火竜の遷悠   作:通りすがりの熾天龍

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ひいこらひいこら書いております。

サブタイトルですがナツのみ決着しない。
タイトル詐欺で申し訳ないです。


それぞれの決着

「・・・しかし妙ですねぇ」

「何がだ?」

 

目の前の老人がなぜか疑問符を浮かべる。

 

「先ほどから貴方が使っている()()ですよ。なぜ自分が悪魔であるとバレるような行為をわざわざするのです? せめて偽装のために魔法を使うべきはずでしょう?」

「さて、な!」

 

返答ついでに炎の槍を投げるが避けられる。

お返しとばかりに水晶玉が飛んできたので回避。

 

「ふむ、では別の質問をしましょうか。貴方は妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入る前、どこのギルドに居ましたか?」

「わけわかんねぇこと言いやがる。どうしてあんたの中で別のギルドにいたことが確定してるんだ?」

「ふむ。自覚無し、もしくは当時幼子だった可能性を考えると無知、といったところでしょうか。いいでしょう。では話させていただきましょうか」

 

炎と水晶玉のやり取りを中断し、互いに距離をとって着地する。

 

「まずは貴方が魔法ではなく呪法を使っている理由について考えました。これは簡単。単に呪法しか使えない、魔法が使えない、ということ。そして、力のない一般人として生活するのではなく、正体がバレる危険を顧みずに呪法を使っていることについて。考えられる理由はいくつかあります。セオリーを知らない、危険性を無視するほどの度胸がある、そもそも呪法が何たるかを知らない・・・ほかにも色々あるでしょうが割愛します」

 

単に現在魔法を封じられているに等しい状況、というだけなのだが。

もちろんそんなことは言わない。

 

「いずれの場合も貴方が《冥府の門(タルタロス)》かその配下の闇ギルドから遣わされたスパイという線はないと見ていい。そもそもバレるわけにはいかないのですから、魔法が使えず呪法しか使えない者を送り込むのは自殺行為に他なりませんからね」

 

老人の話は続く。

なお、戦闘は現在中断状態だ。

 

「ならば考えられるのは一つ。貴方が《冥府の門(タルタロス)》、もしくはその配下の闇ギルドから逃げ出した、悪魔に改造された実験体である。ここまではお判りいただけましたか?」

「理解はできたが一つだけ聞こうか。何故、改造人間、と?」

 

話を聞く限り人間が呪法を使えるようになる状況は改造という形で意図的に起こせるようだが。

 

「おっと、そこの話をしていませんでしたね。そもそも呪法はゼレフの悪魔のみが使用できる、魔法とは別の原理で動くもの。人間や魔法生物が使えるようになるには、悪魔に改造されるしかありません。そして、その改造を行える唯一無二の存在は《冥府の門(タルタロス)》にいるのですよ。ゆえに、改造の対象となる人間は、《冥府の門(タルタロス)》かその配下のギルドの人間、もしくは偶々実験台にされた一般人。しかし貴方は呪法を使いこなしている。故に悪魔としての戦闘訓練を受けた元人間、いずれかの闇ギルドによりスパイ目的ではない兵士として育てられ、偶然脱走して正規ギルドに辿り着いた。私はこう考えました」

 

――――そうでしょう? ナツ・ドラグニルの影武者さん。

 

「・・・・・・は? 影武者?」

 

またいきなりすぎる単語が出てきたんだが。

 

「えぇ、私は情報通でしてね。《火竜(サラマンダー)》ナツ・ドラグニルのことももちろん知っておりますよ。炎の滅竜魔導士。貴方が呪法を使い、魔法が使えないことからも貴方が彼ではないことは明白です。元双子でなければ、誰かに変身魔法をかけられているのでしょう?」

「・・・答える義理はないな」

 

ぶっちゃけ嘘をつくのは嫌いである。

というかなんだこの状況は。

 

「あんたの推測も聞いたところでバトル再開と行こうぜ。いずれにせよ、あんたを遺跡に向かわせるわけにはいかねぇからな」

「えぇ、いいでしょう。今答える気がないのならまたいつかの機会に聞きましょうか」

 

再び炎槍と水晶玉が衝突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おのれ! いい加減に倒れぬか! 《斥力(ヴァイス)》! 《斥力(ヴァイス)》ゥ!」

 

リゼリクの斥力魔法は確かに強力である。

強力であるが故にいつもあっという間に片が付き――――だからこそ練度が足りない。

 

「引かぬ! 媚びぬ! それが漢ぉ!」

 

エルフマンはこの斥力に耐え切る。

 

「おのれ・・・!」

 

リゼリクにはこの状況での戦い方が全く分からない。

故に、相手のスタミナ切れを狙ってただ斥力を放ち続けるのみである。

しかし、エルフマンの体力はそれすらも凌駕していた。

 

「どうした! 息が切れかけているぞ! それでも漢か!」

「ぐ・・・黙れ下郎! 余に向かってそのような口を利くな!」

 

リゼリクはもはや魔力切れ寸前。

自分が王子であるという自覚が無意識に引力魔法の使用を封じていたが、この状況では使わない選択肢は自滅に直結する。

 

「これで最後だ下郎! 余が自ら引導を渡してくれる!」

 

両手を突き出し、斥力魔法とは真逆の黒い魔法陣が輝く。

 

「其は全てを飲み込む黒き渦・・・《超引力(オーバーシュヴァルツ)》!」

 

疑似的なブラックホールがエルフマンを引きずり込もうとする。

それに対しエルフマンは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての接取(テイクオーバー)を解いた。

 

「フハハハハハハ! どうやら血迷ったようだな! やはり貴様はその程度の下郎に過ぎん! このまま無様に散るがいい!」

 

エルフマンはその言葉を無視して前に跳んだ。

 

接取(テイクオーバー)――――――――」

「わざわざ飛び込んでおいて抗うつもりか? 貴様は正しく無能の下郎だな!」

 

エルフマンの拳が黒に引きずり込まれていく。

超重力の黒い渦がエルフマンの拳を飲み込もうと・・・

 

「――――――《竜の鱗腕(ドラゴンアーム)》」

 

飲み込まれずに衝突した。

 

「何!? 《超引力(オーバーシュヴァルツ)》に飲み込まれないだと!?」

「人は漢を貫けば・・・不可能すらも可能に変える!」

「ふざけるなぁ! 余の力に抗えるなどあり得ぬ! あってはならぬゥ!」

 

引力が強くなる。

それに拳で抗いながらも、エルフマンは目を閉じた。

 

「竜の炎は魔法をも破壊する。力を借りるぞ・・・ナツ!」

「おのれおのれおのれおのれええええぇぇぇぇぇぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

《偽・火竜の鉄拳》!

 

 

 

 

 

 

 

 

炎の拳がブラックホールを貫き、リゼリクに届いた。

亡国の王子は、声も無く地に沈んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《波動》で空中から攻撃しようとするユウカの腹に猫の姿に戻ったハッピーが一瞬だけ展開した《天翼(アークエーラ)》の速度に物を言わせた強烈な体当たりをかます。

シェリーが操る人形をルーシィが召喚したタウロスは斧のフルスイングでぶった切る。

カナが風のカードを3枚重ねで発動し、トビーを吹き飛ばした。

 

「っ・・・まるで隙が無い・・・!」

 

一対一だった状況から合流した3組。

ユウカが呟いた通り、即席のはずのトリオはとてもそうは見えない見事なコンビネーションでユウカら3人を圧倒している。

事実、ルーシィとカナの戦闘スタイルは抜群に相性が良い。

二人とも手札が多いため、様々な形で互いの戦術を合わせやすいのだ。

そこに、ナツとのコンビでで経験を積んだ最速を誇るサポート型のハッピーが加わる。

更に、この場においては3人中2人が相性が有利なのである。

その速度により、ユウカの《波動》を常に回避できるハッピー。

接触攻撃しか使うことができないトビーを遠距離から一方的にかき回せるカナ。

二人と比べるとまだ未熟なルーシィはカナと互いにサポートしあいながらシェリーのゴーレムを壊す。

シェリーは星霊も操れるがそこは《強制閉門》で回避できる。

ならば、とハッピーに標的を定めようとするシェリー。

しかし、人形化には少し時間がかかるため、高速で動くハッピーは捕まらない。

 

「クッソォ、万事休すかよ!」

「いいえ、まだですわ! ユウカ! トビー! 少し時間を稼いでくださいませ!」

「わかった。頼むぞ!」

 

シェリーは大技を使うため、地面に両手をついて集中する。

 

「させないよ!」

 

カナが即座にカードを投げるが、

 

「それはこっちのセリフだ!《波動壁》!」

 

ユウカが波動の壁を作り、カードを止める。

波動の壁は球状に広がり、ハッピーも手を出せなくなった。

 

「だったら! 開け! 処女宮の扉《バルゴ》!」

 

ユウカが壁の維持に手いっぱいと見たルーシィが地中から仕掛けるべくバルゴを呼ぶ。

 

「あの女を止めて! 無理はしちゃだめだからね!」

「承知しました、姫!」

 

即座に地中に潜り、シェリーに攻撃を仕掛けようとするバルゴ、

 

「臭いでバレバレだ!」

「キャッ!」

 

しかし、獣人の嗅覚で嗅ぎ付けたトビーの爪がバルゴを麻痺させた。

 

「バルゴッ!? 《強制閉門》!」

 

即座にバルゴを帰還させたルーシィ。

次の手を考える間に、シェリーの魔法が完成してしまう。

 

「これで終わりですわ! 《大地の巨神兵(ガイア・ギガント)》!」

 

かなり深い地中の岩石と、広範囲の岩石と樹木をより合わせた巨大なゴーレム。

シェリーたちは、巨神兵の体内に空洞を作り、そこに避難している。

巨神兵がその拳を振り上げた。

 

「カナ! ルーシィ! 乗って!」

 

拳に潰されそうな二人を《猫竜形態(ドラゴライズ)》したハッピーが救出。

 

「ヤバイね、これは」

「これってどうすればいいんだろう?」

 

カナの頬を冷や汗が伝い、ハッピーが困惑気味に唸る。

そんな中、ルーシィは思考を巡らし、

 

「ねぇ、カナ。電気系の魔法ってある?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、シェリーもまた疲弊していた。

 

「トビー、回復薬をお願いいたしますわ」

「あぁ。わかってる」

 

トビーが差し出した魔力回復薬を飲み干すシェリー。

 

「速攻で決めるしかないね」

「えぇ。そうでなければ私が持ちませんもの」

 

ユウカは巨神兵の腹に空いた覗き穴から外を見る。

 

「どうやら彼らは海の方へ逃げているみたいだ」

「追いますわよ」

 

巨神兵が竜化したハッピーを追って海へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

二人を乗せたハッピーを追い、巨神兵が海へと分け入る。

 

「来たよ!」

「うん! 開け! 宝瓶宮の扉《アクエリアス》!」

 

空中から海へ向けた鍵のから魔法陣が飛び出す。

魔法陣は海面へ到達し、ルーシィの最強の星霊を呼びだした。

 

「全く、久々に呼ばれたと思いきゃなんだいこれは?」

「アクエリアス、あの巨人を海水で浸してほしいの!」

 

アクエリアスはルーシィの顔を見て全てを悟った。

 

「かなり重要とはいえ只の下準備か。でもまぁ、私に任せなぁ!」

 

アクエリアスが海水を巻き上げ巨神兵を上空に吹き飛ばす。

当然ながら巨神兵は中まで水浸しになった。

 

「やることはやったよ。私は帰る。これから彼氏とデートだから暫く呼ぶんじゃないよ」

 

アクエリアスが勝手に帰った。

 

「ありがとう、アクエリアス!」

(トラップ)発動! 《六芒星の呪縛》! 《デモンズ・チェーン》!」

 

打ち上げられた巨神兵を、カナが2枚のカードで縛る。

 

「っ・・・流石にきついねぇ。でも、ここで力尽きるわけにはいかないよ!」

「開け! 羅針盤座の扉《ピクシス》!」

 

ここでルーシィは最後の星霊を呼び出す。

その姿は人間のような形になった鳥。そして、頭には方位磁石。

 

「カナ!」

「わかってるよ! 《電撃(サンダー)》!」

 

カナが撃ちだした電撃はピクシスの力によって導かれ、巨神兵へ届く。

六芒星の魔法陣と悪魔の鎖に縛られた彼らに、なすすべはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ・・・・・・」

 

激戦の末、膝をついたのはリオン。

 

「・・・一つ聞かせろ」

 

そんなリオンにグレイが問いかける。

 

「デリオラの封印を解く理由・・・それはデリオラを自分の手で倒すためか?」

 

リオンが再び立ち上がろうとする。

 

「そうだ・・・! 俺はウルを超えるために、ウルが倒せなかったデリオラを倒す! お前がウルを死なせたせいで、それ以外に俺の強さを証明する方法はない!」

 

グレイは目を伏せた。

 

「あぁ、確かにウルが死んだのは俺のせいだ。だからこそ、封印は絶対に解かせない。ウルの行為を無に帰させない。それが、俺が唯一ウルに返せる《贖罪》だからだ」

「・・・・・・そんなことで俺を阻むって言うのか」

 

リオンの言葉に対してグレイは答えを言わず、

 

「それに、今のお前じゃデリオラは倒せない」

「っ・・・黙れ」

「わかってんだろ、今のレベルじゃ俺もお前も」

「黙れっ・・・」

「ウルの足元にも及ばない」

「黙れええええぇぇぇぇぇぇェェェェェェッ!」

 

リオンが両手を上に突き上げ、更なる魔法を発動させる。

 

「アイスメイクッ! 《氷獄四頭竜(コキュートスクアトラゴン)》!!」

 

氷河双頭竜(ブリザードツインドラゴン)》に更に二つの首が生える。

 

「俺はウルの教えの上を行った! だからウルを超えたんだアアアァァァァァ!」

 

グレイも再び造形を発動させる。

 

「アイスメイク《竜魂神器(グラファイト・ギア)》」

 

機構氷竜(フリーズ・ドラゴマキナ)》が神々しい氷の鎧を纏う。

その鎧には腕がついており、その手の中に武器が現れた。

二つの大剣をそれぞれの手に持ち、腕を得た氷の機竜が吠える。

 

「ふっざけるなアアアァァァァァァァァ!」

「これで最後だ。お前の目を覚まさせてやる!」

 

氷の竜がぶつかり合う。

リオンの竜にひびが入った。

 

「なぜだ! ウルを超えた俺がグレイに負けるなど!」

「片手で作った造形は脆い」

「っ!」

 

グレイの言葉に息をのむリオン。

 

「そのうえ一度作ったものに後から無理やり首を継ぎ足したんだ。そんなことをすれば更に脆くなって当然だろう?」

「俺は・・・俺はッッ!」

「これで終わりだ、リオン。《氷刃・七連舞》」

 

グレイの竜が振るった二振りの剣が、リオンの竜を完全に砕いた。

グレイの最後の攻撃が、リオンが最後に放った氷の虎を打ち砕き、リオンに届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワンサイドゲーム。

もはやアリスに打つ手はない。

それがわかっているのかいないのか、アリスは延々と悪霊を結界にぶつけ続ける。

結界に衝突した悪霊は浄化されて力を削られ、何度もぶつかることで消滅する。

消滅する悪霊を見てアリスは更に怒りを募らせる。

長時間村を守り続けるミストガンの結界には僅かなひび一つすら入らない。

ミストガンからすればこのまま現状維持でも時間が勝手に解決する。

だが、目の前の無知で無垢なまま狂気に浸る少女を放置するほど、彼も非常ではない。

 

「一つ質問しようか。彼らは今まで君の言うことを聞かなかったことがあるか?」

「うるさい! 私のお友達の悪口を言うな!」

 

どう聞いてもそう聞こえないはずの質問を悪口扱いされ、内心頭を抱えるミストガン。

そもそも会話が成立しない可能性があるのはいろんな意味で辛い。

 

「ならば質問を変えよう。彼らは自分の意見を言ったことがあるか?」

「私のお友達を! 汚いなんて言うな!」

「・・・」

 

いや、何をどう解釈したらそうなるのか。

あまりにも頓珍漢な回答にもはや溜息しか出ない。

ちなみに、興味本位で屋外にいる村人から見てもわかるほどにミストガンは落ち込んでいる。

なお、未だ結界は無傷。

 

「・・・仕方ない、実力行使だ。《虚方陣・恐鏡夢(おそれうつし)》」

 

狂った少女を夢の世界へ閉じ込める。

ところで、人間には眠ったまま乗馬などという離れ業は不可能である。

当然ながら、アリスも悪霊に乗ったままでいられず、滑り落ちて落下する。

悪霊は動かない。

当然だ。この悪霊に自我はなく、アリスの命令通りにしか動けないのだから。

 

「《二重魔法陣・幽波紋》」

 

魔法陣が二重に展開し、アリスの体は無傷で着地する。

 

「さて、次はこれの完全浄化だな」

 

ミストガンは未だ大群と呼ぶべき量の悪霊達を見上げた。

新たな杖を構え、地面に突き立てる。

魔力が吹き上がり、風の如く周囲へと流れる。

 

「その魂を解き放つ。《六重大法陣・天ノ道》」

 

巨大な光の柱が天へと昇り、悪霊達が吸い込まれ、浄化されていく。

悪霊が浄化される度、その光は力を増していく。

そして光の柱は、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・何だ? 見えない壁があるのか?」

 

そして、その壁らしき見えない何かにひびが入り――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()

 

俺と老人は反射的に上を見上げる。

 

「上空に、何かが・・・? 貴方たちの仕業、ではないでしょうね。我々の中に上空の何かを割り砕いた光の柱の魔法を使えるものはおりませんし」

「・・・・・・なるほどな。そういうことだったのか」

「?」

 

疑問符を浮かべる老人。

それに対して、俺は答えを理解した。

今まで悪影響を中和するために放出し続けなければならなかった呪力を止める。

代わりに引きだすのは、俺自身の魔力。

 

「あんたの推理、その答えを教えてやるよ」

「・・・ほぉ?」

 

こいつが答えだ!

 

「《火竜の咆哮》!」

「なっ!?」

 

避けられたが、奴を驚愕させるには十分だったようだ。

 

「まず一つ。俺はナツ・ドラグニル本人だ。影武者? そんな奴居ねぇよ」

「ならば、なぜっ?」

 

こいつも混乱しているのだろう、質問がはっきりしていない。

 

「魔法が使えなかったのはこの島に入ってからついさっきまでのこと。原因はわからねぇが呪力を放出し続けなければまともに活動できない妙な環境だったからな。ちなみにその悪影響があるのは俺とこの島の住人だけみたいだがな」

「まさか、この島の住人もゼレフの悪魔だというの!?」

 

怒涛の展開に素が出ているようだ。

声も若い女のものになってしまっている。

 

「そいつはちげぇな。悪魔だったら俺が真っ先に潰してる。さて、次の答えだが、俺が悪魔と同様の存在になったのはただの事故。自作の魔法が妙な化学変化を起こしたせいでゼレフの悪魔と合体事故のようなものを起こしちまったってのが真相だ。()()()使()()()()()()()こいつを使えるのが俺が悪魔じゃない証拠だ」

 

――――――《炎魔の激昂》!

 

「なっ!? 滅悪魔法ですって!?」

「ついでにもう一つ。俺は最初から《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》の人間だ」

「全部・・・勘違い!?」

「情報開示ご苦労様ぁ! まぁ、俺も少しバラしちまったからお互い様だよな!」

 

もはや完全に奴の変身魔法が解けている。

自分で気付いているのかどうかは不明。

 

「そういうわけだ。全部解決するまで付き合ってもらうぜぇ!」

 

ようやく本気が出せることだしな!

 




『勘違い』

書いてて楽しかった。
本格的な勘違い物を書けと言われると無理だが。
そのせいでウルティアにポンコツ属性が追加されてしまった模様。




『エルフマンの体力』

ギルド内の体力ランキング、堂々のトップである。
S級ですらこやつのスタミナに並ぶ者はいない。





接取(テイクオーバー)・《竜の鱗腕(ドラゴンアーム)》』

これがやりたかったからデリオラ編にエルフマンを投入した。
コピー元は当然ナツ。
現時点ではエルフマン最強の魔法。
なお、試験的に文字拡大、太文字を使ってみました。




『合流』

最初はそれぞれで一対一のバトルを書くつもりでした。
・・・書けなかったんじゃ。





『ピクシス』

原作にはなかった能力を付けてみた。
《電気・磁力の誘導》
この子だって強化されてもいいと思うの。





『《六重大法陣・天ノ道》』

最初は「機巧童子ULTIMO」という作品から6つの善性を元ネタにする予定で、その6つを詠唱に組み込む予定だった。
で、調べてみたら、持戒・智慧・布施・忍辱・精進・禅定。
浄化の魔法の要素として不適切。ボツである。
次に考えたのは仏教の「六道」。
ただ、これは半分天国、半分地獄。悪霊の浄化としてはこれも微妙。ボツ。
次、キリスト教より、「主の祈り」を構成する「6つの願い」
調べたが意味不明。当然ボツ。
なんか、6以上の数字で聖なる何たら的なのが見つからず、何の意味もない名前になった。
だれかそういうの知ってたら教えてください。





『次回』

デリオラ編最終回予定。
ミストガンがかつてのロリウェンディの時みたいに幼女を手籠めにするんじゃよ。

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