火竜の遷悠   作:通りすがりの熾天龍

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大変長らくお待たせしました。
ようやく第10話です。
投稿がめっさ空いた割には短いですが(汗)
しょーがないじゃん。切りがいいところそこだったんだもん。

今回、オリキャラが2人登場しております。
その片方はケツアゴさん考案のキャラです。
オリキャラの応募、ありがとうございました。

それでは改めて、火竜の遷悠、第10話です。どうぞ。


リオン一味

「ど、どういうことだよ・・・この氷が、お前の師匠そのものって・・・」

 

その俺の言葉に答えたのはグレイではなくミストガン。

 

絶対氷結(アイスドシェル)という魔法は、術者の肉体を氷に変える封印魔法だ」

 

グレイとミストガンを除く全員が絶句した。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、更に話を聞こうとしたところで俺の嗅覚が人の匂いを捉えた。

嗅覚ほどではないが常人よりはるかに鋭い聴覚も足音を捉える。

その上得体の知れない何かの臭い。

 

「拙い、誰か来る・・・!」

「!? 隠れるぞ!」

 

ミストガンの言葉通りに全員で岩陰へ。

更にミストガンが認識阻害の結界を張る。

 

 

 

 

 

そして息を潜めて数秒後。

現れ出たのは、尾を引いて飛び回るいくつもの紫の何か。

紫の炎のようなもやに覆われたそれは、どう見ても人間の上半身の骨。

大きさは子供から大人まで様々だ。

初めて見るが、恐らくこれは悪霊の類だろう。

 

更に、その後から一人の幼い少女が出てくる。

無表情のまま、その少女は悪霊と話をするように声を出している。

そして時折、まるで悪霊の声が聞こえるかのように頷いている。

 

「そう・・・見つからなかったの」

 

少女は小さい子を慰めるように悪霊の頭蓋骨をなでる。

 

その少女の更に後から二人の男が出てきた。

 

「おぉーん」

「侵入者はいたか?」

 

片方の男は獣人だ。見た目とにおいから察するに犬人だと思われる。

もう一人は眉が濃い。

眉が濃いほうの男が少女に問いかけた。

それに対し、少女は首を横に振る。

 

「駄目。全然見つからない」

 

その答えに二人の男は揃って溜息をつく。

 

「シェリーのネズミがやられ、遺跡の入り口に大穴」

「どう考えてもネズミをやった侵入者が遺跡を壊したんだろうな」

「でも、私のお友達が一通り探してくれたけど見つからない」

 

眉男、獣人、少女が順番に声に出し、男二人がまた溜息。

少女の言うお友達、とは悪霊たちのことだろうか?

 

「全く、封印もあと一晩で解けるだろうってのに邪魔が入っては堪ったもんじゃない」

「おぉーん、全くだ」

 

その後眉男が少し考え込み、言った。

 

「とにかく、今日は早めに上に行こう。まだ月が出るには早すぎるが、もし侵入者が儀式の邪魔をするなら上来るだろうし、迎撃の準備をしておくのは悪手じゃないはずだ」

「だな。おい、行くぞ。その悪霊共はしまっておけ」

「・・・悪霊じゃない。私のお友達」

 

そんな会話をしながら3人と悪霊の群れはこの場を去っていった。

さて・・・

 

「目的は封印の解除、か。それと解除には月が重要。今のところはこんなもんか」

「ふざけやがって・・・!」

 

グレイが声を荒げる。

まぁ、それも仕方ないだろう。

封印を解くと言う事は氷を溶かすこと。

氷を溶かすことはグレイの師匠をこの世から完全に消すと言う事なのだから。

そして、恐らく今晩にはそれが達せられてしまう。

 

「追うよ。迎撃の準備が終わる前に仕掛けなきゃ」

 

カナの言葉に全員で頷き、認識阻害を掛けたまま俺達は移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪ィ、侵入者は見つけらんなかった」

 

三人を追跡し、遺跡の上に到達。

そこで彼らを待っていた人物達に、獣人がそう言った。

 

「そのようだな」

 

溜息をつきながら仮面を付けた男が言う。

その男が声を出した瞬間、グレイが僅かだが反応を見せた。

 

「そうですか。悲しいことですわ。・・・そして愛」

 

ゴスロリの女が続ける。

語尾が痛々しいのはスルーしておく。

 

「くだらん。そのような下民、我等には関係のないことよ」

 

金髪の男が興味なさそうに言った。

なんだが某作品の英雄王を思い浮かべる風貌だ。

 

「ふぉっふぉっふぉっふぉっ」

 

愉快そうに笑う老人。

しかし、こいつだけが異質すぎる。

見た目は年老いた男だがにおいは若い女。

腹に一物抱えている雰囲気がある上に()()()()()()()()()

正確には、位置までは把握していないが俺達が認識疎外を使って隠れていることに気付いている。

しかし、その上で仲間であろう者達に伝えていない。

 

「今のうちに迎撃態勢を整えておいたほうがいいだろうね」

 

眉男の言葉に仮面は少し考えてから言った。

 

「・・・いや、先手を打ったほうがいいだろう。そうだな・・・村を消そう。敵は今村へ戻っている場合は一網打尽にできるし、仮にそうでなくともここから引き離せるはずだ」

 

その発言、まさしく外道。

人の道を踏み外した者の言葉。

 

「アリス。村の奴らをを消して来い」

「・・・やだ」

「・・・『お友達』が増えるぞ」

「やっぱり行く」

 

少女改めアリスが、仮面の言葉に従い、巨大な悪霊を呼び出してその背骨に乗る。

止めねば、と思った矢先、グレイが飛び出した。

 

「――――アイスメイク《双機関銃(ツインガトリングガン)》!」

 

グレイの手に創られた2丁の散弾機関銃が氷の弾丸を豪雨のごとく吐き出す。

しかし、それらは金髪の男によって弾かれた。

 

 

 

 

 

――――グレイが吠える。

 

「暫く見ねぇ内にそこまでクズになっていたとはな・・・なぁ、リオン!」

 

グレイの言葉が向けられたのは仮面の男。

 

「ふ、お前がここに来るとはな、グレイ」

 

仮面改めリオンがグレイの名を呼ぶ。

 

「グレイ、知り合いか?」

「あぁ。共にウルの魔法を教わった、俺の兄弟子だ」

「・・・そうか」

 

一言つぶやいて、大きく息を吸う。

 

「俺達は妖精の尻尾(フェアリーテイル)だ。この島で起きている現象を止めに来た。その原因であろう儀式とやらを即刻中断してもらおうか。断るのであれば・・・後はわかるだろう」

「下らんな。・・・そうか、お前はギルドに入ったのか、グレイ」

 

リオンが仮面を外しながら言う。

 

「そうだ。こいつらはギルドの仲間だ」

「友情ごっこか、くだらないな。・・・アリス。ぼさっとするな。村を消して来い」

「うん。わかった」

「リオン! てめぇ!」

 

まだ村を消すことをやめようとしないリオンに、グレイが怒鳴る。

 

「どうした、妖精の尻尾(フェアリーテイル)。こんなところで油を売っていると村の奴らが死ぬぞ? 正規ギルドの魔導士がそれを見過ごすのか? まぁ、どちらにせよ儀式の邪魔はさせないがな」

「・・・っ」

 

余裕たっぷりに挑発するリオンの言葉にグレイが歯噛みする。

 

「当然それはさせねぇよ。ミストガン!」

「あぁ、任せろ!《転移方陣》!」

 

俺の言葉に頷き、ミストガンが村へ向かった。

 

「お前らは行かなくていいのか? 一人でアリスの悪霊共を防げるとでも?」

「むしろミストガンだけで十分だ。俺達がヘルプに入ろうとすれば確実にあいつの邪魔になるからな」

 

それに・・・

 

「数は同数。一対一に持ち込むぞ! 俺はあそこでにやけているジジィをやる!」

「あぁ! 俺はリオンとやる! できる限りばらけて戦うぞ!」

 

俺はジジィに化けた女と、グレイはリオンと。

 

「させるかよ!」

 

獣人が魔法で両手に爪を生やしながら突貫してくる。

それを・・・

 

「それはオイラのセリフだ!」

「うがっ!?」

 

ハッピーが相手の腹に体当たりすることで止める。

 

「吹き飛べ下民共!」

「漢ぉ!」

 

金髪が放つ衝撃波をエルフマンが前に出てビーストアームで受け止める。

吹き飛ばされそうになったが、そこは足を変化させて地面にめり込ませることで耐えた。

 

「行きなさい、ゴーレム!」

「させないよ!」

 

ゴスロリががれきを組み合わせて作り上げたゴーレムを、カナが転ばせて壊す。

 

「くっ・・・ならば!」

「させない! タウロス!」

「MOOOOOOOOOO!」

 

眉男も金髪のように衝撃波を放つが、ルーシィが呼んだタウロスが斧で防ぐ。

 

「できるだけ一対一に持ち込め! 夜になっても儀式をさせる暇を与えるな!」

 

俺の言葉にそれぞれが答え、戦闘が始まる。

 

「行くぞリオン! お前がふざけた真似をするつもりなら、ぶん殴ってでも止めて見せる!」

「黙れ! ギルドなどというぬるま湯に浸かっているお前なぞに負けん! 俺はウルを超える!」

 

グレイとリオンが言葉を交え・・・二人とも脱いだ。

 

『この場面で脱ぐな!』

 

・・・全員のツッコミが一致した瞬間である。




『悪霊使いの幼女』

オリキャラです。
名前はアリス。ファミリーネームは未定。・・・いや、ちゃんと付けるよ?
容姿は銀髪ロリ。
イメージとしてはFateのイリヤスフィールが無表情で無口になった感じ。
使う魔法は悪霊を量産して使役するもの。
悪霊に殺された人は悪霊の仲間になるので、増える増える。
ちなみに、大型の悪霊は大体が冥界とかから直接呼び出した大悪霊。
なお、アリス自身には人を殺しているという認識がなく、お友達が増えていると認識している。
つまり悪霊はお友達。
悪霊の方もアリスを裏切ることは絶対にない。
7年後はどうするかって?
とりあえずジェラールのギルドに入れればいいんじゃないかな?(テキトー)
将来この子には型月的に英霊とか召喚させようかななんて考えてる。
FT世界の英霊なんて知らないけどな!(オイ)
この子を作った理由は村への襲撃のため。
ミストガンに物量で挑むキャラクターが欲しかったので。





『トビー』

この作品では犬耳は飾りじゃなくて生まれついての本物。
よーするに本物の獣人種ってことで。
もちろん強化してますよ。自爆はさせない。





『某慢心王っぽいオールバック金髪』

アンケートで募集したオリキャラです。
ケツアゴさん、本当にありがとうございます。

名前はリゼリク・アルゴート。
容姿は金髪オールバックの英雄王っぽい顔立ち。
一人称は『余』、敵を呼ぶときは『下民』
亡国の王子なので傲慢かつ上から目線。
引力と斥力の魔法の使い手です。

改めて、ケツアゴさんに感謝を。
ありがとうございました。





『一対一のバトル』

ナツVSザルティ(ウルティア)
グレイVSリオン
ハッピーVSトビー
エルフマンVSリゼリク
カナVSシェリー
ルーシィVSユウカ
ミストガンVSアリス
正直エルフマン、カナ、ルーシィの相手の組み合わせはかなり迷いました。
次回から戦闘が始まりますよっと。

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