Girls und Kosmosflotte 作:Brahma
「うむ。昼夜分かたず攻撃するしかない。」
追い詰められた救国会議軍は決心して空、陸で夜襲をはじめた。
第13艦隊、第14艦隊地上部隊の陣地には、長距離砲と手榴弾が投げ込まれる。
シ「夜襲だと?」
部下「はい。准将。あちらこちらで被害が出ています。」
シ「やむをえん。反撃だ。」
「エリちゃん、どこから攻撃なの?」
「全天スキャンしてみる?」
「惑星シャンプールの周囲に金属反応?デブリ多数?」
「2時の方向仰角70度、8時の方向伏角60度、敵のエネルギー波急速接近!」
ガガーンン...
ロフィフォルメは振動する。
「おかしい?本当にデブリ??衛星で偵察する?」
数十基の偵察衛星が数光秒の場所まで飛ばされる。
「今度は11時の方向仰角45度、5時の方向伏角30度から来ます。」
ガガーンン...
「うわああ...。」
各艦艇で艦内は悲鳴が起こる。
第14艦隊では敵の光学兵器に貫かれ数隻が撃沈されていく。
動揺が艦隊内にひろがっていく。ロフィフォルメの艦内もざわつきはじめる。
「みぽりん…。」
「みんな、落ち着いて!」
艦橋内のメンバーに対して叫ぶと、みほはマイクをもった。
「皆さん、おちついてください。もうすぐ敵の攻撃の正体がわかります。敵の攻撃の射角を読んで回避につとめてください。」
「わかった?敵はステルス性の反射板搭載機で光線を跳ね返している?一種の反射衛星砲?」
「エリちゃん、ハンシャエイセイホウって?」
「地上や宇宙空間などの発射装置から発射された光線を衛星や反射板搭載機で角度を変えながら反射させて、目標にあてる?そのような兵器を反射衛星砲という?」
「発射装置を見つける必要があるね。エリコさんみつかりそうですか?」
「3時の方向仰角60度、7時の方向伏角20度、9時の方向仰角45度!敵弾きます!」
「1時の方向伏角50度、5時の方向仰角70度!敵弾きます!」
またロフォフォルメは振動しゆさぶられる。
「発見?私たちからは死角?シャンプールの南緯15度、西径45度上空500kmの衛星軌道上?これから電子攻撃をしかける?」
エリコが両手に指を忙しく動かしてコンソールを操作する。
「!!」
「敵に発射装置が発見されました。」
「あの人工衛星か?ただちに破壊せよ!」
「だめです。敵の衛星は鏡面装甲ですべて跳ね返されてしまいます。!!ミサイルが発射されました。」
「!!」
「今度は何だ?」
「こちらのシステムに侵入されています。」
「押し返せ!」
オペレーターは、防衛プログラムを起動する。
「敵の出力が上昇しています。ふせぎきれません。」
「攻撃がやんだね。」
「敵のシステム占領完了?反撃する?」
「第10番基地破壊確認!第9番基地通信途絶!」
反射板搭載機は、勝手な方向へ飛んで地上の基地やトーチカを光線が攻撃し始めた。
しかし、救国会議軍には、あらたに提供された強力な兵器があった。
それは陣地の上にそびえたつ巨砲だった。
「アダマー、5,4,3,2,1,発射!」
「ヴォータン、5,4,3,2,1,発射!」
「ロキ、5,4,3,2,1,発射!」
「ミョルニル、5,4,3,2,1,発射!」
「蚩尤、5,4,3,2,1,発射!」
「フェンリル、5,4,3,2,1,発射!」
巨砲が一斉に火を噴いた。
「敵弾、きます!」
シュトルムティーガーがまた数台ひっくり返される。
「あ、あれは…。」
キューポラから双眼鏡と測距機で敵陣をみつめて優花里は気づく。
「どうか、したか?秋山さん。」
「カール、カール自走臼砲であります。口径60cm、有効射程4.3km。
シュトルムティーガーの38cmロケット臼砲は、5.6kmだから後退すれば防げます。全車後退!」
シュトルムティーガーは、優花里の命令通り後退し始めた。
そのあいだにもカールからの砲撃は続く。一台、また一台と撃破されていく。
「地上のシュトルムティーガーが攻撃されています。」
「みぽりん...。」
沙織が不安そうにみほを見る。
「昨日非番だった空戦隊の皆さんは出撃してください。地上の敵陣を照らしてください。」
上空の艦隊からは照明が地上に照らされ、艦砲射撃が始まった。
空戦隊もおりてきて、高射砲の死角を突き、トーチカ、カールを攻撃する。
爆炎が第三段目の陣地のいたるところで吹き上がり、夜空からの照明に照らされ、たなびいているのが見える。
「ヴォータン、撃破されました。」
「アダマー撃破されました。」
「蚩尤、撃破されました。」
「ロキ、撃破されました。」
「ミョルニル、撃破されました。」
「フェンリル、撃破されました。カール自走臼砲全滅です。」
「ええい、第二段目の陣地を救援せよ。」
「おいおい、歩いてか?鉄道も道路も破壊されて援軍を送るには徒歩しかないぞ。」
「仕方ないだろう。」
苦虫をつぶしたように大佐は答える。
通常塹壕は複数の線で成り立っている。一つ目の塹壕線が突破されたら二つ目の塹壕線で食い止めるか反撃して穴をふさぐ。
しかし迅速に穴をふさぐためにはトラックや鉄道が欠かせない。なぜなら前進壕と予備壕の間は3kmある。歩く場合、重さ30kgの荷物を背負って敵の砲弾が降ってくる中を3km歩くしかないのだ。
救国会議軍は、民間人を徴用して荷車で弾薬、食糧を引かせていた。費用の節約のためである。補給計画は、それなりに高度な計算が必要なことから、高校生クラス以上の現地の学生を徴用してやらせていた。
三段目の陣地からの救国会議救援部隊は、上空からの攻撃と戦車からの攻撃で進もうにも進めない。
「このまま二段目の陣地を蹂躙するであります。逃げる敵は歩兵部隊に任せて、突破するであります。」
「戦車早すぎる。突出しすぎだ。歩兵部隊がついてこれないぞ。」
「停止するであります。空戦隊と上空の艦砲にまかせて、補給と再編を図るであります。」
「シェーンコップ准将から報告です。リンツの部隊が第二宇宙港を確保したと。」
第二宇宙港からの空戦隊が救国会議軍の三段目陣地を襲う。
いかに堅固な陣地と言えども、もはや勝負ありだった。
部下「やつら陣地をすてて壊走をはじめたぞ。しかし、走って何人逃げられるのかな。この状況で。」
「いまであります。撃って撃って撃ちまくるであります。」
シ「陣地を確保次第、敵を追撃するんだ。」
「だめだ。抗戦を断念する。司令部まで退却せよ。」
「走って撤退か。地獄だな。」
この戦いで、救国会議はイゼルローン軍に多少の出血を強いたものの代償は大きかった。
こうして、シャンプールの防御陣地は破られ、救国会議軍は、同盟軍管区司令部ビルに叛乱部隊の司令部はたてこもった。しかし、ローゼンリッターは、司令部周囲の部隊のうち、半数以上の部隊を巧みに切り離し、2時間の白兵戦と銃撃戦の末、勝敗極まれりと叛乱部隊の指揮官マロン大佐がついに自決した。シャンプールの管区司令部ビルに白旗が掲げられた。
シェーンコップは、3日で反乱を鎮圧し、ヒューべリオンに戻った。ヤンは第一声、
「准将、おみごと。」「秋山中佐お疲れ様でした。」と二人を称賛したが、よくみるとシェーンコップの顔や手や服に赤い「植物の葉の気孔」のようなモノが無数についている。キスマークだと気がついて、あきれて苦笑するしかなかった。
「まあ、これくらいの役得がないとね。」
シェーンコップはうそぶいた。ハイネセンから脱出シャトル到着の連絡があったのはそのときだった。
シャンプールは鎮圧された。ハイネセンから脱出シャトルが到着という。果たして今度は何が起こるのか...