火竜の遷悠   作:通りすがりの熾天龍

2 / 15
第2話投稿します。
この後の読者の反応を見て今後どうするかを考えます。
感想などもぜひ書いてください。


ようこそ、《妖精の尻尾》へ

「わぁ・・・」

 

ルーシィが感嘆の声を上げる。

 

「おっきいね」

「そうだろう?」

「なんたってオイラ達の自慢の“家”だからね」

 

ハッピーの言葉にルーシィが疑問符を浮かべる。

 

「家? みんなここに住んでるの?」

「そういう意味じゃねぇよ。俺達妖精の尻尾(フェアリーテイル)にとってギルドの仲間はみんな家族だ」

「家族が集まるから“家”なんだよ!」

 

言い方を変えれば、“第二の家”だ。

 

「さて、ルーシィ」

「ん?」

「ようこそ、俺達のギルド」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)へ!」

「っ・・・うん!」

 

ルーシィが喜びか感動からか、少し涙ぐんで頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっだいまー!」

「ただー」

「あら、お帰りなさい。ナツ、ハッピー」

 

俺達の帰還に真っ先に気付いたのはミラジェーン・ストラウス。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の看板娘であり、容姿も含めて俺達の中でも特に有名だ。

 

「ミラジェーン・・・本物だぁ」

 

ルーシィは何やら感動している。

まぁ、こういう反応は意外と多いのだが。

 

「その子は?」

「は、はい! 初めまして! ルーシィといいます!」

「新入りの魔道士だ! このギルド初の星霊魔道士だぜ!」

 

俺の言葉を聞いたみんなが盛り上がる。

 

「新人か! これからよろしくな!」

「星霊魔道士? いいね、なんか星霊を見せてくれよ!」

「おぉっ! 金髪美少女じゃねぇか!」

「パイオツでけー!」

 

当のルーシィはこの熱気に圧倒されているようで、呆然としている。

 

「おぉ、新入りかね」

 

こちらまで歩いてきたのはミニマムなおじいちゃん。

 

「ルーシィ、といったかね?」

「は、はい!」

 

いまだに緊張しているルーシィ。

 

「わしはここのマスターをやっておるマカロフ・ドレアーじゃ。ルーシィよ、わし等はお前さんを歓迎するぞ。ようこそ妖精の尻尾(フェアリーテイル)へ!」

 

歓迎の大歓声が轟く。

 

「そういうわけじゃ。これからよろしくネ」

「はい! よろしくお願いします!」

 

マカロフのじっちゃんが差し出した手をルーシィが取り、握手。

 

「つーわけで宴だぁー!」

 

俺の言葉に再び大歓声が轟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでさっきからエルザの姿が見えないんだが?」

「エルザはナツ達が帰ってくる30分ほど前にクエストに行ったわよ。短期の護衛任務だから帰ってくるのは来週じゃないかしら」

「入れ違いか。ちとタイミング悪かったな」

(エルザって誰だろう?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいナツ! こないだの続きやるぞ!」

「よし来た!」

 

そして始まる殴り合い・・・の前に、

 

「グレイ! いつものことだが服はどうした!」

「うぉ!? しまった!」

 

それでも構わず殴りかかってくるのがグレイクオリティ。

迫りくる拳を捌いて殴り返すが捌かれる。

そんな応酬をしながらルーシィの方を見る。

当然ながら唖然としているようで。

 

「とりあえずこんな感じで何人か紹介するぜ。この黒髪はグレイ・フルバスター。見ての通りの露出魔だ。でも肝心の本人が脱いでることに気付いていないっていう罠」

「うるせ。俺の使う魔法は造形魔法、属性は氷だ。よろしくな」

「いつも思うが半裸で使って寒くないのか?」

「ほっとけ! こちとら小さいころから吹雪の中半裸で修行してたんだ!」

「と、こんな奴だ」

 

以上、グレイの紹介終わり。

 

「喧嘩しながらも紹介って、あんたら無駄に器用ね」

「HAHAHA、何を言ってるんだルーシィ。お互いに手を抜いてるに決まってるじゃねぇか」

「そうでなきゃ自己紹介してる余裕なんざねぇっての。《アイスメイク―――」

「《火竜の―――」

籠手(ガントレット)》!」

「鉄拳》!」

 

軽い魔法がぶつかり合い、水蒸気が辺りを覆う。

 

「男おおおぉぉぉぉ!」

 

グレイが飛びのいてそこに割り込む巨漢の拳が迫る。

俺も右手を動かし、互いの正拳がぶつかり合った。

 

「こいつはミラの、あ、ミラジェーンのことな。ミラの実の弟で・・・」

「エルフマン・ストラウス。接収(テイクオーバー)という魔法を使う男だ!」

 

その言い方だと自己紹介じゃないみたいに聞こえるな。

 

「えっ!? 姉弟なの!? っていうか、接収(テイクオーバー)って何?」

「あー、特殊な変身魔法みたいなもんだと思えばいいんじゃねぇか? ・・・いいよな?」

「一応合ってはいるだろう。まぁ、見せた方が早いだろうがな。《獣王の腕(ビーストアーム)・黒牛》!」

「《火竜の炎肘》!」

 

エルフマンの巨大化した腕を、肘打ちで迎え撃つ。

衝撃が散り、直後、互いに飛び退く。

 

「そこまでにせんか!」

 

じっちゃんに止められた。

 

「とぅ!」

 

そしてじっちゃんは二階の手すりへと跳び上がり、ゴチン!

・・・痛そう。

 

「え~、宴が盛り上がっているところを悪いがたった今評議会から抗議文が送られてきた」

「「「「え~~~~」」」」

「そうぶーたれるでないわい。読み上げるぞ」

 

じっちゃんが文書に目を通す。

 

「まずは・・・グレイ。密輸組織を検挙したまではいいが、その後街を素っ裸でふらつき、挙句の果てに干してある下着を盗んで逃走」

「いや、だって全裸じゃ拙いだろ」

「そもそも脱ぐなよ」

 

エルフマンの言葉はこの場の全員の心の声と一致している。

 

「次、エルフマン。要人護衛の任務だというのに当の要人に暴行」

「『男は学歴よ』なんて言うからつい・・・」

 

「カナ。経費と偽って某酒場で大樽15個の消費。しかも請求先が評議会」

「あ~、バレたか」

 

「ロキ。評議員、レイジ老師の孫娘に手を出す。某タレント事務所からも損害賠償の請求あり」

「仕方ないじゃないか。彼女も十分可愛かったからね」

 

「ナツ。デボン盗賊一家壊滅の巻き添えに民家7軒全壊。チューリィ村の歴史ある時計台の倒壊。フリージアの教会全焼にルピナス城一部損壊。ナズナ渓谷観測所を土砂崩れに巻き込み機能停止。更には本日、ハルジオンの港をブレスで半壊させる」

「こうして聞いてみると結構多いな。いつからの分だっけ?」

「2週間前からの分じゃ」

 

「面倒になってきたから名前だけ読み上げるぞ。アルザック、レビィ、クロフ、リーダス、ウォーレン、ビスカ・・・ええい、もう面倒じゃ! 以下全部省略!」

 

ルーシィがいいの? といわんばかりにこちらを見てきた。

半笑いで頷くことで答えの代わりとする。

 

「そんなわけでわしは今回も評議員に怒られる羽目になったわい」

 

誰かが唾を飲み込む音がした。

 

「―――じゃが、そんなものはクソ喰らえじゃ」

「え?」

 

きょとんとするルーシィ。

じっちゃんが書類を燃やしてこちらへ放り投げてきたので口でキャッチ。

 

「理を超える力は、全て理の中より生まれる。魔法は奇跡の力などではない。我々の内にある“気”の流れと、自然界に流れる“気”の波長があわさり、はじめて具現化されるのじゃ。それは精神力と集中力を使う。いや、己が魂全てを注ぎ込むことが魔法なのじゃ。上から覗いてる目ン玉気にしてたら先に進めん。評議員のバカ共を怖れるな。自分の信じた道を進めぃ!」

 

 

 

 

 

 

「それが! 妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士じゃ!!」

 

 

 

 

 

 

そして轟くは三度目の大歓声。

俺がいいところだろ? と笑いかけ、ルーシィが笑顔で頷く。

 

「っしゃあ、宴の続きだー!」

「「「「ウオオオオオオオォォォォォ!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「場所は此処ね。色はどうする?」

「じゃあ・・・これでお願いします!」

「はい。それじゃあ・・・」

 

ポン

 

「おめでとう。これであなたも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員よ」

「わぁ・・・! ありがとうございます!」

 

ミラとルーシィのやり取りを見てた俺達は拍手で迎える。

 

「これで正式に仲間入りだな。ルーシィはギルドに入るのも初めてだし、最初の数日は皆から仕事の体験談を聞いたり初心者向けの簡単なのに着いて行ったりしていろいろ覚えていけよ。後、住む場所の確保もしっかりな」

「はーい。 と、どこか行くの?」

 

言うべきことを言ってすぐ席を立った俺に、ルーシィが訊いてくる。

 

「今日は家に帰る。やりたいこともいろいろあるからな。行こうぜハッピー」

「あ、ちょっと待って―」

 

食器を置いて口を拭いた後、ハッピーが戻ってきた。

そして俺達はギルドの出入り口へ。

 

「あ、ナツ。ちょっと待って」

 

ルーシィに呼び止められた。

 

「どうかしたか?」

「うん。マグノリアの案内をして欲しいんだけど、いいかな?」

「別に構わねぇぞ。ハッピーは?」

「オイラも大丈夫だよー」

「よし。決まりだな」

「ありがとう!」

 

そしてギルドを出る俺達。

 

「・・・ナツ兄?」

 

ギルドの外側の壁、出入り口のすぐ脇に、一人の男の子が涙目で座り込んでいた。

 

「ロメオか。どうかしたのか?」

 

俺が訊くと、ロメオは涙を拭いながら話し始める。

 

 

「父ちゃん、もう1週間も帰ってこないんだ。3日で戻るって言ってたのに。マスターのおじいちゃんに探しに行ってって頼んだけど、魔道士は自分でなんとかするものだからダメだって・・・」

「・・・そうか。確かハコベ山でバルカンだったよな?」

「うん・・・。お願い・・・父ちゃんを助けて・・・っ」

 

 

 

 

 

「あぁ、任せろ」

 

 

 

 

 

「それとロメオ、俺が助けに行くっていうこと、誰にも言うなよ。本来なら一人で受けた依頼(もの)は一人でやりきるのが筋だからな。親父を馬鹿にされたくはないだろう?」

「・・・うん」

「いい子だ」

 

頭を撫でて立ち上がる。

 

「つーわけだ。悪いがルーシィ、案内はまた今度だ。行くぞハッピー」

「あい、了解」

「待って!」

 

ルーシィが俺達を呼び止める。

 

「・・・なんだ?」

 

振り向けば、ルーシィはあの時店で奢った後のような真剣な表情をしていた。

 

「あたしも・・・それについて行っていいかな?」

 

・・・。

 

「あえて理由は訊かないでおく。・・・本気か?」

「うん」

「そうか」

 

特に断る理由もない。

足手纏いだと決めつけるのは早計過ぎる。

とはいえ、俺以外にもう一人となると・・・ハッピーにあれ(・・)をやってもらう必要があるな。

 

「まずは街の外まで行くぞ。着いてこい」

「ルーシィ、出来るだけ急いでね」

「わかった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街の外に出て、森の入口付近の広場になっている場所。

俺一人ならここから普通にハッピーに運んでもらう。

だが、今はもう一人居る。

いくらハッピーでも二人を抱えての長距離移動は不可能。

ならば、()()()()()()()()()()()()()()

 

「それって一体どうやって? ハッピーの大きさじゃ、人二人を背負うなんて・・・」

「すぐにわかるさ。ハッピー」

「あいさー!」

 

気合十分な返事をしたハッピーの体が青い光に包まれる。

そしてその姿が変わり始め、巨大化していく。

人の大きさを越えたあたりで口をあんぐりとあけたルーシィ。

そして形を完全に変え、光が収まる。

 

「えっ・・・えええええぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

ルーシィは目の前の光景に、驚愕のあまり絶叫。

ハッピーの姿は獅子の顔をした中型のドラゴンへと変わっていた。

その肌に鱗はなく、あるのは変身前と同じ青色の毛。

背中の翼はいつもの(エーラ)を青く染めてそのまま大きくしたような一対。

ハッピーの使う魔法の中でも特に強力なこれは変身魔法を改造したもの。

その名は・・・

 

「これがオイラの魔法の一つ、《猫竜形態(ドラゴライズ)》だよ!」

 

ちなみに姿は変わっても声は全く変わらない。

俺は竜の姿となったハッピーに飛び乗る。

 

「ルーシィも乗って!」

「え、あ、う、うん」

 

ハッピーの言葉に我に返ったルーシィが俺の後ろに乗る。

 

「ハッピーってこんなこともできるんだね」

「当然だ。ハッピーを誰だと思ってやがる。妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の猫だぞ!」

「猫はオイラしかいないけどね」

 

さて、雑談はここまでにしておいて、だ。

 

「しっかり捕まってろ。振り落とされんなよ!」

「わ、わかった!」

「いっくよー!」

 

ハッピーが地を蹴り、飛び上がった。

一直線に飛ぶ。目指すはハコベ山。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーシィにハコベ山がどんなところかを言わなかったのは失敗だった。

 

「ぅ・・・さ、寒いっ」

 

その服装、普通に夏物。

俺は自分の魔法で温まればいいし、ハッピーは暑さに弱いが寒さは平気。

 

「ルーシィ、これを首にかけて」

 

元の姿に戻ったハッピーが換装で取り出したネックレスをルーシィに渡す。

 

「う、うん。・・・あれ? 寒くなくなった?」

 

今ルーシィがつけたネックレスは寒さから身を守るための魔道具。

菱形の金色の台座には俺の竜の炎を凝縮して結晶化した石が填まっている。

炎の魔力を含んだバリアを展開し、冷気を遮断する物だ。

 

「俺特製の防寒具だ。効果は保障するぞ」

「へぇ、凄いね。ありがとう、ナツ、ハッピー」

「早く行こう。オイラ、マカオが心配だよ」

 

ハッピーの言葉で、俺達は歩き出す。

 

「ルーシィは俺達の後ろを少し離れて着いてこい」

「少し離れて? 何で?」

「それは相手がバルカンでルーシィが女だからだよ!」

「?」

 

ハッピーの捕捉にルーシィは首をかしげる。

 

「バルカンってのは白い大猿の凶悪モンスターだ。人語を喋ることが出来、エルフマンと同じ接収(テイクオーバー)の魔法が使える。でもこいつの一番厄介なところは・・・」

 

 

 

 

 

「ウホホー! 人間の女ー!」

「・・・言ってるそばから出やがった」

 

 

 

 

 

歩く俺達の横側からバルカン出現。

奴が向かうはルーシィ一直線。

 

「ルーシィ! バルカンは人間の女ばかり狙うぞ! ・・・性的な意味でな」

「えっ!? 性・・・的、って・・・」

 

顔を青くするルーシィ目掛けて全力ダッシュで接近するバルカン。

 

「ウホーッ! 人間の女はオデのものー!」

「い、いやあああぁぁぁぁ!! 開け! 金牛宮の扉ぁ! 《タウロス》!」

 

俺が介入する前にルーシィが金の鍵で星霊を召喚。

 

MO(モォ)―――――――!」

 

バルカンと同じくらいの大きさの牛が現れ、巨大な斧を前に構える。

そして・・・バルカンが急に止まれずに勢いよく斧に首から突っ込んだ。

 

「「「「あ・・・」」」」

 

俺達+牛の声が重なった。

バルカン、死す。

 

「え、えっと・・・あ、ありがとう、タウロス」

「・・・MO(モォ)不完全燃焼ですなぁ」

 

牛もといタウロスがお帰りになった。

 

「なぁにこれぇ」

「あいつ自滅しやがったぞ」

 

と、首がもげたバルカンが光って消え、中からマカオが現れた。

・・・彼の首は無事だ。

 

「い、生きてる・・・よね・・・?」

 

ルーシィが心配する中、マカオの様子を確かめる。

生きていることを確認し、炎のドームで吹雪を防ぐ。

 

「傷が深いな。でもまだ助かりそうだ」

「ナツ! これ救急箱!」

「サンキュー、ハッピー! ルーシィ! マカオを抑えててくれ! 傷口を焼く!」

「! そ、そうか。そうすれば止血にはなるよね。うん、わかった!」

 

ルーシィにマカオの両脚をを抑えてもらい、俺が上半身を左手と右膝で抑える。

ハッピーが俺の懐からナイフを出し、鞘ごとマカオの口に入れて噛ませる。

 

「歯ぁ食いしばれよマカオ! いくぞ!」

 

半分意識を取り戻したマカオが頷いたのを見て、右手に炎を纏い傷を焼く。

マカオが歯を食いしばって耐え、俺は完全に血が止まったのを確認して火を消す。

すぐさまハッピーが消毒液を吹きかけ、ガーゼを当てて包帯を巻く。

 

「大丈夫か、マカオ」

「あ、あぁ。19匹は倒せたんだが、20匹目に・・・情けねぇ」

「一体何があったんだ? バルカン如きにたとえ不意打ちでも後れを取るお前じゃねぇだろう」

「奴は・・・妙な道具らしきものを持ってやがった。それによって何が起こったかは・・・わからねぇ。奴の巣は山の中腹あたりだ。その道具の形は・・・棒のような・・・ぐぅっ」

「わかった、一旦黙ってろ。傷が開く」

「すまねぇな・・・後は頼む」

 

そう言ってマカオは再び気を失った。

 

「ハッピー。ルーシィとマカオを連れて先に山を下りてポーリュシカさんのところへ行け。ルーシィ、ハッピーと一緒にマカオを頼むぞ」

「あい、任せといて!」

「え、でもナツはどうするの?」

「マカオの言っていた道具ってのを探してくる。安心しろ、すぐ戻る!」

 

そして俺はドームを出て吹雪の山へ。

竜化したハッピーが飛ぶのが見え、残していたドームを消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論だけ言えば、道具はすぐに見つかった。

黒い棒状のそれは、以前小さな闇ギルドを潰した時に見つけたものと同じ。

それは、人にしか効かない不可視の刃を作り出す道具だ。

簡素な構造だが、それ故に魔力が無くても使える。

これの用途はただ一つ。

人を傷つける、ただその為だけの道具。

そして何故これをバルカンが持っていたのか、だが。

簡単なことだ。

人を襲ったバルカンが力ずくで奪ったのだろう。

それを使えたのは恐らく偶然。

だからこそその道具の存在を誰にも気付かれていなかった。

と、こんなところか。

まぁ、面倒な考察は此処までにしよう。

 

 

目的を果たした俺は全速力でマグノリアへ戻り、診療所へ。

マカオの様子を見た後じっちゃんに報告。

じっちゃんも特に問題無しとして今度の定例会で報告だけするそうだ。

それはそれとして、ロメオにはハッピーが報告したらしい。

一緒に居たルーシィはロメオに言われた『ありがとう』の言葉が嬉しかったと言っていたそうだ。

ま、一件落着だな。

 




『グレイ・フルバスター』

仲は悪くない。むしろいい方。
だが喧嘩という名のじゃれ合いはする。
本人達も喧嘩のつもりではない。




『互いに手抜きの殴り合い』

いつもはもっと凄いんだってよ。
なお、魔法も使いまくっている模様。
ギルドを吹き飛ばさなければいいらしい。
滅竜咆哮、駄目絶対。




『アイスメイク籠手(ガントレット)

適当に出したオリジナル魔法。
その名の通り近接専用。
ジェット機構を付けることで冷気噴射も可能。
冷気のジェット噴射で拳速を上げるのに使用する。
使用中は指を動かすことが出来ない。
拳型や爪型など、複数のバリエーションが存在する。
今回使ったのは拳型。




『燃えた書類を口でキャッチ』

なお、燃えカスはごみ箱へポイした模様。




『いろいろ覚えていけよ』

ルーシィは初めてのギルド入りの為、覚えるべきことがたくさんある。
そのためには人に話を聞くのが楽っちゃ楽。
実際にやってみないとわからないことも多いので、他の人のクエストについて行こう。
当然、選ぶのは簡単なやつから。




『住む場所の確保もしっかりな』

ギルド内にも一応寝泊りに使う部屋はある。
ただ、生活するにはあまりにも不便なので、住む場所は各自で確保しなければならない。




猫竜形態(ドラゴライズ)

ハッピーの使う変身魔法。
筆者のイメージとしては遊戯王の罠カード《竜星の極み》に描かれている《輝竜星-ショウフク》のアーマーパージ状態が青色になったような感じ。
サイズの問題で搭乗可能人数は2.5人。
つまり大人二人と子供一人を乗せるのが限界。
その図体を活かしたタックルがこの姿での最強技。
当然ながら最高速度は通常形態と比べればかなり遅い。
しかし、その姿でもギルド最速の名は譲らない。
ちなみに、ハッピーはどんな姿に変身しても声は変わらない。




『防寒ネックレス』

ナツが滅竜魔法の炎を凝縮して作り上げた真紅の石が本体。
台座は飾り・・・ではなく、炎の魔力を防寒バリア化するための回路。
ちなみに、台座及びチェーンの金色は純金ではなく金メッキ。




『バルカンが持ってた道具』

弱小の闇ギルドがたまに持ってる殺傷用の魔道具。
ぶっちゃけ魔道士なら自分の魔法を魔法を使った方が強い。
それ故に、持っている人の方が珍しい。
マカオがやられたのはこれをバルカンが持っているとは思わなかったため。
遠目に見えただけだったため判断できなかったが、この道具はマカオも知っている。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。