Girls und Kosmosflotte 作:Brahma
「どうすればいいの?」
アズミ、ルミ。メグミの心の中はぽっかり穴があいたようだ。大学選抜チームが無類の強さを誇ったのは、愛里寿の実力をみとめた副官三人の権威があったからで、ナンバーワンである愛里寿のもとにナンバースリーである三人が支えてまとまってきたからだ。三人の副官のもとで愛里寿の実力と権威は大学選抜チームのすみずみまでいきわたってきた。オーベルシュタインがいたらナンバー2がいないまことに良い最高の組織だとほめたかもしれないが、それは逆に愛里寿がいなければ崩壊する危険もはらんでいた。ラインハルトが急死した場合の帝国軍のようなものだった。
大学選抜の戦車倉庫に現れた男がいた。
「ふふふ。なにをなやんでいる?あの小娘の行先は知っているぞ。」
「あなたはだれ?」
「許可は取って入ってきたの?」
「た、隊長のことを小娘だって!!」
「たしかにかわいいですが、ただの小娘ではありません。島田流後継者で、日本最強の隊
長です。西住流の娘が二人いなければ私たちの隊長が勝ったに違いないのです。」
「ふふふ、そんなに会いたいのか?」
「「「会いたいのです。」」」
「その小娘というのは訂正してください。」
「そうか...。ふん。あわせてやる。乗れ。」
アズミ、ルミ、メグミの三人の女子大生は,顔を見合わせた。
「隊長とわたしたちを帰してくれるんでしょうね。」
「それは問題ない。われわれの言うことを聞いてくれるならな。2~3日後にはもどれるようにしてやる。ただし、半年くらいは働いてもらうことになるがな。」
「なんですって!半年働くのに2~3日後にもどれるって....。」
「タイムマシン...?」
「お前たちの活動がOFFであることは調べてある。安心しろ。」
「....。」
見たこともない車に乗せられ、その車が宇宙船のようなものに入っていく。宇宙船は上昇し、異次元空間へ入っていく。そこから出ると、愛里寿の旗艦センチュリオンが見えた。宇宙船がドッキングするとハッチが開いた。
「艦橋へ連れていく。」
艦橋へ着くと銀髪の小柄な少女が黒い大学選抜のパンツアージャケットに黒いプリーツスカートを着てりりしく立っていた。腕にはボコと思われるぬいぐるみをかかえている。
三人は感激し、愛里寿にむかって
「隊長!」
と叫びながら駆け寄った。
愛里寿は笑みをうかべながらうなずいた。
ヴェスターラント熱核攻撃の派遣艦隊全滅の報は、ガイエスブルグに超光速通信でもたらされた。
「ブラウンシュバイク公...。」
「なんだ?」
「ヴェスターラントの派遣艦隊が...全滅しました。」
「なに...。」
「下手人は、赤毛の孺子の部下のようです。」
「ブラウンシュバイク公...。」
ブラウンシュバイクに助言したのは、装飾の施された大鎌を背負った白い清楚なドレスをまとったはかなげで黒髪の美女であった。
「ゼフィーリア殿。」
ゼフィーリアと呼ばれたこの謎の美女はアルテナ星域で、血を吐いて倒れたシュターデンの旗艦に突如現れ、貴族連合の艦隊をみごとな指揮で退却させるのに成功している。
「わたしがオステローデ領内の異世界から持ってきた戦車隊を使いましょう。」
「戦車?」
ゼフィーリアが大鎌エザンティスを一回転させると、T34/85戦車、ティーガーⅠ戦車が現れる。
「これが合計240両あります。」
「ほほう。これは見たことがない。しかしこれなら勝てるかもしれない。」
ブラウンシュバイク公はうなづく。
大鎌エザンティスは、ゼフィーリア自身をテレポートさせられるだけでなく、オステローデ領内(現実世界のバルト三国と一部ロシア領)からであれば、過去、未来、異次元からでもでモノを移動させることができるだった。
「ふむ。わかった。また艦隊を派遣しよう。」
「空母からワルキューレを発進させて敵を攻撃させたほうがよいかと。」
「うむ。」
ゼフィーリアの指揮するブラウンシュバイクの分艦隊7000が再びヴェスターラント上空に現れる。
「敵艦隊出現。惑星の裏側です。」
「何か降下しています。」
「拡大しろ。」
「隊長、あれは....。」
愛里寿はうなずく。T34/85だ。なぜ...
艦隊から次々と降下させられる戦車。
「空母からワルキューレが発進されました。その数3000。」
上空はどこからともなくワルキューレが現れる。
「ワルキューレ発進」
愛里寿の艦隊もワルキューレを出して対抗するが、愛里寿は住民を救うためには戦車を出さなければならないことを悟った。
この世界には戦車というものがない。ワルキューレがあるので戦車を用意しても仕方がないということで、装甲車と上空2万キロの単座式戦闘艇を撃墜できる高射砲しかない。そのため、ゼフィーリアは、装甲車しかない地上戦に高性能な戦車を投入することを提案したのだ、装甲車を撃ち抜けるバズーカはあっても、戦車を撃ち抜けるバズーカはない。T34/85であれば充分であった。
「隊長、センチュリオンとM26パーシング、M24チャーフィーの設計図をもってきました。」
「技師長。」
「はい。フロイライン・シマダ。」
「これは、生産できる?」
「ああ、できると思います。」
敵は、火星ほどの大きさしかないヴェスターラントで、拠点ごとに戦車を降下させている。時間との戦いになりそうだった。
愛里寿は、アズミ、ルミ、メグミをみつめる。
「どのくらいで、ヴェスターラントは落ちる計算になる?」
「10日ほどです。」
あんなにワルキューレを出してくるとは...貴族連合軍には余裕があるのか...
たいした武器をもたないヴェスターラントの住民は、たちまちのうちにヴェスターラントの都市のひとつプザンにまで追い詰められようとしていた。
一方、ラインハルト軍がおさえていた工廠は優秀で、センチュリオンとM26パーシング、M24チャーフィーなど200両の戦車を数日で生産した。
まずは、愛里寿の艦隊は、上空を援護しながらプザンにロケットランチャーと対戦車砲とM26パーシングを降下させる。
住民たちはM26パーシングとロケットランチャーで反撃を始めた。
一方で、愛里寿の艦隊は貴族連合軍の補給線を圧迫する。
ヴェスターラントでは戦線が膠着状態に陥り、10日では貴族連合軍は住民の反乱をおさえられなくなった。しかし、ヴェスターラントの貴族連合軍の主将は、陸戦については、その蛮勇で最強の猛者、いわば「武」のオフレッサー上級大将と並び称され、すぐれた指揮で「知」将とされるティリー伯ヨハン・グラーフであった。ティリー伯は、住民によるロケットランチャーの奇襲を確実に退けるために、テルシオというT34/85戦車の砲塔が四方に向いた自走砲を作らせ、機関銃をもった兵士を乗せた。いわば動く自走要塞というべきものであった。しかも、ゼフィーリアの作戦は精緻で、降下部隊をおろす場所がないよう戦車で埋め尽くし、制空権もワルキューレで埋め尽くしてゆずらない。住民軍はじわじわと追い詰められていく。どうにか戦車をプザン以外に下せる場所を見つけなければならない。
「戦車を降下できる場所を確認しました。」
「どこ?」
「プザンの北西240kmのジンセンヌです。しかし問題が...。」
「問題?」
「沼地で、しかも10m前後の潮の満ち引きがあり、降下部隊をおろすには適さないのです。」
「...。敵の補給を絶って、敵を背後から攻撃できるのはここしかない。潮が引いて上陸できるのは?」
「6日だけですね。」
「それでは6日に決行する。」
戦車隊は上陸したが、ティリー伯自慢のテルシオ部隊100両は、前後左右を五門の戦車砲を備え、機関銃を持った兵士を乗せる自走砲であり死角がない。
愛里寿の戦車隊とテイリー伯ヨハン・グラーフのテルシオ隊は、コンジュ平原で激突した。
テイリー伯は自信満々だった。
「このテルシオは。T34/85の85mm戦車砲を前後左右に四門づつ積んでいる。前方を撃ち終わったら、後方にまわるがその際横から攻撃されても、すでに横が装填されているから反撃できる。そして後ろへ回った時も装填が終わっているから後ろへ反撃できる。しかも機関銃を持った兵士が四方に向いていて、おいそれと近づけない。近づいたら運が良くてハリネズミ。最悪の場合はどてっ腹に穴が開く。生きて帰れない。」
テルシオは30mの間隔で10両一列にならび、後ろにもずらずらと10両ならんでいる。
後方にはやはり、後ろ向きに85mm戦車砲が向いていた。
いますごく悩んでいます。たしかに愛里寿無双にはなりますが、この戦いの後、ヴェスターラント住民及びキルヒアイス分艦隊(愛里寿)の防衛するプザン橋頭堡の攻防戦がありますが、ちょっと表現が難しいので、改めて外伝にするか流そうかと考えています。すみませんm(_ _)m
コピペの際にぬけていてつじつまが合わない部分があったので一部削除一部加筆しました(1/8,16:21)。