奥様は艦娘! 艦これSS   作:室賀小史郎

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練習巡洋艦朝日がお嫁さん。


練習巡洋艦
朝日とケッコンしました。


 

 某鎮守府、昼―――

 

 ◇執務室◇

 

提督「……」テキパキ

 

 〜提督、今日も今日とて執務の真っ最中〜

 

朝日「……」ジーッ

 

 〜奥様である朝日はそんな提督を見つめる〜

 

提督「…………」カリカリ

 

朝日「…………はぁ、もう見ていられませんね」

 

提督「ん? どうかしたのか、朝日?」

 

朝日「どうかしたのか、ですか……。えぇ、えぇ、どうかしました」

 

 〜しなやかに立ち上がる朝日は、そのまましずしずと提督の元へ〜

 

提督「なんだ?」

朝日「なんだ、ですか……。そうですかそうですか」フフフッ

提督「ちょ、だから――」

朝日「提督? 私(わたくし)、とても憤っています」

 

 〜奥様はニッコリとどす黒い笑みを浮かべる〜

 

提督「理由を訊ねても?」ヒヤアセ

朝日「ご自覚がない、と?」

提督「あいにくだが……全く、これといって……」

朝日「…………」

提督「…………」ニガワライ

 

朝日「今の時刻は?」

提督「ん……昼の一三〇〇を過ぎたところだな」

朝日「そうですね……では、昼餉は召し上がられましたか?」

提督「勿論だ。いつも朝日に注意されているからな」

朝日「それは良うございました。して、本日の昼餉は何を?」

提督「明石のところで昨日新発売したレーションだ。味はまあそれほどでもないが、必要な栄養素を凝縮させ、開封してすぐに口に含め、更に噛む必要もなくスルッと飲み込めてとても時間短縮が出来た」

朝日「今、私は提督の頬を無性に叩きとう存じます」ニッコリ

提督「な、何故だ!?」

 

 〜提督は慌てて椅子に座ったまま上半身を反らし、逃げの体勢に〜

 

朝日「悲しいですね、本当に。今に始まったことではないですが、本当に変わりませんね……」

 

 ヒュン、ヒュン、ヒュン

 

 〜奥様の張り手が小気味良く空を切る〜

 

提督「ぼ、暴力はいくない……」

朝日「制裁です♪」

 

 パチーン

 

 〜とてもいい音がした〜

 

朝日「お仕事も大切ですが、お体を壊してしまっては本末転倒。故に規則正しい生活を、と先日お話致しました」

提督「あ、あぁ……そうだな。だから――」

朝日「そんな物で食事を済ませる、と?」

 

 ヒュン、ヒュン、ヒュン

 

 〜提督は身震いした〜

 

朝日「私が昼餉をお作りしますと再三申し上げていますのに」ヤレヤレ

提督「いやしかしだなぁ」

朝日「私の負担を気になされているのは分かります。しかしそれも妻の務め。寧ろ喜びでもありますと伝えましたよね?」

提督「う、うむ……」

朝日「……明日からそうさせていただきますね?」

提督「はい」

 

 〜こうして提督は妻の優しさに甘えることにした〜

 

 ――――――

 

 次の日の昼―――

 

 ◇執務室◇

 

朝日「提督、昼餉のお時間ですので、一度手をお止めいただいても?」ニコニコ

提督「あ、あぁ、そうしようか」サッ

朝日「今のは見間違いと言うことにしておきますね」ニッコリ

提督「そ、そうだな」

  (あとで明石のところへ返品しに行かないと)

 

 〜提督はとりあえず奥様が用意するテーブルへ〜

 

提督「本当に辛くないか?」

朝日「いいえ? 寧ろ作るのが楽しかったです。あなたが食べてくれると思うと、余計に」

提督「そうか……ありがとう」

朝日「さぁさ、召し上がってくださいませ♪」

 

 〜差し出された弁当箱を受け取る〜

 

 パカリ

 

提督「のり弁?」

朝日「はい。今朝お出しした焼き鮭と切り干し大根の煮付け……あとは玉子巻きです。ね、そんなに私の負担にならないでしょう? お味噌汁もこちらの魔法瓶に入っています」ニコニコ

提督「そうだな。こういった感じなら、全然……」

朝日「あなたが私を大切に思ってくださるように、私もあなたを大切に思っています。ですから甘えてほしいのです」

 

 〜提督の手を取り、心からそう願う奥様〜

 

朝日「多忙を極めるあなたを私なりになんとかお支えしたい。そう思ってはいけませんか? あなたを大切にしてはいけませんか?」

提督「そういう言い方は卑怯じゃないか?」

朝日「お慕い申し上げています。心から」

提督「……勝手にしてくれ」

朝日「はい♪ ですので今後もお任せくださいませ♡」

提督「……おう」

朝日「お望みとあらば、食べさせてあげましょうか?♡」

提督「恥ずかしいからやめてくれ」

朝日「あら、残念です♡」

提督「からかうんじゃない」

 

 〜食べたのり弁は醤油がかかっているのに、桜でんぶのように甘く感じた提督であった〜

 

 ――――――

 

 その日の夜―――

 

 ◇長官官舎◇

 

朝日「お風呂いただきました」

 

提督「あぁ、おかえり……」

 

 〜提督は先に風呂を済ませて晩酌中〜

 

朝日「お酌致します」

提督「ん、ああ、頼む」

朝日「ゴクッ」

提督「んん!?」

朝日「んっ♡」

提督「んってされてもだな……」

朝日「んーん!」

提督「……はぁ、端からそのつもりだったな?」

朝日「ん♡」ニパー

提督「ったく……んっ」

朝日「んっ……ん……んぅ♡」

 

 ちゅぱっ♡

 

提督「人肌の酒は美味いな」

朝日「ふふっ、あなたが私に仕込んだのですよ?♡」

提督「人聞きの悪いことを……喜んでするじゃないか」

朝日「接吻出来る良い手段ですから♡」

提督「控えめなのか強かなのか……」

 

 こうして夫婦はいつもよりも長い晩酌を過ごすのだった―――。

 

                  朝日 完




朝日終わりです!

お粗末様でしたー♪

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