる僕を風花さんやイライジャさんが注意していたのを思い出す。何度も直そうと努力したけと無理だった

 

赤ハロをぷ~と頬を膨らませ小突きながらそっぽ向いてるし…確かにあの状況じゃ相手に会話からナニが目的か悟られるし…やむなくああ言ったけど。素直に謝ろう

 

 

「あの~ごめんなさい!あの時は相手にノーヴェさんがやることを悟られないようにするためで……」

 

 

 

「……………」

 

 

「…………それに、ノーヴェさんならわかってくれるって信じてたから」

 

 

「あ?あんなんで解れっうのか!?ちったあ、あたしにでもわかりやすいようにいいやがれ!!」

 

 

「ふみん、ふみん、ぬうぃむさん!?」

 

 

おらあああ!って僕の頬をつまみ伸ばすノーヴェさん。あの時、任せるって言った意味は詳しく言うと

 

 

『近くにあの機体の母艦、もしくは輸送機があるから押さえるのを任せます』

 

 

って意味。どんなに強力なMSでも補給、整備が出来る場所がなければ意味をなさない。あのGAT-X105の母艦が帰投出来るギリギリの場所にいるはず。アストレアFDashなら見つけだし抑える事が出来る

 

あの時、ルウェンさんが退いたのはノーヴェさんが母艦を抑えたからだ。レーダー索敵範囲から離れたのを見計らい武装コンテナに帰投出来た

 

 

「ま、このぐらいで勘弁してやるよ。でも次からは赤ハロを通してやれよな」

 

 

「は、はい」

 

 

「じゃあ、さっさとトレミーに帰るぞ……あとで赤ハロの使い方教えろよな…二人っきりでさ」

 

 

それっきり言葉はなかったけど、今度は僕のハロと赤ハロのプライベートコードを教えようと決め、一路トレミーに向かおうとした時、熱源反応を捉えスクリーンに映されたガンカメラに肩にpressと書かれた機体に驚くと同時に通信が入った

 

 

『あんた達、ソレスタルビーイングだろ?オレはジェス・リブル。フォトジャーナリストだ!ぜひ取材の為に同行させてくれ!!』

 

 

「ジ、ジェスさん!?なんでここに!?」

 

 

『その声は……お前、マルスか!!』

 

 

この日、僕とノーヴェさんはアストレイ…アストレイ・アウトフレームを駆るジャーナリスト《ジェス・リブル》さんと出会いを果たした

 

PHASE-38.5「ハイペリオン(天高く往くもの)、ノワール再び」side:ASTRAY

 

 

 

 

 

 

 

続きは超電磁砲さんの本編で!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




機体解説(二)


アストレアF-Dash


型式番号:GNY-01F-Dash


【挿絵表示】



【挿絵表示】




ノーヴェのアストレアF2をギガフロートで宇宙一のジャンク屋《ロウ・ギュール》が海底で拾ったパーツを組み込み完成させた機体

最大の特徴はスリースラスターからコーン型に変更、追加アームに装着された大型GNバーニア、腕部を覆うGNバーニア内蔵GNナックルが追加されている

GNバーニアは可変し進行方向を変更、瞬間的加速をも可能とし、さらに変形するとGNカノンへ形態移行し中、長距離戦にも対応可能

GNナックルは内部装甲に圧縮されたGN粒子を満たすことで強度を増し、インパクトの瞬間に相手の堅い装甲すらもいとも簡単に砕く。内蔵GNバーニア、背部GNバーニアを合わせた場合は破壊力は戦艦の装甲すらも粉砕する


ノーヴェの戦闘スタイルにあわせ、一度手合わせしたマルスの意見を盛り込み極めて高い完成度を獲得。粒子制御率向上、トランザムの稼働時間も改善されている


武装

GNバルカン×2

GNダガー×2

GNナックル×2

GNカノン×2



特殊機能

トランザム・システム









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