東方全能旅   作:焼鰯

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二十六旅:旅をしているが退屈すぎる

前回の月と幻想郷によるいざこざは俺によって終わったのだがこれがまた紫が月からなんでもいいか幻想郷のためになる技術持ってきてっとか言ってきた。こ、こいつ反省していない。否、学習をしない。なんだ?そんなに人に怒られるのが好きなのか?

 

 

「まあ、頼まれたら断れない性格なので月に来たんですがね」

 

「そんな普通に地球から月に来ないでください」

 

「そんな釣れないことを言うなよツクヨミ、都の主と旅人との関係だろ?」 

 

「いや都の主と旅人との関係だろ?って言われてもそもそも関連性ないじゃないですか」

 

「そんなことより幻想郷をもっと近代化するために協力してくれ」

 

「話を逸らさないでくださいね?」

 

 

今思えば月に来たとしてもツクヨミにしか頼りになる人がいなかった。いやまあね?綿月姉妹に頼るのも良かったよ?だけど今は地球に残ってしまった暁佑全とは知らないわけ。仮面を付けて会ってみ?即戦闘になるから。仮面を外せよと思うじゃん。即号泣で頼ろうとしても逆に頼られるやん。いや会ったら依姫の場合は、「帰ってくるのが遅いじゃないか。罰として私と特訓だ!」とか言われそう。まだ地上にいた頃は模擬戦ばっかしてたわ。能力を使えば勝てたが剣術では完敗したよ。豊姫の場合は「戻ってくるのが遅いですよ。その……次からはいなくならないで下さいね。八意様も心配してましたよ?」とか心配してそう。いやそこまで話したこともないし、強いて言えば会議とかでサボった時に匿ってほしいとか言われたな。それを何年間も。あれ?結構話したりしてる。依姫よりも話したりしてるよ?今思い返せば色々思い出すなぁー。

 

 

「あの…暁さん?聞いてますか?協力はいいんですけどぉ…もしかして自分の世界に入っちゃっいましたか?」

 

 

ツクヨミが顔の前で手を振る。

 

 

「ああ、すまん。考え事してたわ。それで…仮面を外して綿月姉妹を攻略する話だろ?」 

 

「すいません、話聞いてないなら聞いてないって言ってくださいね?」 

 

「あっはい」 

 

「まったく、協力はいいですけど近代化のために技術を提供しません」 

 

「技術くれないの?」 

 

「あげません」

 

「くれ!」 

 

「あげません」 

 

「くr「あげません!」はい」

 

 

少し圧力をかけたがツクヨミは頑固なもんでくれませんでした。技術くらい一つや二つくれやしませんかね?

 

 

「技術は提供しませんが月の図書館で自分で調べてください」 

 

「そんなケチケチしなくていいだろぉ?」

 

「いいえ。もし万が一、月の技術を渡して幻想郷が近代化発展してみてください」 

 

「ああ」 

 

「技術の力で月にまた攻めてくるかもしれません」

 

 

紫は攻めない代わりに俺に頼んでいるから攻めないと思うけどな。

 

 

「だけど友人はもう攻めない代わりに俺を月に寄越しているんだぞ?もうあいつの事だから来ないと思うがな」

 

 

反省はしてないがな。

 

 

「いや生き残っている妖怪たちが攻めて来る可能性があるんですよ」

 

 

確かに有り得そうだが月の都は特殊な結界により見えないしそもそもの話、幻想郷の妖怪が月に行けるわけがない。技術の力を使えば有り得そうだが。

 

 

「まあ、そこら辺はだいじょぶだろ。一部の妖怪しかあの内容は分からないだろうし」

 

「それもそうですね。さっきまで技術をくれと言われて悩んだ私が馬鹿みたいです」

 

「なんか嫌な言い方するな。ところで今から綿月姉妹のところに行っていい?」

 

「あなたの事ですから問題でも起こすのですか?」

 

 

こいつは人をなんだと思っているんだ?まあ、俺だけに対して言っているだけか。

 

 

「いや俺が来る度に構えるからもうバラしてもいいかなぁーって」

 

「絶対問題起こしますよね?」 

 

「起こすに決まってるだろ!それじゃめんどいけど行ってくるわ」

 

 

はぁーそろそろ仮面を外して天狗とか記憶を戻してもいいかな?正直仮面を外しながら旅をするとなんか天の仙人とかいって歴史とかに乗りそう。これは自意識過剰すぎるかな?いやほんとにありそうで怖い。綿月姉妹のところに行ってくるか。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

絶賛逃げてます、はい。綿月姉妹は普通にいたんだが仮面を外して挨拶したら、「同胞の真似とは穢れ以下だな」って言われて穢れ以下って何?まあ、確かに俺があの状況で生きてるのは不思議に思うけどさ、そこまで怒る?少しは信じてほしかった。

 

 

「1000万年振りなのにもう俺の顔でもわすれちゃったのおぉぉお!?」

 

「あの時、あいつは死んだんだ!私たちを助けるために!」

 

「あの頃はショックで食欲が湧かなく、桃しか食べてませんでしたわぁ」 

 

依姫は案の定襲いかかってくるが豊姫の方は本当に俺だと分かったのか殺気は出ていない。それより豊姫、桃しか食ってないとかいつもどおりでは?

 

 

「依姫、刀を下ろしてくれ。確かに俺はあそこで力尽きたが今ここにいるだろ?物騒なことはやめて俺と駄弁ろうぜ?」 

 

「うるさい!」

 

 

依姫は能力を使い、俺に追いつき膝蹴りをかましてきた。それをひらりと躱したあと、ツクヨミの元へ戻る。

 

 

「ツクヨミ助けてくれ!案の定大事になっちゃった」

 

「それでなんで私のところまで来るんですか!?」

 

「頼りになりそう人が………ツクヨミしか…いなかったから…」

 

「殴っていいですか?」

 

「すまん、許せ。俺は()たれる方より()つ方がまだ良い」

 

「ここにいたかァっ!!」

 

 

そうこうしているうちに依姫に見つかってしまった。

 

 

「なぜ同胞のことは知っている」

 

「いやその同胞本人だからな?」

 

 

依姫は刀を持ちながら斬りかかる。本当に暁佑全なのか?と疑心暗鬼なのかこの前あった時より剣筋が揺れていた。間合いを詰め、依姫の刀を躱しながら後ろに回り込み手刀で彼女から刀を落とす。

依姫は落とした刀を拾おうとするが能力で動きを止める。

 

 

「くっ、能力を止めろ!」 

 

「だったら襲うのをやめてくれ。確かに俺が急に生きてますよーって現れて本物か疑うのは分かるが襲うのだけはやめてくれ。それよりも豊姫も勘づいてんだから助けてくれ」 

 

「あら?ふふふっ、だって面白いじゃない。あれだけ死んでると思ってた人が現れて襲われてるの。まあ、自業自得なんだからそれぐらいやられなきゃ……ねぇ?」

 

 

どうやら豊姫も依姫よりは優しいがご立腹である。豊姫の言う通り、自業自得だからしょうがないちゃーしょうがないが。

 

 

「はぁーだったら信用するまでたまに月に来るわ。ツクヨミ、結局のところ…あのー」

 

「はいはいこれですね」

 

 

ツクヨミは懐から巻物のようなもの出し、俺に渡した。

 

 

「あーこれこれ。じゃ、たまに来るかもしれんがそんときは待たな」

 

「その度に技術くれとか言わないでくださいよー」

 

「ふふ、その時は桃でも食べて地球の話でもしてくださいね」 

 

「まだ信じた訳じゃないが歓迎だけはしておこう。ツクヨミ様に怒られてしまうからな」

 

 

その時は思わなかった。毎度来る度に依姫が襲ってくることを…

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「ああぁ!!なぜ勝てないんだ!」 

 

「封、将棋弱いなー」

 

 

また紫に呼ばれたので封と将棋をしながら待っていた。この頃から将棋が流行り始めて俺も前世ではあまりやらなかったが天狗たちとやっていくうちにルールが覚えてきた。正直封が弱すぎて部下の天狗たちと俺で馬鹿にしています。

 

 

「おいおい、天狗の長であるものが部下の指揮もできないのか?」

 

「煩い!この駒たちは一々移動に制限されている。天狗たちは縦横無尽移動でき、相手の大将を倒す。我のやり方に合わん」

 

「あーはいはいそうですか」

 

 

言いたいことは分かった。もし一々味方に移動を制限されていたらおかしいわな。

 

 

「だったらお前の能力で部下の能力に制限をし、訓練すれば良いんだよ。俺と会ってから封の封印する能力は一つから結構封印することが出来るから、それを使って学習すればいい」

 

「良い提案だな。考えておこう。それでお前に待つ約束をした紫が来るんだ?ここに来てから結構待ってるぞ?」

 

「いつもの事だから気にしたら負けだ」

 

「あやや、暁さんやってますねぇ」

 

 

声がした上の方を向くと文が手帳を持ちながら飛んでいた。言うのを忘れていたが幻想郷のやつらに記憶を弄るのをやめた。こいつらにやっても意味が無いって今更気づいたわ。やるとしたら外界の人間達に使うことにしたよ。

 

 

「なんだ文、面白いことなんてないぞ?」

 

「いえ天魔様が68戦18勝50敗したのでそれを新聞にしようかと」

 

「うわぁ、妙にリアルな数字だな。どんだけ負けてんだよ」

 

「やめろ……これ以上心の傷を抉るのをやめてくれ」

 

「そのうち天魔様100敗まで行きそうですねぇ」

 

「グフッ…」

 

「最後にとどめを刺すなよ文」

 

 

起き上がった封は駒と将棋盤を持ち、自分の部屋へと戻っていった。

 

 

「いいもん、勝つまで研究するもん。暁に勝つまでやるもん」

 

「いい歳した男がもんもん言ってると吐き気しかしないぞ」

 

「流石の私も天魔様がもんもん言っているのを見ると新聞にする気も失せますね」

 

「ご、ゴホン!我は負けてはならん!天狗の長として暁に勝つまで我は挑み続けるぞ!首を洗って待ってろ!」 

 

「はいはい、いつでも待ってやるから。首だけじゃなく全体洗って待ってるわ」

 

 

そう言ったら封は自分の部屋に入っていった。あいつも俺もいい歳なんだがなぁ。

 

 

「文も行かないのか?『50敗した感想は?』とか『今後のことで改善するべきこと』とか?」 

 

「あやや!そうでした。ではこれからも文々。新聞をよろしくお願いしますね」

 

「俺は取った覚えがないんだが?」

 

 

文は慌てた様子で封の部屋まで行き、ノックした後入っていく。

 

 

「はぁー。紫いるんだろー出てこい。怒ってないから」

 

 

だがしかし出てこない。一瞬紫の気配を感じたんだが気のせいか?

 

 

「境界を操って探るか」

 

 

何も無いところに手をかざして紫の能力を使う。あいつの能力は複雑で俺ですら困難な能力だ。

 

 

「おおぉ、いたいた。気配を消してるようだが甘々だな」

 

 

そして境界のスキマから紫を引きずり出す。

 

 

「いたいたいぃ!強く握らないでよ!」

 

「呼んだくせに遅いお前が悪い。少しは早く来るって考えはないのか!幻想郷の賢者が聞いて呆れる…」

 

 

たまに聞こえてくる紫は幻想郷の賢者と呼ばれていたので言ってみる。

 

 

「幻想郷の賢者って…私は嫌って言ったのに」

 

「俺は結構似合ってると思うが賢者さん?」

 

「…一番知って欲しくないやつに知られてしまったわ」

 

「それだけ幻想郷にいるヤツらに信用されてるってことよ。俺なんて人里の失踪長とか呼ばれてるからな?まだ俺の旅は終わってねぇ!」

 

「そろそろ子供じゃないんだから旅なんてやめて人里の長に就いてよね?藍が暁がいない代わりにやってるんだから」

 

 

幻想郷に戻ってくる度に人里の長としての仕事などをこなしてはいるが外に出る時はほぼ藍に任せていた。

 

 

「それはすまんと思っている。あとで人里に行って藍に外の油揚げを土産として持っていくわ」

 

「いや人里に行くんなら手伝いなさいよ!?」

 

「いやこれが藍は外の油揚げを貰えるから頑張ってくれるんだよ」

 

「油揚げなんて私もあげているのに暁に買収されてるのよあの子は!」

 

 

紫にここまで言われるとしょうがないのでやる事やったら人里で藍と代わりに行くか。俺も油揚げ以外にも珍しいものでも持ってこようかな?

 

 

「お前の油揚げ飽きっぽいんじゃね?てかそろそろ本題に入らないとそのまま幻想郷から出るぞ?」

 

「藍と代わりなさいよね?最低限手伝って上げてね?それはそうと暁にはある人と会ってほしいの」

 

「どうせお前のことだから幽香みたいに俺のこと話したんだろ?私の友人に仙人がいるんだけど超絶イケメンで優しいのみたいな?」

 

「そこまで言ってはないけど自分で言った悲しくないの?」

 

「…やめてくれ、地味に傷つく」

 

 

あ、あれ?最近泣いてなかったからかな?涙が止まらん。良いじゃないか、たまには自画自賛したって!それも例えで言っただけなのに。

 

 

「暁の言った通りそんな感じで話しちゃって会ってみたいって言われたのよ。私と一緒に会ってくれる?」

 

「ぐ、ぐすっ…はい。それぐらいなら問題ないです着いていきます」

 

「あんたもいい歳なんだから泣かないの。さっき封にもそんなこと言ったでしょ」

 

「いや…歳だから涙もろいだけだ」

 

 

泣いて腫れた目を何度も瞬きしながら紫の方を見る。あいつはもう準備が出来ているのかスキマを開けた。

 

 

「ほら行くわよ」

 

「たくっ面倒事が後から起こりそうだが着いていきますよぉー」

 

 

スキマを通ると幻想郷の外は夜なのか真っ暗だった。周りに明かりがあるか見渡すと小さな灯を見つけた。だんだん近づくとそこには小さな灯の元の屋敷があり、その塀の二倍もある大きな桜の木が辺りを照らしていた。

 


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