がっこうぐらし!~皆で生きる~   作:どらえふ

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5年も間が空いてしまった・・。


第17話 協力しあって生きて行こう

歓迎会も終わり、外は真っ赤な夕日がキャンパスを染めていた。

 

トーコ先輩は部屋は沢山あるから自由に使っていいよと言ってくれた。

 

 

「個室だよ。みーくん、大樹。キャンパスライフって大人の香りだね~」

 

由紀はネームプレートに自分の名前の「由紀」と書いて、トレードマーク(?)であるヘアピンの熊の絵を描いて嬉しそうに見せびらかせる。

 

「はいはい・・先輩は個室があると大人なんですね・・」

 

美紀は呆れた顔で嬉しそうにクルクル回る由紀を見つめていた。

 

 

「これで私も大人の女になるんだね~」

 

う~ん、それは違うような・・。

ま、由紀が楽しそうにしているので別にいいか。

 

 

・・・・・・・

 

 

部屋割りが決まった。

 

美紀さんと圭さんは同室。

まぁ二人は長い付き合いだから当たり前か・・。

 

若狭姉妹も同じく同室。

 

僕は姉さんと同室になった。

 

胡桃さんは由紀と同室だ・・。

 

最初は由紀は一人部屋だと喜んでいたが、美紀さんと圭さんが同室になると、自然に若狭姉妹も同室に・・

由紀はやっぱり一人部屋より同室がいいなと言うので、僕と一緒の同室を希望したが、

皆から「駄目よ!」と言われ、由紀は胡桃さんと、僕は姉と一緒の部屋になった・・。

 

 

結局、由紀の大人キャンパスライフは数分で終了した。

 

 

部屋割りも終わり、荷物の整理もひと段落してトーコさんが集まる部屋に入った。

 

 

「終わったかい?私達これからお風呂に入るけど一緒に入らない?」

 

トーコさん達は洗面器やタオルを持って部屋で僕達が来るのをを待っていたそうだ。

 

 

お風呂か・・・。

 

そういや、卒業してからお風呂に入ってなかったな・・・。

 

 

 

ー男湯ー

 

「お前達か・・風呂入るんだろ?遠慮しないで入って来いよ」

 

 

どうもこの頭護先輩は苦手だ・・。

 

先輩は早く来いと手招きするので、言われるまま湯船に漬かる

 

大学の風呂は高校の風呂より少し大きい。

 

高校の風呂は小さな旅館並みだが、大学のは銭湯並みの大きさだ。

 

 

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

 

か、会話がねぇ・・・。

 

頭護先輩は兎も角、遠藤先輩も会話ねぇよ・・。

 

この二人に囲まれている・・・助けて。

 

 

 

「あ、あの城下先輩達は・・?」

 

取り敢えず会話の糸を繋げる為に話題を振り出した

 

 

「お前たちが部屋割りをしている間に入ってたよ」

 

「な、なんで部屋割りの事を・・」

 

「・・・声が聞こえたから・・」

 

「あ、そうですか・・・」

 

「・・・・・」

 

 

長い沈黙・・

やべぇ・・会話無いよ・・

 

 

「明日・・・街に出て食料とか調達する!お前も来い。どうせさっき渡した段ボールの食料、半分以上食べたんだろ?」

 

 

「は、はい」

 

 

「じゃな・・明日迎えに行くからな」

 

そう先輩は言うと、浴場から出て行った・・・。

 

どうも解らないなぁ・・。あの先輩

 

 

「い、行くの・・かい」

 

後ろからいきなり遠藤先輩が話しかけてきた・・

 

「わ・・せ、遠藤先輩・・・・。えぇ・・」

 

 

「行かない方が・・いいんじゃないかな・・あいつは危険だよ?」

 

「そうは言っても、あんだけ食べたんだし、それにこれから出口先輩達にお世話になるんだから・・。やっぱそれ位のお手伝いはしないと・・」

 

 

「・・・・・・・」

 

黙り込む遠藤先輩。

あの先輩もそうだが、この遠藤先輩も全然しゃべらねぇ・・

この先大丈夫かな・・・

 

 

翌日

 

「おい、迎えに来たぞ!」

 

頭護先輩が自堕落サークルの部屋に来た。

 

トーコ先輩にはあの後伝えたが、トーコ先輩は別にいいんだよと言っていた。-が、やっぱ先輩の

お世話になるんだから、少しは何かお手伝いをしないとな。

 

 

「じゃ、トーコ先輩行ってきます」

 

 

「後、若狭悠里っといったかな。お前も来い」

 

頭護先輩は手招きをして悠里さんを呼ぶ

 

「な、なんで私が・・・」

 

「妹の服とか下着とかあるだろ・・姉であるお前に来てもらわないと。俺にはよく解らんからな」

 

 

「・・・解ったわ・・・。るーちゃん、お姉ちゃんちょっと行ってくるね?」

 

「う、うん・・」

 

不安そうな留美ちゃんに見送られ、僕達は部屋を後にした。

 

 

外に出ると、高上先輩が待機していた。

 

 

どうやら出掛けるのは僕と悠里さんと頭護先輩と高上先輩の4人だ。

 

 

 

ーモールー

 

まさかまたこのモールに来るとはねぇ・・・。

 

「さて・・と、食料の前に、お前の妹の服とか探さないとな」

 

「あ、あの・・・どうして・・」

 

なんで私達の事を気にかけてくれるのかを聞こうとすると、高上先輩が先に答えた。

 

 

「頭護は妹を亡くしているんだよ・・。あの騒動でな・・・少し落ち着いてから妹さんの中学に行ったんだが、妹さんは既に・・・」

 

 

「・・・高上!それ以上言うな!」

 

成る程ね・・・

留美ちゃんを妹さんと重ねているんだな。

本当はこの先輩、妹思いの優しい人なんだろうな。

不器用であんなぶっきらぼうな態度にでるんだろう・・・。

 

 

ー子供服ー

 

「えっと・・るーちゃんのパンツと服はこれとこれと・・」

 

 

悠里さんが選んでいる間、近くの椅子に座って待っていた。

 

「・・・・彼女が気になるのか?さっきから若狭をずっとみているが」

 

「別に見てませんし、彼女でもなんでもないです」

 

「はぁ?好きな女がいるとか言ってたじゃないか?」

 

「居ますが、若狭さんではないです!」

 

「じゃ、まさか・・あの女の妹か!?おまっ・・いくらなんでも小学生って・・ロリr」

 

頭護先輩は僕から少し距離をとった。

 

ちょ待てーい。

どうして俺が小学生に!

 

 

「違います!僕の好きな女の子は、あの背の低いピンクの髪の・・由紀です」

 

「あぁ、あのへんてこな帽子を被った高校生に見えないあれか」

 

そこは何となく否定出来なかった。

由紀には悪いけど、あの幼児体型・・。

胸は小6の時と変わらないし・・。

 

「そうゆう先輩達はどうなんですか?」

 

今度はこちらから質問しようとしたら悠里さんがこちらに戻ってきた。

 

 

「終わったのか?じゃ、佐倉と俺は食料調達に行くから、若狭は先に車に戻ってろ」

 

「あ・・あの・・・あ、有難う・・」

 

悠里さんのお礼の一言を言うが、先輩はそっぽ向いてスタスタと行ってしまう

 

 

 

ー食品売り場ー

 

「うっ・・」

 

鼻にツーンとくる強烈な臭い・・

 

暫く振りに来たが、前と違って魚・肉などの腐敗の生臭いが強烈すぎる。

 

「うっ、おえっ・・」

 

あまりにの腐敗の臭いに耐え切れず、嘔吐しそうになった。

 

 

「いいか、必要最低限だけ持って行くぞ」

 

「は、はい」

 

カップ麺・缶詰・インスタントラーメン、由紀や留美ちゃんの好きそうなお菓子をリュックに無造作に詰め込んで

その場を立ち去った。

 

「さぁ、ここを出るぞ!恐らくもうここには来れないだろう。前に調達した時よりも奴等、ここに集結している・・」

 

奥をみると、前に来た時よりもかなり多くのやつらがいた。

こちかとの距離はまだ十分はあるが、いずれここも危ないだろう・・。

 

 

 

ーイシドロス大学ー

 

「大丈夫かなぁ・・あいつ・・」

 

胡桃はシャベルをギュと握りしめ、窓の外を見つめる。

 

窓の外では大樹が笑顔で手を振っている。

胡桃もつられて笑顔で手を振る。

 

車はゆっくりと奴らに気付かれずに大学を出る。

 

 

「まぁ頭護がいるし大丈夫だと思うよ?」

 

トーコ先輩はポンッと胡桃の肩をたたき、ニコッと笑顔で答える。

 

 

「邪魔するわよ」

 

ホッと一息するとガラッと勢いよく扉を開け、ズカズカと部屋に入ってくる神持朱夏先輩。

 

一同は警戒態勢に入った。

 

「ちょっと・・そんなに警戒しないでよ・・何もしないわよ」

 

そういいながら近くの椅子に腰かけ、ポケットから煙草を取り出す。

トントンと箱を叩きながら煙草を取り出し、ライターで火を着ける。

ふぅ~と煙を吐き出すと、部屋が煙草の匂いが充満した。

 

ゴホゴホとせき込む留美ちゃん。

 

「ちょっと・・・ここ・・禁煙・・・」

 

ヒカ先輩に言われると、チッと舌打ちをしながら、ポケットから携帯の灰皿を取り出し煙草の火を消す。

 

 

「・・・何しに来たのさ」

 

そっけない態度でトーコ先輩は質問する。

 

 

「今から皆で畑を耕すわよ」

 

「はぁ?」

 

「あら?高上君から聞いてなかったの?」

 

食料調達は聞いていたが、そんな事は話してない。

というかなんでそんな話になったの?

トーコや胡桃達は意味が解らなかった。

 

大きなため息をつきながら神持先輩は答える

 

「はぁ~・・あのね。今私達が食べているそのカップ麺、そのポテチ、レトルトカレーやウィンナー等。あのモールで調達しているけど、無くなったらどうするの?私達が持って行っても誰も棚に補充なんかしてくれないのよ?倉庫から調達しても無くなったら?トラックが来る?どうやって?その配送業者今でも稼働しているのかしら?」

 

トーコ達ははっと気付く。

 

「はぁ~・・・そう。私達が普段買い物で食料が手に入るのは、それを作っている食品の会社などがいるからよ。この状況で生産しているとは思わないわ。だから、自給自足をするのよ。ジャガアイモ・サツマイモなどを作るのよ・・・・もしかしたら、もう人類は私達しかいないかもしれない・・・・だから・・・生きて行くには私達が協力しあないといけないのよ・・・悪かったわね・・・こんな私達だけど・・一緒に・・」

 

 

神持がすっと手を伸ばして来た。

トーコ先輩は少し迷ったが・・・

 




お久し振りです。
2017年12月以降以来ですね。
まずはがっこうぐらし!12巻完結して良かったです。
結末は・・私は仮設で作ったプレパブで学校を作っていただろうと考えていましたが、仮設ではなく高校をそのまま使っていたんですね。
私の考えとは少し違いましたが、似た様な感じで嬉しいです。


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