番外編が予想以上に伸びて、
本編は次回に持ち越しです。
15話 元春散る
「待て姉者!」
刀を持って勇猛果敢に妖狼に挑もうと出向こうとする元春を止める隆景。
「なんじゃ隆景!我らの領土で暴れてるらしい魑魅魍魎はこの元春が討つじゃき!」
「違う。豊臣秀長のあの慌てようからして、敵はきっと魑魅魍魎だなんて安い言葉で表せるような相手ではない。大魔王であるはず彼が言う妖狼.....一体どれ程の脅威なのか.....」
「じゃあ行ってくるじゃき」
「話を聞け姉者!」
「何を狼狽えてる?この元春は以前、ヒグマ5頭をまとめてぶっ倒したのを忘れたのか?」
「あぁ.....いや、あれはあれで凄かったが、きっと妖狼はヒグマなんかよりもずっと.....」
「はんっ!狼なんぞよりヒグマの方が強いに決まってる!しかもこちとら5頭じゃき」
「いや、狼じゃなくて妖狼.....」
「そんじゃ行ってくる!」
「だから話を聞け元春ぅ!!」
そのまま元春は吉田郡山城を飛び出した。
中国地方内を駆け回る2つの影。
「うぅ.....科学者にかけっこは辛いよ〜」
「吸血鬼のくせにバテてんじゃねぇよ」
「玄朔は戦闘型じゃない.....ふぅ、体力は一般人強程度しかないのです。一昼夜走りっぱなしでは流石にバテますよ。なにゆえに自動車なるものを使わないのです?」
「エンジン音と震動が邪魔で妖力探知ができねぇんだ。人型妖怪と違って妖狼は妖力がまだらで見つけにくいんだよ!」
「ですが、こうしている間にも妖狼は多くの民間人を襲うでしょう」
「分かってる!くそっ!」
天竜は更に走りの速度を速めた。
既に時速300kmは越えている。
「あの妖狼.....」
玄朔が呟く。
「父親と母親は人間に殺されたと言っていた。そして人間のような存在である玄朔の手によって化物にされてしまった......哀れな存在なのかもしれません」
「ふっ、甘いな玄朔。それでも科学者か?」
「?」
天竜は言う。
「人間は生物学的にどこに属す?」
「?」
「はっきり言おう。人間は生態系とは別枠の部類に属していると考えている。生物はより大きく、より強い力、より強い武器、より強い毒を持つ生物が上位に入る。だが人間はそれらが未熟である為、それだけならゴリラにも劣る。
ところが、人間には高い知性がある。
それがどの生物よりも勝る事ができる方法。
この知性が何より勝る力を生み出し、何より勝る武器を生み出し、何より勝る毒を生み出す。
これらなくして人間とは言い難い。
知性もまた人間のステータスの1つだ。
そう考えると人間が生態系の頂点と捉えられるかもしれないが、それも違う。人間が持つ知性という名の絶対の武器は、人間以外は持たないからだ。
だからこそ人間に天敵はいない。
天敵がいない以上、人間を特別に生態系のピラミッドに組み込むわけにゃあいかん。
だからこそ人間は地球の支配者になった
..........はずだった。
ところがどっこい、人間の天敵が現れた。
それが吸血鬼。全ての妖怪の原点さ。
吸血鬼が唯一人間に勝っていた。
力だけではない。知性も持っていた。
そして吸血鬼らは人間を食べて生きる。
吸血鬼を含む妖怪集の出現により、人間は再び生態系ピラミッドに戻されたんだ。こうして均衡は保たれた。
だが、納得しなかったのは人間共だ。当たり前だ。頂点から引き摺り下ろされたんだからな。
己を棚に上げて我らを否定しまくった。
妖怪が人間を食べる事は生態系として当然の事なのに、生態系の頂点で有り続けたかった人間は我らを否定したんだ」
時速300kmでよくもまぁ、ペラペラ喋る。
「それが今回と何の関係が?」
「今回の件であの狼はこっち側になった。全ての生物を見下せる立場にな。それは生物であるなら、この上ない幸福だよ。
あいつに可哀想な所なんてない。憎き人間も簡単に殺せる力を手に入れた。吸血鬼と肩を並べる力を手に入れた。
あいつも心の奥底では仄かに笑ってただろうな」
「..........」
「だが、俺は奴を自由にする事はできない。
これでも人間共の代表なんだ。王なのだ。俺は女の子が好きだ。だが、男子が嫌いというわけではない」
「りょっ.....両刀!?」
「違ぁぁぁ〜〜〜う!!!
.....俺は女子とか男子とかではなく、
人間という生き物が好きなのだ。
全ての可能性を持つ人間という生き物が。
叶う事なら、俺は人間として産まれたかった。
だが、俺は吸血鬼だったようだ。
だからこそ俺は人間を愛している。
その人間に牙を向けようとする奴を俺は許さない。
殺さないまでも二度と逆らえぬよう、
死ぬ目にあわせてやる!」
「はい.....」
中国地方とある村。
「早くっ!逃げるべ!!」
「おっかぁ!」
ある女百姓が娘の手を引き、必死に逃げ惑っていた。奴から逃げる為に.....
「おっかぁ、おっとうは?おっとうはどこ?」
「おっとうは.....後からくるべ!」
その女の服には大量の返り血が付いていた。
彼女の夫のものだ。
「このままじゃオラ達まで食われてしまう!
せめて、せめてこの子だけは!」
だが、奴からは逃げ切れない。
『ガアアアアアアアアアアァァァ!!!』
「くっ!?」
「うわああああぁぁぁ!!」
妖狼はその強靭な腕を振り上げた。
「避けろっ!!」
彼女は娘を突き飛ばした。
「おっかぁ!?」
「お前だけは.....生きて.....」
次の瞬間、女は肩から真っ二つに切り裂かれた。
「!!?」
『ガルグググググ.....』
妖狼は息絶えた女の肉を貪っている。
「ひっ.....ひぃ!?」
『人間食う。雄も雌も老獪も赤子も』
妖狼は目標を娘に変えゆっくりと向かってくる。
二本足でゆっくりと歩を進める。
その足は熊のように巨大で、
その手は人間と獣の中間のような形をしている。
妖狼。人狼と似て非なるもの。
『ガアアアアァァァ!!!』
妖狼は娘の右腕を食らった。
「うあああぁぁぁ!!!?」
『ガルグググググ.....』
妖狼に噛まれた。奴らに噛まれた者の末路は.....
「えっ?」
急に痛みが引く。そして妙な力も入る。
その瞳の色も徐々に変化していく。
吸血鬼も妖狼も人狼も、人間を食べる。
だが食事の時と眷属を増やす時とでは、
その意味合いが変わる。
はっきり言えば、奴らに噛まれた者は問答無用で眷属になってしまう。だがそうなれば、奴らはネズミ算式にどんどん増殖して、そのうち人間を絶滅させてしまう。そうならないのは何故か?
理由は簡単だ。奴らは気まぐれで眷属を作る程度であり、めったに眷属は作らないのだ。では、どうすれば眷属にならないのか?
その方法も簡単。変質する前に食い殺せばいい。もしくは、バラバラに引き裂いてから食すのだ。だから眷属になる事はない。
つまり眷属を作る気がない場合、
その対象は必ず殺されるのだ。
『おで、仲間いらない。死ね人間』
妖狼は再び腕を振り上げた。
「誰か...........助けて!」
「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」
『ガッガガウゥ!!?』
遥か遠くから走り抜いて来た姫武将が、妖狼の右手首を斬り落とした。落ちた手首は切られたムカデのように、バタバタと動きまわっている。
「ひえっ!?きんもちわりぃ!」
「姫.....様?」
毛利両川が1人、吉川元春。
「石丸じゃねぇか!母親はどった?」
「あそこ.....」
「なっ!?......................すまん」
「姫様逃げて!あいつは化物じゃ!」
「来て早々逃げられるか!
あれは私が倒す対象じゃき!」
元春は愛刀の姫切を構える。
「うおおおおぉぉぉ!!!」
元春は妖狼に突撃した。
『ちっ!』
妖狼はそれに対して左手で軽くジャブを打った。
たったそれだけの出来事で、勝敗は決した。
ジャブは、パンチの中でも最も早く出せる技だ。
主に敵を牽制する為に使われる。
ところが使ったのは妖狼だ。
地球上で最速の妖怪のジャブ。
妖狼は吸血鬼程の怪力を持たないが、そのスピードで吸血鬼を上回る攻撃を生み出せる。そんな奴が放ったジャブだ。牽制どころでは済まされない。人間にとっては必殺拳にも等しい。
案の定この一発で、元春はダウンした。
「うがあぁぁ.....」
顎と鼻が同時に砕けた。
元春の顔面が鮮血にて染まる。
「ふぐぅ.....ふぐぅ.....」
口元を手で押さえ、よろめく。
「姫様!!」
「ひえお.....いひあう(逃げろ石丸)」
顎を砕かれ上手く話せない。
元春はこの一瞬の出来事で、至極冷静になった。
理解したのだ。実力の差を.....
「ひえおいひあうぅ!!!」
「姫様!!」
『ガアアアアァァァ!!!』
元春の両腕が飛んだ。
天竜がやって来た。
「ああぁ!!?」
天竜が到着した時には全てが終わっていた。
貪られた女の死体。ボロボロの少女。何かを貪る妖狼。そして.....
「そんな..........馬鹿なっ!!!」
食われていたのは元春だった。
途端に天竜の脳であの映像が流れた。
あの時も間に合わず、大事な家族だった武蔵は食われ、救えたはずの氏真は見殺しにしてしまった。
あの悪夢が.....
「また救えなかった.....また俺のせいで!!」
「天竜様.....」
玄朔は言葉が見つからなかった。
どうこの人を慰めればいいのか、分からない。
『ガルグググググ.....』
妖狼は天竜に気付き、元春をボロ雑巾のようの捨て、彼を茶化すかのようにこちらに向かってきた。
『まさか、さっきの連中か?見た目は人間だが、どうやら人間ではないらしいな。どうだ?おでと手を組まないか?
一緒に協力すれば、人間共を根絶やしにできるぞ?』
人間を食した事で、知能が上がっている。
「.....ま.....れ」
『一緒に食いまくろうではないか!
人間などおで達に比べれば、遠く劣る。
この世界を征するのは人間などではないという事を知らしめてやろう!』
「黙れ!!」
『!?』
「それ以上口を開くな。畜生如きが俺と手を組むだと?馬鹿も休み休み言え。貴様はこの世の公害、生ゴミだ。生ゴミと共闘するなど、糞もまだマシだ」
『おでがゴミ!?
許さない.....お前は人間と一緒だ!食ってやる!』
「天竜様!?」
目に止まらぬ速さで妖狼は手を突き入れてくる。
だが.....
『なっ!?』
妖狼の左腕を天竜はいとも簡単に掴んでいた。
「やはり畜生だよ。攻撃が直線的過ぎる。どれだけ速かろうがどこに来るのか読めれば、対処も容易だよ」
天竜は妖狼の左腕を握り潰した。
『ギャアアアアアアアアアァァァ!!!』
「おやおや、人間のように痛がるじゃないか」
『ひぃ!?.....ひぃ!?』
腰が抜けて、無様に尻もちをつく妖狼。
「どうした?お前は妖狼だろう?
化け物が恐怖するのかよ。与える側の分際で」
『ひぃぃぃ!!?』
「拍子抜けだ。俺の血で産まれた癖に、なんたる失敗作か。これ以上見ていられない。吐き気がする!」
『ヘギョォッ!!!?』
天竜は妖狼の頭部を踏み潰した。
「玄朔、今の内に血液を採取しておけ。
このゴミは焼却処分する」
妖狼はまだ微動しており、微かに生きている。
「はっ.....はい!」
玄朔は慣れた手付きで注射器にて血を抜く。
その後、天竜は魔術で妖狼を焼いた。
「..........君は誰だい?」
「いっ.....石丸」
天竜は理解した。この娘の母親は妖狼に殺され、この娘を守ろうとした元春もまた犠牲になったのだと。
「とよ..........と...........なが.....」
「元春!?」
驚いた。内臓を食われてまだ息があるのか。
なんという執念だ。
「待ってろ元春。今なんとかして.....」
「おい.....」
言葉を遮るように、元春は呟く。
「隆景を.....頼む.....戦争は..........起こすな」
天竜はまた瞬時に理解した。今回の事件を引き起こした原因は豊臣側にある。豊臣のせいで、吉川元春は死亡した。そんな状況を捨て置けば、小早川隆景は必ず抗議に出てくる。それが悪い方向へ進めば、毛利と豊臣の全面戦争にもなりかねない。そうなった場合、毛利が敗北して滅びるは必至。豊臣も毛利を失うのは痛手過ぎる。
元春はそれを案じているのだ。
自分の命よりも家を優先したのだ。
本当に人間共は.....
「分かった、約束する!」
「ふっ.....」
本当に人間共は馬鹿ばかりだ。
元春は安心したように、永久の眠りについた。
もしかしたら、これを俺に伝える為だけに必死に生き続けていたのかもしれない。かつて己をドン底まで突き落とした俺を信用して.....
3日後。吉田郡山城にて元春の葬儀は行われた。
妹の隆景の意向で毛利家のみでのものとなった。
3日前の隆景は酷かった。元春の死を伝えると彼女は錯乱して、そこら中に弓矢を射まくり、姉の遺品である「姫切」にて近づく人物全てを斬りつける有り様だった。天竜も全身ボロボロになるまで斬りつけられた。隆景は天竜を恨んで斬りつたのではない、元春を失った事に錯乱したのだ。
後から聞いたが、彼女の兄である毛利隆元が暗殺された際にも彼女は錯乱して大問題となったようだ。あの時は元春や村上武吉が彼女を諌めたが、2人はもういない。
彼女はもう"ひとりぼっち"だ。
「うわああああああああああああぁぁぁ!!!」
「隆景!」
錯乱する彼女をなんとか諌めようと歩み寄ろうとする。肉を抉られようとも、天竜は退かなかった。今、彼女を抑えられるは彼だけだった。
その役目を持っていた2人はどちらも俺が殺した。
俺がやらなければならない。
これは俺の義務なのだ。
「隆景ぇ!!」
「いやぁっ!!!来ないでぇぇぇ!!!」
グサリ.....
「!?」
「落ち着け.....隆景」
天竜は隆景を抱き寄せた。
姫切は天竜の右の肺に突き刺さっていた。
だが、吸血鬼には致命傷にもならない。
「俺は村上武吉を殺した」
「!?」
「俺は吉川元春も殺した」
「..........」
隆景は天竜が直接手を下したわけではない事も、故意によるものではなかった事も知っている。
「卑怯なやり方で毛利を追い込み、卑怯なやり方で毛利を降伏に追い込んだのは俺だ。お前をも人質に取り、無理矢理天下人になったのも俺だ。お前は俺を恨む資格がある。
お前にも俺を殺す資格がある。
俺はお前に殺されても仕方ないと思っている。
今この右胸に刺さっているこいつを.....」
天竜が刺さった姫切を引き抜いて、自身の左胸の心臓部に突き刺そうとした。
「駄目っ!!」
だが隆景はその姫切を取り上げ、投げ捨てた。
「隆景.....?」
「あっ.....」
2人の視線が重なった。
天竜の美しくも哀しき紅い瞳に、
隆景は顔を赤らめて目を逸らした。
「隆景」
「.....っ!?」
天竜は隆景に口付けをする。
そしてそのまま押し倒してしまう。
「豊臣..........秀長?」
「これが外道である事ぐらい理解している。だがこんな事ぐらいでしか、お前を繋ぎ止めておく事ができないんだ」
そんな俺の頬に隆景は手を伸ばし、いつの間にか流れていた涙を拭った。
「..........」
彼女は何も喋らなかった。
ただ仄かな笑顔を作って、天竜を受け入れた。
「お前は.....強いな」
2人は再び口付けをした。
これは今宵限りの出来事。
夜が明ければまた主君と家臣に戻る。
葬儀に出席しようとした良晴は、身内だけで行いたいという隆景の意思を汲んで、城を出てきた所で、一服していた天竜と出くわした。
「天竜か。よく来れたな」
「四国戦の後始末に色々追われていて忙しかったが、関係者である以上来るしかないからな。まぁ、お前同様門前払いされたんだが.....」
「そうじゃない。よくノコノコやって来れたなって言ってるんだ!」
「..........」
良晴はこの上ない程激怒していた。
「なんだってそんな顔ができるんだ!!」
天竜は無表情だった。
怒るでも泣くでも笑うでもない。虚無の表情。
「なんだ?泣いて欲しいのか?
『ごめんよ〜俺が悪かった〜』なんて大声で喚いて、貴様の前で無様に泣き散らせば、気が済むのか?器の小さい男だな」
「黙れ!!元春の為に何か思ってやる事はないのかと言っているんだ!」
「ないね」
「手前ぇ〜!!!」
「俺は退けと先に忠告したんだ。だが、奴は自らの意志で妖狼に挑んだ。完全に自業自得だろう」
「手前ぇに人の心はないのか!!」
「それもないね」
「ぐっ.....!!」
「だが、こちらとしては好都合だ。
今回の実験結果で妖狼の生態がよく理解できた。今後は慎重に研究を進め、いつぞや、ウルフマンソルジャーの軍団を完成させる事ができるかもしれない」
「実験!?.....................狂ってる!!」
「壊れているだけだ」
「くっ.....!!元春はこいつの下らない野望の為に殺されたってぇのかよ.....これじゃあ、あんたが否定した宣教師達と同じだ!!」
「下らないだと?世界平和がか?」
「あんたはそれを成し遂げる為に何人犠牲にするつもりだ!」
「では逆に問う。お前ならできると?
全く犠牲を出さずに平和を作れると?」
「分からない.....だが俺はやってみせる!
全ての実を拾ってやるさ!」
「それこそ愚かだ」
「何っ!?」
「貴様はそれを民主主義かなんかと勘違いしているかもしれないが、それはただの共産主義・社会主義だぞ?」
「.....っ!?」
「皆が幸せになるのを目指しているのに、結局は皆が不幸になってしまう。それは所詮、夢物語なんだよ」
「それは.....」
「現代教育の悲劇だな。共産的教育が馬鹿な左翼を増やす。そして、そいつらは伝染病のように増殖していく。考えれば信奈達も貴様に毒されたようなものだったな」
「手前ぇ.....」
「"腐ったみかんの方程式"って知ってるか?」
「天竜ぅぅぅ!!!!!!!」
良晴が天竜に殴りかかる。
だが、あべこべにねじ伏せられてしまった。
「ぐがあぁっ!!?」
「はい残念。相変わらずの弱さだな良晴。
もうちょい"頑張れ"よ」
「!?.....................おのれぇぇぇぇぇぇ!!!!」」
彼は自らの生徒に「頑張れ」とは決して言わない。頑張れはそれまでの努力を否定する事に繋がるからだ。
だから彼は「頑張っている」と言う。
逆に彼が頑張れと言う時は、
彼が相手を最高に貶している時なのだ。
「あぁ.....分かったよ。強くなってやる。
強くなって、あんたを否定してやる!!」
「ほう」
「だから俺に.....剣道を教えろ。
武術を教えろ。戦略を教えろ。陰陽術を教えろ!」
天竜から技を盗んで、その技でこいつを殺してやる。
「いいだろう!!教え込んでやるさ!
強くなれよ良晴。
強くなってこの心臓を獲ってみせろぉ!!
それまで精々"頑張れ"よぉ〜!
くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!」
俺は何をやっているのだ?
それからだ。妖狼の血を受け継ぎ、
人狼となった少女「石丸」
天竜は彼女を義妹として引き取り、
逆に豊臣秀秋を隆景の義妹にした。
だが秀秋は中国地方に向かうのを拒否し、
未だ小早川姓を名乗らずに大坂城に住んでいる。
石丸はその後、豊臣秀次と名乗った。
これが元春事件の真相です。
原作で良晴と隆景がフラグ立ていたので、
こっちでは天竜と立ててみました。
原作キャラの姫武将まで殺してしまったこの物語。
どないして収集つけようか.....