このようなことが三月まで続くと思いますがよろしくお願いします!
ではどうぞ!
胡桃は一階にあるバリケードの様子を見ようと単独行動をしていた。十六夜に言うと「ダメだ」と言われそうだったため何処に行くかは言っていない。
「ふぅー、一人って久し振りだな。」
壊れた学校。それにより周りは静かだ。
だからだろうか。胡桃はそれらを気にしないようにするため独り言を次々言っていく。
「だいたい、十六夜は全身から不良だぜみたいなオーラだしてるのになんであんなに頭が良いんだよ!むかつくな。」
最近のことだが、めぐねぇが作ってくれた小テストを解いてみたところ胡桃は十六夜に完敗した。そのことを思い出し近くにあった小さな瓦礫を蹴る。その時、
「あら?胡桃さん?一人で出歩いちゃダメでしょう?」
と後ろから声が聞こえた。その声は慈の声で胡桃は焦るのを隠すようにして声をだす。
「め…めぐねぇ!?いや、これは…その…めぐねぇはなんでここに?」
「私?私は…見回りよ。」
「そ…そっかぁ。じゃあ、私もついていこうかな。」
そして今度は二人して歩き出す。刹那、一階の方から大きい音が響いた。胡桃と慈は顔を見合わせて急いで一階まで降りる。
「…!?」
「これは…」
二人が見たのは雪崩のように玄関から入ってくるゾンビだった。そのゾンビ達は胡桃達に気づくとゆっくりな足取りで少しずつ二人との距離を詰めていく。
「…あっ…」
「…くそっ、めぐねぇは十六夜にこのことを伝えてくれ!」
「そんな…胡桃さんは!?」
「ここは私が食い止める!」
そう言うと、強くスコップを握りしめる胡桃。だが、そこにあるのは、恐怖だ。目の前のゾンビは死そのものである。その中に一人突っ込んでいかなければならない、みんなを守るためにもーーでも、決意することと実行することはまた別だ、それでも胡桃は走り出した。
「胡桃さん!?」
「めぐねぇ、お願いだからはやく‼︎」
「でも…!」
「めぐねぇ!」
慈に分かってもらえれるように胡桃は大きい声で叫ぶ。それを聞いて慈は悲しい顔をしながらも階段を登って行った。
「それじゃ殺りますか。」
慈が行ったのを見送ってから胡桃は呟き、周りにいるゾンビを倒して行く。それでもそのゾンビは立ち上がり胡桃に向かってまた攻撃を仕掛けてくる。それでも胡桃は何度もスコップを振った。
◆
「急がないと…はやく…しないと!」
『ウウゥー』
「こんなとこにまで…どうしたら…」
ゾンビは、はやくも二階に到着しておりその辺をウロウロと徘徊している。慈は、気づかれないように行動しようとするがそれだと遅い。胡桃の命がかかっているのでそんなことは出来ない。意を決して慈はゾンビに捕まらないように走り出す。たが……恐怖からか足が思うように動かない。
「お願い…だれか…胡桃さんを…」
近づいてくるゾンビ。絶望的な状況なはずなのに慈は胡桃を優先的に考える。それが先生としての責任であると今でも思っているのなら彼女は本物の先生であると言えるだろう。たとえそれが、自分の死の間際でも…
『ウウゥーぁ』
動きの止まっている慈にゾンビは容赦無く向かっていく、慈が追い込まれるのには時間はそんなにかからなかった。近づいてきたゾンビが慈に向かって手を伸ばす。彼等にあるのはお腹すいたという欲だけーー。
「いや…いや、来ないでーー!」
どうにか出せた声で叫ぶ。誰かその声に気づいてくれるように願いをのせて、それでもその願いは届かず彼女の肩にゾンビの手が触れる。その手は死をあらわしているかのように冷たかった。
「みんな…ごめんね…」
慈がそう呟いた後、目の前にいたゾンビは吹っ飛んだ。
◆
「ちっ、その手を放せ木偶がーー!」
二階に下りると慈がすでにゾンビにつかまっていた。すぐさま、自分が行くよりそこらへんにある瓦礫を投げた方が速いと考えた十六夜は瓦礫を拾ってゾンビに向かって投げる。そして、第三宇宙速度で飛んでいく瓦礫。
ズドンーー
クリティカルヒットである。もちろん瓦礫が当たったゾンビはあり得ないぐらい吹っ飛んでいきそこには慈の姿しかない。
「え?十六夜くん?」
「おう、なんだ?」
「ありがとう…あっ、そうだ。十六夜くん速く胡桃さんを助けて‼︎」
「胡桃?あいつはどこに…」
キョロキョロと周りを見渡す十六夜。
「いっちゃん‼︎」
「バカが…!生徒会室にいろっていっただろ!」
突如、由紀の声が聞こえそう怒鳴る十六夜。その声に少しビクッとした由紀はそれでもと十六夜に向かって歯向かう。
「私だけ…私だけ安全な所にはいれないよ。」
「ちっ、悠里が屋上にいるはずだ。そばにいてやれ話はそれからだ。」
「でも…‼︎」
「いいから…!はやく行け!」
十六夜の言葉にコクリと頷き屋上に向かっていった由紀をみて十六夜は溜息をつく。
「で、胡桃はどこだ?」
「一階で…一人戦ってる…。あの数だったら胡桃さんでも危ない。だから速くいってあげて?」
「分かった。あいつらは任せた。」
「ええ。」
いつもの調子を取り戻した慈は笑って答える。そして、彼ならなんとかしてくれるとホッとしていた慈はその彼ーー十六夜の顔、真剣な顔に最悪な場合を想定しざるおえなかった。
「それじゃ、行きますか。」
「無事で帰ってきてね…」
「ヤハハハ、俺を誰だと思っている。」
そう言い残し十六夜は胡桃のもとへ走りだした。
◆
丁度、巡ヶ丘学園の上ーー空中では一人の男がこの状況を見ていた。
フードを被り不気味な笑みをこぼすその男。印象からしてかなりの変人だ。
「一人の少女は壊れ、また新たな少女がくわわる。」
と、不気味なことを言いながら両手を広げこの状況の劇を楽しむかのように笑う。
「ささ、逆廻 十六夜。新たな劇を作ってくれることをきたいしているさ。我らーーーーを楽しませろ。」
一つの運命がまた動き出す。
次回もよろしくお願いします!