天翔ける龍の伝記   作:瀧龍騎

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今回はキャラの崩壊が多々あります。
原作重視の人は、先に誤っときます。
ごめんなさい(;´Д`A
それと「、、、」を「.....」に全体的に修正しました。読みやすくなってくれると幸いです


二章 羽柴天竜秀長
第六話 若狭の陰謀


♫阿ボー!吽ボー!天気予報!

 

僕の名前は阿ボー!

 

 

僕の名前は吽ボー!

 

 

2人合わせて阿吽だ~

 

 

君と僕とっで阿吽だ~

 

 

小さな物から大きな物まで

 

 

働く忍者、阿吽ディーゼル~♬

 

 

 

 

という夢を見た。その日一日は阿斗、吽斗を見るたびに吹き出しそうになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第六話

英賀にて

 

 

 

「お師匠様」

 

「おぉ~賀茂の坊主か。

ヒヒヒ。久しいのぉ~」

 

「勘解由小路とお教えましたよ。

それに今は羽柴です」

 

「どうでもよいわい。

武士はころころと名前を変えるから、

覚えるのが面倒じゃ」

 

「そりゃ〜何百年も生きてりゃ、

覚えるのも大変でしょうけど」

 

「うむ。昨晩の飯のネタも忘れてしもうたわい」

 

「..........」

 

「どうした?いつもなら何か突っ込むじゃろ?」

 

「芦屋家始祖、芦屋道満。その子孫にして俺、羽柴天竜秀長の師、芦屋道海様」

 

「なんじゃ、改まって」

 

「貴方のお陰で俺はこの時代で陰陽師として覚醒出来ました。本当にありがとうございます」

 

「未熟者の小童が、何を言いよる。まだまだ修行は終わらんぞ?」

 

「全くその通りです.....

先日、術の使い過ぎで一度死にかけました」

 

「ヒヒヒ。反魂の術を身につけていても己が死んでは元も子もあるまい」

 

「..........はい」

 

「その指輪は多大な気をお主に与える代償にその身体を蝕む。使い過ぎにだけは気をつけろ」

 

「はい」

 

「その指輪を官兵衛にだけは渡さないようにな。また馬鹿げた事に使うじゃろうから.....」

 

「そんな事よりお師匠様こそ気をつけて下さいね。延命術を使っているとはいえ、

不死ではないのですから.....」

 

「ふん!若僧に気遣れる程老いとらんわ!」

 

「250歳の婆さんが何言ってんだか.....」

 

「こう見えても昔は絶世の美女だったのじゃぞ?」

 

「年寄りは皆そう言うんです」

 

 

すると道海は目の前のグツグツ煮えたぎる鍋に何やらまじないをかける。

すると水面に写ったのは、シワくちゃの道海ではなく、驚くほど美しい女性陰陽師であった。

 

 

「偽りではないようですね。勿体ない。

若いうちに不老術を覚えていればこの美貌を保てたでしょうに.....」

 

「ヒヒヒ。気にしとらんよ」

 

「私の若返りの術でも使いますか?」

 

「ヒヒヒ。賀茂家の特技じゃな。

しかし、遠慮するよ。

弟子の寿命を減らしてでも若返ろうとは思わん」

 

「少し勿体ない気もしますが.....」

 

「わしが若返ったら、調子に乗ってお主に求婚するかもしれぬぞ?」

 

「それは遠慮します」

 

「ヒヒヒ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻って越前。

 

 

「おっ.....お前があたしに頭を下げるのか!?」

 

「はい。私が間違っていました。

これからは柴田殿の武勇を手本に精進しようと考えております」

 

「いや~。参ったなぁ~」

 

 

完全に天狗になっている勝家だ。

先日までのあの嫌悪感は何処へいった?

 

 

「勝家は単純」

 

「前田殿、先日の件で怪我や痣は残っていませんでしょうか?」

 

「残ってないし、犬千代は気にしてない」

 

「意外ですね。前田殿にはもっと恨まれていると思っていたのですが.....」

 

「犬千代は安土城で無視されたのが気に障っただけ。本気で戦えてスッキリした」

 

 

ブチ切れて死ね死ねコールしていた件については大丈夫なのだろうかと天竜はそっと思う。

 

 

「それから犬千代でいい。皆そう呼んでる」

 

「ではそう呼ばせて頂きますね犬千代殿」

 

「あたしも勝家でいいよ!」

 

「分かったよ、六」

 

「なんでだよ!」

 

 

このような冗談で盛りあがった後、

天竜は本題に移った。

 

 

「この度、改名をしようと考えております。

その際に、柴田の『柴』の字を

頂けないでしょうか?

後々は羽柴と名乗ろうと考えております」

 

「ん?.....まぁ、かでのなんとかより

ずっと呼びやすいけど.....

『羽』は?」

 

「後に丹羽殿から」

 

「何でまた?」

 

「私も常々思っておりました。

この織田家臣団の信頼の厚さを.....

突然現れた私がその仲に入り込もうとした所で、煙たがれるという事は最近のお付き合いなどで、よく分かりました。

勝家殿とは戦いの中で信頼を結ぼうと考えていたのですが.....」

 

 

それを聞いて勝家は難しい顔をする。

 

 

「あたしとしては、

別のやり方で仲良くしたかったなぁ~

.....なんて」

 

「では、これから少しずつでも友情を深めてまいりましょう。その為の改名です」

 

「光秀からは貰わないのか?」

 

「十兵衛殿からは『秀』の字を下の名前に貰おうと考えてております」

 

「むっ.....」

 

 

すると、天竜が光秀を十兵衛と呼んでいる事に勝家は反応を示す。

 

 

「嫉妬かい、六?」

 

「ばっ.....嫉妬じゃ.....!

それに六って呼ぶな!」

 

「じゃあ、権六?」

 

「それはもっとヤダ!!」

 

「ういろう食べたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近江。丹羽邸にて。

 

 

「.....以上の理由につき、

丹羽殿からは『羽』の字を頂きたいと思いましてございます」

 

「..........」

 

 

長秀はジロリと天竜を睨み、低く返答する。

 

 

「目的はなんですか?」

 

「は?」

 

「惚けても無駄です。

何か企みがあるのでしょう?」

 

「惚けるも何も.....」

 

「灰尓っ!!」

 

 

長秀がそう声を上げると後方の扉の奥から大柄の男がズンズンと近づいて来る。

 

 

「こんな事もあろうかと護衛を呼んでおります。貴方が何をしようとも指一本触れる事は出来ませんよ?」

 

「ヤレヤレ.....相当警戒されているようですね」

 

「当たり前です。貴方の腹黒さは元康殿よりずっと高いという事は始めから気付いています」

 

「ほう.....」

 

「本音を言いなさい。

でなければそこの灰尓が容赦しませんよ?」

 

 

灰尓という大男は後ろでバキバキと指を鳴らす。

 

 

「ふぅ。指一本ですか.....」

 

 

ため息を一つつき、天竜の表情が一変する。

 

 

「青い小娘が!

そう言われると余計に触りたくなる!」

 

「うっ.....!?」

 

 

天竜はその場にスクッと立ちあがる。

 

 

「灰尓っ!この痴れ者を捕らえなさい!!」

 

「承知!」

 

 

灰尓が後ろからかかって来る。

だが、そんな事は始めから読めていた天竜は捌きつつ、灰尓の着物の襟首をそっと捻る。

すると、灰尓は空中で一回転して、床に背中から叩きつけられた。以前に勝家に対して使った技と同等である。

 

 

「くそっ!!」

 

 

すぐさま起き上がった灰尓は今度も同じようにかかって来る。

だが、天竜が突然座った為に勢いに任せて灰尓は向こう側に突っ込んでしまう。

だが、懲りずに座ったままの天竜に後ろから攻撃を仕掛ける.....

だが、天竜は正座の状態のまま真後ろにスライドしながら捌いたため、また勢いに任せて長秀の前に吹っ飛ばされる。

 

 

「何をやっているのですか灰尓!!

身長も体格も貴方が上でしょう!」

 

「そっ.....それが!

奴に近付こうとすると身体が勝手に.....」

 

 

そこで長秀はハッと気づく。

以前勝家から聞いた、

触れずに相手を倒すような技。

『合気道』という名の格闘技を.....

天竜は再び立ち上がって言い放つ。

 

 

「ふんっ。木偶の坊を護衛にした程度で優位に立ったつもりでしたか丹羽殿?」

 

「.....んだと、コラァ!!」

 

 

灰尓が突如、小太刀を取り出す。

 

 

「いけません灰尓!!

殺しては.....!!」

 

「死ねぃ、クソ陰陽師ィ!!!」

 

 

姿勢を低くしながら殺気を振りまいて突っ込む灰尓。だが.....

 

 

「木偶の坊は悪かったな、お前は猪だ!」

 

 

捌きと同時に灰尓の後頭部を押さえ付け、一気に床に顔面を叩きつける。

だが灰尓は鼻血を出しながらもまだ起き上がる。

しかし、その直後にやってきたのは喉元への突き。

真後ろに飛ぶように倒れた灰尓だが、

今回ばかりは上手く受け身をとった。

だが、天竜はすかさず灰尓の喉輪に手を添え、最後の一言。

 

 

「4世紀早ぇよ.....」

 

 

灰尓はそのまま頭から床に叩きつけられ、その後再び起き上がる事はなかった。

 

 

「..........それは陰陽術の一種ですか?」

 

「いいえ。れっきとした日本武術ですよ?

ただし生まれるのは300年後。

ずっとインチキ扱いされていた武術ですが、

最近.....私や良晴の時代には本物と理解されるようになりました。

塩田先生に感謝です」

 

「..........」

 

「指一本の反対.....

つまり身体中触りまくっていいんですね?」

 

「はっ!?」

 

 

天竜が颯爽と近づく。長秀は慌てて腰の刀を抜こうとするが、両手を制されてしまい、どうにも出来ない。

長秀は流されるままに押し倒されてしまう。

 

 

「やめてください!!誰か!誰か!」

 

「貴方が下げたのでしょう。

私に勘ぐられないように.....

貴方の言う通り私はとてつもなく腹黒い悪人ですよ?くくく」

 

「嫌.....いやぁ!」

 

「安心して下さい。乱暴にはしません。

ただし、明日の朝までの貴方の貞操は保障できませんがね.....くくくくく」

 

「そんな!」

 

 

足をバタつかせ、必死に足掻く長秀。

だが、大の男の力の前には無力であり、しだいにその抵抗力も弱まってくる。

丹羽長秀は産まれて初めて男性が怖いと感じた。しだいに瞳からは涙も流れ始め、嗚咽も聞こえるようになる。

 

 

「い.....やぁ.....ぁ.....」

 

「珍しい表情を見ることができまそた。

その表情は私が初めてかな?」

 

 

天竜がそっと顔を長秀に近づけ、耳元でそっと囁く。

 

 

「可愛いよ.....万千代」

 

「ひぅっ.....」

 

 

可愛いと呼ばれたのも万千代の名で呼ばれたのも同年代の男性から言われるのは天竜が初めてだ。

 

 

「お遊びが過ぎましたね。すみません」

 

 

っと、天竜はスッと離れ、手の拘束を解いた。だが、腰を抜かしてしまい、ゆっくりとしか起き上がれない長秀。

天竜は彼女の髪をそっと撫でる。

 

 

「他の彼女達より年上というだけで君ばかりが気を張る必要はないよ。必要ならばこれからは俺も手伝うからな。

..........俺にとっては君も彼女達同様、可愛い女の子なんだから」

 

 

そう言って、天竜は長秀の頭を撫でてやった。これぞ天竜が無意識に起こす、イケメンのみに許された口説きテクである。

長秀は撫でられれば撫でられる程、涙を流す。

 

 

「くくくく。これも触りまくってる事には変わりあるまい。『涙』という貞操も奪ってるしな」

 

「ぐすっ.....いい..........加減に.....しろぉ!!」

 

 

長秀は開放された手で平手打ちを繰り出してくる。いつもなら平気で避ける所の天竜だが、今回ばかりはそのままソレを受け取る。

 

 

「ういっ.....!!

..........お~痛ぇ。今度痴れ者に襲われた際にはその平手打ちを食らわせてやったらいいでしょう。槍、刀を使うよりよっぽど女の子らしい」

 

「なっ.....何を!?」

 

 

天竜はスクッと立ち上がって、扉の方へ歩きながらに言う。

 

 

「では痛み分けとして『羽』は頂いていきます。ついでに『長秀』も貰っていこうかな?」

 

「なっ.....ななな!」

 

「そうですね..........

上下を入れ替えて『秀長』。

羽柴天竜秀長.....いい名前だとは思いません?

..........ひょっとして勘違いしました?」

 

「そっ.....そそそ、そんな事!」

 

「また会いましょう.....丹羽殿。

いや、万千代ちゃん?」

 

「さっさと出て行きなさい!!」

 

 

そうして天竜はやっと出て行く。

同時に灰尓がフラフラと目を覚ます。

 

 

「あっ.....あれ?あの陰陽師は?」

 

「万千代ちゃんか.....」

 

 

長秀は彼を叩いた事で未だにヒリヒリする己の手の平を見ながら呟く。

 

 

「は?」

 

「なっ.....何でもありません!

やっぱりあの男は嫌いです!

エロ天竜め、零点です!!」

 

 

だが、その顔は何処か嬉しそうでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丹波にて

ここでも天竜は自ら頭を下げた。

十日前には挑発的対応をしておいた。

明智家臣団にである。

 

 

「誠に恐悦ながら、あれは皆様方の内心を探る為の芝居にございました」

 

「芝居だと!?」

 

「はい。人は初めて会う相手に対して、何らかの疑心を抱きます。

そして、己の内心を隠してしまいます。

しかし、怒れば話は別です。怒れば怒る程、人は本心を徐々に引き出してきます。

.....もちろん、皆様方がとても立派な侍である事は百も承知です」

 

「..........何故、そのような芝居をするのだ?」

 

「さぁ?私にもわかりません」

 

「は?」

 

「ただ.....お互いに探りあっている内は信頼などいつまでも作れません。

.....要するに少しでも早く皆様方に認めて欲しかったのかもしれませんね。

.....ただし、無礼であったには違いありません。

どのような罰も受けましょう。

何なりと.....」

 

 

そう言って天竜は自分の太刀を利三達の前に差し出した。

 

 

「「「..........」」」

 

 

だが、家臣団の中にそれを申し出る者はいなかった。天竜は宣言通りに七日で丹波を落とすという実績も残している。

このように言われてしまえば、むしろ自分達の方が悪いように錯覚してしまったのだ。

結局、その場は流され続いて、丹波平定に当たっての天竜への恩功論相に移った。

 

 

「天竜はいったい何が欲しいですか!

土地ですか!金ですか!それとも女ですか!!」

 

 

何故か十兵衛は怒っている。理由が分からない天竜はキョトンとしながらも提案を出した。

 

 

「恐れながら希望は2つございます。

1つ目は、殿にお借りした一千の鉄砲隊。

彼らをそのまま私に頂けないでしょうか?」

 

「鉄砲隊をですか?」

 

「はい。私が伝授した騎馬鉄砲術はまだまだ未熟です。これからも少しずつ鍛えていきたいと考えています」

 

「うむ。いいでしょう。して2つ目は?」

 

「..........山城に学校。

.....寺子屋を作る権利を下さい」

 

「寺子屋?」

 

 

それは皆驚くべき事だった。土地には変わりないのだが、恩功に学校を要求するなど異例だからだ。

 

 

「現在、文字を読める者、算術を出来る者は商人や武家の上層のみです。足軽や農民や子供らは無知な者が多い.....」

 

「.....確かにそうです」

 

 

それどころか、庶民の娘のねねが算術が得意だったり、大名クラスの勝家が完全な無知だったり、変な差まで生まれているぐらいである。

 

 

「地位の低い者も学問を身につければ、必ずや織田家のさらなる発展に繋がるでしょう」

 

「む~.....確かにいい考えですが、

私だけでは判断出来ないです。

信奈様の許可が降りれば作ってもいいです」

 

「ありがとうございます」

 

 

そう言って天竜は十兵衛に頭を下げた。

そこで利三が、

 

 

「その.....以前はわしも悪かった。

何だかお前の事が少し分かった気がするよ」

 

「それは光栄です。共に十兵衛殿と明智家を支えましょう!」

 

 

その時、家臣達の眉がピクンッと反応する。

 

 

「十兵衛殿.....だと!?」

 

「やべ.....しまった」

 

「光秀様!!いつからこの男とそんな間柄になったのですか!!」

 

「はぁ!?私だって!

『十兵衛』と呼ぶのを許可してるのは信奈様と親族と相良先輩だけです!

この男に許した覚えはないです!」

 

「「「どういうことだ、勘解由小路ぃ!!!」」」

 

「.....勘弁してくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、天竜の為に用意された屋敷にて、左馬助と共にそこを訪れ、左馬助がそっと部屋の扉を閉めた直後。

 

 

「他に誰も来ないだろうな?」

 

「はい。今夜は私と天竜様だけです」

 

 

ほのかに頬を赤らめながらに答える左馬助。

 

 

「そうか、そうか...........くくくくく.....」

 

「天竜様?」

 

「くひひひ.....くひゅっ!くひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ.....!」

 

「..........!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然天竜が笑い転げたのだ。左馬助は複雑そうな表情でその光景を見る。

 

 

「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃはは.....

『お前の事が分かった気がする』

だとよ!馬っ鹿じゃね~の?

くひひひひひひひひひひ.....」

 

「はい.....」

 

「何もわかってねぇくせに、

堂々と言ってやがったよ。

思い出すだけで笑いが止まらねぇよ!!

くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

 

「はい.....」

 

「脳筋の勝家も長秀も馬鹿ばっかりだ!

すっかり騙されてやがる!

本当に馬鹿共だ!

くひひひひひひひひ.....」

 

「はい.....」

 

「『拳で語る』ってな言葉があってな。

始めにいざこざがあった方が仲良くなるらしい。案の定引っかかりやがったよ!

くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

 

「はい.....」

 

「どうしたハルゥ?

こんなに事が上手くいっているのだ。

お前も喜べ!」

 

「はい。ただ.....天竜様の家臣になれなかったのが心残りで.....」

 

「そうか。だが、それは仕方あるまい」

 

 

左馬助を含めた4人の弟子は天竜の家臣ではなく、十兵衛の家臣となった。それも明智家臣団を信用させる為の策略である。

 

 

「それだけでなく.....」

 

「我慢は今だけだ。全てが上手くいけば側近でも自由になるがいい」

 

「..........では正室は?」

 

 

左馬助がボソリと小声で呟く。

 

 

「ん?何か言ったか?」

 

「なんでもありません!!」

 

 

顔を真っ赤にする左馬助。

天竜は微妙な所で鈍感なのだ。

 

 

「これはまだ計画の序章だ。

これからゆっくりと計画を進めていくぞ!

ついて来るな?」

 

「はい!」

 

「お前は本当にいい子だな。

こんな時は『愛い奴だ』とでも言うのか?」

 

 

天竜が左馬助の頭を撫でながらに言い、左馬助はこれ以上ない程に赤くなる。

 

 

「織田はこれからもドンドン強くなる。

我らが無理矢理にでも強くするのだ。

...........そして、その強くなった織田を支配し日本を、いずれは世界を手に入れるはこの天竜だ!!」

 

「..........」

 

「そんな顔をするな。計画が順調に進めば血生臭い事にはならん。織田家臣団も残さず傘下に加えるさ」

 

「はい.....」

 

「よし、次の段階に移ろう。明日は良晴と会ってくる。護衛を頼むぞ?」

 

「分かりました天竜様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の事である。

 

 

「義兄弟ってどういうことだよ!」

 

 

良晴が叫ぶ。まぁ、これくらいの反応が返ってくる事は充分予想していた。

 

 

「落ち着け良晴。

何も面白半分で言ってるわけじゃない」

 

「じゃあなんだよ!」

 

「..........良晴。現在の織田家に3つの派閥があるのを知っているか?」

 

「派閥?」

 

「そうだ。万が一織田信奈が倒れた場合の3人の後継者だ」

 

「そんなの十兵衛ちゃんだろ?」

 

「それは信奈本人が言ったまで。十兵衛に力が無ければ他の後継者が下の者達によって擁立されるだろうよ」

 

「そんな馬鹿な.....」

 

「他人事じゃないぞ良晴。その派閥にお前も入ってるんだからな」

 

「は?」

 

「一つは明智派。四天王にも属し、信奈からの信頼も厚い。正統な後継者でもある。

二つ目は柴田派。織田家最強武将とうたわれた、柴田勝家だ。彼女の下に就こうとする者も多くいる。

そして、最後がお前、相良派だ。兵達からの信頼が最も厚く、信奈との関係もある。そして一番なのは流浪の身からここまで大出世したのが、身分の低い者達にとって憧れの的なんだろう」

 

「..........」

 

「十兵衛も勝家もそんな事は知らない。

ただ、家臣達にとってそれは重要な事だ。

ある時主君を騙して戦を無理矢理起こさせ、

後の『山崎の戦い』や『賤ヶ岳の戦い』に繋がるかもしれない」

 

 

そう、それはもしこの世界が史実通り進めば、良晴の手によって、十兵衛と勝家を殺さなければならない闇の未来である。

 

 

「それは.....」

 

「そうならない為の契りだ。

明智家臣である俺と相良家代表のお前が義兄弟になればそれだけで両家に繋がりが生まれるじゃないか」

 

「..........!」

 

 

良晴の顔色が変わる。

 

 

「あとは柴田家との繋がりだが.....

それはあとで考えよう。

いざとなれば俺と勝家が祝言を挙げるという選択もある」

 

「おい.....」

 

「冗談だ。それと、長秀と勝家の信頼を得る為にも『羽』と『柴』を得る事は必要だった。

史実でも秀吉は同じ事をやってる。

良晴、お前が羽柴秀吉になるんだ!」

 

「でも.....」

 

「この時代の者と違って苗字、名前が大事なのは分かる。

だから、羽柴良晴秀吉にする。

だが、『相良姓』は諦めてくれ!

俺も『勘解由小路姓』は捨てる。

頼む!」

 

 

そう言って天竜は良晴に頭を下げた。良晴はたまらず、天竜の頭を起こした。

 

 

「分かったよ先生。

先生がそこまでの覚悟なら、俺も男だ!

苗字なんて捨てたっていい!

それ以上に守らなければならない人達がいるからな!」

 

「くひっ.....」

 

 

天竜は思わず吹き出しそうになった所をなんとか堪えた。

 

 

「ありがとう。

でも、捨てるまではしなくてもいい。

もし、いつか未来に戻った時の為に放棄するだけでいい」

 

「うん。ありがとう先生!」

 

「先生はやめてくれ。義兄弟になるのにその呼び方はおかしいだろ?」

 

「えっ!?.....じゃあ、天竜兄さん?

.....なんかぎこち無いな~」

 

「呼び捨てでもいいぞ?

なんならお兄ちゃんでも(笑)」

 

「それはちょっと.....

普通に天竜さんでもいいかな?」

 

「まぁ、いいか。

では明日あたりに信奈に伝えなければならん。

一緒に近江に来てもらうぞ?」

 

「あぁ、いいぜ!

どうせなら長浜のねねにも会ってやってくれ。

俺の義兄になるんだったら、俺の義妹のねねの義兄にもなるんだからな」

 

「何っ!?ねねを義妹にしたのか!?

勿体無い。史実通りに正妻にすればいいのに」

 

「まだ8歳だぞ!?

流石に露理魂になるつもりはない!」

 

「ん?お前の幼女好きはクラスでも噂になってなかったか?」

 

「誰だ、噂流した奴!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若狭。

 

 

「ふう。恍惚の呪文って疲れるなぁ」

 

 

とある少年が兵達に呪文をかけている。

兵達は皆虚ろな目をしていた。

 

 

「噂ではまた勘解由小路が現れたなんて話もあるしね。本当にしつこいよなあの連中」

 

「..........」

 

「後継者は全員殺したはずなんだけど、まだ、生き残りがいたんだね。そいつも殺さないとね」

 

「..........」

 

「織田信奈の方は君に任せるよ。

何とかして彼女を殺してやってよ。

まさか、若狭全体が突然攻めてくるなんて思いもしないだろうしね」

 

「..........せやな」

 

 

そこで関西弁の少女は口を開く。その目もまた虚ろであった。

 

 

「織田信奈はんは殺さなあかん。

うちの為にも久脩はんの為にも.....」

 

 

その少女の瞳から一筋の涙が零れ落ちた。

 




エロ天竜という言葉から、思わず天津木村を思い出した。あると思います!
そして、あらかじめ謝っときます。上月城の戦いから
宇喜多直家、毛利を離反までの内容を次話入れる予定ですが、天竜は関わらないのでサラッと流します。
べっ.....別に書くのが面倒臭いからじゃないんだからね!
次回予告
天竜塾
~人斬り抜刀斎現る!!剣心じゃないよ(笑)~

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