がっこうぐらし!~皆で生きる~   作:どらえふ

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るーちゃんですね。

るーちゃんで本当の名前が不明なので、「留美(るみ)」と命名しました。

留美ちゃんの年齢が不詳ですが、小学2年生の7~8歳だろうと推測です。




第14話 るーちゃん

悠里さんに先導され、僕達は小学校へ向かった。

 

 

グォォ

 

 

 

ドスッ

 

 

グェェ

 

 

 

枝切狭で心臓を突き刺し、激しい流血が辺りに飛び散る。

 

 

 

「ふぅ・・」

 

 

行き先何体の奴等を倒しただろうか・・・。

流石に疲れた。

 

少し休もうとするが、また何かが近づいてくる気配を感じた。

 

 

「ちっ・・」

 

また来るのか・・

 

そう思い枝切狭を構える

 

 

「!!」

 

 

向かってくるゾンビは小さな男の子だ。

小学生低学年と思われる小さな男の子。

 

男の子の首からは何かぶら下げている。

 

 

『なめかわ小学校にいます。おなかすきました。たすけてください』

 

スケッチブックに書かれたSOSの文字を首からぶら下げているのか・・

 

 

「そうか・・例え噛まれても誰かがこれを見たら・・・・。」

 

枝切狭で足を突き刺し、動きを止める。

 

 

 

「先輩・・・」

 

「・・・うん・・・」

 

 

ザクッ

 

 

 

「今助けに行くからね・・。頑張ったね・・・。」

 

男の子の亡骸にそう呟いて、その場を去った。

 

 

 

 

「鞣河小学校まであとどれ位?」

 

「あそこを曲がればすぐよ・・っ!!」

 

曲がった先には拳銃を構えた警察官と思われる人物がいた。

 

でも警官は・・・

 

言うまでもないな・・・

 

 

 

「まずいなぁ・・・拳銃をもったままとはなぁ・・」

 

迂闊に発砲したら、音で奴らが集まってくる。

それだけは回避しないとなぁ・・。

 

撃つ前になんとか倒せないかな?

 

まだ警官はこちらに気付いてない。

 

枝切狭を思いっ切り投げた。

 

 

グエェ

 

「よしっ!心臓を貫いたぞ」

 

ブシャァ・・

 

激しい鮮血が辺りを真っ赤に染まる。

 

 

「ね、ねぇ大樹・・。あの警官の銃貰えないかな?」

 

「音が出るから駄目だよ・・。これならいいけど・・」

 

警官の腰に装着している警棒を取り出す。

 

「先輩・・・それ、私が使ってもいいですか?」

 

「ん?警棒を?でも接近戦向きだから、危険だと思うけど・・」

 

「大丈夫です。美紀だって頑張っているんだし、私も頑張りたい」

 

少し考えたが、祠堂さんも頑張ろうとしているし、ここは本人の意思を尊重してあげるか。

僕もフォローすればいいんだし。

 

「解った。でも無茶しちゃ駄目だよ?」

 

警棒を祠堂さんに渡す。

 

「いいなぁ~。私も何か武器が欲しいなぁ・・」

 

「由紀は・・僕が守るからいいんだよ?」

 

「でも、あの時は私も戦えたよ?」

 

「それは・・そうだけど・・・もう少ししたら、何か考えるから待っててよ?ね?」

 

「・・解った・・」

 

 

 

 

ー鞣河小学校ー

 

「着いたわ・・。今行くからね・・るーちゃん」

 

一足先に昇降口に向かう悠里さん。

 

 

「わっ・・ちょっと待ってよ・・」

 

僕達も遅れを取られないように、慌てて後を追う。

 

 

懐中電灯をタオルで覆い、ペンライトで様子を伺いながら教室に向かう。

 

 

1年生の教室。

 

 

入口は机で侵入を塞いでいるが、奥からは奴らの声がする。

 

他の教室もバリケードがあるが、奴らの声・・声・・・

 

 

 

2階の教室も3階の教室も何処も駄目だった・・。

 

 

「・・・一旦外に出よう・・。これ以上闇雲に探すのは危険だ・・」

 

「待って!まだるーちゃんが!!」

 

「気持ちは解るが・・そろそろペンライトも無くなる・・・明朝にもう一度出直そう」

 

悠里さんの手を握り、一時撤退する。

 

 

 

 

校舎の裏にある体育館に向かう。

 

幸い、ここには子供達は・・奴らは居ない・・。

校庭にはウヨウヨいるけど・・まだこちらには気付いていないようだな・・・。

 

 

ガチャガチャ

 

「あれ?扉が開かないぞ?」

 

「えっ!!」

 

ガチャガチャ

 

何度も扉を開けようとしたが開かない。

 

「もしかしてるーちゃん!?」

 

「まさか・・単に鍵が・・」

 

鍵が掛かっていると言う前に小走りで体育館に回る。

 

 

体育館の下にある小さな窓を開ける。

 

「・・・るーちゃん?」

 

 

「悠里さん・・・」

 

 

少し間を開きながら「りーねぇ・・?」

と微かな声が聞こえた。

 

「聞こえた!?今のるーちゃんの声よ!るーちゃん!」

 

「りーねぇ!」

 

居た!本当にいたんだ・・。

 

小さな女の子がこちらに向かってくる。

 

「大丈夫?他に人はいるの?」

 

ふるふる

 

小さく横に振る。

 

「悠里さん、兎に角ここを出よう。今の声で奴等、こちらに気付いたみたいだ・・。

るーちゃん、この窓から出れるかい?」

 

コクコク

 

るーちゃんは四つん這いになり、小さな窓から抜け出す。

 

「るーちゃん!」

 

悠里さんはるーちゃんを思いっ切り抱き締める。

 

「良かったですね。若狭先輩」

 

 

「久し振りだね。るーちゃん。さて、感動の再会だけど、悠里さん。一先ずここを出よう。もうすぐそこまで来ている」

 

「そっ、そうね。」

 

 

るーちゃんを抱き、小学校を出る。

 

 

 

 

 

ーワンワンワン放送局ー

 

「た、ただいま・・」

 

 

無事に皆の所に戻った。

 

 

「おーお帰り~どうだった・・って、その小さな女の子は?」

 

 

「悠里さんの妹さんだよ。」

 

「・・・・?」

キョトンとするるーちゃん。

 

「大丈夫よ。ここにいる皆、お姉ちゃんのお友達よ」

 

 

「姉さん、取り敢えずるーちゃんに何か食事を作ってあげて」

 

「解ったわ」

 

 

 

 

 

 

「ご、御馳走・・・」

 

姉さんが作った料理をペロリと平らげる。

 

 

「躰の方は大丈夫?」

 

コクコク

 

姉さんが留美ちゃんの体を改める。

 

少しやせ細っているが、栄養のある食べ物を食べれば大丈夫そうだ。

 

 

「一人で体育館にいたそうだね?」

 

 

 

「・・・うん・・・あの時・・・」

 

 

 

 

 

「丁度帰りの会だったの・・・。そしたら他の先生が『今すぐ避難するんだ!』と呼びかけをしてたの・・。でも学校の外は・・・急いで先生は机や椅子でドアを塞いだの・・。4年生や5年生の先輩も手伝ってくれて・・だけど、先輩達は突然人が変わって、いきなり襲い掛かってきたの・・・。担任の先生が私を抱えてくれて、体育館に避難させてくれたの・・・先生は体育館の全てのドアを施錠して、どこかに行っちゃった・・・」

 

 

「そうか・・・あ、食べ物とかはどうしたの?」

 

 

「先生がランドセルに飴とカンパンを入れてくれたの……。水は冷水機があったから……夜は倉庫にあったマットを布団代わりにして寝てた……。時々ドアを開ける音がして怖かった……」

 

 

「・・・・っ」

 

僕達は息を飲んだ。

 

こんな小さな女の子が一人淋しく頑張って過ごしていたなんて・・・。

 

僕達は皆と一緒に過ごしてきた・・・

 

淋しいと思った事なんかなかった・・。

 

でも、留美ちゃんは独りぼっちでいた・・。

 

どんなに淋しかっただろう・・。

 

どんなに不安な一日を過ごしていたんだろう・・・。

 

そう思うと、僕は涙が止まらなかった・・・。




無事に留美ちゃんを助ける事が出来ました。

留美ちゃんがマッドと冷水機で過ごしていた所は、前に北海道で男の子が行方不明に
なった事件のを参照しました。
マッドで寒さをしのいだのと、外にあった水道水で過ごしたそうですね。


さて、留美ちゃんも助けた生活部。
これから先どうなるのか?
次回も宜しくお願い致します。

  どらえふ

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