ナザリック地下大墳墓の宝物殿。
パンドラズ・アクターとアインズ・ウール・ゴウンは燦然とした風景に頭を悩ませていた。
「フム...本日は大晦日...掃除するところ等無いかと思っていたが、まさかこんな所にあったとは」
「
アインズが言った通り、本日は大晦日である。
年の暮れ。12月31日の事であり、日本では年越し蕎麦を啜りながら炬燵で寛ぐのが良くある光景である。2138年になってもそれは変わらなかった。
そして、そんな大晦日には大掃除をする習慣がある。
清らかな心で年を越すだとか、清潔な部屋で新年を迎えるだとか、まぁ諸説あるがそれは日本に染み付いた習慣である。
良くある物...かは分からないが、部屋を掃除していたら懐かしい漫画が全巻出てきて読破したとか、昔のアルバムに思いを馳せたりだとか、大好きなネット小説が更新されていて興奮鳴り止まず気付いたらそのジャンルの他作を新たに読破するだとか.........。
挙げればキリが無いが、大掃除とは得てして気付いたらやっていないものである。決してネット小説を書き初めてはならない。
おっと、話は逸れたが。アインズはそんな風習を重んじて大掃除を命令した。
と言っても、普段から埃一つないナザリックでは掃除する必要は殆どない。せいぜい五大最悪の部屋の清掃くらいか。
と思っていたが、アインズは思い出したのだ。宝物殿の有り様を。
そこには、ある程度の金貨を越えると所有できないギルド金庫をオーバーした金貨を全て置き去りにした。
結果が、この有り様である。金貨が山となって光を照らしているのは凄まじいが、これでは少々乱雑と戒められても仕方あるまい。
「とーさま!とーさま!ぴかぴか!」
生後○カ月経ったムササビは片言でだが言葉を話せるようになった。当たり前か。あれだけ早く言語を魔法で話したのだから。
ムササビは目を爛々と輝かせながら、ヨチヨチと金貨の山へと飛び込むと、金貨を掬い上げては溢す遊びを楽しんでいた。
(やっべ、超かわいい)
アインズはムササビの愛くるしさに精神沈静化が訪れるのを煩わしく思いながら口に手をやった。
言葉を発しない赤子というのも可愛いが、喋りだして間もない時期もまた乙である。
辿々しさと あどけなさから可愛さが増加するのだ。更にはムササビの無邪気な行動が、ソレに箔を掛けている。
「ムササビよ。すまないが、これは片付けようと思うんだが。どいてはくれないか?」
アインズは自分でも驚くほど優しい声で語りかける。
が、ムササビは珍しく反抗気に頬を膨らませた。
「いや!ぴかぴか、すき!」
「...oh」
「ア、アインズ様?御気を確かに!!?」
息子の発言にアインズは膝を付いてしまう。
自分のお願いが、金貨に負けたのだ。
アインズは悲しくて悲しくてここら一体に〈
しかし、考える。
これは好感度アップのチャンスだと。
「よ、よし。ではその金貨を一山お前の部屋に置いてやろう。パンドラズ・アクターよ。残りは私のインベントリに突っ込んでおこう」
「ほんと!?やたー!」
「畏まりました。
「ふ、ふふふ。やったぜ」
こうして、一日早いムササビへのお年玉の金額は約5億金貨という破格の額であった。
気、気付いたら書いてたんです。許して。