Girls und Kosmosflotte   作:Brahma

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結局分割することにしました。


第179話 バーミリオン星域、停戦です。

それは、自由惑星同盟領でもフェザーン回廊にほど近い数十光年の小惑星のなかにある洞窟だった。

 

入口は、ユカタン半島によくみられるセノーテのような泉で隠されている。「セノーテ」を奥ふかくを潜っていくと、泉の底は、高くなり、水がない空間が現れる。

階段が十段ほどあって、昇ると突き当りに暗証番号のようなものボタンがあって鉄扉が開くようになっている。

入って最初の広間には、刃物のついたつり天井がおちてくる。それを進むとジグザクした通路がある。その先は、やや通路が広がるが壁の屈曲した陰にフードをかぶった信徒、すなわち地球教徒たちが待ち構えている。ジグザグの通路と狂信者どもを避けるなり倒すなりして、さらに奥に進むと、広間があり、ロボットのスズメバチが羽音をたてて、うようよ飛び交っている。やはりそれを退治して通路を30mほど進むと広間があって、今度はロボットのさそりが身体を黒光りさせてうようよむらがっている。その奥には左右に分かれる通路があった。そのどちらに進んでもフードをかぶった信徒たちがナイフやブラスターを持って待ち構えている。さらにその奥へ行くとジグザクの通路になり、その角からナイフを持った信徒が襲ってくる。その突き当りには扉がある。その扉の内側は、ガラス張りであった。天井にガラス製の銃があり、近づくと反応して液体が放出される。それは、強酸性の液体であった。硫酸か塩酸のたぐいと思われた。その広間の床面は強酸性の液体がプールになっている。

強酸性のプールの左側には通路があるようで、信徒たちが待ち構えている。その通路は行き止まりになっており、奥で左右に分かれている。

なにか通った場合に感知するようで刃物がぎっしり生えたつり天井が落ちてくる。通路は50mほどで行き止まりになっており、25mほどで左へ行く通路がある。

 

その奥には、大広間のような空間があった。奥行き50m高さ30mほどであり、その中央には、20mはあろうか、正二十面体の黒い巨大な装置があった。触手のようなコードが伸びていて洞窟の壁面に接着している。その表面は、数百列にも及んでインジケーターランプが平行に無数に赤く点滅し、ボイラー音のようにウィンウィンうなっている。

 

「ようやくみつけたぞ。」

総大司教とニヒトが、ついにその巨大な装置を発見したのだった。途中の通路に潜む信徒たちを従わせるか、総大司教であると納得しない、または、「ワルフ仮面」「エリオット」に手なづけられた信徒たちと多少の戦闘になったが、過酷なダンジョンであるにもかかわず、総大司教とニヒトは難なく洞窟内の広間に到着した。かってヘルクスマイヤー伯が同盟領へ脱出した経路上、トゥール・ポワティエ星域のとある小惑星ガーフィキーの洞窟入口から2km、地下70mほどの場所である。

 

「これが...そうか...わしに隠れて発明しておったとは...。」

そこには、「ワルフ仮面」、「エリオット」、ゼフィーリア、ルパートもいた。4人は顔を見合わせる。総大司教は口元をゆがませた。

次の瞬間、「ワルフ仮面」、「エリオット」へ向かってナイフが数十本横殴りの雨のようにはなたれる。また総大司教の周囲には空中に浮かぶサーベルが円形に12本出現し、縦横無尽に「ワルフ仮面」、「エリオット」、ルパートに襲いかかる。3人は、その攻撃を必死に切り返すが、押されている。3人は巧みに避けながらブラスターを撃つ。

しかし、総大司教のマントの内部の漆黒の空間に光線が吸い込まれていくだけだった。

総大司教がほくそえむ。

「!!」

そのとき、ゼフィーリアが総大司教の前に立ちふさがり、大鎌で総大司教に上から斬りかかる。総大司教は、黒フードで動きにくそうに見えるのに、まるでボクサーの神技の域に達したディフェンスの如く、あるいはその黒い姿が光学迷彩のように周囲の風景に溶け込むように消えてすいすいとゼフィーリアの鎌の攻撃からのがれる。「ワルフ仮面」、「エリオット」、ルパートは総大司教のマントをつかもうとするが、するりするりと抜けていく。

そのときニヒトがにやりと笑い、レバーをひくと紫の光を放つ漆黒の異次元空間が現れる。ニヒトはルパートを突き飛ばして異次元空間にほうりこんでレバーを下して閉め、再びにやついて時限爆弾をしかけた。

「貴様!」

「そろそろここでのおままごとにもあきたんでね。」とつぶやく。

「ワルフ仮面」、「エリオット」は襲いかかるが再びレバーがひかれ、異次元空間が現れ、ニヒトに突き飛ばされる。

ニヒトにゼフィーリアと総大司教がおそいかかる。

ニヒトは、ゼフィーリアの大鎌の柄をつかみ、一本背負いのようにして彼女を異次元空間にほうりこむとともに自分も異次元空間に入って、数秒後、手に持った時限爆弾の起爆ボタンを押す。

次元転移装置は轟音を立てて爆発し、一時的に火と煙を吹きだしたものの、ニヒトが発生させた異次元空間に呑みこまれて消えた。

総大司教は、一瞬立ちつくしたものの、勝利を得たようにほくそ笑んだ。

 

一方全く同時刻のバーミリオン星域では、なにごともなかったように無傷のブリュンヒルトが宇宙空間に現れた。

ロフィフォルメとケーニヒスティーガーの姿はそのままもどらなかった。トータス特務艦隊の亀マークは消えた。数年間時間をさかのぼってアムリッツア星域で華が沈めたはずの黒色槍騎兵艦隊の残存艦は瞬時に復元され、ビッテンフェルトは死んだ次の瞬間なにもなかったようによみがえった。その一方では第14艦隊の艦影が同時に消えた。

奇しくもそれは、5月5日22時40分の一瞬のできごとであった。

 

ヒューベリオンの艦橋で、シェーンコップの言葉をきいていたヤンは、しばらく無言だった。やがて艦内にめぐる沈黙のおりをしずかにおしひらくようにヤンはつぶやく。

「...うん、その策もあるね。でもわたしのサイズにあった服じゃなさそうだ。全軍に後退するよう命じてくれ。グリーンヒル少佐。」

フレデリカは微笑みをうかべてうなづいた。




ルパートは、フェザーン占領直前の日に戻っていた。目を覚まして、いつものように弁務官オフィスに向かった。この時点では、父親を殺そうという確固たる決心があるわけではなかったが...。

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次がエピローグ完結です。

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