ムササビくん成長日記   作:ショウラン

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奇跡も魔法もある世界なのでこれくらい有っても良くないですか?


1.ムササビくん誕生

西暦2138年、なんやかんやと異世界転移を果たした青年、鈴木悟はゲームキャラクター『モモンガ』の姿で村人を襲う騎士を討ち返す。名前を自分が住まうギルド『アインズ・ウール・ゴウン』に改名し、異世界にその手を伸ばしていく。

 

遥かに脆弱な最高位天使を殺し、サイコかわいこちゃんを圧迫死という方法で殺し、アイテムの力で操られた仲間を殺し蘇生させ、部下の成長のために当て馬感覚で一つの種族を一度に配下に就けさせ、王国で大誘拐をしたかと思えば変装して一気に英雄になり(しかも軽く一人を恋に落とし)、ギルド拠点への侵入者を自ら呼んでおいて全力で葬り、その他諸々、なんだかんだとしてきたアインズだが、此れからは少し違う話をしていきたいと思う。

 

 

 

 

 

 

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『ムササビ成長日記』

・一日目

 

日記を付けるというのは初めてだ。普段はわざわざ記さなくとも記憶に焼き付く日々か凄くどうでもいい日々だったし。

だが、これからは違う。私の最愛の子供が産まれたのだ。元気な男の子。アルベドには感謝しなければならない。子供を産むのに協力してくれたペストーニャとニグレド、ソリュシャンにも多大な感謝を送らねば。

 

襲われた時にはどうなることかと思ったが、子供というモノは素晴らしい。私が指を伸ばせば、きゃいきゃいと指を握ってくるのだ。愛らしくて愛らしくて仕方がない。 アルベドに似て美形で、一部は私と寝て骨となっている。種族的には【半・(ハーフ)骸骨の魔法使い(スケルトンメイジ)】とか【半・(ハーフ)小悪魔(インプ)】とかになるんだろうか。いや、どうでもいいか。私の子供ならばどんな種族でも可愛いに決まっている筈だ。

 

明日は何をしようか。オムツとかいるのか?あぁ、わからん。分からんが...分からない事がこんなに楽しいなんて初めてだ。

 

 

では、今日はこの辺で筆を置こうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「アインズ様、おめでとうございます!」

 

『おめでとうございます!!』

 

玉座の間で朗らかに我が子を抱くアインズに、部下の者達が祝福の言葉を投げ掛ける。

 

「ありがとう。後、声の大きさを落とせ。ムササビが起きてしまう」

 

静かに、だが綺麗に響く声でアインズは部下に注意する。アインズの子息、そして男の子である『ムササビ』は先程寝たばかりだ。寝るまでは割りと苦労を強いられたが、アインズは精一杯いないいないばぁ、とすると笑いながらムササビは眠った。

 

部下の者達は、慌てて口を抑えた。自分達の声でアインズの子息が目覚め泣いてしまえば命を絶つ他、許される筈がないのだから。

 

「皆に、改めて伝えよう。

この子が、本日産まれた愛しの我が子...ムササビだ!」

 

部下の者達は声には出さないものの、空気を変えた。ぶわっ、と張り詰めた歓喜の心が場を包む。

 

ムササビ。命名はアインズ、もといモモンガだ。

 

なんと素晴らしい名前。なんと見事な風格。生まれたばかりにして、自分達の上位に立つ者の雰囲気が感じられる。そんな存在に敬意を示し、忠義を尽くす。

 

アインズは満足げに頷き、では、と続きを話す。

 

「そして此方が今回私の伴侶となったアルベドだ」

 

「皆さま、ふつつか者ですが、アインズ様の為心身共々削る思いで尽くす事を誓います」

 

アルベドの慈母じみた笑顔に、数人は目を奪われる。部下達の中で最前列に立つ階層守護者の一人、シャルティアは涙を顔に浮かべていた。なんだかんだで、彼女も嬉しいのだ。

 

皆、自分達の忠義の対象が増えたことに、そして仕えるべきアインズの妻としてNPCの最高位存在であるアルベドが就いた事に喜びを感じる。

 

「では、皆よ!我がアインズ・ウール・ゴウンの更なる指標は、我が子ムササビの生育だ!ムササビを...私以上の実力者に育て上げるのだ!!」

 

わぁぁぁぁ!!と心の中で歓声を上げるシモベ達を見てアインズはしめしめ、と笑う。

 

(これでムササビは安心して育つし、絶対者も引退できる。最高じゃないか!)

 

珍しく最適の案を思い浮かんだ時分を褒め称えつつ、我が子を撫でやる。

 

 

 

と、同時に「おぎゃぁぁぁぁ!」と泣くムササビを前にして、その場にいる全員がとてつもなく慌てるのは、また別の話。




一話辺りこれくらいです。

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