Girls und Kosmosflotte   作:Brahma

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同盟からの亡命者ですが...

地球教徒が保護してきたのだな。

彼は同盟の「大きな市場」を提供すると言っていますが....

命に係わる市場だからな....家族にも長生きしてもらいたいし、自分でも少しでも長生きしたいものだからな...その条件に応じろ。なに空手形にしたってかまわん。やつにはだまっていたが、トリューニヒトも同じ条件を提供していたし、やつが戻れなくてもわれわれには協定の公式文書が残るわけだからな。

それから同盟の右派は、親トリューニヒトと背後にピエドラフェール財閥のいるやつとで大きく二分されている。右派にまともな人材がいないわけじゃないが、コンプラレールもリストレエコノスもわがフェザーンが操っているから、表にでてこれん。リベラル派はいうに及ばず。ヤン・ウェンリーは野心がないから結局同盟にはクズしかいないということだ。

いざというときに御輿としてかついで傀儡としてすえるために帝国にやつを提供するという価値はある。そうでなくてもフェザーンにとって都合悪い政府を挿げ替えることができる。同盟の国論は二分されるだろう。帝国にとっても攻めやすくなる。
同盟はせいぜいわれわれに食い尽くされて干からび、帝国に「処刑」されて滅んだところをわれわれが金髪の孺子によって統一された帝国を裏から経済的に支配するというわけだ。



第65話 そど子に「校則違反」でとりしまってもらいたい。わたしの遅刻よりも大問題だぞ。

「皇帝陛下...ではない、フォーク!」

「なんだ。無礼な。」

「たしかに君のところの資金源がなければこの革命は不可能だった。しかしもう終わりだ。」

「終わっていない。終わっていない。ハイネセンの10億人を人質にするんだ。」

銃声が響いた。

額からは血が流れない。

「??」

銃声が繰り返し響き、フォークの身体には穴が開いているはずだが血は出てこない。その代わりに火花が傷口かから飛び散る。

服と皮膚が破られ、現れたのは、鈍い銀色の光を放つ人型の姿をしたモノが姿をあらわした。

「イキョウトニシヲ、イキョウトニシヲ、イキョウトニシヲ...。」

それは、ひたすら棒読みでそのようにつぶやいた。おそらくフォークの意識が埋め込まれた部分が破壊されたためだろう。

ガチャ、ガチャ、ガチャ....

金属がこすれあってきしむ音をたてて、大佐のほうに歩いてくる。

その身体からチッチッチッ...と時間を刻むような音がする。

「!?」

「時限爆弾だ。そいつには時限爆弾がしかけられている。逃げろ。」

誰かが叫び、救国会議の面々はその会議室から出た。

ドッガアーーーーーン

爆発音がして数分前まで皇帝プログレスリー=フォークだったロボットは爆音を発し、金属片と煙をまき散らして、ばらばらになって飛び散った。

煙が落ち着いてきて会議室に戻る。エベンス大佐は 部下の兵士たちに

「このけがわらしいものを片付けろ。」とロボットの金属片を片付けるよう指示をした。

「ヤン提督の艦隊が衛星軌道上に展開、降下しようとしていますが、どういたしますか?」

「通信回線を開け。俺がヤン提督と話す。」

「救国会議最高首席執政官代行として同盟軍大佐エベンスが話をしたい。攻撃は無用だ。われわれがこれ以上抵抗するのが無益だと悟った。全てが終わったのだ。」

「それはけっこうだが...前から疑問に思っていたのだがグリーンヒル大将はどうなさっているのだ。」

「グリーンヒル閣下は、何者かに襲われて事故になり、重傷で入院されている。それ以上のことは面会謝絶でわからない。」

「ヤン提督。われわれの目的は民主共和政治を浄化し、銀河帝国の専制政治をこの世から抹殺することにあった。その理想を実現できなかったことが心残りだ。ヤン提督、貴官はどういうつもりかわからないが、結果として帝国の専制の存続に手を貸したことになるのだぞ。」

「専制とは、市民に選ばれない為政者が権力と暴力によって市民から自由を奪い、支配しようとすることだ。ハイネセンスタジアムで君たちの仲間が丸腰の市民に対して何をしたか、そしてあの集会が終わった後に何をしたか。貴官たちがハイネセンで行っていることがまさしく専制であることの証左になっているじゃないか。」

「....われわれは市民から選ばれた。」

「一議員として選ばれた者が貴官たちの中にいるのは知っている。しかし、やっていることはルドルフと同じだ。貴官たちこそが専制者だ。」

「違う!断じて違う!」

「どう違うんだ?」

「我々が求めているのは自己の権力ではない。腐敗した衆愚政治を矯正して祖国を救い、効率化するために一時的に必要な措置であり体制なのだ。帝国を打倒するまでのかりそめの姿だ。」

「一時的な措置...ねえ...。」

「では問うが、これまで帝国と150年間戦ってきたが、打倒することができなかった。今後150年間費やしても打倒できないかもしれない。そうなったときも貴官らは一時的な措置と主張し、市民の自由を奪い続け、権力の座にしがみ続けるつもりか。」

「いま政治の腐敗は誰でも知っている。貴官も熟知していたはずだ。それを正すのにどんな方法があった?」

「政治の腐敗とは、政治家が賄賂をとることじゃない。それは政治家個人の腐敗にすぎない。政治家が賄賂をとってもそれを非難できない状態を政治の腐敗というんだ。貴官たちは言論を統制した。貴官たちの政権が続いたとき言論が統制されていれば、仮に汚職があっても指摘できなくなる。民主主義の基本は情報公開と言論の自由のはずだ。それを統制しようとする貴官たちには、帝国の専制政治や前のトリューニヒト政権を批難する資格はない。」

「我々は生命と名誉をかけていた。それについては何者にも誹謗させん。われわれは正義を欠いていたのではない。運と実力がほんの少し足りなかっただけだ。」

「エベンス大佐...。」

「救国会議万歳!」

銃声がしたと思うと画像が消えて、画面は無数の白黒のしまとシャーというテレビ受像機独特の音をえんえんと発し始めた。

ムライ参謀長が

「最後まで自分の誤りを認めませんでしたな...。」

「人それぞれの正義さ...。」

「あの、提督、とんでもないニュースを受信しました。映します。」

「フェザーン中央放送局です、緊急ニュースをお知らせします。」

「??」

 

「ライトバンク帝国皇帝プログレスリー陛下は、当フェザーン自治領主アドリアン・ルビンスキー閣下と会談し、フェザーンとの自由貿易及び経済連携協定の内容を拡大し、混合診療や自由診療を全面解禁し、患者から申請があれば先進医療を健康保険なしで受診させること、民間保険会社と製薬会社の代表を厚生委員会に加えること、薬の特許の期限が切れたときは、後継医薬品の開発には厚生委員会が作った先行医薬品を開発した製薬会社に意見をきいてそれを十分に加味したうえで申請を受け付ける方針に決定しました。」

画面に映った男はまぎれなくプログレスリー=フォークであった。アドリアン・ルビンスキーとともに微笑をたたえている。その微笑は、フォークらしく、上目づかいの人を小ばかにした表情で、うすら笑いであった。フェザーンに飴をなめさせてあわよくば復帰するつもりなのだ。フェザーンがその思惑に乗るとは限らないことを察しえないのがフォークらしかったが。

 

「....。」

 

「続報です。ハイネセンの救国会議政権の崩壊に伴い、皇帝プログレスリー陛下は退位を宣言しました。」

「わたしは、イゼルローンによる不法で淫乱な反乱者ヤン・ウェンリーと不法に軍事革命を企てた、裏切者の救国会議の面々とたもとを分かち、ここに自由惑星同盟正統政府の樹立を宣言する。帝政を廃止し、最高主席執政官となるものである。閣僚は、副執政官ギーライ・イプロム氏、国防委員長コーネリア・ウィンザー夫人...。」




救国会議は崩壊したようだけど、なんか裏でごそごそしているな。
そど子に「校則違反」でとりしまってもらいたい。大問題だぞ。無理だけど。

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