「しかし、まぁー広いですねこの屋敷。」
だが、太子様は不思議そうな顔で、
「そうですか?これでも狭い方ですよ。」
「まぁ、人それぞれですよね狭いか広いか。」
すると、奥の方から青いフリルを着た女性が来た。
「太子様お帰りなさいませ。それであの件は考えてくれましたか?」
「あぁ、その事だけどまだ考えさせて。」
そして俺が居ることすら気づかず太子様と話をすすめていく。
「あら太子様、その隣の人は何ですか。」
「さっき初めてあって、すぐさま闘いを挑んで圧倒的な力で私を倒した人です。」
「どうも名無しの仮面の旅人です。」
「私の名前は霍青娥よ。よろしくね。だけど君には私と同じ力を感じるわ。」
「同じ力とは?」
「言うなれば仙人の力ね」
「俺仙人だから仙人の力の仙術と気が使えるよ。」
「え、ホントに仙人なの。」
「本当だよ。今使ってあげようか。」
「使って見せて。」
少し興奮気味で引いたけど
「じゃあちょっと手を貸してください。」
「はい。」
青娥の手を握った後、暁が奇妙な呼吸の仕方をしているのを太子と青娥は気づいたが、青娥があまり驚いていなかった。
すると、青娥の手の周りには青白い霊力と無色の気が覆っているのが見えた。
「これを吐故納新と言う呼吸法で体内にある古い気を外に吐き出して自然の気を取り入れる仙術だ。」
「知っているわ。仙人に成るための仙術だけど、やろうとしたら出来なかったわ。本物を見るのは、初めてよ。」
「そんなに驚かないですね。」
「いいえ。内心驚いているわ。」
青娥目掛けて透視の能力を使うと、心臓がばく…ばく…と、少し大きめな音をしていた。
「しかし、さっきから青娥さんは、仙人とか言ってるしその見た目からして隋の方ですね。」
「えぇ、そうよ。知っているのね、私の故郷を。」
「知ってますけど、何故この倭の国に来たのですか。」
「それは、道教を伝えるためよ。」
「道教ですか。太子様に言っていたあの件は道教に伝えるについてだったのか。」
「そうよ。だけどあなたが仙人だったなんて驚いたわ。どうやってなったの?」
「まぁ色々あったんですよ。」
神様に鍛えて貰って仙人になったなんて言えないと思った暁だった。
「そうよね。どうやってなったか教えてくれないよね。何故かしら。」
「そんな口振りからすると、隋に仙人がいるんですか?」
「居るわ居るんだけどね。山の奥深くに居るのよ。」
「そうなんですか。」
「だけど仙人にはなっているのよ。」
「だけど何であんなこと言ったのですか。」
「尸解仙という仙人なんだけど…仙人じゃないの私は。」
「どういうことですか?」
「仙人は仙人だけど位の高い仙人からは、仙人の道…仙道を踏み外しているからって邪仙扱いにしたの。」
「酷いですね。何故、邪仙扱いするかを知っているんですか?」
「知っているわ。多分、家族を騙して死んだふりをして仙人を目指したからよ。」
「何故そんなこと……。その後のことは言わなくていいですよ。」
あまりそういう話は、聞きたくないなと思った。
「だけど、太子様に言っていたあの件について知ったのでよかったです。」
「それはよかった。」
「話についていけない。」
太子様は、二人の話についていこうとしたがついていけなかった。
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