天翔ける龍の伝記   作:瀧龍騎

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前回の誤植。
黄黄が日本語慣れしてる...3年も暮らしてれば日本語も慣れるだろうけど、「〜アル」は正直残したい。
義弘が標準語に...ぶっちゃけ、薩摩弁に直すの面倒いです。

気が向いたら直します。


第七十九話 天下統一

「琉球ならもう落としたぞ?」

 

 

天龍はそう言い切った。

 

 

「なん.....だって!?」

 

 

さしもの良晴もこれには驚かざるを得なかった。天龍の所在が見当たらなくなってからの1ヶ月間、九州征伐が行われている裏で琉球征伐が行われていたなんて、誰が思うだろうか?

 

 

「.....やってだ?」

 

「ん〜?」

 

「どうやって琉球を落とした?」

 

「ほう?」

 

「この国の戦力の大部分は九州征伐に回していた!なのにあんたは琉球を落とした!九州征伐不参加の大名であんたに付き従うような者はそう多くない。

水軍と陸軍両方に優れた兵が必要なはず。

あんたはそれをどうやって用意した?」

 

「おやおや、成長したじゃないか良晴。

愚か者ならここで『Why?』と尋ねるのに対して、お前は『How?』と尋ねた。上出来だよ」

 

「..........」

 

「答えよう。水軍は用意しなかった。何しろ九州征伐に軍船も軍艦も導入してしまっていて、持ち出す余裕がなかったからな。

"だから空軍を用意した"」

 

「空軍!!?」

 

「あれだよ」

 

 

天龍は外を指す。

 

 

「なっ.....!?」

 

 

それは空にあった。まるで巨大な船。

飛行機などとは違い、空中で停止している。

 

 

「気球..........いや、飛行船か!?」

 

「その通り。チェッペリン硬式飛行船。

あれで琉球に夜襲を仕掛けた」

 

「夜襲!?」

 

「いいや、暁襲(ぎょうしゅう)と言うべきか。人が最も油断する時間帯は真夜中ではなく明け方だ。多くの人物が眠っている。おまけに人間は夜行性ではないから敵の姿すら見えない。

我々と違ってな」

 

「我々?」

 

「使った兵は全員吸血鬼だ。常陸で臨時収入でたくさん手に入ったからな。飛行船で首里城の真上、1kmの位置にて停止し、そこから総勢100人の吸血鬼が一斉に降り立った」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一月前、琉球王国。

 

 

「ちょっ.....本気で飛び降りるのですか!?」

 

 

藤堂高虎が言う。

 

 

「何言ってるんだい高虎。吸血鬼の君にはこんな高さなんて、わけないじゃないか。悪くて足が折れるくらいさ」

 

「嫌ですよそんなの!?私が高所が苦手だって知っているでしょう!?太田城の天守閣の高さですら私には震える程だったのですよ!?」

 

「だから後でおっぱい揉ませてあげるって言ったじゃん」

 

 

今は女性体の天龍だ。

 

 

「揉ませる程の乳なんてないでしょう!」

 

 

高虎が口走る。天龍は貧乳だ。

 

 

「...........」

 

「あっ、あの.....すみません!その.....」

 

「えいっ!♡」

 

 

天龍は高虎を蹴り飛ばした。そしてそのまま飛行船から落ちた。

 

 

「ひぎゃくぅあああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

頭から落ちていく高虎。これでは首が折れる可能性がある。

 

 

「くっ!!!くあああぁぁ!!!!!」

 

 

高虎の腕と足、それから股の間に皮膚が薄い膜のように広がる。上皮の変質。高虎はムササビのような状態になった。

 

 

「ひゅ〜やる〜!高虎に続け!奴らが戦闘態勢に入る前に首里城を陥落せよ!」

 

「「「おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」」」

 

 

総勢100人の吸血鬼が一斉に降下する。その中には宗麟や、あの蒲生氏郷までもがいた。それからついでに、伊達政宗まで興味本位で付いてきた。

 

 

「おい梵天丸。お前は目玉以外は人間だから、この高さから落ちたら死ぬぞ?」

 

 

一斉降下中の天龍の一言。

 

 

「にゃにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!?

それは飛び降りる前に言ってくれ!!

まさか魔太閤め!我を謀ったな!?」

 

「ちゃんと言ったさ。なのに一人中二やって人の話聞いてなかっただろ。自業自得だ」

 

「ぷっ.....馬鹿な餓鬼アンチの死が目の前で見られるなんて、なんたる幸運か」

 

 

氏郷が言う。

 

 

「くそぉぉぉ〜!!!糞耶蘇のくせに〜!!」

 

「しゃ〜ない。レオ、梵天丸をおぶってやって」

 

「なっ、なんで私が!?」

 

「レオ.....これは命令だよ?」

 

「あうぅ.....」

 

 

仕方なく宿敵の梵天丸をおぶる氏郷。

 

 

「や〜いや〜い!」

 

「振り落とすぞ餓鬼」

 

「ひぃえっ!!?」

 

「むぅ.....対処に困る」

 

 

悩む天龍。これが落下中の出来事である。

 

 

 

 

 

 

4時35分に始まったこの暁襲。決着がついたのは2時間後の6時30分の事。人間よりもはるかに強力な吸血鬼100人の強襲だ。琉球側も慌てて4000人あまりの兵を差し向けようとしたものの殆ど間に合わず、首里城は陥落してしまい、国王尚寧王は捕らえられた。

まぁ正面からぶつかったとしても、結果は同じだったと思われる。被害が最小限に抑えられた分、いいのかもしれない。

 

 

「※離せ!私は尚寧王であるぞ無礼者!」

 

 

※翻訳済み

琉球語は最早日本語ですらなかった。

島津義久の薩摩弁以上に分からない。

 

 

「※おやおや。沖縄美女がどんなものかと楽しみであったが、やはり大和撫子とはまた違う美しさがあるな。まだまだ幼女ではあるが、私好みだ」

 

「※ひゅわっ!!?」

 

 

天龍がスラスラとした琉球語でナンパする。

尚寧王は去年就任したばかりの新米王だった。

 

 

「えっ!?何故天龍様が琉球の言葉を!?というか、何故私達は琉球の言葉を理解できるので!?」

 

 

宗麟から疑問が生じる。

 

 

「そりゃあ、俺らが人外だからさ。

人外に人間の概念は存在しない。

神が人間に与えた呪いすらもな」

 

「神が与えた呪い!?」

 

「『バベルの塔』をしってるか?」

 

「存じています。旧約聖書の創世記に登場する聖なる塔の事ですよね?」

 

「それなら私も知っている」

 

 

氏郷が話に参加する。

 

 

「世界中の人間が手を取り合い、天にまで届く高い塔を建築し、神に挑んだ。それに怒った神はその"いかづち"にて塔を破壊した。その影響により、人間達の言語はバラバラとなり各国に散らばり、その後手を取り合う事は二度となくなった。

一説には言語を分けた事により、塔の建築を中断させたという話もありますね」

 

「その通りだ。真実がどちらかは分からんが、それをきっかけとして人間はそれぞれで言葉を持ち、自国の言葉が通じない相手は"敵"と認識するようになったんだ。

まぁぶっちゃけ、人間達に争いという概念を植えつけたのは神だって話なんだけどな。

今でこそバイリンガルというか、他国の言語や文化を学んで交流しようという国が増えてきてるがな」

 

 

平成の世では英語という世界共通言語により国際化が進んでいる。

 

 

「すると.....吸血鬼はその神による言語の分断化の影響を受けないのですか?」

 

「吸血鬼に限らず、妖怪悪魔の人外の類いは全部だな。あくまで"人間"に課せられる縛りだ。人間を超越した時点でそれはなくなるよ。それは国外だけでなく国内でもな。方言も言わば小さな言語の分断化だ。薩摩弁や琉球語が理解できるのはその為だよ」

 

「「なるほど」」

 

 

2人とも納得したようだ。

 

 

「ククク。デマカセを言いおって。

この伊達政宗には琉球語など分からぬぞ」

 

「さっきも言ったが、お前は目玉以外は人間だからな。他国の文字は読めても、言語は聞き取れんよ。耳でも移植しない限りはな」

 

「にゃにぃ!?じゃあ耳をくれ!」

 

「えぇ〜?やだよ〜」

 

「図々しいぞ伊達政宗!"ウラド様"よりその瞳を与えられただけでも光栄を思わぬか!!」

 

 

氏郷が言う。

 

 

「つい最近まで命狙ってた奴の言う事かよ」

 

「はっ!?.....すみません!!」

 

「いいよ。レオに限らず、ベルも高虎も敵側にいた奴だし」

 

 

天龍はこの吸血鬼一味の中だけなら、

"ウラド様"と呼ばれていた。

 

 

「ウラド様!!この高虎めはずっと貴方様の味方だったではありませんか!?」

 

「"天竜"の敵だったろ?」

 

「そんな殺生な」

 

 

そうして、天龍軍の"第一次"琉球征伐は終了した。この時点では琉球を征服せずに講和扱いとし、その講和の条件として、琉球王国は『外政権』を天龍軍に委ねる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「外政権!?」

 

 

良晴に尋ねられる。

 

 

「あぁ、琉球は明の冊封国.....つまりは属国だったからな。征服する上でその繋がりを断ち切る必要性があった。だからこそ外政権を奪った。それにより琉球を日本側に引き入れ、『世界の中の一つの国』としてではなく、『日本国内の中の一つの国』としたのだ。

簡単に言えば、琉球王国を琉球国。

尚寧王を国王ではなく大名にしたのだ」

 

「...........それが"第一次"って事はまだ続きがあるんだろ?」

 

「その通り。その7日後に俺は再び琉球を襲った」

 

「何でだ」

 

「一つは残った目標、『内政権』を奪う事。

それさえ奪えば琉球は征服したようなもんだ。

二つ目は尚寧王を完全に屈服させる為だ。

一度目の襲撃では、琉球にはまだ兵力も気力も残した状態での勝利だった。だからこそ、いつ反旗を翻すか分からない。俺は"第二次"において、あえて敵に襲撃の日時と時間帯を予め伝え、準備させた上で正面からぶつかった。

そしてこれでもかという具合に叩きのめした。

 

ぶっちゃけやり過ぎた。

 

終わった頃には尚寧王なんかマジ泣きしてたし、途中で明からの援軍まで来ちまって、怖気づいた梵天丸が慌てて

『 空裂眼刺驚』を撃って、四艘撃沈しちまって.....かなりの大惨事になっちまった」

 

「..........」

 

「ちなみにそれが明への宣戦布告と取られたようだ」

 

「なっ!?」

 

「お陰で明からの特使が長崎に集結してな。まぁ、相手すんの面倒いから待たせてんだけどさ。

首斬って明に送り返そうかなぁ」

 

「冗談でもやめろよ!?今の日本に明とまともにぶつかるだけの戦力なんてないぞ!?」

 

「まぁ、冗談くらい言わせてくれ。

今の俺はウキウキしてたまらないんだ!」

 

「?」

 

「考えてもみろ?これで俺は正真正銘"天下人"だ」

 

「!?」

 

「これで第一目標の日本征服は達成されたわけだ。これから国内の内政を整えつつ不穏分子を排除し、国家を安定させた後、第二目標の"天竺調略"。第三目標の"明の侵略"に繋げていくのだ。

いやぁ〜!こういう時に吸血鬼は便利だ!寿命の概念がないから、何世紀でも戦争が続けられる!」

 

「なんだと!!?」

 

 

良晴は激昂した。

 

 

「手前ぇ!!一体いつまで!

どこまで戦争を続けるつもりだ!!」

 

「無論、世界が統一されるまでだ」

 

「手前ぇ!!」

 

「良晴よ。世界征服と天下統一。何が違うんだろうな?」

 

「!?」

 

「信奈の征服事業は応援する。だが、俺の征服事業は反対。完全に偽善じゃあないか」

 

「違う!!俺は.....」

 

「だがお前にどう思われようとも、この計画を見直す事はないがな?」

 

「くっ.....!!」

 

「そして、然るべき人物にその世界を明け渡す。俺をも超える力を持ち、俺を倒す事ができる強者に。統一された世界全てを託す」

 

「何故そんな事を.....」

 

「生憎俺ができるのは、"破壊"と"創造"だけでね。創造された後の世界を持続させ続ける力までは持たない。だからこそその権利を委任するのさ」

 

「間違ってるよ.....そんなの.....」

 

「完全に正しい事なんてこの世にあるのかい?」

 

「手前ぇ!!」

 

「候補は何人かいる。お前は勿論の事、武田信玄、上杉謙信、伊達政宗。それからガブリエルもな。それ以外に海外にも候補は数多くいる。信奈にもそこそこ期待はしていたが、お前に毒されて弱くなった奴は既に俺の敵ではなくなったよ」

 

「黙れっ!!」

 

「しかし勝千代は病気、梵天丸は未熟、謙信はその気はあっても、妹の存在が足枷に。ガブリエルは"絶対に"俺を殺せない。つまり大本命はお前という事になるなぁ?」

 

「あんた.....その為に俺を.....」

 

「あぁ、想像の通り。お前を人狼にしようと計画したのは俺さ。いや?正確には"私"かな?当時、"俺"はその事を知らなかったからな」

 

「!?」

 

 

天龍の台詞の意味が分からない。

 

 

「大体4年前くらいか。お前を人狼にしたのは」

 

「そっ、そんなに前から!?」

 

「あぁ、お前が無様に寝てる最中にオルトロスにお前を噛ませた。入れさせた血は半分だったから、お前に人狼の力が覚醒したのはつい最近だがな。その証拠に、お前は箱館湾の軍艦の甲板上にて、俺の支離滅裂な言語を正確に聞き取ってみせた。

"人外は全ての言語の理解ができる"。

それが理由さ」

 

「くっ.....!!」

 

「とはいえ、今のお前じゃあ俺は倒せん。前までの半分の俺ならともかく、完全な1人のドラキュラとなった俺を果たして"君は"倒せるかね?」

 

「..........倒すさ。今は無理でも、いつか手前ぇの息の根を止めてやる!」

 

「おやおや怖い怖い。楽しみにしているよ。精々おっかなビックリ寝首でも掻きに来るがいいさ」

 

「正面からぶつかって殺す!!」

 

「くひゅひゅひゅひゅひゅひゅ.....!!!

そのいきだ。まぁ、"頑張りな"!」

 

「絶対に殺す!!」

 

 

良晴の瞳は吸血鬼とは対照的な『黄金色』の人狼の瞳に染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十日後、島津軍の残った不穏分子を全て排除した後の事。総大将島津義久と副将島津義弘は大坂城に呼ばれていた。最後の戦後処理の為だ。

 

 

「貴様らの領地についてだが、九州にて新たに得た地は没収。だが、薩摩と大隅、それから日向の諸県郡だけは安堵してやる」

 

「「(※)ははぁ!!」」

 

 

島津姉弟は歯痒くも天龍に頭を下げる。

 

 

「それとだ。貴様ら良晴とで勝手に結んでいた政略結婚についてだが.....」

 

「※..........!?」

 

 

義久が多くの汗を流す。

 

 

「良しとする。勝手に結婚でもSEXでもするがいいさ」

 

「※..........ほっ」

 

 

義久は安堵した。ここでもし反対なんぞされていたら、この場で切腹でもしてやろうと考えていたからだ。

 

 

「ただし条件がある。義久は結婚するにあたって、この大坂城に入ってもらう。それに伴い、島津家当主の座を義弘に壌土せよ」

 

「「(※)なっ.....!?」」

 

 

それはつまり、義久に人質になれという事。

 

 

「※..........わっ.....私は.....」

 

 

義久は義弘と視線を合わせながら、再び大量の汗を流す。

 

 

「くっ.....」

 

 

義弘もまた同じ反応を示す。弟としては姉に幸せな結婚生活を送って貰いたい。だがしかし、薩摩から遠く離れた大坂で人質として暮らす運命に晒させるわけにはいかない。

 

 

「どうする?私はどちらでも構わんぞ?くくく.....」

 

「「(※)くっ.....!!!」」

 

 

困惑する姉弟をニヤニヤと眺める天龍。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「虎寿丸は俺が責任持って保護する。安心して任せてくれ義弘」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....良晴!」

 

 

義弟からの救いの手に感銘を受ける。

 

 

「良晴.....」

 

 

義久は思わず涙を流した。

 

 

「ちっ.....!」

 

「ふんっ」

 

「「.....................」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話はこれで終わらなかった。

 

 

「そういや貴様も独り身だったな義弘」

 

「はっ、はぁ.....」

 

「この際だ。お前も結婚しちゃえ」

 

「はぁ!!?」

 

「何言ってんだ天龍!!?」

 

「いいじゃんいいじゃん」

 

「しっ、しかし殿下!某にはかようなオナゴなどいませぬ。唐突に言われ申しても、某が結婚など.....できぬでごわす」

 

「別にお前の嫁は用意しとるよ。

.....そっちで個人的に結婚されても困るし」

 

「!?」

 

「うちにいき遅れの女がいてな。

..........丹羽長秀って知ってっか?」

 

「それは..........太閤の愛人の.....」

 

「それただのデマな」

 

「天龍!!!よりにもよって長秀さんを!!」

 

「実は既に呼んでる。仙ちゃ〜ん!」

 

「誰が仙ちゃんだ!」

 

「離せぇぇぇ〜!!!」

 

 

万見仙千代が鋼鉄の糸で拘束された長秀を無理矢理引っ張って連れてくる。

 

 

「ほらっ、連れてきたぞ」

 

「ありがと。御礼は今夜な」

 

「..........莫迦」

 

 

やや頬を染めた仙千代が退室する。

 

 

「何なんですか秀長殿!!

突然こんな所に連れて.....

って、島津ぅ!!?」

 

「まぁ、いいや。万千代、義弘と結婚しろ」

 

「えっ!結婚!?♡

..........じゃない!なんですか結婚って!?」

 

「今、一瞬嬉しそうだったじゃんか。

どんだけ男に飢えてんだよ」

 

「うるさいDEATH!!」

 

「おいおい。十兵衛じゃねぇんだから」

 

「貴方が...........丹羽殿?」

 

 

義弘が尋ねる。

 

 

「あっ.....いや..........その.....」

 

 

慌てて身なりを正し、正座する長秀。

田舎から来た乱暴者のような想像をしていた長秀は、義弘の上品さに驚いていた。しかも彼が、結婚相手として紹介されているのだ。そうでなくとも、意識してしまう。

 

 

「うぅ.....」

 

「丹羽殿?」

 

「ひゃっ、ひゃいっ!!?」

 

「ふふっ.....まぁ焦らずとも、某も貴方もまだ若いのです。今すぐとはいわずゆっくりと関係を育み、お互いの気持ちが理解し合えてからでも遅くはないのではござらぬか?」

 

「..........はっ.....はいっ!!!」

 

 

長秀は満面の笑みで答えた。

普段、いき遅れだのアラサーだの半熟女だの(全て天龍に)言われている彼女には、若いと言われた事が何より嬉しかったのだ。

 

 

「さてさて後は若いの2人に任せて、私らは退散しますかね。ほら行くぞ?」

 

「「(※)むぅ.....」」

 

 

天龍が良晴と義久を連れ出した。

 

 

「秀長殿!」

 

「ん?」

 

「わしはまだ其方という人間が分からん。九州における恨みはまだ残っており、家久や歳久の事もまだ許したわけではない。

だが...........少しだけ、ほんの少しだけ其方の一片が知れた気がする。礼を言うでごわす」

 

「そりゃあ、どうも」

 

 

天龍は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!

島津義弘。想像よりよっぽど馬鹿な男だ!」

 

「「(※)なっ!!?」」

 

 

部屋からだいぶ離れた場所で狂い笑う。

 

 

「義久だけを大坂城に寄せたとなれば、それに反対した他の家臣共が不満をぶつけ、抗議してくる可能性があった!

だが、逆にこちらから丹羽長秀を送った事でこれは平等な人質交換となる。

.....と、誰もが思うだろう。

ところがどっこい、万千代に人質としての価値はない!何故なら、長秀を失った所で、俺には何の痛みもないからだ!

奴らが例え万千代を盾に交渉に応じて来ようとも、盾ごと滅ぼせば済むのだからなぁ!!」

 

「天龍!!手前ぇまた!!!」

 

「※豊臣秀長。義弘と話をさせてもらう。場合によっては今回の講和は.....」

 

「そうはいくかよ」

 

 

次の瞬間、2人を闇から現れた多くの兵が取り囲む。瞳の色からして全員吸血鬼だ。

 

 

「この数に勝てるかな?」

 

「天龍ぅぅぅ!!!!!!」

 

「貴様らはもう二度とあの2人には会えまい。

仮に会えたとしても、島津が滅びた後の、

晒し首となった2人であろうなぁ!」

 

「この外道がぁぁぁ!!!!!」

 

「とはいえ、島津はまだまだ使える。まだまだ利用できるのだよ。だからこそ、俺の手を煩わせないでくれたまえ。貴様らが黙っていれば、万事解決。みんな平和で万々歳。貴様らがきちんと従えば生きた2人ともう一度会えるの

だぞぅ?」

 

「※うぅ.....」

 

「くっ!!......................なんで」

 

「ん〜?」

 

「なんでこんな事をするんだ!!

世界征服するならするでいいさ!

それがみんなの幸せに繋がるなら!

でも、手前ぇのやり方は悪質すぎる!

不必要に人を不幸に追い込んで!

一体なんだってこんな事をするんだ!」

 

「理由を尋ねてるのか?そんなのただ一つさ」

 

 

天龍は良晴の寸前まで顔を近づけ、耳元で囁く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が嫌いだからだよ」

 

 




万千代姉さんが結婚!?お幸せに!
…かと思ったら、そこにも天龍の陰謀が!
ぶっちゃけ、島津家も万千代も天龍にとってはどうでもよく、ただ良晴に嫌がらせをする事だけが目的だったのです。その真相は次回!
次回予告
いざ天竺へ!
〜インドとイギリスと日本〜

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