天翔ける龍の伝記   作:瀧龍騎

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数日前に間違ってまた未完成を投稿してしまい、
すみませんでした。
実はスマホのデータが全部飛んでしまいました(泣)
かろうじてSSのデータのバックアップが取れたので、
話は続けられそうです。
本当に良かった。
そういえば来月11巻が出るそうですね。
打ち切りになったとばかりσ^_^;


第六十四話 大友宗麟

「キッカケは文通だった」

 

「「「!?」」」

 

 

『天井に立った』ままの状態で天竜が語る。

 

 

「大友宗麟と初めて会ったのは、

四国戦が終わったばかりの頃、

『彼女』が救援を求めて来た時だった。

正直驚いたよ。

普通は使者でも寄こす所だが、

彼女は自ら大坂城を訪れた。

その上で彼女は俺に頭を下げ、

俺に付き従うと誓ってくれた」

 

「じゃあ...........なんで?」

 

 

良晴が訴える。

 

 

「なんで宗麟を倒すなんて言うんだ!!

俺だって宗麟の人柄の良さは知ってる!

なんだって味方のはずの宗麟と争うんだ!!」

 

「奴がキリシタンだからだ」

 

「!?」

 

 

天竜は答えた。ハッキリと.....

 

 

「いや、俺がアンチだからか」

 

「.....どういうことだよ?」

 

「どうもこうもない。キリスト教徒と異教徒の仲が悪くなるのは当たり前であろう」

 

 

それは3年前の天竜と氏郷・利休との抗争においても言えた事である。

 

 

「だが、それが不可解であった」

 

「何でだ?」

 

「俺は予め、大坂城での会談時に自身が反キリスト教の立場にあるという事を彼女に伝えている」

 

「!?」

 

「その時の彼女は納得こそしなかったものの、それなりの理解はしてくれていた。

その後何度か文通のような形で、お互いの考えのようなものを伝え合い、慎重にコミュニケーションを取っていこうとした。何しろ彼女は、日本で最大のキリシタン大名なのだからな」

 

「それじゃあ...........なんで?」

 

「俺にも分からん。

ある時突然、その関係が崩れた。

それまで、なんとかいい関係を築こうと俺も努力をしてきたというのに.....

誰かが!

誰かが馬鹿な入れ知恵を与えたのだ!

そのせいで彼女は俺に不信感を抱き、

勝てる見込みもないのに、島津と豊臣を両方敵に回すような愚かな選択をしやがった。

宗麟に要らぬ入れ知恵をした何者かを潰さない限り、この九州攻めは成功しない」

 

「誰かって.....誰よ?」

 

 

信奈が尋ねる。

 

 

「考えられるのは1つだ」

 

「そうだな.....」

 

 

良晴は理解していた。

 

 

「「バテレンだな」」

 

「「...........」」

 

 

信奈も長秀も驚愕する。

それは天竜に対してではなく、

天竜と同じ答えを出した良晴に異質な何かを覚えたのだ。天竜に近づいている良晴に.....

 

 

「親日派のフロイスやオルガンティノ、

最近知り合ったヴァリニャーノら以外の、

俺が反日派と判断した連中の多くは、

俺の目の届かない長崎方面に逃れた。

全国指名手配である例の3人は別としてな」

 

「「...........」」

 

 

そのうちの1人を匿っている良晴と信奈は少し黙ってしまう。

 

 

「長崎にいるであろう反日派のバテレン。

もしくは宗麟が昔出会ったバテレンが遠くの地から宗麟に命令を出しているのかもしれない」

 

 

そもそも、現在の日本のバテレンのリーダー格であるガスパール・コエリオが反吐が出る程の反日派にして差別主義の糞虫なのだ。容疑者なんていくらでもいる。

 

 

「俺の正体がドラキュラで欧州で酷いことをしただとか、『裏切り魔将軍』の名を大袈裟に盛って、宗麟の真意とは関係なしに誘導させたのだろう。そうやってバテレン共は多くの国を植民地にしてきた」

 

「あぁ.....」

 

「俺とて馬鹿ではない。

ここで宗麟と戦争して勝った所で、

島津にはメリットしかないし、

こちらはデメリットしかない。

宗麟とは戦争しない」

 

「だな。ここは単独で攻めて、宗麟自身を取り押さえて改心させるのが有効な手じゃねぇのか?」

 

「その通り。流石だな。

宗麟にこっそり接近する。

そして今件の首謀者を引き剥がし、

大友軍の裏切りをやめさせる。

宗麟が洗脳されてて言葉じゃ説得できないのなら、ぶっ叩いてでも心入れ替えさせる。そうでないと宗麟は日本一の売国奴になっちまう」

 

「物騒な言い方すんなよ。

せめて愛のムチとか言えよ」

 

「おやおや。昔は『愛』という言葉で誤魔化せた躾も、今じゃ体罰体罰とうるさいではないか?」

 

「ここは戦国時代だ」

 

「そうだな。くくくく.....

第一俺の教育方針はスパルタ式でな。

鞭どころでは済まないかもしれない。

さしずめ『愛の半殺し』か」

 

「半殺しに愛はない!!」

 

「かかかかか!」

 

「「...........」」

 

 

何も言えなくなってしまった信奈、長秀の2人はこの時こう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良晴が天竜化している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてだ。この任務は俺1人じゃしんどい。

手伝ってくれるか?」

 

「勿論だ。いいぜ」

 

「そういうこった。また旦那借りるよ?」

 

「ふんっ。勝手に持っていけば?」

 

「全く、愛する夫なのにな。

夫の有り難みはセックスレスになってから思うのだぞ?しばらく欲求不満が続くんだからお前も愛人でも作るか?」

 

「はぁ!?ふざけんじゃないわよ!

それに『も』って何の事よ!」

 

「天竜(怒)!!!」

 

 

こいつ.....口が軽すぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北九州、豊後。

結局、お忍びで訪れる事になった2人。

いや、キャラバンにはもう1人いた。

 

 

「なんだって官兵衛も?」

 

「シム。シメオンが信奈様から受けた

任務は主に2つ。

1つは宗麟と会う為の橋渡し。

無知の良晴と異教徒の豊臣秀長だけじゃ、

まず会えないからね。

それから浮気調査。

九州で浮気しないように見張るのが、

シメオンの役目」

 

「へ.....へぇ.....」

 

 

苦い笑いしかできない。

今は、良晴は官兵衛にフルネームではなく、名前で呼ばれている。距離が縮まったからであろうか?

 

 

「だがその官兵衛も良晴の愛人の1人だとは知らない信奈であった」

 

 

わざとナレーション風に言う天竜。

 

 

「本当にしつこいなぁ!!

友達無くすぞ!!」

 

「この時代に来るまで友と呼べる者は1人もいなかった。今更いなくなった所で、なんとも思わんよ。

てゆうか、友達ほとんど死んだし」

 

 

てゆうか、ほとんど自分で殺したし。

 

 

「まさに外道!」

 

「豊臣秀長。一つ言っておく。

良晴とシメオンは決して愛人関係ではない。

良晴の家臣団の結束を固める為に、

彼との距離を近づけただけ。

他意はない」

 

「そうなのか?」

 

「シム!」

 

「でもセックスしただろ」

 

「うっ.....」

 

 

黙っちゃった。

 

 

「しかも外で」

 

「うぅぅぅぅ.....!」

 

 

彼女の褐色の肌でも分かるほど、

顔が赤く火照っている。

 

 

「こんな顔してヤってるのに、

本当に他意がないんだぁ」

 

 

天竜は良晴と官兵衛の青姦の写真を出す。

 

 

「!!?」

 

「こんな顔して喘いでるのに、

他意はないとねぇ?」

 

「うぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

「そこまでにしやがれ」

 

 

良晴はなんと、取り出した拳銃の銃口を天竜の側頭部に押し付けた。

 

 

「おやおや。

それはオモチャじゃあないよ?」

 

「分かってる。引き金を引くだけで人間なんて頭に一発で死ぬ。まぁ、あんたにゃあ何発必要かは分からねぇがな」

 

「分かっているのならいいさ。

あとは引く覚悟だけ。

それもあるのなら、

ここで俺を射殺するがいい」

 

「俺はあんたの真意を確かめたいだけだ。

あんたが全く意味のない事を繰り返すとは思えない。多分意味があるはずだ。

何を企んでるかまでは分からんけどな。

だが、その真意が何であろうと、

目の前で大切な家臣が虐められている所を黙って見てるわけにはいかない!」

 

「良晴.....」

 

「そうかそうか。お前らしい。だが.....」

 

 

天竜が突然良晴の拳銃を持つ手を捻り、

拳銃を取り上げてしまう。

そして、腕を捻って押さえ付けた良晴の後頭部にその拳銃の銃口を突きつけた。

 

 

「あぐっ!?」

 

「撃つ気もないのに拳銃なんか出さない事だな。こうやってすぐ逆転される。気の迷いや甘さが命取りになるからだ。覚えておけ」

 

「ぐぐぐぐ.....」

 

「お前もだ豊臣秀長」

 

「おや?」

 

 

良晴を押さえる天竜のさらに後ろから、

官兵衛が拳銃をこちらに向けている。

 

 

「良晴を離せ!」

 

「くくく、俺もまだまだ未熟か。だが、鉛玉なんかで俺が止められると思うか?」

 

「残念ながらこれは銀の弾丸」

 

「あちゃ〜。お前もキリシタンだったな。

吸血鬼対策は万全なわけな」

 

「シム。だからもし、大友宗麟や宣教師様に危害を加えるような事があれば、シメオンは太閤であろうと殺す」

 

「その結果、お前が罪人として処刑されるような事になろうともか?」

 

「それが殉教となるならば本望」

 

「ふん。妄執者が」

 

 

天竜は良晴を解放した。

 

 

「だがな官兵衛。お前も隙だらけの分際でよくぞそんな事が言えたものだな?」

 

「むっ!?」

 

 

官兵衛の引き金にかかっていた人差し指、両足、胴に、鋼鉄の糸が巻き付いていたのだ。

 

 

「このまま殺っていい?」

 

「駄目だ。官兵衛はまだ必要なんでな」

 

 

突然現れた4人目。

 

 

「万見.....仙千代!?」

 

「今は風魔小太郎。10代目のね。

でも仕事がこの男の護衛ってのも退屈なものだけれど。まぁ、たまにあんたみたいな身の程知らずが現れるから、悪くはないよ」

 

「くっ.....!!」

 

「俺の周囲には常に4人の忍が潜んでいる。

だから俺の暗殺は不可能だ」

 

 

全く気配を察知できなかった。

こんな奴があと3人も隠れているのか!?

 

 

「シム.....分かったよ」

 

「よろしい。だが安心しろ。

宗麟には危害は加えんさ。

彼女はまだまだ利用できる。

逆に死なれては困るんだ。

それとバテレン殺しも自重している。

3年前に南蛮商人を含めた3人を殺し、

1人を人質にした。

去年も人身売買をやろうと女子供を誘拐しようとしていたバテレンを処刑した。

全員死んで当たり前の連中だが、これが原因で貿易を止められても困るからな」

 

「むむむ.....」

 

「それにだ。

仲間割れしてる場合ではないようだぞ?」

 

「「!?」」

 

 

4人は数人の兵によって囲まれていた。

兵士達は首に十字架をぶら下げている。

明らかに大友軍だ。

 

 

「何者だ貴様達。ここは豊後大友宗麟様の領地と知った上で訪れているのか?」

 

「その通りだ。さっさと宗麟を出せ」

 

 

天竜は上から目線で言う。

まぁ、実際偉いのだが.....

 

 

「不届き者め!お前らのような怪しい奴らを宗麟様に会わせるわけがないであろう!」

 

「ん〜?」

 

 

これには天竜も呆れる。

 

 

「おいおい良晴。こいつらはこの国の代表の顔も知らないらしいぞ?

外国との交易をたくさんしてる経済都市なのかド田舎なのか分かったもんではないな!」

 

「しょうがねぇだろ。

TVも無ければ写真もねぇんだから」

 

「そっか〜.....まぁいいや。

知った所でこいつらもう死ぬし」

 

「「「!?」」」

 

 

兵士達が身構える。

 

 

「ド田舎者にいい事を教えてやろう。

それは『正当防衛』だ」

 

 

兵士達は刀を抜き、斬りかかってくる。

 

 

「正当防衛.....ようは相手から攻撃してくればいいのだ。先に手を出してしまえば最後、殺されても文句は言えないのだよ!」

 

 

正当防衛はそんな法律じゃない!

良晴は内心で叫ぶ。

 

 

「さてさて、遊ぼうではないか!」

 

 

天竜は長槍『方天画戟』を召喚する。

 

 

「処刑開始!」

 

 

その槍を地面に突き刺す。

 

 

『串刺城塞(ガズィクル・ベイ)!!』

 

 

その瞬間、兵士達の足元より無数の槍が突き出てきて、数人の兵士達を串刺しにした。

 

 

「おや、もう終わりか?」

 

「「ひぃっ!?」」

 

 

串刺しを免れた兵士が恐れ慄く。

 

 

「駄目だろう。取りこぼしては」

 

「「へぶばっ!!?」」

 

 

その兵士らも仙千代の糸によって斬り裂かれる。

 

 

「弱そうなあの男を狙うんだ!」

 

「「おおおおぉぉ〜!!」」

 

 

残った兵士達が一斉に良晴に向かっていく。

 

 

「やばっ、俺が狙われてる」

 

「自分でなんとかするんだね」

 

 

そう言って官兵衛は良晴の背中に隠れる。

 

 

「「「おおおおぉぉ〜!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朧月光流..........神無月!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんと良晴は天竜の技で向かってくる兵士達を流れるように斬ってみせたのだ。

斬られた直後、3人はバタバタと倒れていく。

 

 

「ふぅ.....」

 

「コラッ!!

そんな中途半端な神無月があるか!」

 

「だって.....」

 

 

良晴に斬られた3人は生きていた。

良晴は峰で斬ったのだ。

 

 

「朧月光流はあくまで殺人剣。

情けはかけた分だけ、

その技の威力を低下させる!」

 

「俺は.....あんたらみたく、人を殺す事に覚悟を決めるのがどうしてもできないんだ。

俺はこの剣を人を守る為に使いたい!」

 

「ちっ.....!」

 

「「おごばっ!!?」」

 

 

天竜が方天画戟を地面に突き立てた瞬間、倒れた3人の内の2人が地面から突き出た槍によって串刺しにされる。

 

 

「なっ!?」

 

「俺だって好きだから殺してるわけじゃない。俺だって守りたいさ。多くの命を.....だから殺すのだ。

その相手を殺す事が結果的に多くの命を救う事になるのであれば、俺は容赦はしない」

 

「そんな.....」

 

 

天竜は生き残った1人を叩き起こす。

 

 

「さて、宗麟のもとへ案内してもらおうか」

 

「だっ.....誰が!

死んだって宗麟様には会わせない!」

 

「じゃあ死ね」

 

 

天竜はその兵士の首筋を噛んだ。

 

 

「命令だ。宗麟の居場所を教えろ」

 

「承知しました」

 

 

その兵士の瞳は紅に変色していた。

 

 

「「..........」」

 

 

あまり見慣れない良晴や官兵衛はその様子を恐ろしげに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白杵城下。

 

 

「あそこにおられるのが宗麟様です」

 

「そうか」

 

 

大友宗麟は水色を中心とした南蛮服。

髪も水色であり全体的に透き通って見える。

 

 

「よう。宗麟!」

 

「!?..........豊臣秀長!?」

 

 

天竜の訪れを予感していなかった彼女は驚きの表情を見せる。

 

 

「久しぶりだなぁ。大友宗麟」

 

「くっ.....!」

 

「こいつに案内してもらったよ」

 

「!?」

 

 

宗麟はその兵士がすでに人間ではなくなった事に気づく。

 

 

「だが、もう用はない」

 

「えっ?」

 

 

天竜はその兵士をポンッと押す。

次の瞬間、その兵士は天竜の手によって心臓を貫かれた。

 

 

「「「なっ!?」」」

 

 

これには宗麟はおろか、

良晴や官兵衛までもが驚愕する。

 

 

「ある..........じ.....様ぁ」

 

 

その言葉を呟いて兵士は灰となり消えた。

 

 

「無駄な眷属は作らない主義でね」

 

「外道め!!」

 

 

宗麟が構える。

 

 

「なぁ、宗麟。俺はお前さんがどんな奴にどんな言葉で言いくるめられたのかなんて.....

そんなものに俺は興味はない。

正直どうでもいい。

俺はただ、

予定を崩したお前にお仕置きをし、

黒幕をぶっ殺したいだけだ」

 

「くっ.....!」

 

 

宗麟は胸に下げた十字架を握る。

 

 

「見えぬ神にすがるな。

何もできぬ神にすがるな。

不幸しか持ち込まぬ神にすがるな。

俺は神も仏も嫌いだ。

実態の掴めぬ神が嫌いだ。

目の前に現れたのが悪魔しかいなかったのだから、

俺は悪魔に魂を売った。

俺の希望が悪魔しかいなかったのだ」

 

 

天竜は胸の逆十字を握る。

 

 

「Heretic(異端者)め!!」

 

「異端で結構!

だが、俺は悪魔に魂を売っても、

悪魔に全てを委ねたわけではない。

全ての選択は俺の意志だ。

俺自身が俺の世界を作ったのだ。

神に誘導されなければ何もできないお前のような弱者とは違う。

神を騙るバテレン共に言いくるめられてしまうような弱者とは違う」

 

「黙れぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

その瞬間宗麟の手から何かが飛び出て、

天竜の腹部を貫いた。

 

 

「がはっ!?」

 

「勘違いするな魔王秀長!

私がRebellion(謀反)を起こしたのは、

何も宣教師様に

Abet(唆す)されたわけではない!

確かに決断を下したのは、宣教師様から貴方のお話をしてもらったから.....

でも、決断を下したのは私のWill(意志)!

Others(他人)にResponsibility(責任)を押し付ける気は毛頭ない!」

 

 

所々に英語が混じった奇妙な喋り方だ。

まるでルー●柴

宗麟は天竜に突き刺した何かを引き抜く。

 

 

「くっ.....くくくくくひひひひひひ.....

くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!

面白い!面白いぞ大友宗麟!

元親以来、久しぶりに手応えのある女だ!

ただのお仕置きではつまらない!

.....喰ってしまおうか?」

 

 

狂気の表情を浮かべた天竜だったが、

その額には冷や汗が.....

 

 

「ふぅ.....」

 

 

傷の治りが遅い.....

いや、むしろ悪化している?

宗麟が使った武器が銀製だった?

しかし、だからと言ってこれは.....

 

 

「なっ!?」

 

 

天竜は宗麟を見て驚愕した。

 

 

「これが私が、神より得た新たなforce(力)!」

 

「何故お前が.....」

 

 

ソレは、宗麟の横に従者の如く仕えていた。

だがその形は人の形ではなく、

スライムのように不規則で.....

その体色は金属のものに近い。

生きた金属。

 

 

「流体多結晶合金.....」

 

 

それは、天竜の家臣古田織部も使う、

鋼の精霊。

 

 

「何故お前が『ナノマシン』を!!」

 

「Go to Hell!DRACULA!!」

 

 

再びナノマシンが天竜を襲う。

 

 

「かぐあぁっ!?」

 

 

ナノマシンが左肩、右大腿部、右腹部に同時に突き刺さる。

 

 

「Death!Death!Death!Death!

デスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデス!!!!」

 

 

糸状に伸びたナノマシンが天竜を縫う。

 

 

「お前..........はなから見れば.....

立派な魔女だぞ?」

 

 

身体をグチャグチャされながらも、

天竜がツッコむ。

 

 

「Noisy(うるさい)!Shut up(黙れ)!」

 

 

ナノマシンが天竜の左胸に高速で伸びる!

 

 

 

 

 

 

 

「させるか!!」

 

 

 

 

 

 

ナノマシンが心臓に届く直前、

仙千代の鋼鉄の糸にてナノマシンが拘束され、動きを封じられる。

だが、同じく鋼鉄であるナノマシンを切断する事はできない。

 

 

「くっ.....!!」

 

「Outsider(部外者)は邪魔!!」

 

 

ナノマシンが仙千代を撫で払う。

 

 

「がぁっ!?」

 

 

糸にて防御したものの、それもお構いなしにナノマシンは仙千代に激突する。

そして、数メートル先まで飛ばされた。

 

 

「ぐぐぐぐ.....肋骨をやられた.....」

 

 

たった一撃で仙千代を戦闘不能にさせてしまったのだ。

 

 

「仙千代っ!!」

 

「Opponent(対戦相手)から目を離さないで下さい!!」

 

 

ナノマシンが再び天竜を捉える。

 

 

「おのれっ!!」

 

 

油断が天竜の誤算だった。

いくらナノマシンとはいえ、天竜が敵わない相手ではない。だが、油断してしまったが故に、その攻撃を予測する事ができなかったのだ。

 

 

「AMEN!!」

 

「くそったれがぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、一発の銃声が鳴る。

 

 

 

 

 

 

 

 

それに伴い、ナノマシンも止まる。

 

 

「よ.....しはる?」

 

「さっさと下がれ天竜!」

 

 

発砲したのは良晴。

宗麟に拳銃を向けていた。

 

 

「関白豊臣秀吉.....

貴方は我らキリシタンにLeniency(寛大)と聞いていましたが.....貴方も兄と同じく私のEnemy(敵)なのですね」

 

「威嚇射撃だ!

すぐに術を解いて手を挙げろ!」

 

「Raise My Hands.....ですか?」

 

 

宗麟は両手を挙げる。

 

 

「Refused(お断り)!!」

 

 

そのまま両手を振り下ろす。

それに伴い、ナノマシンが良晴を襲う。

 

 

「うわああああぁ!!?」

 

 

吸血鬼の天竜ならともかく、ただの人間の良晴がナノマシンに襲われればひとたまりもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「式、『烏天狗』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナノマシンから良晴を誰かが守った。

それは烏の頭と翼を持つ、人型の式神。

 

 

「やれやれ。このシメオンまで戦う事になろうとわね」

 

「官兵衛!?」

 

 

その式神を呼び出したのは官兵衛だった。

 

 

「修行不足で出せるのは1体だけだよ。こんな事なら

おばばにもう少し教わればよかった」

 

「ドン・シメオン!

貴方までHeretic(異端者)なのですか!?」

 

「ドン・フランシスコ。

シメオンは別に異端者になったわけではないよ。豊臣秀長の味方なんて絶対に嫌ださ。

でも君の行動も目に余るものがある。

今の君は戦乱をただ掻き乱す、

War abnormals(戦争異常者)だよ」

 

「くっ.....!!」

 

「それから良晴。

錬金術師に拳銃1丁で挑むなんて無謀だ。

勝つ見込みぐらい計算してから行動に移すんだね。君の悪い癖だ」

 

「.....分かってる」

 

 

その時だ。

 

 

「なっ!?」

 

 

宗麟は見た。ふと目を離した隙に、

天竜が行動に移していたのだ。

懐に忍ばせていた水筒を取り出し、

中の液体をガブガブと飲んでいる。

中の液体は人の血であった。

 

 

「ぷはぁっ!!」

 

 

全て飲み切ると、空の水筒をその場に捨て、ムクリと立ち上がる。あれだけグチャグチャにされていた身体の傷は完璧に再生され、服だけがボロボロになっていた。

 

 

「全く、人の一張羅を穴ボコにしやがって」

 

 

天竜は着ていた白軍服を破るように脱ぎ捨てると、新品の同じ白軍服を召喚して、それを身に付けた。

 

 

「この俺が追い詰められたのは光.....

左馬助の件以来、久方ぶりだ。

俺はお前が心の底から欲しくなった」

 

 

天竜は再び方天画戟を召喚し、構える。

その瞳は紅に輝き、背中に翼が生え、

半分だけドラキュラ化していた。

 

 

「お前を真から手に入れてみたい!

心も身体も手にしてみたい!

俺に服従させてみたい!

お前を征服してみたい!」

 

 

今度こそ本気の天竜。

 

 

「ふっ.....」

 

 

宗麟は微笑する。

 

 

「Do not try if what I can do that!!

(やれるものならやってみな!!)」

 

 

 

 

 

 

豊後の地にて、

一つの戦乱が起きようとしていた。

 




新キャラ大友宗麟。
キャラ作りを迷走した結果、
本当にルー●柴みたいなキャラに.....
悪い子じゃないんですが、
色々手一杯になってるんですね。
年は長秀と同じく25歳という設定です。
次回予告
宗教
〜宗教が人々を救い、宗教が人々を殺す〜

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