心臓をキングエンジンばりに鳴らしながら、ブラムはアイズに連れられながら黄昏の館へ。【ロキ・ファミリア】の化け物連中の実力を知っていたからこそ、震えが止まらなかった。
(………僕、大丈夫だろうか)
とりあえず、200回は殺される覚悟をしてると、黄昏の館に到着。門が開き、そのまま中へ。
(………頼む。最初はリヴェリアさんくらいがいいな。あの人は優しいし、いきなり暴力で訴えて来ないし、レベル6でそれなりに権力あるしで割とあっさり許してくれそうだ。頼むから初っ端から団長とかは……)
そんな事を考えるから、玄関で真っ先に出会うのが団長になる。
「」
「やぁ、ブラム」
直後、ブラムはぶっ倒れた。
「⁉︎ ぶ、ブラム⁉︎」
「はっ!一回心臓止まった!」
ショック死しかけたのだが、即死回避で九死に一生を得た。
「まったく……まぁいい。とにかく、こっちに来い」
「あの……僕、何回死ねばいいですか?」
「はっ?」
「いや何でもないです」
フィンに連れられ、ブラムはロキの部屋へ。心臓をドギマギさせながら部屋に入ると、ロキが土下座していた。横にはリヴェリアが立っている。
「………ろ、ロキ様⁉︎土下座なんて……!てかなんで⁉︎謝らなきゃいけないのは僕の方で……!」
「すまん、ブラム。うち、お前が生きとるの知ってた」
「…………はっ?」
「いや待て、言い訳してええか?」
「どうぞ」
「ブラムたんの恩恵が消えたのはホンマや。1日近く反応が消えた」
「はぁ……そういえば僕の体が再生されたのもちょうど1日後くらい使いましたね。何せ焼き尽くされましたから」
「ほら!見ろやフィン!本当にからかったつもりなんかなくて、恩恵が消えてたんや!それで葬式とか墓とか色々開く予定決めちゃって……復活したのに気付いたのはホントそのあとだったんやって!」
「でも、ブラムのスキルは即死回避なんだろ?死んでたら回避し切れてないじゃないか」
「そ、そうや!ブラムたん!【ステイタス】更新してええか?」
「え、いいですけど」
「ほら!はよ脱ぎ、脱ぎ!」
「なんかエロオヤジみたいですよそれ」
言いながらブラムは服を脱いだ。周りにアイズ、フィン、リヴェリアがいるのに、躊躇なく脱ぎ捨ててるあたり、色んな意味で成長したと思う。
ロキがブラムの【ステイタス】を弄り、紙に書き写した。
力:G290、耐久:S999、器用:D505、魔力:F301、敏捷:SSS----
《魔法》
【跳躍】
《スキル》
【攻撃対象】
モンスターにいの一番に狙われる。
【即死回避】
自分が即死するほどのダメージを受けた時、身体を100%蘇生させる。
【逝去無効】
1日に一回限り、死を無効にする。
「……………」
ロキは目を剥いた。色々とツッコミ所が多過ぎた。
「………ロキ、どうした?」
「……や、これ……えっ?偏り過ぎやろ」
フィンもアイズもリヴェリアも後ろから紙を覗き込んだ。全員、言葉を失った。
「え、ちょっ……みんなしてなんですかその反応」
「ブラム」
真面目な顔でフィンがブラムに言った。
「非ッッッ常に申し訳ないんだけど、なんかもう……囮の道から抜け出せないかも」
「えっ」
「……まぁ、今回のロキの事は不問にしてやれ。というかこのスキルが悪い」
「ちょっ」
「………これからも、頑張って。ブラム」
「あのっ」
フィン、リヴェリア、アイズと矢継ぎ早に言うと、部屋を出て行った。
「…………えっ?」
「ブラム、これや。今のお前さんの【ステイタス】」
ロキに渡された紙を見て、ブラムは固まった。
「」
「…………ま、まぁ……スキルの所為とはいえ、うちもみんなにもっと早く言うべきやったな。本当にすまん、ブラム」
「」
「これからは、その……何。色々あるかもしれんが、なるべく、うちは協力するし、【ファミリア】の連中にも協力させる」
「」
「だから、その……落ち込まんといて?」
「」
「じ、じゃあ……ちょっとトイレな」
「」
ロキは部屋を出た。ブラムはそのまま動かなくなった。