某鎮守府、昼前ーー
◇執務室◇
パース「提督、ここの計算間違えてます」
提督「どれ……あ、本当だ。ありがとう」
パース「こんな単純な計算くらい出来ないでどうするんですか、嘆かわしい」
提督「……適材適所ってことでうちでも経理班作ろうかな」
パース「そんなことに人材を割いてどうするんです? 今までも上手く行っていた。ならこのままでいいと思います」
提督「でもな、ミスを減らすためにも数字に強い部下に任せる方が円滑になるとは思わないか?」
パース「ダメです。それに提督のミスを見つけて、修正させるのが私の役目。ただでさえ出撃がない日の私はお飾りなのに、私の役目を奪わないでください」
提督「ならもう少し柔らかく指摘してくれよ。毎回毎回嘆かわしいだの見てるこっちが悲しくなるだの言われるのつらたん」
パース「なら私以外を秘書艦にしたらどうです? そうすれば辛くなくなるでしょ?」
提督「…………このままでお願いします」
パース「まったくすぐ甘えるんだから。嘆かわしい」フフッ
〜なんだかんだでよろしくやっている夫婦だが〜
◇執務室外・ドア前◇
ロイテル「ねぇ、パースってあんなにアホだったっけ?」
ヒューストン「う〜ん、彼女の言ってることは正しいんだけどねぇ」ニガワライ
〜二人は報告書を提出しにきていた〜
ロイテル「私だってパースの言い分は分かるよ? でもさーー」
ヒューストン「ーーええ、言いたいことは分かるわよ」
◇執務室◇
パース「ほら、また間違えてますよ」ユビサシ
提督「あぁ、ありがとう」
パース「まったく、救いようのない人ね」ナデナデ
提督「本当に面目ない」
パース「行動で示してください」ナデナデ
提督「は〜い」
〜パース、提督の膝の上に鎮座(お姫様抱っこ)。加えて提督がミスる度に指摘しつつ、提督の頭や顎を撫でて猫可愛がりしている〜
◇執務室外・ドア前◇
ロイテル「厳しくするか甘やかすかどっちかにすればいいのにね〜」
ヒューストン「パース的にはあれが一番しっくりくるのよ、きっと」
ロイテル「いやでもさ、入り辛いったらないよね」
ヒューストン「これも慣れないといけないわ」
ロイテル「ここに着任する前は本当に緊張したけど、まさかこんなことに苦労するとは思わなかったなぁ」
ヒューストン「パースが思いの外提督LOVEになっちゃったし、こんな風になるなんて思いもしなかったものね」ニガワライ
〜二人は報告書をなんとか提出し、足早に執務室をあとにするのだった〜
ーー
パース「お待たせしました」
提督「いや全然待ってないよ。寧ろお昼作ってくれてありがとう」
パース「これは妻の役目ですから」フフン
〜夫婦、執務室のソファーテーブルで遅めの昼食〜
提督「今日は何かな?」
パース「時間が過ぎちゃってるからラップにしたの。メインの具材は右のこちらからコンビーフ、ツナマヨ、ハムチーズよ。スープは連続になって申し訳ないけど今朝と同じコーンポタージュ。それとあなたの好きなマッシュポテト」
提督「十分だよ。ありがとう」
パース「お礼を言い過ぎです。それよりキスしてくれた方が私は嬉しいです」ニッコリ
提督「お礼に言い過ぎも何もないよ……ちゅっ」
パース「んっ……言葉より、私はやっぱりこっちのがいい♡」
〜仲良くランチ〜
パース「はい、あなた……あーん♡」
提督「あぐ……うん、うまうま」
パース「ふふ、そう♡」
提督「俺、パースの作るツナマヨって好きなんだよなぁ。玉ねぎのみじん切りじゃなくて、ピクルスのみじん切りっていうのが面白くて」マグマグ
パース「そう♡」
提督「鎮守府の食堂でも間宮さんたちがラップを出してるそうだ。結構人気で今度パースから本場の味を教えてほしいって」
パース「ふーん……あなたに振る舞うのと同じレシピは教えられないけど、それでいいなら」
提督「え、これ普通のと違うのか?」
パース「当たり前でしょ? この味は私からあなたにだけの特別な味なの。誰にでも出してあげるものじゃないわ」
提督「パースの愛で泣きそう」
パース「意味わかんない♡」フフッ
〜食後の一服〜
パース「今日はコーヒーにしました、どうぞ♡」
提督「ありがとう」
パース「また言ってる」ジト
提督「あぁ……ちゅっ」
パース「んっ♡ よろしい♡」ニコニコ
提督「午後からの遠征隊はもう行ったよな?」
パース「えぇ、ちゃんと報告はあったでしょ?」
提督「演習部隊も予定通り向かったし、午後は少しゆっくり出来るな」
パース「そうなるように執務を予定より長くさせたんです」
提督「出来る女だなぁ」ナデナデ
パース「今更?♡」ゴロゴロ
提督「改めてそう思ったってこと」
パース「ふーん♡」スリスリ
提督「さぁ、俺のプリンセス。午後からは何をご所望ですかな?」
パース「そうね……15時にはヒューストンたちや日本の艦娘たちとお茶会があるから、それまでは可愛がってもらおうかしら?♡」
提督「仰せのままに♪」ホッペチュッ
パース「ぁんっ♡ もっと♡」
提督「I love Sweatheart」チュッ
パース「んぅ……もっとぉ♡」スリスリ
提督「パース……んっ」
パース「んんっ……ちゅっ、ちゅぷ……んんぅ、ぢゅるっ……ちゅぷ……ふはぁっ……んふぅ、ちゅ〜……はぁはぁ♡」オメメハート
提督「愛してる。本当に」
パース「私も、です♡」
提督「これからもずっと一緒だ」ギュッ
パース「I don't need a superhero in my life, I just need you with me♡」
私の人生にヒーローはいらない。私に必要なのはあなただけ
提督「I vow to fiercely love you in all your forms, now and forever. I promise to never forget that this is a once in a lifetime love」
今もこれからもずっと、どんな君も愛し続けると強く誓うよ。これが一生に一度の愛だということを決して忘れないと約束する
パース「あぁ、私も♡ 私も約束するわ♡」ギュッ
提督「あぁ」ギュッ
パースは提督とその後もイチャイチャし、約束の15時を過ぎてもイチャイチャし、午後から上がってきた報告書たちは執務室の外のドア脇に置いてある台に山積みにされていた。
なので夫婦は本日も夜遅くまで二人仲良く残業するのであったーー。
パース 完
パース終わりです!
本編に出したラップとはオーストラリア人がランチに好んで食べる料理のことです。
ハムや野菜などをフラット・ブレッドと呼ばれる薄い生地で巻いて食べるそうで、ヘルシーなのにお腹いっぱいになるのでダイエットにもなるんだとか。
とにかくクールな子がデレデレになるのっていいですよね!←
お粗末様でした!