天翔ける龍の伝記   作:瀧龍騎

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最近自分の作品を見返してみると誤字脱字があまりに多く、顔が真っ赤に染まります。ぼちぼち修正していく予定です。


第七十六話 二人の決意

朧によって築城された太田城天守閣。

そこで、二人のドラキュラが睨みを効かせていた。

今より、命を賭けた決闘が始まるのだ。

観客は松永久通、サンジェルマン伯爵。

 

 

「朧..........いいか?」

 

「ん?」

 

「仮に俺が倒れた場合、お前は今後どうするつもりだ?」

 

「ん〜.....とりあえずはワラキアに戻ろうかな。

そこからワラキア公国をルーマニア帝国にして、

中途半端だったオスマン帝国討伐をやり遂げる。

それからウザいカトリック教会と、プロテスタント教会あたりを潰して、欧州を征服しようと思ってるわ」

 

「この日本はどうなる!」

 

「知らないわよ。何もしなくったって100年ちょいは保つでしょ?私は降りかかる火の粉は元から絶つ主義なの。脱亜滅欧よ。日本にいつまでも拘ってらんないわ」

 

「..........なる程。いくら同一人物とはいえ、その思想はだいぶ違うな。俺はこの故郷日本を愛し、日本を大国にしようと考えている。だが、お前にとってのそれはワラキア公国の方なんだな。お前は500年ワラキアで過ごし、俺は30年日本で過ごした。年数は明らかに違うが、その想いはなんら変わらない」

 

「は?.....500年?」

 

「何っ?」

 

「あ〜〜そういう勘違いしてたのか〜。

サンジェルマン!なんで説明してあげなかったのさ!」

 

「はい。問われなかったもので」

 

「あんたの律儀さがたまにムカつくわ」

 

「何の話だ!」

 

「知らないの?私がワラキアでドラキュラとして蜂起したのはほんの100年前。残りの400年は別で過ごしたわ」

 

「何だと!?.....一体、何処で!?

一体何処で過ごしていたんだ!?」

 

「..........教えてあげない」

 

「朧っ!!」

 

「意地悪してるわけじゃないわ。説明が難しいのよ。きっと貴方は理解できないだろうし、納得もしない。

貴方はまだ"知るべき立場"にもないわ」

 

「..........」

 

「そんなに心配しなくても、私を喰えば私の記憶は全部貴方のものになる。未だ謎にしている事柄も全て分かるようになるわ」

 

「!?」

 

「勘違いしないで。それは貴方が万が一.....いえ、億が一、兆が一、京が一私に勝てた場合の為の保険よ」

 

「ふっ.....それが例え、那由多の彼方だとしても、俺には充分すぎるよ。ってか、俺ら2人がこの台詞言うの可笑しくね?」

 

「ふふふ.....」

 

「んじゃ、始めますかい」

 

 

天竜は屈伸運動をし、戦闘の準備をする。

 

 

「俺が負ければお前さんは欧州に帰って、日本は放ったらかし。王様が突然いなくなって国内は大混乱。植民地にされるのも時間の問題か。こりゃ意地でも勝たんとなぁ」

 

 

指の関節をボキボキと鳴らす。

 

 

「貴方に倒せるかしらぁ?こ・の・私をぉ」

 

「倒すさ。倒れてもらわなきゃ困る」

 

「さっすがもう一人の私!

でもどうやってぇ?偽物が本物に勝てんの?」

 

「偽物が本物に劣るとは限らないよ」

 

 

天竜は右手を挙げる。すると右手が仄かに輝きだす。

 

 

「むっ?」

 

「お前も知ってるだろう?我が一族の家訓をよぉ」

 

「まさか!?」

 

「召喚!!」

 

 

天竜の上方に何かが出現する。

 

 

 

 

「『勝てば官軍。負ければ賊軍』

勝てばいいんだよ。勝てば!」

 

 

天竜が召喚したそれは.....

 

 

「とっ.....トマホーク!?」

 

 

『トマホーク』

アメリカ合衆国で開発された巡航ミサイル。

全長はブースターを除けば5.56m。

速度は時速880km。

村上水軍を壊滅させた際に使ったミサイルだ。

 

 

「俺は勝つ為に手段は選ばない!」

 

 

そこまで広くない天守閣内にてミサイルを召喚したのだ。ミサイルそのものを避けられても、爆風に巻き込まれるのは必須。

 

 

「でも巻き込まれるのは貴方も同じでしょ?」

 

「ミサイルの爆風ぐらいで死なないのはお前も俺も同じだろ?第一、俺とお前の命は繋がっている。お前を殺しちまうような攻撃を俺がするわけ無いだろ?」

 

「ふふっ.....」

 

「Οίδημα εμπόδια!」

 

 

サンジェルマン保護結界にて自身と久通を包む。

 

 

「くらえやぁっ!!!」

 

 

そしてトマホークは発射された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇっ!?」

 

 

外で待機していた大友宗麟は驚愕する。

突如太田城の天守閣が爆発したからだ。

太田城は、常陸国が朧のものとなってから大幅に改築され、小田原城にも負けず劣らずの巨城だった。だからこそ、その爆発は常陸国の住民の殆どが目撃するものとなる。

 

 

「朧さまぁぁ!!!」

 

 

同じく外で待機していた藤堂高虎も叫ぶ。

その時だ。

 

 

「おのれぇっ!!」

 

 

翼を生やした朧が爆炎の中から飛び出した。

 

 

「無茶をしやがる!」

 

「まだまだまだまだぁ!!!」

 

「くっ.....!!」

 

 

朧のさらに上空に天竜はいた。

大量のトマホークを引き連れて.....

 

 

「避けれるものなら避けてみよ!!」

 

 

天竜の合図と共に、大量のミサイルが朧に向けて発射された。

 

 

「調子に乗るのもいい加減にしろぉ!!」

 

 

朧の様子がガラリと変わる。口調もいつもの女のものではなく、本来のドラキュラのものへと、身も心も変質したのだ。

 

 

「そんなオモチャ、蹴散らしてくれる!」

 

 

翼を大きく広げた朧はその羽ばたきによって、突風を引き起こした。その突風は時速880kmで突出してくるミサイルの軌道を次々に変えていく。軌道を変えられたミサイルはあちこちの方向に飛んで行き、各地で火柱を上げる。

そのうちの一本が宗麟らの方へ落ちる。

 

 

「えっ!?」

 

「そんなっ!?」

 

 

宗麟にも高虎にもどうする事もできない。

 

 

「 Οίδημα εμπόδια!」

 

 

その時だ。謎の結界が張られ、ミサイルはその結界に衝突し爆発した。

 

 

「爪が甘いよ塩ちゃん。今はベルちゃんだっけ?」

 

「 Earl Saint-Germain(サンジェルマン伯爵)様!!」

 

「あれ?ベラちゃんの影響でやめたんじゃないのその喋り方?」

 

「あっ.....いえ.....奈多も Not in(いない)ですし」

 

「知らないよぉ?彼女地獄耳だしね」

 

「うぅ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラオラオラオラァァ!!!」

 

 

続けざまにトマホークミサイルを発射する天竜。

 

 

「ハアアアアアアアアアァァァァ!!!」

 

 

それを翼の羽ばたきによって跳ね返す朧。

両者の力は互角だった。

同一人物である以上当然と言えば当然かもしれないが、朧にはドラキュラとしての長年の経験がある。にもかかわらず、こうも実力が僅差となっているのだ。朧も相当限界がきているという事なのだ。

 

 

「いい加減にくたばりやがれぇぇぇ!!!」

 

 

天竜が再びトマホークを放つ。だが。

 

 

「むっ!?」

 

 

今度のミサイルは、朧の羽ばたきによって軌道を変えることができなかったのだ。

 

 

「なる程。魔術による補強で強度を上げたな?ならば!!」

 

 

朧の身体付きが変わる。全体的に筋肉が隆起したのだ。そしてそのまま、飛んで来たミサイルを受け止めた。

 

 

「なんだとっ!?」

 

 

ミサイルは爆発しなかった。朧が絶妙な加減で衝撃を吸収しているのだ。

 

 

「お返しだよっ!!」

 

 

朧はミサイルを抱え、そのまま天竜の方向へミサイルを投げ返した。

 

 

「ちっ!.......... 因達羅、 波夷羅、摩龜絲疊!!」

 

 

天竜の目の前に、五芒星を形どった保護結界が出現し、ミサイルから天竜を防御する。

 

 

「あ〜あ。惜しい」

 

「はぁはぁはぁ.....」

 

 

あれだけの攻防で、息を切らしているのは天竜だけだった。

 

 

「ふっ.....」

 

 

彼は微笑する。

 

 

「!?」

 

 

天竜が上空に新たなミサイルを召喚する。

 

 

「なにっ!?」

 

 

それは朧も驚愕した。天竜が召喚したミサイルは、トマホークとは比べ物にならない程巨大な柱だったからだ。

 

 

『R-36』通称『サタン』。

ソビエト連邦の大陸間弾道ミサイル。

これは冷戦当時世界最大のもので10個の核弾頭を搭載して敵対国家を攻撃することを目的とされた。西側ではサタンの名称で恐れられる。このミサイルは冷戦時代を象徴する代表的な兵器である。

 

 

「生憎、こいつは通常弾頭だ。お前に死なれちゃ困るし、日本を滅ぼすわけにもいかねぇからな。だが、通常弾頭でもここら一体を焼け野原にするぐらいは容易だぞ!!」

 

「おのれ.....」

 

 

朧は思考する。

天竜だって当然、この巨大ミサイルで私をこの太田城ごと消し炭にしようとだなんて考えていない。下には高虎や大友宗麟がいる。そして、罪なき多くの常陸国の人民が存在する。その者らの犠牲を出そうとしているとは、到底思えない。だから、私の選択肢はたった一つ。

 

 

「天竜!こっちだ!!」

 

 

朧は天竜のさらに上空に飛び上がる。

そう、それが天竜の策略だった。

 

 

「お前は俺だ。だからその思考も読み易い。

俺達の基本は悪だが、同時に王でもある。

王がいるから人民がいるのではなく、

人民がいるから王がいるのだという事。

お前が下の連中を巻き込まぬように上空に逃れる事は初めから予見していたのだ.....よ!!」

 

 

天竜は朧の方向へR-36を発射した。

 

 

「..........」

 

 

朧は静かに黙って.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思い通り」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ!?」

 

 

天竜は気付いた。自分が何処にいるのかを.....

それは朧がいた場所。逆に自分がいた場所に朧がいる。そして、例の巨大ミサイルが自分に向かって飛んで来ているのだ。

 

 

「幻術よ。天竜くん♡貴方は私がただ上空に飛んだように見えたかもしれないけれど、実際に上空に飛んだのは貴方の方。幻術で自身が朧であると錯覚し、この巨大ミサイルを私に預けて、自らミサイルの射線上に移動しちゃったわけ。残念だったわねぇ♡」

 

「おっ.....おっ.....朧おおおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「汚い手を使った貴方が悪いわよ。

まぁ、私も人の事言えないけどねぇ」

 

「くそっ!!」

 

 

天竜は再び保護結界を張る。ところがだ。凄まじいまでの突出力を誇るR-36にはそんなもの.....ただのガラスに過ぎない。案の定保護結界は容易く突き破られ、ミサイルは天竜に激突した。

 

 

「ぐげぁっ!!?」

 

 

ミサイルは天竜を先端に貼り付けながら、みるみるうちに上昇していく。

 

 

「ありゃりゃ。これじゃあ宇宙まで行っちゃうなぁ。

どうするんだろ天竜くん?」

 

 

太陽と重なって見えなくなったミサイルを見上げる朧だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はるか上空。日本列島がはっきりと見える、成層圏の部分にまで突入していた。

 

 

「ウオのおおおおおおおおぉぉぉぉれれれれれれれぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

朧と同じように筋肉を隆起させ、ミサイルの軌道を変えて逃れようとする天竜だったが、流石はR-36。ドラキュラの力でもビクともしない。

 

 

「こんな死に方あってたまるかぁぁぁ!!!」

 

 

己の命が懸かっているのに、朧がこれで俺を殺そうとしているとは到底思えない。俺が何かしらの方法で生き残ると見越した上での行動であろう。なめられたものだ。

 

 

「時よ止まれぇぇぇぇ!!!!」

 

 

その瞬間だ。ミサイルの半径40mを謎の結界が包んだ。すると、R-36はその場で停止し、その空間に留まった。

 

 

「ぐっ.....!!」

 

 

その機を狙って天竜はR-36から離れる。その際、熱で張り付いていた彼の生皮がベリッ!と剥がれた。

 

 

「はぁ!!はぁ!!はぁ!!はぁ!!.....」

 

 

この俺が死ぬかと思った。この豊臣天竜秀長が本気で死を実感した。本気で死を恐怖した。こんな事あってたまるか!!

 

 

「はぁ.....はぁ.....ぐげっ!!がぁっ!!.....

畜生.....ここはオゾンが多い.....肺が焼けるようだ。

おまけに全身が凍てつき始めている。

早急に地上へ戻らなければ.....」

 

 

その時、停止中の巨大ミサイルが目に入る。

 

 

「ふっくくく.....いい事思いついた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!!?」

 

 

朧が空を眺めているとだ。突然何かが上空で大爆発を起こした。それがR-36によるものである事はすぐに気づいたが、自身が何ともない以上、あの爆発に天竜が巻き込まれた様子はない事も同時に理解できた。

まぁ今現在瀕死中で、

着々と死に向かっている可能性もあるが.....

そんな事を感がえながら待っていると、彼は戻ってきた。まるで隕石のように。

 

 

「なる程、ミサイルの爆風を利用して猛スピードで降下してきたのね。でも、見動きの取りにくい空中では格好の的よ!」

 

 

朧は右手の拳を突き上げ、天竜に迎え撃とうと飛び上がる。

 

 

「ハアアアアアァァァァァァ!!!!」

 

 

天竜の圧倒的不利。誰もがそう思った。

 

 

「えっ!?」

 

 

拳が当たる直前の事。天竜の身体が透け、そのまま幻のように消えてしまったのだ。

 

 

「幻.....術.....!?」

 

 

消えた幻術に変わりにこちらに飛んで来たのはトマホークミサイルだった。

 

 

「ちっ!!?」

 

 

慌てて避ける朧。

だが、そこに一閃。

一発の弾丸がトマホークを貫いた。

 

 

「何っ.....!!!?」

 

 

朧がその弾丸が発射された方向を、吸血の強靱な視力によって睨みつける。そこには.....

 

 

「石田三成!!?」

 

 

遥か2000m先の山中にて、石田三成が天竜から預かった『バレットM82』による長距離射撃をしているのを目撃する。

 

 

「おのれぇぇぇ!!!!」

 

 

咄嗟に右腕で防御姿勢を取る朧だったが、時すでに遅し。トマホークにより朧は爆炎に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、我が物顔で降りてくる天竜。

 

 

「全く〜、古臭い手に引っかるのねぇ〜朧ちゃん?

それにしても我が軍のスナイパーは優秀だ。孫市に継ぐ名射手だぁ!」

 

「きぃさぁぁまぁぁぁぁ!!!」

 

 

片腕を失った彼女は憤怒の表情を浮かべていた。

 

 

「がぁっ!!」

 

 

掛け声と共に、失われた右腕が生えてくる。だが完全には再生しきれず、筋組織が剥き出しになっている。

 

 

「もういい!!もういい!!

こうなったら九分殺しにしてやるぅ!!」

 

「あらら?完全に怒ってらぁ..........!?」

 

 

 

 

一瞬の油断だった。瞬きの瞬間彼女は天竜の背後に周り、刀を振り上げていた。

 

 

 

 

「やばっ!?」

 

 

天竜の振り向きざまに召喚した『天羽々斬』を振るう。ところが、刃と刃が交わりあった瞬間、お互いの刀は粉々に砕けてしまった。

 

 

「何ぃぃぃっ!!?」

 

「がぁっ!!」

 

 

続けざまに朧は天竜の顔面を殴りつけた。

 

 

「ぐふっ!!...........ふざけんなよ糞アマァァ!!!」

 

「がぁぁっ!!?」

 

 

天竜も同様に殴りつける。

 

 

「この俗物がぁぁっ!!!」

 

「うるせぇぇぇぇ!!!!!!」

 

 

朧のストレートに対し天龍が放ったのは『クロスカウンター』その一発で互いの顎骨を砕いたのだった。

 

 

「うぐぅっ!!?」

 

「がふっ!!?」

 

 

両者ノックダウンとなり、お互いに地面に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天竜様ぁぁ!!」

 

「朧さん!!!」

 

 

 

 

観客と化していた2人がそれぞれの想い人のもとへと駆け寄る。だが.....

 

 

「「さわるなぁ!!!」」

 

 

声がハモった。ガタガタの身体の2人はそれでも立ち上がる。

 

 

「ぶっ殺してやる!!」

 

 

朧が何かを召喚した。ミサイルとはまた違う、黒い球体の物体。

 

 

「いっ.....いけない!!あれは原子爆弾だ!!」

 

 

サンジェルマンが叫ぶ。

朧が召喚したのは『ファットマン』

プルトニウムをエネルギーとする原子爆弾。

1945年8月9日に長崎に落とされたものだ。

 

 

「面白い!!」

 

 

天竜も同様に召喚する。

こちらは『リトルボーイ』

ウランをエネルギーとする原子爆弾。

1945年8月6日に広島に落とされたものだ。

 

 

「早く止めなければ!2人共正気を失っている!!」

 

 

サンジェルマンが近寄ろうとするが、彼は見えない壁に妨害されてしまう。

 

 

「これは.....!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『邪魔しちゃ駄目でありんすよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「知っているかい天竜?

召喚術ってぇのは、自らそれを作成しているのではないのよ。それだとより複雑な術式を組む必要があるからね。

これは既に存在しているものを移動させてきているの。未来の世界からね。だから、一度見た事あるものしか持ってくる事ができないの。

つまり、パラレルワールドになって、原爆が落とされなかった世界が生まれているのよ」

 

「バーカ。6日や9日に落とされないだけで、日にちを変えて原爆は落とされてるよ。どんな形に弄ろうとも、結局世界の到達点は同じだ」

 

「分かってるわよ!!!

でも私はあの人を救いたい!!

何度生まれ変わっても!何度世界をやり直しても!!」

 

「何を.....!?」

 

「死ねぇ天竜ぅぅ!!!」

 

「お前が死ねぇ朧ぉぉ!!!」

 

 

お互いがお互いに原子爆弾を投げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『駄目でありんすよ。

この世界は今までの世界の中でも最も都合の良い世界。

もう一回作るのは難しいでありんすよぉ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「アマテラス!!?」」

 

 

アマテラスは2つの原子爆弾を抱えていた。そしてそのうち、原子爆弾はアマテラスの力によって消滅させられてしまう。

 

 

「アマテラス!会いたかったぜ糞神!!

今川氏真の敵!!

それと、勝千代にかかってる呪いを解きやがれ!!」

 

『まぁまぁ、天ちゃん。今は落ち着きなはれ』

 

「退きなさいアマテラス!あんたの出る幕はないわ!」

 

『そっちの天ちゃんもいい加減にするでありんす。目的を見失っちゃいけないでありんすよ?』

 

「くっ.....!」

 

『わっちには朧の方の天ちゃんに勝ってもらわなければ困るでありんす。遊んでないでさっさとあ奴を喰うがよい』

 

「おのれぇぇぇ..........ツクヨミィィ!!!」

 

 

その呼びかけと共に天竜の背後に月読命が出現した。

 

 

 

 

『久々の呼び出しであるな。全く、我が仔は益々死に難くなりおって、いつになればその身体を我にくれるのだ?』

 

 

 

 

ツクヨミは3年前と同じ姿だった。

 

 

 

 

「ツクヨミ!アマテラスを殺せぇ!!」

 

『おいおい。いつから我は貴様の部下になったのだ?』

 

「いいから殺れぇ!!」

 

『ふんっ.....まぁ良い。

いい加減奴にもうんざりしていた所だ。

ここらでどちらの立場が上か決着を付けてやろうぞ!』

 

「つっ.....!?」

 

 

構えるツクヨミにやや怯える朧だったが、とうのアマテラスはというと.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふっくくくくくくくく.....

まだ信じてるでありんすかぁ?

"存在もしていないような神"の事を』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ!?」

 

『本物の月読命こと、"勘解由小路黄泉"はとうの昔に死んでおる。わっちがこの手で殺したからの。それはそちが作った妄想と、死んだ母親を重ね合わせて作り上げたただの妄想。ただの幻覚でありんすよぉ?』

 

「うっ.....嘘だ!!

嘘だと言ってくれツクヨミ!

嘘だと言ってくれ母さん!!」

 

『あれはアマテラスの虚言だ。騙されるな』

 

「母さん.....」

 

 

 

 

『嘘だと思うならその目で見るがいい!!』

 

 

 

 

次の瞬間アマテラスはツクヨミの目の前に現れ、彼女の胸に右手を当てた。

 

 

『死ねぇ!このゲロカス妄想ぉ!!!』

 

 

アマテラスの右手より放たれた光線のようなものは一瞬にしてツクヨミを消し飛ばした。

 

 

「あぁ!!.....あぁぁぁ!!!.....あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

天竜が言葉にならない叫びを上げる。

 

 

『妄想の妄想なんて、笑い話にもならないよ』

 

 

アマテラスの口調が変わった。

 

 

『朧よぉ。こいつもう殺っていいだろう?

命が尽きる前に食せばいいんだからさぁ』

 

 

そう言って、戦意喪失中の天竜へとどめを刺そうとするアマテラス。

 

 

「待てっ!!」

 

 

朧がとある鎖を放つ。

それは『六道輪廻の鎖』

左馬助を倒した鎖だ。

人間に使えば不死者にできるが、

本来の効果は神の拘束である。

 

 

『むっ.....?』

 

「私が殺る。これは私のケジメだ」

 

『別にいいけど、早くしないと貴様も殺すぞぉ?貴様の代わりの天竜はいくらでも連れてこれるんだからね』

 

「分かってる.....」

 

 

落ち着いた表情で天竜に近寄る朧。

 

 

「済まない。いくら自分であるからといって、貴方には迷惑をかけ過ぎた。だからせめて.....ひとおもいに.....」

 

「ひとおもいに死ねぇ!!」

 

「!?」

 

 

天竜が突然飛びかかってきた。

朧は仰向けに倒れ、天竜は馬乗りの状態になる。

 

 

「死ねぇ!!」

 

「ぐふっ!!?」

 

 

思い切り顔面を殴りつけられる。

 

 

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇ!!!!!!!」

 

「ぐがっ!げはっ!ごはっ!ぐげっ!」

 

 

まるでマシンガンの如く、顔面を殴り続ける天竜。その連撃は止まらない。

 

 

『お〜い。朧ちゃん?』

 

「ぐふっ!!」

 

『本気になんないと、貴様の想い人殺すぞぉ?』

 

「!?」

 

 

その時、朧の目付きが変わる。

 

 

「がああぁっ!!!」

 

「何っ!!?」

 

 

朧は殴ろうとした天竜の拳を喰い千切った。

そして、足蹴リによって天竜を引き離す。

 

 

「ぐっ!!?」

 

 

その一瞬の隙をついて、真逆に朧が天竜を押し倒す。

そして.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天竜の四肢。両手足を全て引き千切ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんの一滴で良かった。ほんの少しでも貴方から血を摂取して、体力さえ回復できれば、貴方に勝つ事なんて容易かった。

手加減して弄ぶような真似してごめんなさい」

 

「..........」

 

 

朧は瀕死の天竜を起こして、抱き寄せる。

 

 

「もう、いじめないから.....

楽にしてあげるから.....

貴方の苦悩を.....終わらせてあげるから」

 

「..........」

 

 

朧は天竜の首筋に噛み付く。

そして血を吸う。

全て吸い切る頃には全てが終わっている。

 

 

「天竜様ぁぁ!!!」

 

 

宗麟の虚しい声が轟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この瞬間を待っていたぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ!?」

 

 

天竜もまた、朧の首筋に噛み付く。

 

 

「勝てばいいんだよ。勝てば!」

 

 

お互いに血を啜り合う2人。

 

 

「馬鹿なの!?そんな瀕死の状況で、私に吸血で勝てるわけないじゃない!!」

 

「うるせぇ!!やらなきゃ、結果は出てこない!

俺は自らの人生に悔いを残さぬ!

意地でも生き延びてみせる!!!」

 

 

 

 

「天竜ぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」

 

 

「朧ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、決着は付いた。

 




今回は武器や兵器がワンサカ出てきました。
別に僕はミリオタじゃないのに.....
途中で何のSSを書いてるのか忘れるところでした。
次回、やっと2人の因縁の戦いに決着が!
次回予告
私の名前は.....
〜私は天竜?朧?それとも?〜

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