十六夜が学校ぐらしを始めるようです!   作:鬼城

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メリークリスマスです!

クリスマスプレゼントが楽しみな明日。とまあ冗談はさておき二話です。うまくかけているか不安ですが…

それではどうぞ!


二話 ゾンビ

二時間目が終わって職員室に戻ると慈は教頭に声をかけられる。それはいわゆる説教のようなものだった。

 

「教師に向いて無いとはいいません。しかし、生徒との距離感を間違えてはいけませんよ。友達感覚といえば聞こえはいいかもしれませんが…」

 

そんな教頭の言葉を聞きながら慈は、教師向いてない…かぁ、と考える。そして最後に「…いいですか?」という教頭の声を聞き慈は落ち込んだような顔で答えた。

 

「はい、すみません。」

 

そして慈は自分の席に座ろうとすると隣の席に座っていた神山先生が慈を励まそうと話掛ける。

 

「あの教頭、若い人に同じようなことを言ってるから気にしなくてもいいよ。」

 

「…はい。」

 

その言葉で少し心が軽くなったのか重くなったのかは慈には分からなかった。

 

放課後になり慈は朝から何件もきていた母からのメールを開く。その題名は「連絡ください」や「避難」などのもの…その中にある1通のメールを開くとそこにはメッセージと何かのURLがはられてあった。

 

「何かしらこれ」

 

そしてそのURLを開く、そこには巡ケ丘市で起きている事件がうつされていた。デパートで乱闘といったニュースには何か人では無いものがうつっておりそれは人々を襲っている。

 

「いや…いやぁぁぁああ」

 

思わず叫んでしまう慈。でもすぐに気持ちを切り替えて窓の外を見る。やはりと言うべきか学校の校庭ではニュースと同じような光景が広がっていた。

 

「ここを離れなきゃ」

 

そして、一番安全そうな場所、屋上へと向かった。

 

 

十六夜がグラウンドの方を見ていると由紀達も何かに気付いたのか同じようにグラウンドの方を見る。

 

「ねぇ、いっちゃんなにアレ?」

 

「……」

 

「アレ怖いよ、ねぇ!」

 

「大丈夫だ。」

 

そう言って十六夜は由紀の頭を優しく撫でる。それにより、落ちついたのか由紀は少し笑顔を見せた。

 

「おい!誰か開けてくれ!」

 

不意に声が聞こえたのは屋上の扉の方。その声の主は扉をドンドンと叩いている。

十六夜は慎重に扉に近づきドアノブに手をかけた。

 

「お願いだ。早く開けてくれ。」

 

今にも消えそうな声。十六夜は意を決して扉を開く。そして入ってきたのはツインテールの女子生徒とその女子生徒が運んできた男子生徒だった。男子生徒は腕に何かに噛まれたような傷を負っており苦しんでいるように見えた。

 

「おい、ツインテ、お前は怪我してないんだな?」

 

「ああ、私は大丈夫だ。」

 

「そっ、じゃあ聞くぞ。いま下では何が起こってる?」

 

十六夜の言葉に少し言いにくそうにするツインテこと恵比寿沢 胡桃。少しの沈黙の後、胡桃はポツポツと話し始めた。

 

「わからない…でもみんなが急に変な風になってそこからどんどん人を襲って…」

 

なにかを思い出したのか胡桃は身震いする。

 

「辛いことを思い出させたな。由紀、屋上から絶対にでるな!扉も開けるなよ!」

 

「いっちゃん?」

 

「大丈夫だ。すぐ戻る。」

 

そして十六夜は屋上を後にした。

 

 

すでに屋上の近くではゾンビが迫ってきていた。数は…一、二…十…、そのゾンビ達は十六夜を見つけると同時に動きだす。

 

「はっ、しゃらくせぇ!」

 

そのゾンビ達に十六夜は拳を突き出す。そして起きたのは風。その風によりゾンビ達は後方へと吹っ飛ぶ。まだ生きてはいるだろうがそのゾンビ達の動きを一瞬止めるだけで十分だ。その間に十六夜はそこを突破する。

 

「それにしても数が多いな。慈は生きてるのか?」

 

十六夜としては生きていてくれないといけないのだが…この数だ、慈はどうやってこの中を逃げているのか。そんな事を考えていると女の悲鳴が聞こえる。

 

「あの声…慈か!」

 

十六夜が思った通り、階段を降りると廊下の奥に今まさにゾンビに襲われている慈の姿があった。

 

「こないで!」

 

そう言いながら手に持っているバットを振り回す慈。だがその攻撃は全て宙を切るだけで全く当たらない。

そうしているとバランスを崩して尻餅をつく慈にゾンビは近づく。そして、慈を噛もうとした時、慈の目には今日会ったばかりのあの背中がうつった。

 

「おいおい、慈こんなところでくたばんなよ。」

 

そして、十六夜は慈を襲っていたゾンビを蹴る。ゴンッという鈍い音が響きそのゾンビはさらに廊下の奥へ吹っ飛ぶ。

 

「なっ!十六夜くんあなた人間?」

 

「おう、一応人間だな。」

 

蹴られただけでものすごい吹っ飛ぶゾンビ。そんなこと誰にでも出来るわけではない。そして次から次へとゾンビを吹っ飛ばしていく十六夜に慈はもうほとんど苦笑いをしている。

 

「今から屋上に行く。女子生徒 三人と、男子生徒 一人…いやあの男子生徒はもうダメだな。急ぐぞ慈」

 

「え…ええ。」

 

屋上に着くとさっきまでの倍の数のゾンビが扉を叩いていた。そのゾンビ達をやはり吹っ飛ばして十六夜は叫ぶ。

 

「おい!十六夜だ。開けろ」

 

「え?十六夜くん?分かった少し待ってて。」

 

悠里の声が聞こえて扉が開く。十六夜達はすぐに屋上へ入ると扉を閉めて鍵をかけた。

 

「なっ!」

 

屋上に入るとすぐに男子生徒が血を流して倒れている姿が目に入る。そのすぐ近くに胡桃がおりスコップを手に持っている。

 

「ツインテお前がやったのか?」

 

「………」

 

「いっちゃん…グスッ」

 

そして由紀はなぜか泣いている。胡桃は下を向いてなんの反応も見せない。ゾンビとはいえ人を殺したのだ、相当ショックだっただろう。

 

「俺が…いなかかったから…辛い思いをさせたな。」

 

そう胡桃に十六夜が言うと、胡桃はその言葉によりさっきまでおしとどめていた気持ちが爆発したのか大声をあげて泣いた。





ここ近くに次回話を更新させていただきます。

それでは次回もよろしくお願いします!

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