東方全能旅   作:焼鰯

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短いですが宜しければどうぞ。


十九旅:変な夢を見て力を得て九尾の狐を助けてやった

前回の続き

 

あーー寒いよ。何で寒いんだよ。ちゃんと寝袋に入ったのによ。

 

「仕方ない、能力を使うか。………あれ?使えない。え、まじでやばい。出したくもない嫌な汗をかいていやがる。」

 

内心本当に焦っている。

 

「これは何なんだ。紫のいたずらなのか、それとも誰かが俺に能力を使ったのか。そのどちらかしかない。」

 

そんなことを言いながらどうするか考えた。

 

「しょうがない寝袋から出て起きるか。」

 

眼を開け寝袋から出て立ち上がると、そこは雪原だった。

 

「えぇぇぇぇーーー。此処何処だよ!!」

 

そんなことを言っていると吹雪が起きた。

 

「何でこんなときに、吹雪起きるのーー!!」

 

眼に雪が入ったり、頭に雪が積もったりして俺の心の体力がゼロになりそうだった。

 

「もうやめてーー。」

 

俺はそう言うと吹雪は止んだ。

 

「吹雪が……止んだ?」

 

そして少しずつ眼を開くと、俺の前には2mあるであろう真っ白な鹿がいた。

 

「…………綺麗だ。」

 

その鹿は、角は無いけれどその純白の毛に覆われていてとても凛として美しかった。

鹿は俺に近づき頭を擦り付けてきた。

 

「何だよ急に現れて甘えてきて。」

 

すると脳内に女性の声が聞こえた。

 

「初めまして我が使い手暁よ。あなたが此処に来るまで待っていました。」

 

「だ、誰だ。」

 

「今、あなたの近くにいる鹿です。」

 

「お、おう、そうなのか。だけど、待っていました?俺はお前に会ったこともないし約束した覚えもないぞ。」

 

「しょうがない。私の名は霜月です。今あなたの腰に提げている太刀の本体です。」

 

「………へ、お前……霜月なの?」

 

「そうです。我が使い手。」

 

「そうなんだ。質問していいか。」

 

「何なりと質問を言ってください。」

 

「本体ってどういう意味?」

 

「刀に宿る魂みたいなことです。」

 

「此処どこです。」

 

「あなたの精神世界です。」

 

「へぇー。そうなんだ。………はっ、ということは俺の精神と心はこの雪原のように綺麗なんだ。」

 

「そうみたいですね。」

 

「あと、待っていましたっと言っていたが、何故待っていた。」

 

「それはあなたに始解を習得させるからです。まぁ、私と話している時点でもう始解は出来るんですけどね。」

 

「(あれ?もしかして俺の霜月……斬魄刀化してる。)」

 

「ちゃんと聴いてますか?」

 

「ウン,キイテルキイテル。」

 

「そんな返事されると、逆に心配します。」

 

「後、何で能力が使えないかわかるか。」

 

「私が能力を使えなくさせています。」

 

「解除しろ。」

 

「わかりました。」

 

力が沸き上がってきた。試しに自分の周りの温度を上げてみた。

 

「おお、暖かくなってきた。」

 

「そろそろ朝になります。意識を戻しますね。」

 

「ああ、わかった。」

 

どんどん意識が遠くなっていった。

 

________________________________________________

 

いやー良く寝たわー。何故か精神世界に入ってようわからんけど始解が出来るようになったぜ。

しかしまた問題が発生した。

 

「はーい、おはようございまーす!」

 

紫がいた。昔はこんなにテンション高くなかったのに、大人な女性だったのに。

 

「何だよ朝っぱらから。」

 

「またまた手伝ってほしいのよ。」

 

「最近手伝うの多くない?」

 

「そう?」

 

「そうだよ。昨日はルーミアを、お前の世界に連れていったしなぁ。で、何だよ。手伝うから言ってみな。」

 

「さっきまでつんつんしてたのに、急に優しくなって気持ち悪いわよ。」

 

「うるせぇ。一言余計だ。」

 

「まぁいいわ。あのね手伝ってほしいことは、平安京にいる鳥羽宗仁の側にいる女性を捕まえてほしいの。」

 

「何でそいつを捕まえてほしいんだ。」

 

「捕まえてほしいっていうかえーと、式にしたいの。」

 

「式にしたいの人間を?」

 

「いいえ、人間じゃなのよ。その女性は。」

 

「じゃあ何だっていうんだよ。」

 

「妖怪よ。」

 

「妖怪が化けた人間なのか?」

 

「合ってるわ。だけど急がないとやばいわ。この話をしている時間が欲しいくらいあの妖怪に危機が迫っているわ。」

 

「そう慌てるな。その妖怪の危機って何だ。」

 

「昨日、ルーミアが言っていた陰陽師よ。」

 

「陰陽師に自分が妖怪であることがバレたのか?」

 

「ええ、そうよ。」

 

「何故バレたんだ?」

 

「本当はバレなかったのよ。だけど自分が妖怪であるから近くにいる人間、鳥羽宗仁に災いや病に侵されて陰陽師は、鳥羽宗仁の側にいる女性が妖怪であることに気づいたのよ。」

 

「そうか事情はわかった。」

 

「では急ぎましょう。」

 

「ちょっと待ってろ紫。」

 

「何よ。急ぐのよ。」

 

「待てって。」

 

すぐに能力を使い時間を巻き戻した。

 

「太陽の位置が変わった。」

 

「時間を巻き戻したんだ。急ぐぞ。」

 

「え、ええ。」

 

_________________________________________________

 

「ふぅー着いたぜ。」

 

平安京前に瞬間移動した。

 

「一息吐いてないで急ぐわよ。」

 

「わぁーたよ。」

 

平安京内部に入ると、陰陽師たち円みたいに並び、広間の中央に向かって札を指に挟み結界に何かを唱えていた。中央には、女性らしき人影が見えた。

 

「やばいわ。退魔の結界よ。急いで結界を壊して。」

 

「人使い荒いな。」

 

霜月を抜き陰陽師たちを飛び越えて結界に霜月を突き立て結界を壊した。

 

「あらよっと。妖怪の様子を見るか。」

 

どうやら妖怪は、結界のせいでひどく弱っていて気絶している。

 

「貴様何者だ!!そこの九尾の狐の仲間か。」

 

「いいや、仲間じゃないよ。だけど弱いもの苛めは、良くないな。」

 

「うるさい黙れ。そこの倒れているやつと同じ目に遭いたいのか。」

 

「なりたくないな。汚れるから。」

 

陰陽師たちの中から誰かが前に出てきた。

 

「僕の名は安倍晴明この陰陽師たちを指揮している者だ。あまり争い事は好まない方でね、このまま引き下がってくれるのがありがたいのだけど。」

 

「すいませんね。俺は頼まれてここにいるんだ。そんな簡単に引き下がる訳にいきませんよ。」

 

「そうですか。残念です。争いには犠牲はつきものですね。」

 

陰陽師たちが全方位から霊力弾を放った。

 

さぁ出来るようになった始解を使いますか。

 

「いくぜ眺めろ「霜月」。」

 

刀の名前を言ったとたん、霜月を覆うように霊力がでてきた。霊力が止まると霜月の形状が、太刀から打刀に変わっていた。

能力はなんなんだ?

 

「まあいいか。」

 

すぐさま九尾といわれている妖怪を抱き抱え瞬間移動して躱した。躱したあと陰陽師たちに向かって斬撃と霊丸を放つか。

 

「くらいな。」

 

斬撃と霊丸を放ったあと別の部屋に入った。

能力を使って回復させる。

 

「おい起きろ。」

 

「うっ、うう…あ、あなたは?」

 

「そんなことはいい。俺の友人が来るから。」

 

紫がスキマから出てきた。

 

「どうやら助けたようね。」

 

「俺を誰だと思う。」

 

「そこのかたは?」

 

「こいつは紫。スキマ妖怪だ。」

 

「あ、あのスキマ妖怪ですか。」

 

「そうよ。」

 

「このままここにいると危ない、紫と一緒に逃げるんだ。」

 

「嫌です。鳥羽様にさよならを言うまでは逃げません。」

 

「ち、くそ。どうする紫。」

 

「あなたが連れていけばいいじゃない。」

 

「だと思ったよ畜生。だけどお前もついてこい紫。」

 

「しょうがないわね。だけどその前にあなた雰囲気変わった?結構霊力出てるわよ。」

 

「そうか?まあ行くぞ。」

 

部屋の扉を勢いよく開け近くにいた陰陽師を凪ぎ払った。

 

「どけどけ大妖怪様のお通りじゃーー!!」

 

「物騒ね。そんな言い方しなくても。」

 

「黙って走れ。」

 

「あははは。面白いですね。」

 

「おい九尾。」

 

「は、はい何ですか。」

 

「鳥羽って言う奴は、どの部屋にいるんだ。」

 

「え~と。あそこを右に曲がってください。」

 

「わかった。」

 

後ろから膨大な霊力が近寄ってくる。紫は気付いているようだが九尾は気付いていないようだ

 

「次に左に曲がってください。」

 

「わかったがその前に、やるべきことを思い出した。紫、一緒に行って守ってやってくれ。」

 

「わかったわ。行くわよ。」

 

「でもあの人は。」

 

「大丈夫よ。あいつは柔じゃないわよ。」

 

どうやら行ったようだな。

 

「霊力を上手に隠していたつもりだったんですけどが気付いていたのですね。」

 

「まあな。俺を倒さないとここは、通れないぜ。」

 

「しょうがない実力行使でいきますね。」

 

「来い陰陽師。」

 

さあ、どう攻めるか。相手は歴史上最強の陰陽師。そう易々と倒れない。攻撃を躱しながら策を練るか。

 

「くらいなさい。」

 

札を躱す。どうやら主に札を使っているようだな。

 

「おらぁ。」

 

飛んでくる札を斬撃で切った。しかしあまり霊力や仙力が減らないな。

 

「少しはやりますね。」

 

「いや全然力出してないからね。」

 

「そうですか。ではこれはどうでしょう。」

 

また札を投げてきた。札を躱すが追ってくる。この札追尾式だ。

 

「く、くそ。当たっちまった。」

 

霊力で強化されていたのでちょっびっと痛かった。痛みが引けないし剥がそうとするが剥がれない。

 

「剥がれろ。」

 

「無理ですよ。私が特殊な術を札にかけたのですから。」

 

「ち、めんどくさいことをやりやがって。うおー。」

 

剥がそうとしても安倍晴明が、札や霊力弾を放ち邪魔をしてくる。

 

「邪魔するな。て、あれ?足が動かない。」

 

足元を見ると最初に躱した札があった。

 

「こんなところ札があるの。」

 

「おしまいです。」

 

安倍晴明が全方位に札と霊力弾を放ち絶体絶命だったが霊力を一割だけ解放した。すると足元と体についていた札が剥がれ落ち、全方位にあった札と霊力が消滅した。

 

「札が剥がれ落ちたぞ。何故だ………わかったぞ。札を使っている本人よりも霊力が多く高ければ剥がれ落ちるんだ。」

 

「な、なんなんだ。その膨大な霊力は。」

 

「そろそろ反撃させてもらおうか。」

 

「こっちにくるなぁぁ!」

 

札は底尽きたのか、霊力弾を乱射する。

 

「そう無駄な掻きをするな。」

 

指パッチンで消滅させた。安倍晴明の服の襟を持ち霜月を抜いた。

 

「殺しはしないが、少し試させてもらうぞ。眺めろ「霜月」。」

 

安倍晴明に霜月を近づける。

 

「や、やめろ。ぐっ、霊力が吸いとられていく。」

 

どうやら霜月の始解の能力は

「周りの植物や生物の全ての力を吸いとり持ち主の力にさせる能力」のようだ。持ち主の加減で吸いとる量が、変わるようだ

 

「し、死ぬ……。」

 

「すまんすまん。返すわ。」

 

「生き返る。………あなたはどこでそんな力を?」

 

「色々とあったんだ色々と。」

 

「ふふう、そうで…す……か………。」

 

どうやら気絶したようだ。生命力も吸いとられたからな、そりゃ気絶するわ。さてそろそろ紫たちのところに行くか。

 

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よっと着いた。紫の妖力を頼りに、瞬間移動したぜ。

後ろから紫に近づき、手を肩の上に置いた。

 

「わぁ、びっくりするわね。何するの。」

 

「無事だったんですね。」

 

「まあな。」

 

九尾の狐は女性に化けていた。後ろから男性の声がした。

 

「お主が仮面殿かな。」

 

「貴方様が鳥羽皇(とばのおう)様ですか。」

 

「そう、我が鳥羽皇だ。よく玉藻前を助けてくれた。」

 

「いえいえとんでもない。やりたいことをやったまでです。」

 

「そうか。玉藻前本当に行ってしまうのか。」

 

「はい、ここにはもういられません。陰陽師にもバレてしまい逃げるしかないのです。しかし鳥羽様、貴方に大切にされたことを一生忘れません。」

 

「玉藻前……お前は………そうか。我もお前といてよかったぞ。元気でな。」

 

「はい。」

 

「じゃー行くわよ。」

 

紫が言うと、紫たちの足元にスキマが現れどっか行ってしまった。

 

「仮面殿お主も行かないのですか?」

 

「ああ、鳥羽皇様の病を治してあげようと、思いまして。少しじっと動かないでください。」

 

鳥羽の顔に手をかざし能力を使った。

 

「ほら、治りました。体が軽いでしょう。」

 

「おお凄い。鉛のように重かった体が軽くなっておる。仮面殿、ありがとうございます。」

 

「いえいえ、では用事は済んだので行きますね。」

 

「ありがとう仮面殿」

 

瞬間移動して紫たちのところまで移動した。

 

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ここどこだ。結構な山奥だな。辺りを見回し紫を探した。

 

「おお!いたいた。紫ぃぃー。」

 

「何ようるさいわね。」

 

「おいそれが手伝ってやった人への態度か。」

 

鷲掴みをし、ぶんまわした。

 

「吐く、吐くから止めて。」

 

「で、お前はこれからどうするんだ。九尾の狐よ。」

 

「はい。やることは済んだので貴女方に恩返しをしたいです。」

 

「そうか。だったら紫に恩返しをしな。元々、お前を式にする予定だったし。これで恩返しが出来るだろう。」

 

「そうですか。はい、わかりました。紫様、私を紫様の式にしてください。」

 

「良いの?私の式に成っちゃったら一生ついてこなくちゃいけないのよ。貴女はそれで良いの?」

 

「はい、良いのです。本当だったら陰陽師たちに殺されていました。だけど貴女方が来て私を助けてくださいました。貴女方に貰ったこの命を、貴女方に使いたいのです。」

 

「わかったわ。後悔は、無いわね。」

 

「はい。」

 

紫は、式の儀式を行い九尾の狐を式にした。

 

「だけど玉藻前って言いにくいから名前は、「藍」でいいかしら?」

 

「はい。紫様から貰った名前を大切にします。」

 

紫の式、藍が誕生した。




読んでいただきありがとうございました。

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