十六夜が学校ぐらしを始めるようです!   作:鬼城

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結構早めに出せました。

ではどうぞ!


一話 事の始まり

慈の車で学校まで行く途中でもう何台もパトカーや救急車が通って行くのを見かけた。

さすがに数が多過ぎる。そして、周りを見て見ても人の気配はなかった。そんな異常な光景に十六夜は嫌な予感に駆られる、今までたくさんの経験をした彼だからこそ感じ取れる違和感。

 

「慈、学校まであとどのくらいだ?」

 

「もうすぐよ、あそこに見えるでしょう?」

 

そうして指でさして場所を教えてくれる慈。

その指の先には普通の学校に比べて少しばかり大きな学校があった。

 

 

「校長先生、彼が学校の見学をしたいって言っているんですが…よろしいでしょうか?」

 

四十代ぐらいのおじさん(校長)は、慈の隣にいる十六夜を見て笑った。

 

「君は逆廻 十六夜君かね?カンパニーのほうから話は聞いているよ。遠いところよく来た。」

 

カンパニーとはギフトゲームの主催者のことだろう。そこから話を聞いているとなると十六夜の名前を知っていることにも頷けた。

 

「今日は好きな所をまわりなさい。」

 

校長はそう一言言うと自分の席へと戻っていった。それを見届けてから十六夜は慈と一緒に職員室をでる。とりあえずは慈に着いて行ったほうがいいだろう。

 

「慈、今からどこに行くんだ?」

 

「十六夜君ここでは先生をつけなさい。」

 

「はいはい、慈せんせーどこに行くんですか?」

 

と茶化すように言う十六夜に慈はむうっと頬を膨らませて十六夜を睨む。

 

「今から、あなたの言っていた丈槍 由紀さんのいるクラスに行くのよ。」

 

「へー、それは楽しみだ。」

 

そして、目的の教室につき先に慈が入る。

 

「今日はお客さんが来てるのじゃあ呼ぶわね。十六夜君」

 

そう慈は生徒に言うと十六夜に入るように促す。

 

「えー、ご紹介にありました。逆廻 十六夜です、今日は見学をさせてもらうのでおかまいなく。」

 

と、十六夜が自己紹介をするとクラス中が騒ぎ出した。「わぁ、かっこいいね。」「外人かな?」とかなんやらという言葉はそれぞれだ。

 

「みんな静かに!十六夜君はあそこの空いてる席に座ってね。」

 

そう言って慈の指した席は後ろ側の席だった。そしてその隣には、ピンク色の髪をしてヘンテコな帽子をかぶっている女子生徒…少女?

 

「丈槍さんの隣じゃん、かわいそうだな。」

 

「いつ見ても可笑しいよねあの帽子…」

 

そんな声に十六夜は眉をひそめる。

十六夜の席が決まると再びクラス中が騒がしくなった。だが、さっきまでの好奇心や興味のような声とは違い嘲笑したり馬鹿にしたりする声だ。それが向けられているのは十六夜の席の隣の女子生徒。そして、その女子生徒は十六夜の方をジッと見ていた。

 

「おまえが、丈槍 由紀か?今日1日よろしく頼むぞロリっ子」

 

「うん!いっちゃん!」

 

「いっちゃん?」

 

突然の由紀の言葉に戸惑う十六夜。彼としてもこのような渾名で呼ばれるとは思わなかっただろう。

 

「いざよいのいをとっていっちゃんだよ。」

 

「普通に呼ぶことができないのか?ロリっ子」

 

「うん?いっちゃんに決定だね!」

 

どこの話をとってそうなったのか。まるで会話が成立しない。それにもう渾名は決まってしまったようだ。

 

「おい、ロリっ子。恵比寿沢 胡桃って知ってるか?」

 

これを聞くのは慈でも良さそうだが早めに情報を貰っておきたい十六夜にとって迅速が今は大切だ。それにこれが終わっても慈は授業があるだろうから放課後までは話が出来ないだろう。

 

「うん、知ってるよ。話した事はないんだけど…陸上部の子で…確か、ツインテールをよくしてる女の子だよ!」

 

「おお、的確な情報をありがとよ。」

 

「ううん、困った時はお互い様だよ。」

 

そう言って由紀は笑った。

 

 

時間が過ぎるのは早く気づけば放課後で、外では部活をしているのか声が聞こえてくる。こんなにゆったりとした日々は十六夜にとって久しぶりだった。十六夜は隣で寝ている由紀を起こす。由紀はあれからずっと寝ていた。なぜ、そんなに寝れるのか不思議なくらいだ。

 

「おい、おきろロリっ子。屋上に案内してくれ。」

 

「ふぁ?おはよう。いっちゃん。」

 

「ああ、おはようではないけどな。それで、屋上は?」

 

由紀は大きく背伸びをしてまだ眠たい目を軽くこする。その仕草にはロリコンなどではないが可愛さがあった。

そして、危ない足取りで屋上へと案内してくれる由紀。

 

「ここだよ。」

 

そう言ってついた場所は菜園のある屋上だった。そして周りを見渡す十六夜はあるものを見つける。

 

「あれは…太陽光…発電設備まであるのか…」

 

普通の学校ではないだろうものが屋上にはあった。それに感嘆する十六夜。すると、不意に声が聞こえた。

 

「あら、屋上は立ち入り禁止なのだけど…」

 

十六夜はその声がした方を向く。そこには茶髪の髪をしているいかにも優しそうな雰囲気をまとっている女子生徒がいた。スコップなどをもっていることから菜園を管理している生徒だろう。

 

「そうだったのか、悪いことをしたな。で、おまえは?」

 

「ああ、私は 若狭 悠里。で野蛮で凶暴そうな貴方は?」

 

「ヤハハ、見たまんま野蛮で凶暴な逆廻 十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なのでそこの所よろしくな。そして、隣にいるのが 丈槍 由紀だ。」

 

結構前に同じような自己紹介をした気がするなと十六夜は思いながらも悠里に自己紹介をする。

 

「そう、貴方のことはよく分かったわ。よかったら園芸部の見学をして行ってね。」

 

「はーい。」

 

悠里の言葉に由紀は小学生のように手を上げて答える。どうやら、ここにいてもいいみたいだ。そして、ふと街を見渡す。

 

「…っ!?」

 

そこには、無数の煙が街からたちあがっておりグラウンドを見るとなにかから逃げまわっている生徒達の姿があった。




次回はめぐねぇ視点から書いてみようと思います。

それでは次回もよろしくお願いします!

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