Girls und Kosmosflotte   作:Brahma

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キャゼルヌ夫人はコミケ会場での事件を届け出た。


第14話 やだもーわたし、どうなっちゃう[でありますか...]んだろう

オルタンスは、会場から最寄りの警察署に沙織が誘拐されたと届け出た。窓口の警官はしつこく沙織の身元をきいてきた。

「この娘は、亡命者とのことですが。」

「はい。そうです。身寄りがいないのでうちで引き取っているのですが...。」

「出身地はどこですか。」

「地球の日本という場所です。」

「サイオキシン麻薬などの持ち込みはなかったですか?」

「麻薬...ですか??」

「はい。」

「そんなものはありません。」

「あなたの家で隠しているなんて言うことはないでしょうね。」

「隠してません。それなら家宅捜索していただいてもけっこうですが...。

そういえば、誘拐されたのは、最近、エクセル・プランティードという方がハポネプラム駅で捕まって、そのときに痴漢にあったというアキヤマユカリっていう子に会わせるからって言う誘い文句だったんです。なぜ沙織とそのユカリって子の関係を知っていたんでしょうか。もしかして沙織の所在を盗聴機などで知っていたのかもしれませんね。ついでにそれも探していただければ...」

そうすると警官の顔色が変わった。

「わかりました...。届出はこれでけっこうです。娘さんまで誘拐されないでよかったですね。お疲れ様でした。」

と冷淡な笑みを浮かべていた。

「なんか、感じがわるいわね。」

オルタンスは帰路、視線を感じながら帰っていった。

結局のところ、沙織はもともとこの世界にいない人物なのでいかようにもできるが、軍高官の娘で、後方勤務参謀の妻を殺害した場合に、自分たちの力を誇示することと、問題化することをてんびんにかけて後者のリスクをとってやめたということだった。

しかし、彼女は沙織が無事に帰ってくる予感がしていた。そのぼんやりした予感が逆に彼女をして油断させたのかもしれないが、ヤンが、夫が、そして同盟軍内で正義感も白兵戦技も頂点を極めている「とっても強いお兄さんたち」がほうっておくわけがないという確信に変わっていた。

その日、勤務から帰ってきた夫にその事情を話した。オルタンスが不思議に思ったことを夫も疑問に思っているようだった。

 

 

一方、沙織が入れられた場所は、暗い空間だった。

「あ、あの、もしかして、魔法使いソフィーにでてきたワルフ仮面?」

ワルフ仮面は、魔法使いソフィーに出てくるカペート王国とソフィーが王女をしているポリーシャ王国の南隣の大国ムーワビト王国の首領で中世騎士のような兜をかぶっている人物として設定されている。

「そうだ。よくわかったな。」

 

「さてと...。」

「うつ...痛つ...。」

腕に注射が打たれている。しばらくして沙織の意識は遠くなった。

「ソフィー。」

「...はい。」

「君は魔法使いソフィーだ。」

「...はい。」

このあと沙織の記憶がない。

後に判明したのは、彼女を撮影してアニメ化した画像が半年前の魔法使いソフィーのスタジオに送られて、声優としても沙織がセリフを喋らさせられていたことだった。

 

 

さて...

秋山優花里は、テルヌーゼンで起こったソーンダイク候補暗殺事件をテレビで見ていた。

そして画面でハポネプラムナンバーの憂国騎士団の車が映しだされる。

「!!」

疑問に思ったことを憂国騎士団の団員たちに尋ねてみる。

「あのテルヌーゼンで代議員候補者が殺害されたようでありますが?」

「そうか。みたのか。テレビを。」

「ここの事務所の車とそっくりな車がうつっていたであります。」

「同じ車種はあるからな。」

「でもナンバーの37564がおなじでありますが。」

顔色がうっすらと変わる。

「われわれを疑うのか。」

優花里は、みほが黒森峰時代にチームメイトを必死になって救った態度と正反対の姿を憂国騎士団のメンバーにこのときはっきり見た。

「もし、そうだったら自首すべきであります。」

ふん..と憂国騎士団員たちは薄笑いを浮かべる。

「お嬢さん、そんなことより街宣に行く。車に乘れ。」

「はい...。」

優花里は車に乗り、30分ほどでコンビニに寄った。

「まあ、これでも飲んで落ち着け。」

さしだされたコーヒーを飲むとなぜか眠気がおそってきた。

そして目をさましたときには、ほとんど砂漠と言っていい荒野の中に走るハイウエイの道路わきにさるぐつわをかまされ、縄で縛られて「捨てられて」いた。

端末を見ると新着メールが入っている。

送り主はearthと表示され、開封すると「今回は生かしたが次はない。お前がどこにいるか分かっている。」

と書いてあった。




優花里がたおれているところへ車が通りかかった...

優花里のように、政治がらみの事実を知っているがために「捨てられた」女性の話は、どこかの先進国で起こった実話です。もともとは、第9話の一部でしたが後がつながらないこと、あまり気持ちのいい話ではないのでやめていましたが、続きを考えましたので今回投稿することにしました。

※カペート王国=カペー朝=フランス=ブリューヌ(魔弾(ry))
※ムーワビト王国=ムワッヒド(アルモハード)朝orムラービト(アルモラビト)朝→アラブ,イスラムの大国、オスマン=トルコ、ペルシャ、バルバロス海賊=ムオジネル(魔弾(ry))

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