Fate/Problem Children   作:エステバリス

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楽しみにしていよ読者達……全てを見届け、生き存えよ……遅筆かつ飽き性の作者が三日で投稿するこの生き様をしかと見るがよい……そして後世に伝えるのだ。このエステバリスの疾走を!

aaaaaa━━━lalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalala━━━━━i!!!ゴスッ(無様にも中間テストが近づいて腸を貫通される音)




らすとくえすちょん ホワイトサレナとブラックリリィ

 

 

ギフトゲームが終わった頃、箱庭に不釣り合いなドローンが一機、何処からともなく現れる。

 

ドローンを手にした男は若さを感じさせない渋い声で、隣の華々しい服に身を包んだ男に話し掛ける。

 

「心無い無知で無垢な殺人鬼とそれを支える英傑の才を持つ少年少女達、か。この事態、貴方はどう見る?」

 

「どうもこうも、なぁ。今は才能に振り回されるだけの若人と殺人鬼が和気藹々とやっているようにしか見えひんよ」

 

軍師殿はどうなんです?と逆に問い返す。男は黒縁の眼鏡を押し上げ、律儀に返答する。

 

「貴方と同じだ。才ある若者がサーヴァントと馴れ合いをしているという現状か。嘆かわしい、サーヴァントとは遣われる者であり、家族ではないだろうに」

 

男はそう言うが、その顔はどこか気持ち良さげだ。もう片方の青年がそれを指摘すると彼は途端にむすっとした顔になる。

 

「兎も角、あの少年が箱庭に来ることは三年前から承知の事。ならば我々は少年を人として育てた彼女と、人として箱庭に来ることを選んだ彼の選択に応え━━━彼らを兵器として鍛え上げる義務がある」

 

「そうやな。あの子ら、全然力の使い方なっとらんし」

 

「当たり前のことではあるが、彼らはまだ伸び白がある。力の使い方さえ覚えてしまえばあとはそれに適した身体作りをすれば大抵のことはどうとでもなる。彼らにはこの聖杯戦争の真意を暴くための有用な駒となって貰わねばな」

 

あくまで淡白な言葉。だがそれは裏を返せば男は彼らに期待を寄せているということに他ならない。

 

青年は素直やあらへんねぇ、と笑う。ドローン弄りを始めた男の後ろ姿を見た彼は月夜の空を見上げ、ぽつんと呟く。

 

「あの少年を最後に見たのは確か、中学校の卒業式の時くらいだったか……クク、いやいやなかなかどうして、時の流れというものは残酷やなぁ、エルメロイくん」

 

「ロード・エルメロイ、あるいは二世を付けてくれと頼んだはずだが、蛟劉殿。何度も言っているだろう、私にエルメロイの名は荷が重すぎる。本来ならこの名は私のような田舎者が受け継いでよいものではない」

 

「呵呵呵!そうやったな、すまんすまん。ウェイバーくん」

 

「……アンタ、俺をからかってるだろ」

 

月明かりの夜、共に中華服を纏った二人の男達は少年の旅の始まりに密かに杯の交わる音を鳴らした。

 

◆◇◆

 

"ペルセウス"との戦いが終わってから数日後、"ノーネーム"の庭園。魔王との戦いの影響を奇跡的に受けず、かつての雰囲気を限定的に遺した場所だ。

 

"ペルセウス"とのギフトゲームに勝利し、同志レティシアを取り戻した記念と、彼ら四人のコミュニティ参加を祝して少しだけ豪華なパーティーを行うことになっていた。

 

途中、十六夜達が「レティシアを取り戻したのは俺達だから所有権はこっちにある」などとエキセントリックな事を言ってレティシア本人もそれを了承する、という一幕があったものの……さして気にすることでもない。

 

「まったく、財政難ってことはわかってるし、私達もそこまで贅沢じゃないのだからそんなに気を遣わなくてもいいのに」

 

「うん……でもなんで外なのかな」

 

「雰囲気を少しでも豪華に、てことなのかねぇ。まぁどっちにせよ室内じゃ百人超のガキ共がいるわけだから少し手狭になるかもな」

 

まぁ、ここにもデカいガキはいるけど。と付け加えつつ、膝の上に乗っているジャックを撫でながら適当に答える。

 

相変わらず不思議と子供の扱いに手慣れているようで、閉鎖的な環境にいた飛鳥と人と触れあうことがほとんどなかった耀が同じようなことをしても十六夜のものと比べて明らかに淡白な反応を示すのみだ。

 

だから二人は実は自主的に膝の上に乗ってくるくらいにジャックに懐かれている十六夜に若干嫉妬しているのは秘密だ。

 

「十六夜くん、随分と手慣れているのね」

 

「ん?そりゃ箱庭に来る前は孤児院のガキの中で最年長だったからな。大人よりも頼られる場面がないこともなかったから慣れるな、自然と」

 

「そう」

 

そー、と耀は若干後ろ髪を引かれるような思いで骨付き肉を差し出す。するとジャックはすぐさま目をキラキラキラキラ輝かせて膝の上でかぶりつこうとする。

 

が、直前でひょい、と上に挙げてそれは叶わなかった。物を食べた感覚のしなかったジャックは不思議そうに口を開けた後、先ほどの肉を発見して今度はそれに向かって腕を伸ばす。

 

しかし届かない。届きそうで明確に届かないとわかる距離を離されて、暫く手を伸ばしていたジャックは流石に立腹したようで、むー、とした表情を作る。

 

「うー!うー!」

 

とうとう十六夜の膝から飛び降りてお肉を追いかけ出す。上手いこと誘導されて膝の上に乗せられる。そしてお肉を差し出され、そのまま食べ始めた。

 

ドヤァ……

 

そんな擬音が聞こえる気がした。意図はわかるが、何故それに至ったかがわからないので十六夜は若干ポカン顔。

 

ジャックの身長自体は耀とそこまで大差ないものであり、膝に乗ったジャックと耀の顔の位置はほぼ被っている。まるで甘えん坊とかまいたがりの似ていない双子のようでもある。

 

「皆様ー!それではこれから今回の歓迎会、最大のイベントが開催されます!どうぞ空に御注目くださいな!」

 

黒ウサギの声が聞こえてくる。言われた通りに空を見上げる。

 

それは満天の星空だった。漫然と点滅しながら光るペルセウス座を中心に、付近にはアンドロメダ座なども並んでいる。

 

控えめに言っても綺麗だった。点滅していると言っても、その光は燦然と輝いており、まばらに姿を変える星々の光は美しいという概念以外の物を瞬間毎に常に変えていく。

 

「……あっ」

 

誰かが呟いた。その言葉と共に、空に輝く星々のほんの一部が降り注いで来たのだ。有り体に言うと、流星群だ。

 

「綺麗……」

 

再び誰かが呟く。パーティの日をこの星降る夜に決めるなど、黒ウサギも随分と粋なことをしてくれる、と思わざるを得ない。

 

その様子を感じ取った黒ウサギはこれから言うことに皆肌を震わせるだろうなぁ、と内心悪戯っぽい笑みを浮かばせながらも、隠しきれないそれを笑顔というカタチでなんとかして誤魔化す。

 

「今回この流星群を起こしたのは他でもありません、我々のコミュニティに復興の兆しを与えた四人の新たなる同志━━━皆様がその切っ掛けを作り出したのです!」

 

「「「え?」」」

 

三人揃ってすっとんきょうな声を出してしまう。いや、自分達はそんなことをした覚えなどないのだが、と揃って首を傾げる。

 

「箱庭は天動説が如く、箱庭そのものを中心として星々が動いております。今回のギフトゲームに敗北したことによって"ペルセウス"は"サウザンドアイズ"から追放、あの宇宙(そら)よりも旗印を下ろすことが決定致しました」

 

は?と空に再び目を向ける。流星群の出所はペルセウス座の付近からだ。星が地に墜ちて行くと共にどんどんと星が消えていく。墜ちていく星がペルセウス座のものであるということの裏付けか。

 

「まさか……箱庭は星座の存在そのものも自由に操れるとでも言うの……!?」

 

「マジかよ……アルゴルが偏色恒星じゃないっていうのはわかっていたが、まさか星座も箱庭の催しの一環だったなんてな……」

 

「今宵の流星群は"サウザンドアイズ"から"ノーネーム"への祝杯も兼ねております。コミュニティの再出発を記念して、ということと聞いております」

 

消えていく星の群れ。その姿はただ"向こう"の世界で流星群を見ているだけとは違い、何処か幻想的な雰囲気すらある。

 

「圧倒的じゃねぇか……ここは……」

 

「きれいだね」

 

十六夜の呟きにジャックは返す。彼女は彼の手を繋いで共に空を見る。

 

「ジャックは見たことないか?流星群」

 

「うん……おほしさまも、見たことなかった」

 

「そうか……そんじゃしっかり見とけよ」

 

「うんっ」

 

ほれ、とジャックを抱き上げて気持ち夜空に彼女を近づける。ジャックは抱き上げられたということが嬉しかったのか、はたまた視界が高くなったことに喜んだのか。これまでで恐らく一番に楽しそうな表情を作る。

 

「なんだ、置いていったわけじゃないじゃねぇか……」

 

「おにぃさん、なにかいった?」

 

「いや、なんでも。どうやら俺は"契約書類"と少しだけ契約違反しちまったんだなって」

 

意味がわからなかったようで、首を傾げる。十六夜はそれを見て更に機嫌をよくしていると、黒ウサギが彼らの下に寄ってくる。

 

「ふっふっ、ふー……驚きましたか?」

 

「ああ、素直に驚いた。世界の果て、水を生む樹、グリフォンに切り裂きジャックとゴルゴーンとあり得ない物をバカみたいに見てきたと思っていたが……まさかここまでやってくるとはな」

 

「わたしたち、へんかな?」

 

「いやいや全然。俺のいた時代だとお前は有名だったからな。一例さ……それに、個人的に会ってみたかったしな。どんな狂人か」

 

「う?わたしたち、やっぱりへん?」

 

「いやだから……あーめんどくせぇ。まぁともかく、目的も一つできたから好都合だ」

 

「……お聞かせ願っても?」

 

十六夜はジャックを片手に抱いたまま、流星群の止んだ夜空に指を指す。燦然と輝く宇宙、そこのド真ん中に指をなぞり、少女の姿を象った絵を虚空に描く。

 

「この宇宙に……俺達の旗を掲げる。俺達が箱庭で生きた証を作るんだ……俺達は、()()()()()ってな」

 

「それは……とてもロマンがございます」

 

「うんうん、わたしたちもそれやりたい!」

 

夜空を背に、少年少女は笑う。闇と光が混同する夜の下で彼らは杯を交わす。

 

これは、家族も、友人も、恋人も財産も、何もかもを持たないままに箱庭に来た少女と対価を払った少年達の物語。

 

彼らの運命の始まりを告げる夜会は、まだまだ終わらない。

 

◆◇◆

 

アリスの絵本に新しい一頁が刻まれたよ。

 

絵本に描かれた絵は、あたし(アリス)あの子(ジャック)

 

私達、もうすぐ逢えるね。何年待ったかな。量子の世界をさ迷って、月であたし(アリス)と出会って、あたし(アリス)と同じお兄ちゃんに出会って。

 

これまで起こったことは全部プロローグだったのかな。だとしたら、酷いなぁ。使い捨ての、あんなに魅力的なキャラがいたのにね。

 

じゃあ、また逢おうね。あたし(ジャック)

 

 






アリスとジャックの関係性は、実際あるのだ!俺は賢いから知っている!

さぁアリスとジャックが仲良くしている姿を楽しみにしている同胞達よ、今こそ最果ての海を目指す時!

aaaaaa━━━lalalala(以下前書きに同じ


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