あと1〜2話で戦国に戻る予定。
天竜の得物、鬼殺しの名刀
『童子切り』
源頼光がかの酒呑童子を斬った際の妖刀。
引き換え、
左馬助の得物、人間斬りの魔刀。
『鬼包丁』
茨木童子が愛用したという殺人道具。
身の丈はあるであろうこの包丁で、数百人の人間を料理してきたという巨大包丁。
因縁深い2つの武器。
それらを用いる2人。
天竜と左馬助。
魔王の仔、羽柴天竜秀長。
吸血鬼、明智左馬助光春。
師匠と弟子、主君と家臣という間柄であった2人は、その思い違いから憎み合う形となってしまった。
「覚悟は出来たか?」
織部を凪に任せた天竜が言う。
「殺される覚悟ですか?」
「分かってんじゃねぇか」
「天竜様.....さんこそ覚悟できてます?」
「何っ?」
「心中する覚悟ですよ♡」
ルビーのような真紅の瞳で、邪悪な表情を浮かべ言う。
これは天竜の受け入れだ。
「お断りだ。
お前1人で勝手に死ね!」
天竜もまた同様の表情をする。
彼も真紅の瞳をしていた。
「残念ですね。
こうなったら無理心中です♡」
「おいおい。心中は重罪だぞ?
生き残った俺が裁かれるだろうが」
「大丈夫です。
確実に殺してあげます♡」
「その前に息の根を止めてやる」
そう言って天竜は構えを取る。
「お手柔らかに♡」
左馬助もまた構えを取る。
「de yùdemata huìou.」
(地獄でまた会おう)
「xǐnde♡」
(喜んで)
2人は一斉に前に出た。
織部が霞みかけた眼で
その状況を見ていた。
2人の剣士はお互い同時に突き進み、
中央で一瞬だけ混じあった後、
お互いの左腕を斬り飛ばして、
再び離れた。
天竜、左馬助それぞれの左腕が無残に散らばる。
「くっ.....!?」
「あはっ♡」
ダメージは同じはずなのに、左馬助は快感に満ちた表情である。
「だぁっ!!」
天竜の左腕が、まるで逆再生されたかのように元に戻る。
「あははははは!!♡」
一方左馬助は、トカゲの尾の如く左腕を生やした。
「全く.....この決着はいつつくのだろうな?」
「この世の終わりまで戦い続けるのも乙なものですね♡」
「お断りだ!」
天竜が再び突き進む。
「朧月光流奥義、卯月!」
天竜からマシンガンのような突きが繰り出される。
「うらららららららららららあぁ!!」
「あははははははははははは!!♡」
左馬助はそれを余裕で受ける。
だが、その中でとある技の準備をする。
「鹿島新当流奥義.....」
「!?」
「一つ太刀!」
「睦月!!」
左馬助の技が相殺された。
「よくあれを返しましたね」
「同じ技は食わない主義なんでね」
危うく明での義輝との真剣勝負の時の失敗を繰り返す所だった。だが、左馬助の出した技の直後に天竜が技の変更をしたのだ。
左馬助が放った絶対技の『一つの太刀』を、蓮撃の『卯月』から回転技の『睦月』に変更し、身体を軸に一回転し、その遠心力で強力な一つの太刀を弾き返したのだ。
「ふぅ.....」
どうっすっかなぁ〜。
全く隙が無い上に、下手に攻めるとすぐに返されて命取り.....
「ただの試合でコレなら、
超ワクワクすんのになぁ」
ワクワクとは別の感情が芽生え始めている。それは怒りでも恨みでもない、何とも言えぬ感じ。
「あはっ!あっはははははは!!♡」
一方、病んだ彼女は実に愉快な表情を浮かべている。
「んじゃ、もう一変やってみっか!」
天竜自身、術の反動で動けなかった期間が暫くあった。辛うじて今は動けるが、今日も実際を言えば正直怠かった。
そんな状態で茨木童子と化した左馬助を倒せるか微妙なのだ。
いや、茨木童子とも言い難い。
天竜は確かにこの童子切りで左馬助の左腕を斬ったが、彼女は何ともないかのように、腕を生やせて見せた。
鬼族に属す者はその上下に関わらず、灰にしてきた童子切り。腕を斬った所で、再生不可にさせる程の能力を持っていたはずなのに、左馬助には全く効いていなかった。
先程、吸血鬼と命名したばかりだが、
やはり、鬼以上の何か変質しているのかもしれない。
「如月!!」
剛の剣で左馬助の鬼包丁を粉々に粉砕する。だが、直ぐに新しい包丁を精製し、斬りかかってくる。
「くっ.....!?」
「無駄無駄無駄ですわ!!」
「神無月!!」
向かってくる左馬助に対し、流れるように刀を置いていき、そのまま彼女の胴体を斬る。
確かな手応え。
だが.......
「痛いじゃないですか」
「!!?」
確実に胴を斬ったにも関わらず、その部分がグチュグチュとうねり、粘土のように接着されている。
「化物め!」
やはりだ。童子切りが効いていない。
「もっと.....もっとぉ♡
私を虐めてくださいぃ♡」
左馬助は顔を紅潮させ、興奮している。
「文月!!」
一閃。それは純粋な突き。
ただ恐しいまでに鋭く、
見分けられぬ程疾く、
防ぎ切れぬ程強い一閃。
童子切りは確実に左馬助の胸部。
心臓に突き刺した。
「やったか!?」
だが.....
「嬉しいです♡こんなににも強くぶつかってくれるなんて♡」
「!?」
馬鹿な!?
心臓を刺したんだぞ!?
「はっ!」
左馬助が手持ち包丁2つを、天竜の両肩に突き刺す。
「がっ!?」
両肩から鮮血が噴き出した。
「あぁ.....懐かしい♡
天竜さんに刺される感覚ぅ!♡」
明らかに心臓を刺されている左馬助の方がダメージがあるはずなのに、天竜の肩の傷の方が手痛い状態なのだ。
「知っていましたか織部さん!
私はだいぶ前に天竜さんに愛された事があるのですよ!あの時は鉄の棒ではなく、ちゃんと肉の棒を頂きましたがね!!」
「くっ.....!!」
わざと織部に聞こえるように大声で言う。
「左馬助ぇ!!!」
天竜は刀を左馬助に刺したまま、回転させ刃を上に向けさせ、一気に引き上げる。
「うらあぁぁぁ!!!!」
刀は真上に斬り裂き、左馬助の胸から頭にかけてを真っ二つにさせる。
天竜は思わず目を瞑った。
敵対しているとはいえ、ずっと仲間だと思っていた女子の無残な姿は見るに耐えなかったのだ。
ところが.....
「酷いじゃないですか天竜さん。
真っ二つですよぉ?♡」
「うっ!?」
頭部が半分に割れているにも関わらず、まだ平気な様子である。
「不死者(アンデッド)かよ......」
そうとしか考えられない。
心臓を貫いても、
頭を割っても死なない。
こいつはゾンビだ。
その時、左馬助が異様な再生の仕方をした。別れたそれぞれの斬り口から血液が意志を持っているかのように飛び出て、中央で結合。割れた頭部をそれぞれで引き寄せ、やがて接着した。
『マグラ!?』
突然、天竜の脳内で声が響く。
「つっ.....ツクヨミ!?」
するとツクヨミは姿を具現化し、天竜の背後に立つ。
『朧よ!奴は悪魔憑きだぞ!』
「なっ!?」
ツクヨミが思わぬ事を言う。
『魔人マグラ.....
又の名を血の神マグラ』
「血の神!?」
『我の部下の1人の悪魔だ。その特殊な体質から「不死身のマグラ」とも呼ばれておる。
奴は身体が全て血で精製された化物だ。斬ろうと潰そうと撃とうと無意味。液体の身体には何も効かぬ。我が唯一勝てぬと悟った悪魔だ』
「何だと!?」
『見た目に惑わされるな!
あれは血液の集合体だ!
貴様の時代の言葉を借りるなら、
ゼリー状と言えば分かるだろう』
「何だって左馬助に!?」
『マグラは魔界にいたはずだ!
奴が自力で現世に来る事も、
あの小娘が奴を呼ぶ事も不可能!
誰かだ!誰かが手引きしたのだ!
魔族の者の誰かが!!』
そんな最中、左馬助が動きを見せる。
「話は終わりましたぁ?
あまりに放置されると疼いてしまいます♡」
左馬助がよがっていた。
「左馬助が壊れた理由って.....
まさかあれは左馬助じゃなくて.....!」
『いや、あれにマグラの意識は感じられぬ。どうゆうわけか、あの小娘に完全に支配されている。
紛れもなく明智左馬助よう。
ただ、マグラの邪気があの小娘の悪心を引き出していると見える』
「退屈」
そう一言呟いた彼女が急に前に出てきた。
「くっ.....!?」
マグラの話を聞かされ、動揺してしまった天竜が一歩遅れた。
『鬼光閃舞!』
まるで眼前に太陽が現れたかのような閃光が天竜を襲う。光に目を潰され、慌てて両手で覆う。
だが、その直後天竜の背中に数本の手持ち包丁が突き刺さった。
「がっ!?」
「あはっ♡」
天竜はそのままうつ伏せに倒れた。
背中の包丁は煙のように消え、代わりに左馬助が背中に覆い被さるように乗ってくる。
「あぁ、天竜さんの背中.....
血だらけといえど......
いえ、血だらけだからこその魅力がある。
なるほど吸血鬼。
天竜さんの血も美味しく感じられる♡」
左馬助が背中から流れ出る血液を舐めながら言う。
「くっ.....くそ!!」
必死に這い出ようと試みた天竜だが、左馬助の怪力で押さえつけられ、身動きが取れない。
「天竜さんの血と肉.....
全部食べちゃえば、
私とまた一つになれるかも♡」
そうして天竜の首筋に歯を立てた。
「ガブリ♡」
「あぐあぁ!!!?」
首筋の皮と肉を貪られた。
「あぐぐぐぐぐぐ.....!!!」
「なんたる甘美!!
これ程のものを今まで食した事があるだろうか!!」
左馬助はまた天竜の肉を食った。
これでは吸血鬼というより、
喰鬼(グール)だ。
「があああぁぁぁ!!!」
「ガーリガリ♡」
「この外道がぁぁ!!」
とある人物が刀を持って斬りかかってきた。そしてそのまま左馬助の首をはねる。
「あらら?」
空中に跳んだ左馬助の首。
だがその直後、首と胴体両方から血液がそれぞれ飛び出て、繋ぎ合い、また首を接着させてしまう。
「おやおや。忍の凪さん」
日本刀で左馬助を斬ったのは凪であった。
「その名は親しき身内のみに許した名だ!今や敵対した貴様に呼ばれる筋合いはない!」
「なら、敵用の名前を教えて下さる?
貴方とは余り関わりがないので、
全然知らないの♡」
半分馬鹿にしたような言い方で問う。
「ならよく耳に刻み込んで、
死んでゆけ!!
私は天竜軍隠密機動隊隊長!
元伊賀忍者にして元人斬り!
石川五右衛門!!
反逆者明智左馬助!!
その命貰い受ける!!」
「あぁ、石川五右衛門ね?
はいはい。
ただ、人間は私には役不足なのでこっちね」
「何っ!?」
左馬助はその近隣の地に向けて手を伸ばす。
『鬼光冥舞』
するとそこに謎の魔方陣が出現する。
「ある意味、私と天竜さんにはとても印象深い奴ですね。貴方程度ならこれで充分!」
そこから現れた者を見て、天竜はギョッとする。
「朝倉義景!?」
天竜が以前、若狭の地で冥界に強制送還させた鬼人。元越前国当主である。
「天竜さんが送った鬼ですがぁ〜
この際、生き返らせちゃいました♡
肉体ごとあっちに行ってたみたいなので、ある意味帰還ですがね」
「うおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」
義景の雄叫びが鳴り響く。
「くっ.....!?」
凪は刀を構える。
彼女もまた天竜に拾われた身。
その恩と愛の為に命を懸ける。
「くっ.....凪!!」
「だーめ♡
天竜さんは私がお相手♡」
そう言って、天竜の傷口に包丁を突き立てる。
「あぐあぁぁぁ!!!」
「天竜様!!」
凪が叫びを挙げる天竜のもとに駆け寄ろうとした。ところがそこに義景が立ちはだかる。
『あの小娘に強力するのは癪だが、私を冥界なんぞに堕とした羽柴天竜を陥れられるのなら、今だけの辛抱。
いずれはあの憎っくき織田信奈もこの手で殺さねばならぬ』
「あら?貴様喋れたのか。
言葉が分かるのなら退け。
私は今から明智左馬助を斬らねばならぬ』
『断ると言えば?』
「死骸が2つになるだけだ!」
凪が義景に斬りかかる。
義景もまた、棍棒のような巨大な得物で立ち向かった。
俺は何をしているのだろう?
十兵衛の仇。
孫市の仇。嘉隆の仇。
小次郎の仇。
武蔵の仇。織部の仇。
多くの仲間を傷つけ、
小次郎の命まで奪った、
大悪党明智左馬助光春。
奴を討伐しようと意気込み、
かかって行ったにも関わらず、
俺は今、奴に肉を貪られている。
こんな事があってたまるかよ.....
「うぉぉぉ!!!」
天竜は全身に力を入れ、奴を背中に乗せたまま起き上がる。左馬助は離れる事なく、天竜にしがみ付いたままその血肉を啜っている。
天竜は刀を逆手に持つ。
「いい加減にくたばれ!!」
己の腹に刀の突き刺した。
刀はそのまま背中に突き抜け、
後ろの左馬助にまで刺さる。
勢いで左馬助は天竜から離れた。
「うがっ................
..........................あはっ♡
あはははははははははははは!!!♡」
それでもダメージは0。
むしろ天竜に大きな損害ができた。
「はぁ.....はぁ.....はぁ.....」
天竜はゆっくりと腹から刀を抜き、霞む目で左馬助を睨みつける。
「ふぅ.....ふぅ.....ふぅ.....」
息もだいぶ荒い。
血以外に臓器のような肉片もボタボタと落ちている。
ああ.....
こんなんで勝てんのか?
なんかやる気まで抜けてきちまった。
「もう.....いいや」
その直後、天竜は両手を斬り飛ばされた。
1年前。
長良川の下流。
その少女は倒れていた。
戦に負け、従姉妹ともはぐれ、
落武者同然となった彼女は行き倒れにあっていた。
「おい兜武将が倒れてるぞ!」
「首を義龍様に持っていけば、
褒美を貰えるべ!」
落武者狩りだ。奴らは弱った敗残兵や死者の首を狙うハゲタカだ。
こんな奴らに殺されるというのか?
「おい!こいつ姫武将だ!」
「殺すよか、いい使い道があるべ!」
あぁ、殺されようが生かされようが、私はもう人形同然なのか.....
「何をしている貴様ら」
別の声がした。
「お前こそ何だ!?」
「美濃兵じゃねぇべ!」
一体何だ?
「俺はただの浪人だ。
そこの娘を買いたい」
思わぬ事を言い出す。
「あん?」
「金ぐらいはくれてやる」
すると彼は何やら金の入った袋を美濃兵に渡す。
「この娘の着物に入っている家紋は桔梗。それも上質な着物だ。この兜の形からも考え、身分の高い人物だろう」
それを聞いて、美濃兵らの態度が変わった。
「なんと!
尚更この娘を渡すわけにはいかねぇな!
しかも、お前を殺せば残りの所持金が全額手に入る!」
「やっちまおうべ兄貴!」
2人が刀を抜く。
「くひゃっ.....」
浪人が何やら怪しげな笑い方をしたかと思えば、その先は一瞬だった。
斬りかかった2人の美濃兵を即座に斬り返したのだ。
「ぐえっ!?」
「ぎゃぼっ!?」
まるで流れるように、
すれ違いざまに一刀両断。
無駄もなく、完璧に。
美しく、冷酷に.....
「ふっくくくくくくく.....
くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!
私欲は身を滅ぼすのだ!!」
身震いがした。
この邪悪さだけに射て殺されそうな。
生まれついての殺人鬼のような。
この男に.....
「大丈夫か?」
その男が私に手を差し伸ばした。
先程とは打って変わって、
天人のような表情で。
「あっ.....貴方は?」
恐る恐る聞いてみた。
「俺は勘解由小路天竜。
浪人にして、しがない陰陽師だよ」
陰陽師!?
貴族紛いの職の者があんな剣の使い方をするのか!?
その瞬間、身震いがした。
先程までの畏怖の念ではなく、
武者震い。
この男を見てみたい。
この男がどのような歴史を刻むのか。
どのような生き様を見せるのか。
一番近くで.....
「私は明智左馬助光春。
勘解由小路殿、私を仕官してほしい。
この通り私は帰る家を失った身だ。
どんな事だってする。
側にいせさせてほしい」
これは彼女きっての、本心からの願い。
「俺は別に武士でもなんでもないからな〜。
なら弟子にでもなるか?
生徒見るのは好きだし。
勉学や剣術ぐらいなら教えられるぞ?」
「ありがとうございます。
勘解由小路殿」
「それと、名前で呼んじゃくれねえか?
なんか距離感じるし、言いにくいだろ」
「では、天竜殿.....いえ、天竜様」
「くくっ.....懐かしいな」
「え?」
「いや、こっちの話だ」
こうして私は天竜様の最初の弟子となった。これから彼が起こす事を夢に見ながら.....
1年後、彼は安土城を落とした。
「あぁ、今では懐かしき思い出。
思えば、あの時から私と天竜さんの運命は決まっていたのかも」
両腕を失い、仰向けに倒れた天竜の胸に左馬助が横になっている。
「さぁ、天竜さん。
.....一緒になりましょう♡
..........................永遠に」
拍子抜けした天竜の唇に左馬助は口付けをした。
「お断りだ」
次の瞬間、左馬助の胴体が爆発するかのように弾けた。
「!?」
首から下が粉々になり、辺り一面に散乱する。
「くっ.....ふくくくくくくくくくく.....」
これを引き起こした人物は1人しかいない。
『くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!』
いつも通りの高笑い。
だがそれは、何かが違った。
天竜は立ち上がる。左馬助の頭部をボールのように両手で持ちながら.....
いつの間にか両腕は復活し、その両手で左馬助の胴体をバラバラに引き裂いたのだ。
「貴方.....誰ですか?」
左馬助がそう言った。
彼女は何かを感じ取った。
天竜ともツクヨミとも違う何かを.....
『俺は俺だよ。
可愛い可愛い私のドラキュリーナ』
「?」
その直後、
天竜は左馬助の頭部を握り潰した。
ところが、その肉片は血液と共に空中を移動し、辺りに散った他の肉片も吸収し、一つの塊となった。それがまた左馬助の形をとる。
「天竜さんの身体なのに、
天竜さんじゃない。
話に聞いていた月読命とも違う。
貴方は何者です?」
『言っただろう?
私は紛れもない天竜。
勘解由小路天竜だ』
羽柴ではなく、何故か旧姓を名乗る。
「どうでもいいけど、
早く天竜さんを返して下さい。
貴方と話す事はないです」
左馬助はこの天竜を別人として捉える。
『相変わらず喧しい。
貴様は餓鬼の頃からそうなのだな』
天竜が妙な言い方をする。
『まぁ、よい。
お陰で貴様を、
もう一度殺せる』
「!?」
謎の台詞と共に、
天竜は素手で左馬助の胸を貫いた。
誰も分からないだろうけど「ブレイド」ネタ。
マグラは基本ナノマシンに似てるけど、
錬金術じゃなくて魔法なので、
ずっと性能がいいです。
次回予告
輪廻転生
〜Hasta la vista , baby!〜