某鎮守府、夜――
◇埠頭◇
提督「……」
宗谷「……」
〜夫婦は肩寄せ合って、星空鑑賞〜
宗谷「……綺麗、ですね。提督」
提督「ああ、本当に」
〜提督は宗谷の横顔しか見てない〜
宗谷「……あの〜、星空のこと、ですよね?」
提督「宗谷のことだが?」
宗谷「あ、あのあの! そういうのは良くないかと!」
提督「そういうのって?」
宗谷「だ、だから。そのぅ……わ、私が綺麗だとか!」
提督「事実だからね仕方ないね」
宗谷「あうあうあう……////」
〜宗谷は両手で顔を覆って下を向く〜
提督「綺麗な上に可愛いとか。俺って勝ち組だな」
宗谷「やめてください……////」
提督「宗谷はもっと自信を持っていい。謙遜も過ぎれば傲慢だぞ?」
宗谷「そ、そんなこと言われても……慣れないんですよぅ////」
提督「だから毎日のように褒めてるだろ?」
宗谷「そ、それは幸せなのですが……でもやはり、私にはちょっと……いえ、かなりハードルが高く……」
提督「なんだ。もっと愛でて欲しいのか。すまなかったな。俺の愛情不足で」
宗谷「違いますそうじゃありませんやめてください」
提督「う〜ん……無理」キッパリ
宗谷「なぜ!?」
提督「宗谷はさ、ペットがいたらどうする?」
宗谷「へ? それは勿論、可愛がりますが……」
提督「だよな? だったら俺が宗谷を褒めるのも当然だ」
宗谷「私は提督にとってペットですか!?」
提督「変な勘違いするな。妻として、一人の女性として、可愛がっているんだ」
宗谷「ま、またそうやって……////」
提督「愛してるんだから仕方ない」
宗谷「あうあうあう……////」
提督「満天の星空よりも、朝焼けに輝く海よりも、夕焼け色に染まった水平線よりも……俺の妻がこの世で一番美しい」
宗谷「…………////」
提督「そもそも星空鑑賞なんて意味ないんだよ。俺にとっては世界一美しい星がいつも隣にいてくれるんだから」
宗谷「……提督は私をいつもそうやって甘やかして、蕩けさせるのですね////」
提督「俺だって自分がこんなに歯が浮くようなセリフをスラスラ言うだなんて思わなかったよ。でも宗谷と出会って恋をして、愛を知ったら、君への愛の言葉が湯水の如く溢れてくるんだ」
宗谷「……////」
提督「宗谷」
宗谷「はい?////」
提督「知らないと思うが、俺は君のことが好きだ」
宗谷「いえ、十分に存じてますが?////」
提督「大好きなんだ」
宗谷「で、ですから、もう――」
提督「愛しているんだ!」
宗谷「わ、分かりました! 分かりましたから!」
提督「駄目だ。何度言ってもこの俺の溢れる宗谷への愛を、数パーセントも伝えられていない」
宗谷「私の話を聞いてください!//// というか、星を見てください!////」
提督「なぜだ? 星ならもう俺の目の前に――」
宗谷「お空の星です!////」
提督「宗谷の美しさに比べたら、どんな星々も霞んで見える」
宗谷「〜〜〜〜っ!////」
〜宗谷はとうとう耐え切れずに、地べたへ寝そべって両足をばたつかせる〜
提督「そうしていても可愛いだけなんだが?」
宗谷「知りません!////」
提督「なら理解するまで宗谷の可愛さ講習を――」
宗谷「しないでくださいっ!////」
提督「…………」
宗谷「?」
〜提督が急に黙り込んだことが不安で、宗谷は指の隙間から提督の様子をチラ見〜
提督「はぁ」
ゴロン
〜提督は宗谷のように寝そべって、添い寝する形に〜
宗谷「て、提督?」
提督「もっと俺の愛しい女の顔を見せてくれ。せっかくすぐ近くにいるのに、顔が見えていないと切なくなる」
宗谷「〜〜〜〜〜っ////」
ゴロン
〜宗谷は恥ずかしくて提督に背中を向ける〜
提督「逃がすものか」
ぎゅっ
〜提督は宗谷の背後から抱き止める〜
宗谷「…………離してください」
提督「いくら愛する宗谷の頼みでも、その望みは聞き入れられない」
宗谷「意地悪です……」
提督「宗谷を手放すくらいなら、俺は悪魔とだって契約する」
宗谷「……本当に、大変な方に捕まっちゃいました……」
提督「なんとでも言え」
宗谷「……心からお慕いしています♡」
提督「知ってるよ」
宗谷「意地悪ですね♡」
夫婦はそのままイチャイチャした。
そして、
夜戦S「ねぇ、あそこに打ち上げられてるアザラシの番を海に蹴落としていい?」
連行者Z「あんなのいつものことですよ。それより無断出撃未遂の反省文の方が重要です」
夜戦S「こいつぁ酷えや」
そこをしっかりと他者に見られていたという――。
宗谷 完
宗谷終わりです!
お粗末様でした!