Girls und Kosmosflotte   作:Brahma

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第146話 前哨戦です。

さて、同盟領出口付近の同盟軍基地は、ヤンとみほの命令だとビューフォートが伝えるとこぞって協力した。

 

フェザーン方面からの帝国艦隊は、弾道もなくいきなり出現する魚雷や暗黒物質の機雷に悩まされていたが、粘り強く魚雷出現パターンと弾道解析に努め、成果をあげつつあった。

 

シラクサ星域、ミッターマイヤー艦隊である。

ここでも、弾道不明の魚雷が出現し、さらに700隻を失っていた。ミッターマイヤーは機雷と魚雷の破片集めに努める一方、

「いままで魚雷の出現宙点とそのパターンを詳細に分析しろ。」

とオペレータたちに命じて分析させていた。

「閣下、閣下!」

「どうした?」

「機雷の分析が終了しました。機雷は暗黒物質が塗られてレーダーに反応しにくくしています。」

「なに?またか。」

ミッターマイヤーはミュラーの報告を思い出す。

「それだけではありません。巧みに自爆されていて時間がかかりましたが、亜空間へ情報を伝えるソノブイではないかと思われます。」

「やはり亜空間からの攻撃だったか。どうりで弾道が明確でないはずだ。亜空間の潜航艇の開発は、開発費と時間がかかるからとアムリッツアの大勝で中止になったのだったな。」

「はい。」

「ただし、資料は捨ててはいないはずだ。至急亜空間ソナーと亜空間ソノブイを製作しろ。」

「はっ、」

ミッターマイヤー艦隊では、亜空間ソナーと亜空間ソノブイをつくりはじめた。

 

トゥール・ポワティエ星域を通過しているラインハルトの本隊では...

「閣下、後方7時の方向、50光秒に巨大な物体がワープアウトしてきます。長さ20km、直径8kmと物体と推察されます。」

スクリーンに映されたのは巨大な円筒形物体であった。

「!!」

「円筒形物体から高エネルギー波!コロニーレーザーです。」

「散開しろ!」

「間にあいません。」

ラインハルト艦隊はいっきょに2000隻を失った。

「よし、シームレスミサイルを撃て!」

「はっ!」

 

あらかじめ情報を得ていたラインハルトは、シームレスミサイルを放ってこれを破壊した。

「9時の方向、3時の方向、天底方向から魚雷多数!」

「弾道は?」

「わかりませんが、出現パターンの解析はできます。」

ラインハルトの艦隊は500隻、また500隻が火球に変わっていく。

「信じられないことだが、亜空間からの攻撃かもしれんな。」

「わが帝国でも極秘にすすめられた計画がありましたが...。」

「そうだ。残念ながらこちらの戦力が同盟を大きく上回ったから開発は中止されたのだが...窮鼠となった同盟が先に開発をしたということだろう。」

ラインハルトはつぶやくやいなや

「亜空間ソノブイを放出しろ。」

「再び魚雷多数接近。亜空間からの弾道計算。発射宙点特定できました。9時の方向二か所、3時の方向も二か所、天底方向二か所です。」

「亜空間爆雷を投射せよ。」

「了解!」

 

「閣下。」

「帝国軍に亜空間キャニスターの位置が発見されました。」

「さすがだな。さっさとワープだ。この空間は危険だ。」

 

「弾道分析の結果、6ヶ所の発射宙点以外にも魚雷が発射されています。」

「6か所とは別の方法で魚雷が発射されたのだろう。おそらく...」

「亜空間を移動できる艦艇?」

「そういうことだ。」

ラインハルト艦隊は同盟領内で3500隻を失ったが、同盟軍の手の内をかなり明かすことに成功した。

 

「ミュラー提督、ミッターマイヤー司令から連絡です。」

「つないでくれ。」

「ミュラーか。」

「ミッターマイヤー提督、例の魚雷の件、なにかわかりましたか。こちらでも解析をすすめていて一定の推論には達していますが...。」

「うむ。敵は、亜空間から攻撃を仕掛けてきているのでは、という結論に達したのだが...。」

「そうですか。実はわたしのほうもそう考えざるを得ないと思っています。」

「うむ。弾道の解析と出現パターンをみてくれ。」

「25個を一単位として魚雷が発射されている。おそらく亜空間にひそませた多弾頭装置もしくはキャニスターがわれわれの通過を感知して発射しているのだろう。それだけではなく、この6か所の魚雷の出現パターンは、亜空間に潜っている潜航艇がキャニスターの発射とともに魚雷を撃ち、われわれの分析に誤認を強いようとしていると考えれば説明がつく。」

「なるほど...。」

 

タルシーン星域のミュラー艦隊である。

「ワープアウト完了。」

「亜空間ソノブイ放出。亜空間ソナー起動。」

「発射反応あり、7時、9時、5時の方向。魚雷多数。」

「亜空間爆雷発射。」

 

さてタルシーン星域付近の亜空間である。

ミュラーの放った亜空間爆雷が、「亜空間のビールケース」、亜空間キャニスターを破壊していく。

「閣下。亜空間キャニスターが破壊されました。」

「さすがだな。ミズキ中佐のいうとおりだ。さて新しいキャニスターを置いて逃げるぞ。」

「了解。」

 

「!!」

「どうした?」

「亜空間に10数か所のワープトレースらしきもの確認。」

「方向は?」

「こちらのソナー感度もありますが、かなりかき乱されていて...方向までは、わかりません。」

「やはり敵は、亜空間潜航艇を使っていると考えて間違いないな。」

「そうらしくあります。あっ」

「どうした?」

「ふたたび、魚雷多数接近。天底方向三か所。Z-5,X-9,Y-11、Z-12,X+5,Y-7、Z-6,X-11,Y+15」

「亜空間爆雷で迎撃だ。」

「了解。」

「しかし...。」

「どうなさいましたか?」

「1600年前、潜水艦はその遍在性によって敵を脅かしたというが、われわれはその恐怖をそのまま味わっているということだな。」

「閣下...。」

「くやしいが敵がどのくらい被害を及ぼしてくる分からない。どこの空間から魚雷が突如発射されたり、どこに機雷があるかわからない。少ない艦艇しか揃えられない中で恐ろしいほどの防御力を構築しているというわけだ。」


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