某鎮守府、昼下り
◇執務室◇
梅「…………」
竹「…………」
桃「…………」
ダンッ
〜桃が机を叩く〜
桃「んも〜、つまんない〜! 暇過ぎ〜! 那珂先輩のライブ映像見ていい!?」
梅「今は勤務中よ。提督が竹姉さんたちと漁協の人たちのところに行っているこの留守の間は、梅たちが何かの時のためにいるんだもの」
桃「梅姉かったーい! ボーキサイトみたいに硬い! そんな頭カッチカチでよくお嫁さんになれたね!?」
松「こぉら。言い過ぎよ、桃」
桃「だぁって〜!」
〜桃、両手足をバタつかせて不満を訴える〜
梅「…………」メガネクイッ
〜対して梅はいつものクールフェイスを崩さない〜
松「提督は今、来月からの護衛任務についての話し合いに行ってて、今後は竹が梅から旗艦を引き継いで行うことになるってことまでは聞いてるでしょ?」
桃「聞いたよ! でもなんであたしたちは執務室で待機なの!? 待機は別にいいとして、暇過ぎでしょ!」
松「あのね、桃は昨日まで長期遠征行ってたから、わざわざ提督が休めるように配慮して待機になったんだよ? それに敵はいつ攻めてくるか分からないんだから」
桃「なら好きなことしててもいーじゃん!」
松「ライブ映像に夢中になって対応が遅れたらどうするのって話よ」
桃「ならないよ! そもそも海防艦と他の駆逐艦の子たちが鎮守府海域で哨戒行動してるし、空母の人たちも航空隊出してパトロールしてるのに! どうやったら攻め込まれるのさ!」
梅「戦争に絶対なんてないからよ」
桃「そうだけど〜!」
〜桃としては長期遠征中に届いた那珂ちゃんスーパーライブ(当鎮守府比)のライブブルーレイが見たくて堪らないのだ〜
松「はいはい、拗ねないの。提督が帰ってくればお土産も貰えるんだから」
桃「桃缶だったらぶん殴ってやる……」
梅「梅がそれを黙って見ているとでも?」
桃「なら梅姉は提督がお土産で梅干し買って来たら喜ぶの!?」
梅「勿論。すっごく嬉しいわ」ニッコリ
桃「もうやだこの提督LOVE姉……」
松「今に始まったことじゃないでしょ。ほら待機中はお菓子食べ放題なんだから、お菓子食べて落ち着きなよ」
桃「赤城さんみたいに戸棚空にしてやる!」ガツガツ
〜八つ当たりするように菓子を食べまくる桃だったが、えびせんべいを五枚食べたら満腹になって眠ってしまうのだった〜
そして―――
◇執務室◇
〜夕方頃に提督が鎮守府へ戻ってきた〜
桃「すぴ〜……すぴ〜……」Zzz
竹「よく寝てんな……」
〜二人が執務室へ入ってきても起きない桃を、竹が背負っている〜
梅「昨日の長期遠征のこともあるし、疲れてるのよ。それに寝るまでキーキーうるさかったもの」
松「完全に電池切れって感じだったよね」クスクス
提督「なんか悪いことをしたな」ニガワライ
梅「大丈夫よ。提督は何も間違ったことはしていない」
提督「ありがとう」
竹「ん〜じゃ、俺らは先に上がるぜ。またな」
提督「ああ、お疲れさん」
梅「お疲れ様でした」ペコリ
松「お疲れ様でしたー♪」ケイレイ
竹「お疲れー!」
桃「むにゃあ……」Zzz
〜松たちが執務室をあとに〜
梅「さて、では提督。帰還予定時刻よりだいぶ遅くなった理由をお聞かせ願いますか?」
提督「…………はい」
〜梅は提督が予定した時刻よりも遅く帰還したことに腹を立てている。何故なら自分を置いて行って寂しかったから〜
梅「まあ、座って聞きましょうか」
提督「はい」
そして―――
提督「まず言いたいことは、俺は竹に指輪を渡す気はないからな?」
梅「…………うん」
提督「で、遅くなった理由は、漁協の人たちに竹たちの実力を見せたからだ」
梅「どうしてそうなったの? 提督が率いている梅たちはみんなから信頼されてるのに」
提督「信頼されてるからこそだ。しかも今まで旗艦に置いていた梅を、俺の個人的なことで竹に代わってもらうんだから、梅と同じように安心感を持ってもらうためにそうしたんだ」
梅「なるほど。で?」
提督「砲撃の腕前と対空射撃の腕前を披露した。ただその際に安全を考えて竹には数キロ離れてもらってね。今日は波もちょっと荒れてたし、目標地点に着くまで時間が掛かった」
梅「でもそれを考慮してもこの時間にはならないわよね?」
提督「そのあとで漁協の人たちが喜んじゃってな。梅の姉ってのもあって海産物をこれでもかと頂いたんだ」
梅「あの大量のホタテがそうなのね」
提督「そう。それを積んで運ぶのが想定外だった。夕飯の支度を任せている間宮さんたちにも確認取る必要もあったし」
梅「分かったわ。そもそも浮気とかじゃなくて、何か不測の事態にでも遭ったのかと思っただけなの」
提督「心配をかけて悪かったな」
梅「ええ。でもどんな些細なことでも連絡はしてね。そういうの大事、大事なのよ?」
提督「ああ、次から注意するよ」
梅「じゃあこのお話はもうお終いね。じゃあ、来月からのお話を聞かせて」
提督「来月からの……?」
梅「そう。来月からの梅の予定は提督のせいでまるっきり分からないんだもの」
提督「そうか……」
梅「だから聞かせて。そういうの大事大事」
提督「そうだな」
梅「」コクコク
提督「梅は来月から俺の妻として、常に俺の側で補佐してほしい。あとは……その、出来れば空いた時間でイチャイチャ出来たらなと……////」
梅「ふふっ……可愛い……で、もっとないの? 大事な話、なのでしょう?」ニコニコ
その後も提督は梅が満足するまでこれからの大事な予定を話し、快く頷いて聞いてもらうのだった―――。
梅 完
梅終わりです!
お粗末様でしたー!