ぶっちゃけ久々に悪ふざけ全開で書いてて楽しかったです
サラの鋭い眼光に貫かれ、問われた言葉に動揺する。
俺が、地上から来た人間じゃない……?
「ま、待ってくれサラ。それはいったいどういう意味だ?」
「言葉通りの意味だ。お前はこのムーンセルで生まれた、またはそれに近い何かの可能性が高い。
今からその説明はしてあげるわ」
一度息を吐き、間を空ける。それで少しだけ落ち着いた場で、改めて説明を始めた。
「決戦場でルールブレイクを使った理由は、あのまっくろくろすけをムーンセルに見つけてもらうため。だけどルールブレイクがバレるわけだからペナルティは覚悟しなければならない。
私はこう言ったわよね?」
その問いには首を縦に振って肯定する。
さすがについ先ほど言われたことを忘れるようなことはない。
「……あれ、そういえばまだペナルティを受けてない気が。
ライダーのバイタルに変化があったわけでも、使えるコードキャストに制限がついたわけでもないはずなのに」
「なるほど、ただの鈍感バカだったか」
「ちょっと」
またもあからさまなため息をつくサラ。
「ちゃんとペナルティは発生している。ペナルティというより洗礼か。
全体から見ればまだまだ表層とはいえ、普通は接続できない場所に繋いで魔力を吸い出したからな、若干ながらファイアーウォールの攻性プログラムから攻撃されていた。
魔力を吸い出す程度でこれなんだ。ムーンセルの力の一端を引き出そうとしているのに攻性プログラムに攻撃されないわけがない」
「ちょっと待って。ムーンセルの力の一端?
そんなもの使った覚えは……」
ない、と言いたかったが思い当たるものが一つだけあった。いつから使えるのかわからない、正体不明のコードキャストと認識していたもの。
自然と視線は自分の右手に向けられる。
「お前もその考えに辿り着いたか。三回戦の決戦後、お前はその右手でコードキャストらしきものを起動し、ライダーを蝕んでいた呪いを解呪した。
まるで、
「最初からなかった……?」
「まるでついさっきのお前の傷みたいだろう?
私も三回戦の時点では疑問には思ってもそこまで深くは考えていなかった。お前がコードキャストの基礎を学んでる最中の駆け出しのウィザードでも、右腕が他人の物なら元々の持ち主が組み込んでいたという可能性もあったからな。キャスターの呪いを容易く解呪できるコードキャストはそう簡単に作れるものじゃないが、まあ不可能というわけではない。
だが傷の件は別だ。痛みで気付かなかっただろうが、お前の左目は完全に抉れていた。それが機能は失ったとはいえ完治している。魔力は私のルールブレイクで十分余裕があったとしても、瀕死の重傷を跡形もなく、そして一瞬で治癒できるのは異常だ。
治癒力と必要時間から考えても生半可なコードキャストじゃ再現できないし、何よりさっきの解呪のコードキャストと含めて右腕一本に収まる容量は軽く超えているわ」
だが、とそこでいったん話を区切った。
「ここで考え方を変えてみる。
治癒と状態異常解除、ではなく『復元』とね」
「復元?」
たしかに治癒も解呪もそれぞれ怪我をした身体、呪いを受けた身体をそれを受ける前に戻すものと捉えることもできる。
だが、それではまるで……
「機械的な処理みたいだ」
なるほど、だからコードキャストではなく、ムーンセルの力と考えた方がいいということか。たしかにつじつまは合ってるが、コードキャストで同じことはできないのか気になる。まだ勉強中の身でコードキャストにそれほど詳しくないため、サラに『無理だ』と言われるとそうなのかと受け止めるしかないのだが……
「コードキャストでも再現出来ないことはないだろうが、単純にコードキャストを内包させる礼装のランクが地上ではそう簡単に作成できるものじゃない。ハーウェイ家のように充実した設備があるのならできるかもしれないが、それでも作るメリットはないしな。
傷と状態異常を同時に回復するのはたしかに強力だが、ロスが多すぎる。
お前みたいに装備できる礼装が少ない場合は重宝するだろうがハーウェイの人間なら別々に回復させるコードキャストをそれぞれ持った方が効率的だろう。
それに、攻性プログラムの攻撃を完全にシャットアウトできる防御術式は絶対にない。そんなものがあったら、ムーンセルを掌握できないまでもルールブレイクをし放題になるからな。ルールバランスが完全に崩壊する。
それだけお前の状況は異常だってことを理解しなさい」
「いや、俺だって遠坂とラニの決戦場に行く前の段階でファイアウォールは受けているよ。静電気が走ったぐらいの痛みだったけど……
遠坂によれば、無事だったのは俺が地上の肉体とリンクが切れているからって」
俺も詳しいことはわからないが、ファイアウォールの洗礼を受けても大丈夫である理由は遠坂から教わっているのだ。であれば、サラの仮定が必ずしも正しいとは限らない。
だというのに、彼女は深くため息をついた。
「その静電気は右手で触れて右手に走ったのか?」
「え、確かそうだったと思うけど……」
なぜそんなことを聞くのかよくわからないが頷くと、サラは小さくやっぱりな、と呟いた。
「遠坂凛も遠坂凛だが、私ももっと早く確認しておけばよかったな。
いくら肉体とリンクが切れているとはいえ、ファイアウォールのダメージが静電気程度の弱さのはずないだろう。いくら地上とのパスが途絶えているとはいえ、アバターにも無視できないダメージは発生しているんだ。
すぐに治まるとはいえ、脳内がかき回されるような痛みよ」
「……………………」
予想もしていなかったことに言葉を失う。遠坂との会話に食い違いがあるなど思ってもみなかった。これが本当であらばここまでの前提が大きく覆ってしまう。
「頭痛のようなものがなかったのなら、それはファイアウォールとは別の要因だろう。そしてムーンセルの力の一端らしいものを使うのも右手。
そのコードキャスト、左手で使えないんでしょう?」
言われてみれば、無意識に普段のコードキャストは左で正体不明の方は右、と切り替えていた。試しに左手で起動してみようと試みる。
「……サラの言う通りだ」
試す以前にどうやって起動するのかすらまったくわからない。思い返してみれば、右手で行う場合は曖昧なイメージだけで勝手に起動してくれていたが、多少なりともコードキャストを学んだ今ならわかる。そんな曖昧なもので起動できるコードキャストはどこかおかしい。
「天軒由良のコードキャストは右手では起動できない。逆にムーンセルの力らしき方は右手でしか使えない。
もしお前の右腕が他人の腕なんて生易しいものじゃなく、ムーンセルに接続された礼装の類なのだとしたら、その力を引き出せるうえに魔術回路がお前の肉体と独立している説明もつく。ファイアウォールに触れた時に静電気のような痛みを感じたのは、ムーンセルの礼装がファイアウォールに触れるなんてイレギュラーが起こったからショートでも起こしたかのかもしれない。
そして、そんなもの身につけてるやつが地上からきた人間だとは考えにくい。
記憶がないのも地上の肉体とのパスがないのではなく、最初から繋がってる肉体なんてなかったから。
お前がムーンセルに関係する何か、と仮定するだけですべての謎に説明がつくのよ」
「ムーンセルに関係する何か、か……」
思わず自分の右腕を見つめる。今まで詳細がわからず使うのを躊躇っていたコードキャスト。全容までは掴めなかったがもしもこれがムーンセルによる力なのであれば、ライダーに不利益を被るようなことはないだろう。
「その仮説どれぐらい可能性があるのかな?」
「今までと同じ、どこまでいっても結論前提の仮定だ。
それでも以前の曖昧なものよりは信憑性が高いと思うわよ」
「そっか」
今までよくわからず右手側のコードキャスト使ってたけど、ムーンセルの力っていうのならそこまでライダーに危険が及ぶものではなさそうでひとまず安心した。
その姿に違和感があったのか、サラが怪訝そうにこちらを見る。
「……もう少し取り乱すと思ったんだが、思ったより落ち着いてるな」
「あ、うん、まあね。俺、別に人間であることに拘ってないし」
「……は?」
今までに見たことのないような表情で固まるサラ。隣に立つライダーも驚いた様子でこちらを見つめている。
そこまで変なこと言っただろうか……いや言ったな、うん。ただこれはやせ我慢でもなんでもなく紛れもない本心だ。
「俺も自分が人間じゃないってことに驚いてはいるけど、今までの状況から自分を人間って思う方が難しいし……
だから、自分が何者なのかさえわかればその内容までは気にしてないよ? むしろ人間じゃないって言われた方がしっくりきてる」
だから問題ない。問題ないのだ。状況だけを見れば二人が心配するのは当然だろうから、これ以上心配をかけさせないためにもそう念押しをしておく。
「私も主どのが人間であるかどうかは気にしていませんので、そう仰るのであれば私からは何も言うことはありませんが……」
さすがにいきなりこんなことを言ってしまったから二人は困惑しているが、それでも一応は納得してくれた。
「そうか、お前はそういう性格だったな……まあ、お前がそう言うなら私からは何も言わない。
だけど、あまり自分を追い詰めないことね」
「……うん、ありがとう」
解決はしていないが前進したのは確かだ。なにより右腕のコードキャストの正体のとっかかりが掴めただけでも十分といえるだろう。
それ以上は言うことはない、と言わんばかりにモニターとのにらめっこを再開したサラ。
「ところで、俺のせいでそこまで切迫してるって言ってたけど、いったい何をしてるんだ?」
「簡単に言えば義眼だな。腕や足みたいな部分なら形の復元だけで済むから比較的簡単なんだが、目となると面倒でな……
いかんせん右目が無事なせいで視覚の情報を右目と同じ状態で得られるように調整する必要があるんだ。左右で視覚情報に違いがあると処理にコンマ数秒のラグが起きるからな。日常生活ならばまだしも戦闘では命取りになる。
……いっそのこと右目も潰してもいいかしら?」
「ちょっと!?」
いきなり何を言い出すんだろうかこの狂人は。思わず椅子から飛びのいて身構える。そんな挙動を見た彼女はにくつくつと笑う。
「そう警戒しなくても心配するな。
さすがの私もそこまで鬼畜じゃないわよ」
「目がぜんぜん笑ってなかった気がするんだけど……
参考までに、サラがそこまで言うっていうことは両目とも義眼だと調整は簡単なの?」
「要は義眼と目、両方のデータを取り込もうとしているからラグが発生する。ならどちらかに揃えればそんなラグは発生しない。
そして左目は完治しないのだから必然的に右目も義眼にするというわけだ。
お前の視覚情報の処理方式を目用から義眼用に変更する必要はあるが、そっちなら数分で済む。
……とはいえ、そんなことしようものならお前の従者にどんな目に会わされるかわからないわね」
一通り説明し終えると、サラは肩をすくめてライダーの方を見る。
「無論、サラどのにはいろいろと感謝しています。ですが、いくらサラどのと言えど主どのに危害を加えるのであれば容赦はしません。それだけはお忘れなきよう」
「感謝しているが、か……」
何なら小さく呟いたようだがよく聞き取れなかった。少し困ったように何とも言えない笑みを浮かべていたが、その理由を尋ねる前にいつもの凛とした表情に戻ってしまう。
「義眼は左目を残した状態で外付けの形にする予定だが、視界は以前の状態を再現するぞ。左側だけ視野を広げることもできるがお前の処理能力が追いつけるか怪しい。そのあとで拡張することもできるしな。
……まあ、どうやっても徹夜コースでしょうけど」
「……なんかごめん」
「同情するなら
こればかりはしょうがないわね」
ため息をついているがその作業が衰える様子はない。作業の苦痛を誤魔化すための軽口だろう。
「このペースならお前が目を覚ますころには完成しているはずだ。
今日はもう寝なさい」
「いろいろ手を貸してもらってなんだけど、無理はしないでよ?」
「はっ、お前にだけは言われたくないな」
……鼻で笑われた。いやまあ、たしかにそのとおりなので言い返せないのだが。
何はともあれ、これ以上は半人前のウィザードに手伝えることはなさそうだ。最後にもう一度サラに感謝をしつつ、ライダーと共に床に入った。
四回戦もそれまでの戦いと並ぶ激戦であったため、睡魔はすぐに意識を刈り取った。
完全に眠りに落ちるその手前、現と夢の狭間で意識が深い海に沈んでいく感覚に身をゆだねていると、おもむろに感覚がはっきりとしてくる。
しかし不思議なことに自分が今眠っているという自覚はある。夢、とも少し違う気がする。
「……………………」
不思議な感覚に戸惑っていると、目の前に闇を纏った人影がどこからともなく現れた。あいまいなのに自然消滅はしない確固たる土台を感じさせる存在。架空元素・無形という属性を宿した、おそらくこの聖杯戦争の犠牲者。
――あなたは、一体何者なんだ?
意識ははっきりしているが身体は動かないらしい。口が動くことはなく、言葉はただ心の声として俺の中でのみ発せられる。
「…………」
だが、どうやらこの現と夢の狭間では言葉にならなくても大丈夫らしい。こちらの『声』に対して微かに反応した。
「……し……ぁ……ぃ…………」
決戦場のときよりも少し理性的な、間延びした声色。とはいえ、まるで空気が漏れているような音だ。普通に会話ができる距離だというのに、それを声と認識するのは厳しい。
何かを伝えようとしているのはわかるのに、それがわからないというもどかしさを感じていると、ゆっくりとした動きで人影の腕が動いた。
その手が指さす先にあるのは……俺の左手?
かと思えばさらにゆっくりとした動きでその腕は人影自身を指さした。心なしか怒りを募らせているこの人影が何を伝えようとしているのか見当もつかない。
次の瞬間、まるで電源が落ちるように一瞬にして目の前が暗転した。
それに従い次第に感覚が鈍くなり、意識が遠のいていく。どうやら狭間の時間は終わったらしい。あとはこのままいつも通り眠りにつくだけだ。人影が何を伝えようとしていたのかわからずじまいだが、肉体的にはもちろん精神的にもすでに満身創痍。それ以上は抵抗することなく、素直に睡魔に身をゆだねた。
朝日が昇っている。
こちらの起床に合わせて窓の風景が変わるせいで一度も夜明けに立ち会ったことはないが、それでもぼんやりとした意識の中で今が朝なのだと認識した。
昨日の戦闘が響いたのか身体が重い。サラ曰く右腕の力によって身体の傷はきれいさっぱり元通りに復元されているらしいが、それでは治らない部分もあったのだろうか?
身体を動かすのを諦め、重い瞼を開ける事だけに専念する。そうすれば視界にはいつもの見慣れた天井が……
「……少し起きるのが早いぞ。」
銀髪の麗人がこちらを見下ろしていた。しかも、その右手の指先には見慣れない小さな部品が摘ままれており、左手はこちらの顔をしっかりとホールドしている。
いや顔だけじゃない。仰向けになっている俺の胸辺りに跨り上体の動きを完全に封じ込めているうえ、彼女はその両足で肩すらもがっちりと固めている。身体が重いのはこれせいか、と変なところで納得している自分が少し怖い。
いったい何が起こっているのか状況はわかっても理解ができない。なぜ俺はサラにマウントポジションをとられているのだろうか?
「まあいいか」
「待って、絶対よくない!」
何かあきらめた様子でその右手に持つ部品を俺の顔に近づけてきた。抵抗しようにも完璧すぎるホールド相手には身動き一つとることもできない。
「せめて説明を! 待って待ってその部品どうするの怖いんだけどえなんで瞼固定するのまさかそんな嘘だよね待ってストップ話せばわか――!!」
ずっ、と何かが左目に深く埋め込まれる感触に、おそらく人生で最大級の絶叫がマイル―ム内に響き渡った。
「……男の悲鳴ほど聞くに堪えないものはないな」
「どの口が言うかこのやろう……」
左目を押さえてうずくまりながら、せめて右目だけは諸悪の根源を睨みつける。口調が荒くなるのは仕方ない。これに関してこちらに非は絶対にないのだから。
まさかライダーに膝枕で慰められる日が来るとは思わなかった。なんだか恥ずかしさその他もろもろの感情でずっと顔を覆っていたくなる。
「こうなるのがわかっていたからお前が寝ている間に済ませようとしたんだ。
ちゃんとライダーには許可もらっていたわよ」
「俺に許可取るのが先じゃない!?」
あとライダーはそこで顔をそらさないでほしかった。これでサラの言うことが真実なのだと証明されてしまったのだから。
「事情説明してお前の心の準備が整うまで待って、そこから無意識に動かないように固定して……ってやってたら時間がかかりすぎるだろう。
今日に限って早く起きるお前の方が悪いのよ」
「責任転嫁も甚だしいよねそれ!
最終的に説明放棄して強行したからこうなったと思うんだけど!?」
朝起きたら得体のしれないものを顔に埋め込まれそうになってる、なんて状況に直面したら誰だって冷静でいられるわけがないと思う。
「まあでも、ちゃんと左目は見えてるだろう?」
「……まあそうだけど」
薄々気づいてはいたが、サラが手に乗せていた小さな部品は失った左目の代わりになる義眼だったらしい。付けたばかりだからか左目に違和感こそあるが、視界自体は元に戻っている。
「けど、左目閉じてるはずなのにずっと見えてる気が……」
「義眼っていうのは言葉の綾で、実際に埋め込んだのは視覚情報をお前の右目と同じにチューニングするデバイスだからな。
映像自体はお前の左目辺りに仮想的に設置している視点から得ているから、瞼を閉じても映像は収集し続けるわよ」
「仮想的に設置?」
「私がいつもお前をモニタリングしているときに使ってる方法だ。使い魔の視界と自分の視界をリンクさせて情報収集をするのはメイガスのときから一般的だが、この電子の世界ではさらに融通が利く。
モニタリングする対象の座標が常時把握できる状況なら、その座標にカメラを設置したように映像を収集することができるんだ。もちろん実際にそこにカメラがあるわけじゃないから、ジャミングさえされなければ映像が途絶えることもない。
さらにある程度慣れてるウィザードなら座標を起点にカメラの設置位置を調整することもできる。
私は基本的にお前の約2メートル後ろの俯瞰的になる位置からモニタリングしているわ」
なるほど、昨日は聞き流したが視界うんぬんの調整をすると言っていたのはこのためか。つまり今俺が見ている左側の映像は、FPSゲームのようなカメラアングルの映像を処理しているだけで、実際に左目の視力が回復したというわけではないらしい。
「その感じだと左目としての機能の方は問題ないようだな。あ、睡眠時の心配はしなくてもいいぞ。
カメラの電源の落とし方はあとで教えてあげるわ」
「……まって、なんか言葉のニュアンスが他にも機能があるように聞こえてくるんだけど、何か変なことしてないよね?」
「もちろんしてるに決まってるだろう?」
「ちょっと!?」
なぜそこでさも当然のように言うのだろうか。しかもキョトンとした様子で小首をかしげそうな様子だ。
「逆にせっかく義眼なんてものつけるんだ。
視覚確保以外の機能を付けないと割に合わないでしょう?」
「それを判断するのはサラじゃくて俺だと思うんだけど!?」
「わかったわかった。心配しなくても今のところ付けてるのは、スタングレネードみたいな過度の光量に対して脳がダメージを受けないよう自動でフィルターを展開する機能だけだ。常時目を開いているような状態だからそれぐらいの機能は必要だろう?
それ以外に変なものは付けていない。あくまで追加効果を付与する程度の容量は確保してあるってだけだ。
まあ、何か要望があったら聞くわよ?」
「次弄るときは俺の許可を取ってからにしてほしいです」
善処する、というこれっぽっちも安心できない返答を返すとサラはさっさと自分の工房という名の機材の中心に戻っていった。
ということで趣味全開の天軒の魔改造回でした。心なしか天軒とサラが生き生きとしている気がします()
本来42話として更新する予定だった話は現在加筆修正中なので来週か再来週には投稿できるかと思います