史実を少し含みます。
史実は
『キャプテンながはまのマニアックすぎるシリーズ:
また海底で発見 軽巡「ヘレナ」の武勲と黒歴史、軽巡洋艦なのになぜこんなに「でかかった」のか』
というネット記事から一部頂きました。
某鎮守府、昼過ぎーー
◇執務室◇
ヘレナ「アトランタ……毎回毎回言うけれど、あなたの報告書は不備があり過ぎる」
アトランタ「What?」
ヘレナ「それはこちらのセリフよ」
アトランタ「面倒くさい」チッ
ヘレナ「何か言った?」
アトランタ「べっつに〜。そもそもさ、ニホンゴムツカシイヨ」
ヘレナ「その日本語をあなたは現在進行形で話しているでしょうに……」
アトランタ「話すのは出来るよ〜? でもさ、筆記能力とか着任する際に問われなかったしぃ? 意思疎通が出来ればいいって日本の偉い人が言ってたしぃ?」
ヘレナ「だからってこんな適当な報告書が受理されるはずないでしょう。何なのこの、怪文書。FBIの人間ですら解読出来ないわ」
アトランタ「そう〜?」
ヘレナ「そうだから毎回こうして言ってるの」
アトランタ「だってさ、提督さん?」
提督「ん? ああ、まあ慣れてないと書き方とか分かんないよなぁ。俺としてはパターン掴んだから解読するのはもう平気なんだけど」
アトランタ「ほら、ボスは問題無いって」
ヘレナ「そういう問題じゃないの! いい!? 提督はこの怪文書を毎回毎回上の人が読んでも分かるように書き換えてから提出してるのよ!? あなたが始めから上に提出しても大丈夫な文書を書いていれば、提督の苦労が幾らかは軽減されるの! あなたのせいで必要ない時間が消費されてるのよ!」
アトランタ「つまり、あたしのせいでイチャつく時間が減るからもっとイチャつけるように筆記も完璧にしろ、と。そういうこと?」
ヘレナ「ち が い ま す!!!!!」
提督「まぁまぁヘレナ。アトランタだけじゃなく、君も含め海外艦のみんなは慣れない異国で懸命に任務に殉じてくれてるんだ。なのにそういう細かいとこまで求めるのは酷だよ。その分は俺がカバーする。というかそのための提督だ。だから毎度のようにアトランタへ厳しく当たるのはもう止めなよ」
ヘレナ「しかしそれだと提督のご負担が……」
提督「常に命張って任務をこなす君たち以上に俺に負担があるなんてことないよ。君たちは日本のために戦ってくれてる。ならこちらは言葉等のことは大目に見る。十分フェアだろ」
アトランタ「そーだそーだ」
ヘレナ「…………分かりました。もうこの件でとやかく言うのは止めます」
アトランタ「最初から言わなきゃ良かっただけじゃん」
ヘレナ「っ!」ギロッ
提督「アトランタもその辺にしとけ。俺より君の方がヘレナのことを知ってるだろ?」
アトランタ「ん〜、まあ確かに。んじゃま、あたしは帰るからあとよろしく〜。迷惑料はパウンドケーキとカプチーノで手を打とう」
提督「ああ、一五〇〇になったらまたおいで」
アトランタ「ほいほ〜い」ノシ
〜アトランタ退室〜
ヘレナ「…………」
提督「さて、ヘレナ。アトランタの報告書をくれ。上に出しても問題無いように文書まとめないと」
ヘレナ「…………了解しました」
〜それからヘレナは提督の言葉に従ってはいたが、必要最低限の会話しかしなかった〜
ーーーーーー
一四〇〇ーー
◇鎮守府内・簡易厨房◇
ヘレナ「どうして提督がアトランタにここまでするんです? まさかアトランタに何か弱みでも握られていたりしますか?」
提督「どしてそうなるの……」ニガワライ
〜二人はエプロンしてパウンドケーキ作り中。と言っても作ってるのはほぼ提督〜
ヘレナ「だって……そうでないと辻褄が合いません」
提督「弱みなんて握られてない。言った通り、あれもこれもって求めるのは間違ってるよなってこと」
ヘレナ「気遣いと甘やかすのは違うと思います」
提督「甘やかしてるならヘレナだけかな。可愛いお嫁さんだし」
ヘレナ「そういうことではなく……!」
提督「君のその自分にも周りにも厳しくする姿勢は過去の事から来てるものだろう? みんな……特にアメリカ艦の子らはそれを知っているから、どんなに君に厳しく当たられても強くは言い返さないだろ」
ヘレナ「っ……」
提督「なのに俺まで君のように厳しくする必要は無いんじゃないかな。君があの事を充分に反省して、今度はそうならないように何に対しても真面目に取り組んでること……みんな知ってる。その結果、周りにも厳しくなってしまうことも、みんな知ってるんだよ」
ヘレナ「…………ヘレナは悪い子だから」
〜ヘレナは艦時代に軽巡ジュノーが伊26の雷撃で轟沈された際に護衛していたが、更なる潜水艦の雷撃を警戒してジュノーの生存者を置き去りにして逃げてしまった。
ジュノーの生存者のサメにやられたり、また長時間の漂流で力尽き、生き残ったのはわずか10名だけであった。
「見捨てて逃げた僚艦」とも言われ、この事でヘレナの艦長はその責任を負われ解任された。
それをヘレナは艦娘になってから猛省し、故に真面目が服を着て歩いている状態になっている〜
提督「それを言ったら日本にとってアメリカ艦はみんな悪い子だろうね。俺の祖父さんも海軍で艦時代のヘレナにやられたから」
ヘレナ「……聞きました」
提督「でももう過去のことだ。確かに祖父さんの仇である君がうちに着任する、なんて聞いた時は心穏やかではいられなかったけど、君と接して考えを改めた。俺は俺の祖父さんを忘れないし、軽巡洋艦ヘレナがしたことも忘れない。でも憎んでない」
ヘレナ「…………」
提督「君が変わったように、俺も変わらなきゃって思った。そうしたらいつの間にか、君を愛してた」
ヘレナ「…………はい」
提督「だからヘレナも、自分にも周りにも少しずつ優しくなろう。今は自分の意思があるんだから、いくらだって変われるはずだ」ニコッ
ヘレナ「…………提督」
提督「ん?」
ヘレナ「
提督「大袈裟だよ」ニッコリ
ーーーーーー
◇執務室◇
アトランタ「…………ヘレナどうしたの?」
提督「さぁ、何か心境の変化でもあったんじゃないかなぁ?」ニガワライ
ヘレナ「…………♡」ムギューッ
〜ヘレナ、アトランタの前なのに提督の膝上に座って提督の胸板に頬擦り中〜
アトランタ「まあなんでもいいけど。パウンドケーキの甘さが感じない。加えてカプチーノもっと苦くして欲しいかな」
提督「重ね重ね申し訳ないね」ニガワライ
ヘレナ「アトランタ、あんまり提督を困らせないで。ヘレナの大切な人なんだから。ね、提督♡」ホッペチュッチュッチュッ
アトランタ「日本的に言うと、眠れる獅子を呼び覚ましたって感じ?」
提督「……俺もここまでなるとは思わなくて……」
ヘレナ「提督ぅ、I love you♡」
提督「……お、おう。アイラブユーアイラブユー」
ヘレナ「〜♡」ニヘェ
提督「可愛いなぁちくせう」
アトランタ「まあ末永く爆発してどうぞ」
それからというもの、真面目ヘレナではなく引っ付きヘレナの異名で砂糖を振り撒いたーー。
ヘレナ 完
ヘレナ終わりです!
アメリカ艦って毎回複雑な気持ちになるのですが、やはり前は前、今は今として考えた方がお互いにいい関係を築けると思うんですよね。
不快に思われ方には申し訳ありません。
でもキャラクターに罪はないですから、どのキャラでも幸せになってほしいです。
ともあれお粗末様でした!