ノーネームであるコミュニティーを去ってグリフォンのグリーと箱庭の貴族の黒うさぎの二人と旅をしていた時、ある1通のギアスロールが空から降ってきた。
「なんだこれ?」
十六夜が問うと黒うさぎが耳をピンッと立てて言う。
「さぁ、空から降って来ましたよ?」
「それぐらい知ってますですよ?だから箱庭の貴族(笑)て言われるんだ。」
「な!?酷いですよ‼︎?十六夜さん。」
そんな黒うさぎの涙声を無視して十六夜はそのギアスロールに目を落とす。一見普通のギアスロールだ、だが内容に問題がある。
「なぁ、普通ギフトゲームって箱庭で行われるもんなんじゃねぇの?
「はい!十六夜さんの言う通りです。ギフトゲームは神魔の遊戯ですから神様が集うここでしかギフトゲームは行われないはずなのですよ。」
「じゃあ、コレは異常なわけか!」
そして、楽しいことを見つけたと言うように笑う十六夜。そんな十六夜を横に黒うさぎは十六夜が持っているギアスロールを覗き込む。
「な!?あり得ません!」
その内容はこうだった。
ギフトゲーム名 穢土蛇神
プレイヤー 一覧 逆廻 十六夜
クリア条件 •全ての謎を解け
•丈槍 由紀、恵比寿沢 胡桃、若狭 悠里、直樹 美樹、佐倉 慈をゾンビにさせないこと。
クリア方法 •学校の校歌による紐解き。
•とりあえず安全地帯の確保。
敗北条件 •クリア条件が達成できなかった場合。
•クリア条件が達成できなくなった場合。
注意 •自分が人ではなくなる可能性がある。
•噛まれるとアウト。
•コレは外界で行われる。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、〝逆廻 十六夜〟はギフトゲームに参加します。
〝 ランダル・コーポレーション〟印
「黒うさぎ、コレをどう思う?」
「…どうもこうもありません。内容がグチャグチャです。」
そう告げる黒うさぎその顔はとても真剣なものだった。そして、黒うさぎが「あっ!」と大きい声で叫ぶ。
「うるさい!」
と一応チョップを黒うさぎに入れる十六夜。そんな自分に起こったことを黒うさぎは無視して、十六夜の顔を不安そうに見る。
「…十六夜さん…この隅のほうに『なお、外界への召喚はこのギアスロールが届いて三十分後とする。』って書いてあります。」
「なんだと?」
さすがにコレには驚く十六夜。つまり、このゲームには拒否権がないわけだ。すぐに審判権限を発動させたとしても、これが外界でのゲームだとしたら無意味…
「おい!黒うさぎ!届いて何分たった?」
「もうすぐで三十分です。」
「ちっ、よく聞け黒うさぎ!このゲームはギフトゲームではない可能性がある!それと…」
そして、十六夜が黒うさぎに色々伝える前に十六夜は光の粒子となって箱庭の世界から消えた。
そして、十六夜が消えた空を眺める黒うさぎ。その顔には不安だけが残っていた。
◆
ーー同時刻ーー
ここ巡ケ丘市にある私立巡ケ丘学院高校では授業をしていた。その中でネコのような耳がある黒い帽子をかぶっている容姿が幼い女子生徒は机に顔を伏せて寝ていた。
「おい、丈槍。私の授業は寝るほどつまらないか?」
そして寝ている女子生徒に先生の投げたチョークが当たる。
「痛て…」
「目が覚めたか、丈槍?」
「はぁい、おはようございます。」
そして、顔を上げた女子生徒 丈槍 由紀は大きく欠伸をする。その時由紀は外のある一点を見つめる。
(…あれは、流れ星かなぁ?)
そこには、ものすごいスピードで何かが落ちているという光景があった。
◆
上空 4000mほどの高さに逆廻 十六夜はいた。やはり召喚となると空に放り出されるのは決まっているのだろうか。などと呑気に考えながら下に広がる街並みを見渡す。
「なるほど…俺たちのいた世界ではないな。」
つまり、ここは別の場所。外界は沢山の数があるその中で自分が生きていた世界と同んなじ場所だったら、素晴らしい偶然だ。それはもはや奇跡だろう。
「ちっ、今度は海かよ。」
そう悪態をつきながらも十六夜は海へ落下していく。
しばらくしてドオンッという着水音、身体全体が水に浸かる。まだ、箱庭召喚の方がよかったかもしれない。
「あーくそ、気持ち悪りぃ。」
なんとか浜辺まで着いた十六夜は海水を吸ってしまった衣類達を絞っていく。そんな彼を見つけたのは通りすがりの女性だった。
◆
「お風呂はどうだったかしら?」
そう言ってくるのはピンク色の髪を後ろでくくっている女性…さっき、十六夜を助けてくれた女性だ。正直、風呂とかどうしようと思っていた十六夜にとってこんな配慮は素直に嬉しかった。
「この服…洗っておいたから乾くまでまっててね。」
十六夜は変えの服など持っていないので今は腰に大きめのタオルを巻いて彼女の部屋に座っている。とうの彼女は顔を少し赤らめていた。この状況をみたら黒うさぎがなんて言ってくるかわからない。
「で?おまえ名前はなんて言うんだ?」
「ああ、ごめんなさい。私の名前は佐倉 慈 一応高校で教師をやっているの。」
見た目は高校生と言っても疑わないくらいの若さだ。それで教師と言うのだから生徒からも人気があるだろう。
「あなたの名前は?」
「俺か?逆廻 十六夜だ。さっきは助かった。」
「それぐらい当然よ。」
そう言ってニコニコと笑う慈。そんな彼女に少し聞いてみる。
「慈、高校の先生なら知ってるか?丈槍 由紀っていう名前の奴…」
「ええ、知ってるわよ。私立巡ケ丘学院高校の三年生の女子生徒だもの。」
これは嬉しい誤算だ。ダメもとで聞いたつもりだったのだが、見事に当たったらしい。
「俺をそこへ案内しろ慈!」
そのまま十六夜はもう乾いたであろう自分の服を素早く来て言う。
「別にいいけど…私も学校に戻らないといけないから…じゃあ、行きましょうか!」
そして十六夜達は高校へ向かった。
さぁ、これから新たな物語が始まる。そんな予感を心にしまって十六夜な車の中から外を見上げた。
一週間に一回出せればと思っています。
では次回もよろしくお願いします!