奥様は艦娘! 艦これSS   作:室賀小史郎

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戦艦ジャン・バールがお嫁さん。

ジャン・バールでは長いため、本編では『ジャン』と表記します。


ジャン・バールとケッコンしました。

  

 某鎮守府、昼下がり―――

 

 ◇明石酒保◇

 

ジャン「…………」

 

 〜ジャン・バールは日もある内から酒を飲み、カウンター席で項垂れていた〜

 

リシュ「いつまでそうして俯いている気? 仕事がないからってお酒だなんて……貴女、アミラルの留守を預かってる総責任者である自覚はないの?」

 

明石「リシュリューさん、そう言わないであげてください……」

 

リシュ「明石も! 邪魔なら邪魔って言いなさいよ! こんな辛気臭いのがいるせいで客が来ないって! 姉である私がこの愚妹を罵ることを許すわ!」

 

明石「いやぁ、そのようなことは決して……。そもそもここでカクテルを提供するって決めたのは私ですし、バーカウンターはお店の奥で、普通の酒保は妖精さんたちがやってくれてますから」

 

リシュ「そう……なら姉として私から謝るわ」

 

明石「いえいえ、お気になさらず。ジャン・バールさんが愛夫家なのはみんな知ってますし、離れているのは寂しいでしょうから」ニッコリ

 

リシュ「ありがとう」

 

リシュ「ほら、貴女も」

ジャン「Merci beaucoup……明石」

 

明石「いえいえ」ニッコリ

 

リシュ「はぁ」ヤレヤレ

 

 〜ここの主である提督は語学力が堪能なため、日本の代表団の一員として国際会議に出向いている〜

 

リシュ「今日帰って来るんだから、そんな様子を見られたら幻滅されるわよ?」

ジャン「そんなことないわ。あの人がそんなことするはずない」

リシュ「そこまで自信を持ってるなら少しはしゃんとしなさいよ」

 

 〜頭では分かっていても、心が伴っていないジャン・バール〜

 

ジャン「リシュリュー、私はね、あの人が全てなの」

リシュ「普段からの貴女の惚気を聞いてれば分かるわ」

ジャン「だから離れている今、私は絶不調なのよ」ニッコリ

リシュ「今日初めて見せた笑顔が真っ黒でお姉ちゃんは悲しいわ」

ジャン「ふんだ」プイッ

リシュ「はぁ」

   (我が妹ながら面倒臭い。アミラル、早く帰って来てくれないかしら)

 

 カランコロン

 

提督「ただいま」

 

ジャン「Mon amour(私の愛)……?」

 

リシュ「ほっ」

   (やっと帰ってきた。ならさっさと逃げましょ)

 

 ガツッ

 

 〜リシュリュー、腕を何者かに掴まれる〜

 

リシュ「?」

明石「…………」

  (一人にしないでください!)

リシュ「…………」

   (今日は激辛料理で決まりね)アキラメ

 

 〜そして〜

 

ジャン「Mon amour♡」スリスリ

提督「寂しい思いをさせて悪かったね」ナデナデ

ジャン「もっと慰めて♡」

提督「私の愛しいジャン・バール。離れている間も、常に君のことを考えていたよ。そして離れている間も常に私の心は君の元にいた」チュッチュッ

ジャン「嬉しい♡ 私も常にあなたのことを考えて、あなたのことを待ち望んでいたの♡」ニパッ

 

リシュ「待ち望み過ぎてポンコツだったわ」ゲンナリ

 

 〜愚痴を零すリシュリューだが、夫婦の耳には届いていない〜

 

ジャン「Tu m'aimes(私のこと好き)?♡」

提督「Je t'aime à mourir(君を死ぬほど愛してる)

ジャン「Embrasse-moi(抱きしめて)♡」

提督「Je vous suis attaché(ずっと一緒だ)」ヒシッ

ジャン「Regarde-moi(私を見て)♡」

提督「Tu as de très beaux yeux(君の瞳はとても綺麗だ)

ジャン「Embrasse-moi(キスして)♡」

提督「Je ne peux pas vivre sans toi(君無しでは生きられない)

 

 〜熱いキスを交わす夫婦〜

 

ジャン「はぁ……幸せ♡」

提督「私も幸せだ。さぁ、カクテルで乾杯といこう。明石いつものを」

 

明石「アイアイサー」ハイライトオフ

 

 ―――

 

提督「では」ニッコリ

ジャン「ええ♡」

 

 カチン

 

 その後も夫婦は二人だけの世界でイチャイチャし、満足すると提督はジャン・バールをお姫様抱っこして、二人が過ごす長官官舎へと戻った―――。

 

リシュ「はぁ、やっと解放されたわ」

明石「ですね」ゲッソリ

リシュ「相変わらずあの二人はコープスリバイバーが好きね」

明石「カクテル言葉が『死んでもあなたと』ですからね」

リシュ「我が妹ながら愛が重いわ。義弟も同じく」

明石「ですね」

 

リシュ「Aimer, ce n'est pas se regarder l'un l'autre, c'est regarder ensemble dans la même direction」

明石「日本語でお願いします」

リシュ「『愛すること、それは、お互いを見つめあうことではなく、同じ方向を一緒に見つめることである』って言ったの」

明石「おぉ」

リシュ「星の王子さまの作者、サン=テグジュペリの言葉よ。あの二人にはお似合いよね」

明石「ですね」

リシュ「さて、明石。辛い物食べに行かない?」

明石「行きましょう!」

 

             ジャン・バール 完




ジャン・バール終わりです!

お粗末様でしたー!

本編中の『Embrasse-moi.』というセリフは2回出て来ますが、間違いではありません。
この言葉には2つの意味があるので、同じセリフですが別々の意味として書きました(^^)

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