ソードアート・オンライン〜白夜の剣士〜   作:今井綾菜

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とてつもない強制感…しかし、今回限りにしたいですね


っと、遅くなりましたがあけましておめでとうございます。
今年もFGO、SAO、ダンまちと頑張っていきたいと思ってます!


Re:Start Sword Art Online編
Restart sword art online (*)


第1話

 

逆行して既に18年、この世界での両親にあたる『両儀式』と旧姓『黒桐幹也』を親に持った俺は高校に上がるのと同時に一人暮らしを始めた。それが3年前の話になるのだが、父さんにはかなり心配されたものの、母さんに関してはあんまり心配してないとお墨付きを貰った。そして、高校を卒業し、大学に入学した俺は再びソードアート・オンラインを手に取っていたのだった。

 

「……俺も懲りないよな。コレをやらなきゃ事件には巻き込まれないってのに」

 

幸い、今日は母さんが来る日だ。

それなりにゲームをやると知っている母さんなら必ず俺を病院へ搬送してくれるだろう。だから、一人暮らしでも安心して出来るというのもあるのだが

 

「さて、ゲーム開始まで後数分だけど……」

 

目線の先にある《ナーヴギア》をチラ見して苦笑する。

この世界に戻って来てから剣の修練は欠かさなかった。

以前よりも使える武器と技は増えた。

今なら刀以外にも片手剣、細剣、両手剣、短剣、槍、斧のどの武器でも扱うことができる。それに今回は天然理心流もかなりのレベルで到達できたと自負している。そのほかにも新陰流、二天一流と学べるものは学んだ。

 

カチッ、カチッ

 

時計の針が進む。

残り2分、次こそ何かがきっかけで死ぬかもしれない。

けど、きっとここでログインしなかったら後悔するだろう。

逆行する前に言われた台詞を思い出す。

 

「湊に楓、か。会えるならまた会いたい。それが、このゲームの中でだとしたら必ず守り抜いてみせるから」

 

ナーヴギアを一瞬強く握ると、電源を入れ、それをそのまま被りログイン時間まで待機する。

視界に映るデジタルの時計が1分前から切り替わったのと同時に、俺は何度も口にしたその言葉を再び口にした。

 

「リンクスタート」

 

その言葉とともに、俺は再び剣の世界へと降り立った。

 

 

 

瞳を開けると、慣れ親しんだVR空間の感覚が身体に襲いかかってくる。今は現実と大した違いこそないが、ステータスを上げるごとに現実とはかけ離れた身の軽さになっていくのだから驚きだろう。

 

「さて、と。初期武器は片手剣か。曲刀スキル取るまでは片手剣だから。そこらで適当に時間でも潰しますか」

 

ゆっくりと街を見回りながらフィールドまで出て行く。

周りにいるプレイヤーはどれもRPGを意識したであろう中性的な美男美女ばかりだ。この中の女アバターの何割が男なのだろうか。このあと起きる悲劇を考えると同情を禁じ得ないが、とりあえず、気にしないことにしておこう。

 

「あ、待ってよミナトー」

 

「置いてかないから、ゆっくり慣れるまで歩いてみよう?」

 

「うう、なんでミナトとカエデはそんなに慣れるの早いの?」

 

「うーん、なんでだろうね?でも、フェイトは昔から自分の体を動かすこと以外はあまり得意じゃないからねぇ」

 

そんな会話が少しだけ耳に届く、その名前に少しだけ反応してしまったが、カエデとミナトなんてゲームではよくある名前だった。気のせいだろうと首を振り、それでも気になりながら始まりの街から出てすぐにあるフィールドに出た。

 

「うん、取り敢えずチュートリアルが始まる前にレベル1でも上がればいいけど」

 

一層での雑魚モンスター。所謂、スライム的な役割のイノシシに目をつけ初期中の初期のソードスキルである《スラント》を発動させて、雑魚イノシシを討伐し始めるのだった。

 

 

そうすること数時間、俺のレベルは見事に3に上がりそのボーナスステータスを全て敏捷に振るのだった。

ドロップ品をそこら辺の岩に座りながら整理していると周りのプレイヤーが騒ぎ始めた。

 

───あれ、ログアウトボタンがないぞ?

 

───そんなわけないだろ?よく見てみろって

 

───いや、それがマジでないんだって

 

───サービス初日だし、こういう不具合だってあるでしょ?

 

───GMさーん、対処はよー

 

なんて、ノリよく突っ込んでいるプレイヤーを視界の端に追いやる。そろそろ、始まるはずだ。そう思った瞬間

 

ゴーン、ゴーン

 

始まりを告げる鐘が鳴り響いた。

 

それと同時に近くにいたプレイヤーが次々と転移光に包まれては消えていく。それは俺も同じで、青い光が俺を包んだ。

 

目を開けるとそこには過去に一度見た光景が広がっていた。

ランダムに転移されたであろう全てのプレイヤーが次々と転移してくる。やがて転移の音が消えた時、かつてと同じように……ではなく。大聖堂の奥から一人のプレイヤーが現れた。

 

それは、このSAOの管理者である茅場晶彦その人その分身である《神聖剣》ヒースクリフのアバター。GM用のアバターが着ていた赤いローブをまとったヒースクリフが広場に現れた。

 

「私の名前は茅場晶彦、ほんの数刻前までこのサーバーを管理していたものだ」

 

その言葉に俺を含めた全員が驚愕した。

稀代の天才、茅場晶彦。その人が約1万人の前に姿を現したのだから。それとは他に、俺は二重の驚きを受けていた。

何故、ヒースクリフの姿で?そして数刻前まで来てとは一体……

 

「突然出てきてそれがどうした?と思ったプレイヤーもいただろう。しかし、プレイヤー諸君には『管理していた』という単語への回答をここで行いたいと思う」

 

茅場晶彦、ヒースクリフの話はこうだった。

サービス開始直後、差出人不明のメッセージが届いたという。

内容はソードアート・オンラインの最高管理権限を剥奪したということ、それに加えてサービス直後にアップデートを行いログアウト不可状態、及びこのゲーム内で死したものは現実でもナーヴギアのマイクロ出力で脳を破壊する仕様にしたというものだった。無論、ヒースクリフ自身もそのメッセージの直後、アーガス社員総出で解決しようとしたそうだが、それは不可能だったということ。オマケに外部からの2時間以上のナーヴギアの取り外しもその対象になる。ということだった。

 

「ここにいる一万人のプレイヤーには謝罪して許される問題ではないが、ここに謝罪させてほしい。このような事態を招いてしまったこと、本当に申し訳ない」

 

全プレイヤーの前で頭を下げるヒースクリフ、もとい茅場晶彦に降り注いだのは意外にも罵倒ではなく励ましの声だった。

 

───このゲームから出るための条件は?

 

「脱出条件はただ一つ。このアインクラッドを100層までクリアすること。それが条件だとメッセージには載せてあった。故に、私は責任を取るためにまずは初心者諸君の育成を行い、最前線にてこの城を攻略しようと思っている」

 

───あんたがこの世界のことを教えてくれるなら百人力だよ。みんなもいいよな?

 

たった一人のその言葉に皆が頷く。

 

「皆、本当に申し訳ない。最早これはゲームであっても、遊びではない。全員、アイテムストレージを開いてほしい。そこに『手鏡』と表示されたアイテムが入っているはずだ。それは現実世界の君たちの姿へとアバターを変えるアイテムだ。本来は後半で手に入るジョークグッズなのだが、ここがクリアするまでは私たちの『現実』だということを理解してほしいので追加させてもらった」

 

予め、効果を告げたためか男女のプレイヤーのほとんどがその手鏡を使用した。使わなかったごく一部の女性プレイヤーや男性プレイヤーは中の人が違うか、その姿から変えたくない人なのだろう。

 

「次にスキル欄を見てほしい。本来、エクストラスキルで解放されるカタナスキルと両手剣スキルを全プレイヤーが習得可能な状態にさせてもらっている。それに伴い初期武器としてカタナと両手剣はアイテム欄に追加されているだろう」

 

言われるがままにスキル欄を見るとカタナスキルが習得可能になっていた。そしてその下に更に見つけた項目。

 

《刀二刀流》

 

《◼◼◼》

 

見覚えのあるスキルと文字化けした不明のスキル

それを見た瞬間、心臓が止まるかと思うほど驚いた。

目を見開き、それを凝視する。

 

タップし、そのスキルを開いた瞬間

 

《この世界で刀を極めし者へ。アインクラッドから君に》

 

というメッセージとともにスキル欄へ追加された。

《刀二刀流》それは俺が前回のアインクラッドで与えられたユニークスキルの一つ、キリトの使用していた《二刀流》と対になり魔王を倒す勇者の役割を与えられた《二刀流》の兄弟スキルだった。

 

「そして、本来は階層後半にて選ばれし者に与えられるスキルを2つだけだがランダムにプレイヤーに付与出来ているはずだ。私には、誰に行き渡ったかはわからないが攻略の手助けになればいいと思う。私がここに来る前にできたのはこれだけだ。これにて私からの話は以上だ。この後10分後にここ広場で残った者へのレクチャーを行う。出来れば生存率を上げるためにも全員が参加してくれることを祈っている」

 

そう告げてヒースクリフは大聖堂の中へと消えていった。

この広場では歓声が起きる中、人々は次にスキル欄確認し始める。おそらくユニークスキルを手に入れれたか見ているのだろう。だが、反応を示すものは現れない。俺と同じように秘匿する人なのだろう。

 

だが、もう一つがなんだったのかなんて容易に想像がついた。

 

《二刀流》

 

がおそらく、ここの何処かにいる《キリト》に与えたのだろう。これには今までにないくらいの自信がある。俺に《刀二刀流》が与えられたのならキリトに《二刀流》が渡らないわけがない。そんな確信があった。

 

そんなことを考えて振り返り、歩き出す。

《刀二刀流》を与えられたのなら攻略してここから全員を出す責任がある。俺はまたこんな強迫観念に押しつぶされそうになりながら生きていくのだろうとそう思った。

人の波を避け続けて歩いていく。

いろんな顔の人が目に入った。

その視界の中でキリトやアスナ、エギルやクラインだって見つけた。けど、声はかけることはなく、見て見ぬ振りをして歩き去る。

 

ドンッ

 

その時、誰かとぶつかった。

 

「すみません、前見てなくて」

 

「いえ、こちらこそすみません」

 

互いに向き合い、軽く頭を下げ。

また歩こうと顔を上げた瞬間。

 

「───アリ、ス?」

 

「───ソラ?」

 

俺をみた瞬間、その青い瞳に涙をためた初恋の少女がそこにはいた。

 

「どうして、どうして君がここに───」

 

「もう一度会いたくて、来ちゃいました」

 

今にも泣き出しそうな彼女をみて俺も泣きそうになる。

 

「話したいことは星の数ほどありますが、取り敢えず落ち着ける場所に移動しませんか?」

 

「あ、ああ」

 

アリスの提案を飲み、俺は近くの宿屋まで向かい。

一番安い部屋をとった。

 

「ユージオや叔父様ももう少しで来ますのでもう少しだけ待つ待ててもらえませんか?」

 

「あの二人もいるんだ」

 

「いろいろ、本当にいろいろなことがありましたから」

 

「そうか……」

 

俺は働かない頭のままただ待つことしかできなかった。

 


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