天翔ける龍の伝記   作:瀧龍騎

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超超超更新遅れました!
色々あったとです!
では最新話とです!


第七十五話 天竜と朧

常陸国、太田城にたどり着いた天竜はフラフラの身体で城内に入ろうとする。

 

 

「大丈夫ですか天竜様?」

 

「むぅ.....昨日の性行でレオからいくらか精力を頂いたが、全く足りなかったようだ」

 

 

堅い笑顏を作り冗談を言う天竜だが、彼は刀を杖代わりにしないと立てない程、重症だった。

 

 

「なんだって突然.....」

 

「何も驚く事ではない。俺の死期が近づく時はいつだって突然だ。俺は常に断崖絶壁に追い込まれているような存在。俺は無敵の化け物であるが、同時に可弱い生物でもある。生命の糸はいつも千切れかけだ」

 

 

そう言い、天竜は太田城内に入っていく。

 

 

「天竜様っ!」

 

「来るなベルフェゴール!俺はこの先どうなるか分からない。次会う時は元気な姿か、それとも無様な死骸か.....

最期の瞬間は、独りで終わりたい。

できれば好いた者に無様な死骸を見せずにな。

だから頼む。なるべく早く終わらせるから.....」

 

「天竜様.....」

 

「さよなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太田城に1人で入城した天竜。早速、朧配下の兵達に囲まれる。

 

 

「邪魔だ貴様ら。吸血鬼になってるからとはいえ、今の俺でも消し炭にする事くらいわけないぞ」

 

 

そんな時、懐かしい顔に出会った。

 

 

「お待ちしておりました太閤殿下。朧様がお呼びです」

 

「高虎!?」

 

「話は向かう途中で致しましょう」

 

「..........ふん」

 

 

天竜は招かれるままに、太田城天守へと向かっていく。

 

 

「お久しぶりです太閤殿下」

 

「あぁ、お前が裏切ってから3年6ヶ月と14日だな」

 

「うっ.....」

 

 

重い圧力をかけられる高虎。

 

 

「かような所が私には苦手でしたよ!」

 

「ふん、そうかい」

 

「でもそんな所も、あの方にそっくりだったりする」

 

「そっくりも何も、あいつと俺は同一人物だからな。あいつに噛まれたのか?」

 

 

天竜は高虎の瞳の色と、噛み傷から判断する。

 

 

「自ら進んでその道を選びました。私は貴方様を裏切って、朧様に付いていく事選んだのです。これくらいの代償は当たり前です」

 

「代償?本当にそうだろうか?」

 

「えっ?」

 

「吸血鬼は悪魔と似たような存在だ。お前は朧という悪魔に魂を売った。悪魔を崇拝した。その上でお前は朧に悪魔にしてもらった。それは信教者が天使にして貰えるくらいの光栄であろう。

お前は朧と肩を並べる存在になったのだ。高嶺の花も目の前にしたのだ。これ以上の幸運もあるまい。偽善者ぶるのはよすこった」

 

「...........何もかもお見通しですね。

...........本当にあの方にそっくりだ」

 

 

高虎は哀しげに言った。

 

 

「朧も死にかけているのだろう?

元は同じだけあって感覚的に分かる」

 

「はい.....」

 

「恐らく今日でどちらが生き残るかが決まるだろう。お前としちゃあ複雑だろうな。想い人を殺すかもしれん男と話すのは」

 

「............」

 

「そういやお前、童貞臭くねぇな。

もう朧とヤったのか?」

 

「なっ.....!?」

 

「自分の分身が男とヤったなんて複雑だが、とりあえず言っとくよ。童貞卒業おめでとう」

 

「貴方は相手の性事情が臭いで分かるのですか!?」

 

「うんや?」

 

「えっ?」

 

「その分だと本当にヤったようだな」

 

「!?.....................図りましたね天竜様!」

 

「ふっくくくくくく.....二度ととそうは呼ばせまいと思っていたが、久々に呼ばれると気分がいいな」

 

「むぅ.....」

 

「なるほどなぁ.....よし」

 

 

天竜が自らの首に指を突き入れた。

 

 

「なっ!?」

 

 

しばらく喉のあたりをグチュグチュとかき回し、引き抜いたかと思うと、喉の傷は瞬時に再生した。そして.....

 

 

「これでどうかしら高虎?」

 

「うえぇっ!?」

 

 

天竜の声が女性のものになった。これは朧の声だ。

 

 

「声帯を作り変えてみたのよ。元々演技が上手いお陰か、女性口調も不思議と容易にできるわ」

 

「だめだっ!本物にしか見えぬ!

朧さんはただでさえ中性的な顔たちで、胸もそれほど大きくはない。天竜様が女性口調になれば見分けなどつくわけがない!

だめだっ!これは朧さんじゃないんだ!

しかたない!天竜様!裸になって下さい!

それで朧さんとの見分けをつけます!」

 

「混乱しすぎだ。気持ち悪い」

 

「ガーン(;´Д`)」

 

 

声と口調が戻る。

 

 

「個人同士ではさん付けなんだな」

 

「あっ.....いや、その.....」

 

「仲良いじゃんか。お似合いだと思うぜ?俺も久々に自分の奥さんズとイチャイチャしたいよ」

 

「天竜様.....」

 

 

これから起こりうる事柄を知っている高虎は複雑な表情をする。

 

 

「気にするな高虎。俺と朧は元より1人の存在。別れて駄目だったのなら、再び1人に戻るだけ。その際に、人格を支配するのが俺になるか奴になるかだ。お前としちゃあ、朧の方に生き残ってほしいのだろうがな」

 

「そっ、そんな事はございませぬ!..........私は既にあの御方との折り合いはつけました。生き残るのが貴方様であれ、あの御方であれ、どちらにも忠誠を誓う覚悟であります」

 

「.....大した忠誠心だ」

 

 

 

 

天竜は天守閣の前のとある部屋に通されていた。

 

 

「朧様の前に、ある御方に会ってもらいます。では.....」

 

 

そう言って高虎は部屋を後にする。

そして、入れ替わりに入室した人物が。

 

 

 

 

 

「お久しぶりですね伯爵」

 

「.....サンジェルマン」

 

 

 

 

 

サンジェルマン伯爵。豊後での大友宗麟との対決以降、再び姿を消していた謎の錬金術師。

 

 

「やっぱりお前は朧側の人間だったか。お前の後ろに誰かが黒幕として存在してるのは何となく予想できていたが、まさか自分の分身がそれとはな」

 

「私はオボロ様の命にて参上仕りました。貴方様に内密にしていた謎を全てのお教えするようにとの事。何でもお聞き下さりませ。可能な限りお答えいたしましょう」

 

「奴にしては気前がいいな。これから死ぬにあたって、全ての仕事やら野望やらを押し付けようとしているのか。それとも俺を無知のままに殺すのが気に食わないのか.....」

 

「恐らく両方でありましょう。どちらの結果に転んだ場合でも、共通の糧を得られるようにされたいのかと」

 

「そんじゃ遠慮なく問わせてもらおうか。サンジェルマン、お前は何者だ。何故朧に付き従っている?」

 

「私はワラキア公国軍にて軍師を務めてまいりました。対オスマン帝国戦の戦略を立てたのは私でございます」

 

「お前は朧の眷属の吸血鬼なのか?」

 

「いえ、私は不老と時間転移の術を用いておりますが、オボロ様の眷属ではございませぬ。吸血鬼の血は申し分程度に持っていますが、戦闘向きではありません」

 

「利休と宗麟に錬金術を教えたのは?」

 

「偶然出会って、彼女らに求められたが故に伝授しました」

 

「嘘をつくな。錬金術は使い方を間違えれば、世を惑わす危険な代物だ。彼女らに錬金術を与えたのには意味があるはずだ」

 

「やはり貴方様には敵いませんね。勿論今後のドラキュラ軍の為でございます。双方にも、このサンジェルマンはクリスチャンであると伝えておりました。それを信じた彼女らはキリシタンとなり、錬金術はドラキュラ伯爵を滅する為のものであると確信し敵対関係にしました。しかしこれには訳があります。あえて十字教側に居を構えさせる事により、十字教の闇の部分を悟らせ、最終的にはこちら側に引き込むという目的でございました。その見込みがあったのがあの御二方でございまする」

 

「ベルはともかく、利休はそうか?

あいつはレオ以上にタチ悪いぞ?」

 

「さぁ?それは貴方様次第でございます」

 

 

俺の行動次第で利休もこちら側に引き込めるのか。

 

 

「では、お前はなんだ?

眷族でもないのに何故朧に付き従う?」

 

「それは今回の件とは無関係ですのでお答えかねます」

 

「...........そうか。なら仕方あるまい」

 

 

追求はしなかった。それ以上に聞くべき事柄があったのだ。

 

 

 

 

 

 

「では聞こう。俺は誰だ?」

 

 

 

 

 

 

「...........」

 

 

至極可笑しな質問だ。だが、今の俺にとってはそれが最重要観点であるのだ。

 

 

「俺はずっと、俺と朧は互い平行世界を生きる同一人物。神共のせいでこの世界にて一つの肉体に封じ込まれてしまった。始めは朧が全身を支配し、次は俺。やがて二つの人格は肉体ごと二つに分かれてしまった。そう聞かされてきた。だがそれだと、おかしな点がいくつもある。

奴は言った。自分は本物で、お前は偽物だと。

始め俺はドラキュラ伝説を作った張本人は朧なのだから、ただその力を受け継いだだけの俺がドラキュラを名乗るのは筋違いであると言われているのだと思っていた。だが違う。奴が言いたかったのは、俺はドラキュラとしてだけではなく"天竜としても"偽物と言っているようなのだ。これについてはどう説明する?」

 

「お答えはできますが、よろしいのですか?それを知れば、貴方はもう二度と戻れなくなりますよ?」

 

「無論そのつもりだ。話せ」

 

「分かりました。では.....」

 

 

サンジェルマンは一呼吸置き、やがて口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方は勘解由小路天竜ではありません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....................はぁ!?」

 

「貴方は勘解由小路天竜ではないのです」

 

「何を言って.....」

 

「勘解由小路天竜という名を指せる人物はただ御一人。

オボロ様だけでございます」

 

「ふざけるな!俺と朧は平行世界を互いに生きる同一人物。どちらも勘解由小路天竜であろう!

..........はっ!?」

 

 

口にして気付いた。それを疑問に思って彼を問いただしたのではないかと。

 

 

「確かに豊臣天竜秀長を指すとするならば、貴方様以外にはおりますまい。ですが、勘解由小路天竜はオボロ様だけでございます」

 

「どういう意味だ!!」

 

 

 

「"勘解由小路天竜という個人の性別が女性だから"です」

 

 

 

「.....................な!?

何馬鹿を言ってるんだ!俺は男だぞ!?」

 

「貴方は確かに男性です。ですが、勘解由小路天竜個人の性別は女性です。1,990年4月4日4時44分に誕生した勘解由小路天竜はこの戦国時代でオボロと名乗る現在まで性別は一度たりとも変化しておりません」

 

「馬鹿な!?って事はつまり.....」

 

「男装ですよ。幼少期の時点で男装を始めた彼女は24歳の教師になった時点においても男装を貫き、家族を除く他の誰にもそれを悟らせておりません。正妻の明智光とは同性婚という事になります。ドラキュラとしてこの世界で戦争を引き起こした時点においても男装を続けておりました」

 

「待て待て待て!では、俺は何だ!?仮に勘解由小路天竜が女だったとして、平行世界に男の俺がいてもおかしくはあるまい!」

 

「それはありません。他の一般人ではそれが通じるかもしれませんが、勘解由小路天竜ではそれが例外となる。勘解由小路天竜はどの平行世界においても女性でございます」

 

「何故だ!?」

 

「勘解由小路天竜が神の仔だからです。人間とは違う世界観にて生きている。人間に適応される概念は神には無干渉だったりもする。

『時間を表す縦の世界線』においても、『平行世界を表す横の世界線』においても、神の存在は共通。どこにでもいて、どこにもいない。曲がりなりにも神の血を受け継いでいる勘解由小路天竜にはむしろそちらが適応される」

 

「じゃあ..........誰なんだよ」

 

「はい?」

 

「俺は一体誰なんだよ!!」

 

「貴方は.....」

 

 

サンジェルマンは再び一呼吸置き、話す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方は勘解由小路天竜が生んだ妄想。

それが具現化した存在に過ぎません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?それって.....どういう」

 

「貴方様は勘解由小路天竜が何故男装をしていたかお分かりですか?」

 

「何故ってそりゃあ.....」

 

「そう。女性が主に男装をする理由は主に四つ。

一つは、趣味や性癖。

二つ目は、なんらかのペナルティか劇など。

三つ目は、正体を隠す為。

そして、最後は.....」

 

「...........性同一性障害か」

 

「当たりです。勘解由小路天竜の性別は女性でしたが、心は男性であった。ずっと自身を男性であると信じて生きてきた。そしていずれは男性の肉体も手に入れたいと考えていた。その機会が巡ってきたのが、この世界にやってきての事。霊気の溢れるこの世界では彼女の思うのままの事が現実となった。

一時的には男性に変幻して、その肉体を使って思う存分女性と性行でその欲を解放したりもして.....」

 

「そういやレズビアンだったなあいつ。」

 

「だがそんな時、異変は起きてしまった。勘解由小路天竜はドラキュラ伯爵として、ガブリエル・クロウ・アンダーソンに討伐されてしまった。その影響により、勘解由小路天竜にはもう一人の人格、もう一つの魂が宿る事となる。それが貴方様。削られた勘解由小路天竜の魂に高い霊力が覆い被さった事が原因だったと思われます」

 

「..........つまり、俺は朧から生まれた単なる記憶媒体、ノイズ、邪魔者か。ある意味朧は俺の母親みたいな存在だったわけか。いや、双子の姉と言うのが正しいかな。それで、何で俺は男なんだ?」

 

「性同一性障害であられた勘解由小路天竜は、自身を男性であると信じ、真の男性でありたい、なりたいと待望していた。呪いとも言える程に.....

そうして貴方様という妄想が生まれ、それに命が宿り、もう一人の勘解由小路天竜として具現化した。そして、宿主である勘解由小路天竜から分裂した。

貴方が満月の夜のみ肉体が女性化してしまっていたのは変化ではなく、月光によってその真の姿が顕になっていただけなのでございます」

 

「なる程.....そういう事だったのか」

 

 

天竜は達観してそれを聞いていた。

 

 

「貴方様は上杉景勝様の母親が何方かご存知でしたか?」

 

「..........そういう事な」

 

「はい」

 

「俺はあいつの父親だが、母親は誰なのか?

実を言うと、俺はそれを知らなかった。

直感で"影"こそが自らの娘であると気付いたというのに、如何なる経緯にてあの娘が産まれたのか.....俺はそれを知らなかった。知ろうとしなかった。知ろうという気が起きなかった。いや、知ろうという気が打ち消されたんだ」

 

「オボロ様は元より貴方様の宿主でございます。

ある程度の記憶改竄は容易の事」

 

「ふっ.....要するにだ。俺は影の父親じゃなく.....

"母親"だったわけだ」

 

「正しくは勘解由小路天竜が母親でございます」

 

「うるせぇ.....あいつは俺の娘だ。

たとえ血の繋がりはなくとも、生物としての繋がりはなかったとしても、俺は家族としてあいつを愛している。それは秀頼や秀勝にも言える」

 

 

佐々木小次郎との間に生まれた息子、豊臣拾秀長。

勘解由小路光との間に生まれた娘、豊臣闇秀勝。

 

 

「そんで?この俺様を孕ませるような度胸のある男は何処のどいつだ?」

 

「それは禁則事項です♡」

 

「オッサンのそのセリフ聞いても何のご褒美にもならねぇよ」

 

「それは残念でございます」

 

「まぁ、大方の見当はついてるよ。じゃあ次の質問だ。人格が二つに分かれたまではいいが、何故俺達は肉体まで二つに分かれた?何故分ける必要があった!」

 

「はて?」

 

「とぼけるな!貴様らと弾正が裏で繋がっていた事は知っている!肉体を二つに分けた事にも意味があるのだろう!」

 

 

その時だ。

 

 

 

 

「うふっ、意地悪されないで教えてあげたらどうなの?

サンジェルマン殿?」

 

 

 

 

「なっ.....!?」

 

 

突如現れた齢10歳程の少女。

あの女によく似た、あの女の雰囲気を持った.....

 

 

「弾.....正.....?」

 

「違います。私は娘の久通。松永彦六久通ですわ」

 

「弾正の娘!?」

 

「貴方の事は何と呼べばいいのでしょう?

太閤殿下?魔王陛下?天竜オジさん?

それともお父様?」

 

「なんだと!?」

 

「私は朧様が我が母を斎藤道三から寝取って産まれた娘ですわ。だから貴方は私から見ればお父様に値する人物だという事。パパとでも呼びましょうか?」

 

「くっ.....!?」

 

「母上から記憶を半分頂いてるので、私を松永久秀の分身か生まれ変わりと捉えてもらってもかまいませんわよ?

うふふふふふ.....」

 

「...........」

 

「ピ●コロ大魔王から生まれたマジュニ●みたいなものですね」

 

「空気を読んでくれ伯爵」

 

 

時々、サンジェルマンがいつの時代の人間か分からなくなる。

 

 

「貴方様は『ガリヴァー旅行記』という書物を読まれた事はありますか?」

 

「読んだ事はある。だがそれが何だ!」

 

「 ガリヴァー旅行記第三篇。ラピュータの後に訪問するのがバルニバービの医者。医者が対立した政治家を融和させる方法を思いつく、二人の脳を半分に切断してつなぎ合わせるという手術。節度ある調和の取れた思考が可能になるという」

 

「それはいい意味で捉えるものなのか?半分は皮肉を綴った言葉だろう」

 

「ですが今は、これが最も例えやすい状況です」

 

「それはつまり、一度二人に分かれた俺と朧が融合する事で、より強いドラキュラが誕生するという事か?」

 

「強くなったピ●コロが神様と再び同化する事によって、スーパーナメ●ク星人神コロ様が出来上がるようなものです」

 

「非常に分かり易いが、空気を読んでくれ伯爵!

どんだけピ●コロ好きなんだお前は!?」

 

「ほっほっほ!」

 

 

サンジェルマンが本当に何者か分からなくなる。

 

 

「つまりだ。俺と朧は再び同化して、本来のドラキュラに戻る。人格は朧が支配し、元の勘解由小路天竜となる。俺はその糧となる運命だったというわけか。それも何年も前に決まっていた.....」

 

「はい」

 

「うふっ」

 

「そうか...........ふくくくくくくく」

 

 

天竜は静かに俯いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい気になるのも大概にするのだな糞虫共!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!

黙って聞いておれば何だ?この俺が偽物?この俺が記憶媒体?この俺が利用されていた?この俺が朧に喰われる運命であった?

ふざけるな!巫山戯るな!!

俺は俺だ!豊臣天竜秀長だ!本物も偽物もない!

運命などクソ喰らえだ。決まった未来など存在せん!

未来とは.....歴史とは作るものだ!

自らの意志によって築き上げるものだ!

他人の都合如きに邪魔されてたまるか!

もう一度言う。

いい気になるのも大概にしろ糞虫共!!」

 

「ドラキュラ様!!」

 

「お父様!!」

 

「貴様を認知した覚えは無いぞ松永久通!」

 

「.....っ!?」

 

「朧なんぞ知った事か!俺は俺の道を行く。邪魔をする障害は全て排除する!」

 

「お待ち下さいドラキュラ様!それはいけません!

兼ねてからの計画に差し障ります!」

 

「黙れサンジェルマン!その計画はこの俺を滅ぼす事であろう。それを俺が黙って受けると思うか!」

 

「くっ.....!!こうなればドラキュラ様といえど、このサンジェルマン。容赦しませぬ!」

 

「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!

弱体化しているとはいえ、貴様らを縊り殺す事くらいわけないぞ!」

 

 

天竜はサンジェルマンに対して睨みを効かせる。その次の瞬間、サンジェルマンは壁に向かって叩きつけられた。

 

 

「うがぁっ.....!?」

 

「伯爵様!!」

 

 

久通がサンジェルマンに駆け寄る。

 

 

「どけ」

 

「嫌でございます!」

 

「邪魔だ小娘。貴様如きの始末に残り少ない魔力を使いとうはない」

 

 

天竜は懐より拳銃を抜く。

 

 

「っ.....!?」

 

「許せ。俺はここで倒れるわけにはいかぬのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幼女に銃口を向けるとは、らしくないわね。

それだけ追い詰められてるって事か。

まっ、私も人の事言えないけどさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朧!?」

 

 

部屋の入り口に松葉杖を付いた朧がいた。

 

 

「とりまそれ没収ね」

 

「うっ.....!?」

 

 

天竜の握っていた拳銃が見えない何かに弾き飛ばされた。

 

 

「いくら往生際とはいえ、勘解由小路天竜という個性を見失っちゃいけないわよ?」

 

「それを言うお前はどうなんだ?身体は女でも中身は男なんだろ?自分ながら随分と可愛らしくなってるじゃあないか。口調も格好も女性物。軽くだが紅も通してる。とても性同一性障害とは思えないね。案外俺の好みだぜ?」

 

「お褒めいただき結構..........正直、いくら人体変質をしても自身が男ではないという実感はあったわ。それでも私女なんだと.....でも貴方は違う。身も心も男性体。

だからそれで良かった。私には叶えられなかった夢を希望を貴方が叶えてくれるのならそれで.....

でも貴方の最近の行動には目に余るものがある。

必要以上に眷属を増やし、神に喧嘩を売るなんて。

いい加減イライラしてきたわ」

 

 

朧が怒りの篭った視線をぶつけてくる。

 

 

「あぁ、俺もだ。本当にいい加減決めないか?

どちらが本物であるかどうかを?」

 

「えぇ、いいわよ。ストレスも解消できるし身体も元に戻る。一石二鳥とはこの事ね」

 

「余裕ぶっこいてられるのも今の内だぞアバズレ」

 

 

 

「ふひっ..........くひゅっ!.....」

 

「ふっくくくくくくくくひゅひゅひゅ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人同時に笑う。天竜の専売特許とも言えるこの高笑い。果たして最後まで立ち続け、この高笑いをできる者はどちらであろうか?

 

 

「ドラキュラ様.....」

 

「お父様.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは神のみぞ知る事であろう。

 

 

 




いつもより盛大に巻いておりま〜す!
時間が開いてしまった事もあって急に急急展開。
いきなしクライマックスでございます。
これにて天竜の謎の一辺が明かされる事となりますた。
さて生き残るのは天竜か朧か!
次回予告
二人の決意
〜背負うぞ。お前の覚悟を〜

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