Girls und Kosmosflotte   作:Brahma

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キャゼルヌ夫人は、楽しいはずの休日が暗転した次第を語り始めた。


第13話 えっ、やだあ、あたしスカウト...されちゃったの?でもなんか変...

「沙織お姉ちゃま、こういうのがあるけど行く?」

それは、ハイネセンポリスビッグサイトで行われるコミケについての広告だった。

当日はテレビ局の取材もあるという。

コスプレのコーナーもある。魔法使いソフィーは人気作だし、沙織はソフィーそっくりだからコスプレすれば取り上げられるかもしれない。

「わたし、行く。ここで放送されればゆかりんに会えるかも。」

「沙織お姉ちゃまがソフィーのお洋服着てるところ見てみたい。」

「それはママに聞いてみないとね。」

「ママ~、沙織お姉ちゃまにソフィーの格好してもらいたいの。」

「しょうがないわね。沙織、どれくらいかかりそうなの?」

沙織はインターネットでコミケのコスプレショップのサイトに掲載されている衣裳とザートの価格を確認して、

「4万ディナールって書いてあります。」

って答えた。

「じゃあ2万ディナール出してあげるわ。」

「ええっ。ほんとですかぁ。なんか申し訳ないです~。」

「沙織は本当によく手伝ってくれるから。ボーナスよ。」

オルタンスは微笑む。

「お姉ちゃま、半分でいいの?」

「シャルちゃん、気にしないで。オルタンスさんからは家事手伝いのお駄賃をたぁっぷりいただいているから大丈夫。」

「そうね。楽しんでいらっしゃい。ユカリって子が見つかるといいわね。」

「はい。」

沙織は明るく答えた。キャゼルヌ夫人は少し考えて、

「わたしもいくわ。」キャゼルヌ夫人は再び微笑む。

「はい。」

沙織は嬉しそうに答えた。

キャゼルヌ夫人は、沙織にシャルロットを預けても安心だと思ってはいたが、なにか起こった場合に目が届いていなかったことに後悔するかもしれないと思ってつきそうことにしたのだ。しかも、よく考えてみたら沙織も他人の娘だ。沙織にも何かあってはいけないと考えたのだった。

コミケ会場は混雑していた。さまざまなアニメコーナーがあり、公式店のほか、同人ショップが林立している。

魔法使いソフィーのショップは簡単にみつかった。赤毛のヒーロー、ジークフリードとヒロインソフィーの等身大パネルが置いてある。

「ねえ、お姉ちゃま、買って。」

「うん。着替えてくるね。」

沙織はコスプレ衣裳を買って着替えてシャルロットに見せる。

「どう?」

「すご~~~い。本物みたい。」

「写真撮ってあげるわね。」キャゼルヌ夫人も楽しそうにカメラを構える。

三人は会場をしばらく見て回る。シャルロットは楽しそうにはしゃいでいる。

会場を一周して魔法使いソフィーの公式店の前にもどってきていた。

「お昼になったわね。」

「そうですね。」

「ちょっと沙織、シャルロットみててね。」

「はい。」

キャゼルヌ夫人が少し離れたスキだった。

「お嬢さん。」

「はい?。」

「ソフィーによく似てますねえ。撮らせてください。」

「あ、ありがとうございます。」

(うわ、イケメン)

「お嬢さんは、最優秀賞まちがいないですよ。ほんとにそっくりだから。」

「え~、そうですかぁ。すっごく、うれしいですぅ♡。」

「こっちへきてコンテストに申し込んでみないか。」

魔法使いソフィーの公式店のスカウトだった。さすがに沙織もシャルロットもまいあがってしまう。

「お嬢ちゃんはまっててね。このお姉ちゃんは本当にそっくりだからね。」

「はい。」

シャルロットはうれしそうだ。

(お姉ちゃまは本当に似てるからなにかいいことあるかも♡)

沙織は店の奥にまで連れていかれる。

待っているシャルロットに店員は話しかける。

「お姉ちゃんはお友達さがしてるんだよね。そのお友達がみつかりそうなんだ。ここはぼくたちにまかせて。お母さんはどこへ行ってるの?」

「お昼のお店探しに行ってる。」

「じゃあそこまで連れて行ってあげるから。」

シャルロットは不安になった。

「知らない人の車に乗っちゃいけないって言われてるから、ここで待つ。」

「オルタンス・キャゼルヌさん、オルタンス・キャゼルヌさんはいませんか?シャルロット・フィリスちゃんが第二会場105番店でお待ちです。」

放送が流れる。オルタンスがそこまで向かうタイムラグを計算しあたかもそこで迷子のシャルロットをひろったという設定にするつもりなのだ。しかし、幼いシャルロットにはそこまで考えが及ばない。

「あつ...。」

店員でない男が突然現れ、シャルロットを強引に会場内のランドカーに乗せた。そして、第二会場105番店前で待っている。

「迷子になったみたいだから、お連れしました。」

「沙織「うそ。お姉ちゃま」は?。」

「知りません。では。」

男はさっさとランドカーで姿を消す。

 

オルタンスは途方に暮れた。ほんの数分だった。

戻ってきたときには、沙織もシャルロットもいない。

アナウンスで自分の名前が呼ばれてみればシャルロットのみだ。

「沙織は?」

「あのお店でお店のお兄ちゃまに、ソフィーにそっくりだね、お姉ちゃまの友達が見つかるからって、連れて行ったきり出てこないの。」

「あなたが迷子だというのはうそなのね。」

「うん。」

「でもなんでそんなことを...。」

「こわいね。なんかお姉ちゃまがここに来ることを知ってたみたいに...。」

「ええ。」

釈然としない気持ちで、沙織に申し訳ない気持ちでオルタンスは帰るしかなかった。

こんどはシャルロットが危険にさらされるかもしれないのだ。

 




キャゼルヌ夫人は警察署に事の次第を届け出たが...

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