天翔ける龍の伝記   作:瀧龍騎

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長くなりそうだったので、急遽3部作にしました。
少年天竜と十兵衛の絡みをお楽しみ下さい!


第二十一話 少年天竜の冒険(中編)

出航から5日。日本海上にて、九鬼水軍の船があった。

 

 

「いや~。初めての国外渡航が前将軍を連れ戻しに行くとは.....」

 

 

嘉隆が呟く。ついこの間、村上水軍との激闘にて大敗北し、現在は軍備の整え中だったのだが、

「天竜の頼みとあれば断るわけにはいかない!」......という勢いだけで出てしまったのだ。

正確には.....

 

 

「船を出して下さい!

僕のために!!」

 

「はっ.....はひっ!!」

 

 

天竜は嘉隆の手を握りながら言う。

 

10歳年下の美形。

嘉隆にとって、どストライクの天竜に言われてしまえば、従う他なかったのだ。

 

 

「くすくすくす。信奈ちゃんよりも先に渡航か。何だか悪い気がするのう」

 

 

あろうことか一益までついて来てしまった。

 

 

「にしても、てんてんは会うたびに面白い提案をしてくるのう。今回は何をくれるのじゃ?残念ながら前の「金正日」は割れてしまってのう.....」

 

「えぇと.....急いでいたから持ち合わせが.....後日、日を改めてでいいかな?」

 

「まぁ、しょうがないのう」

 

 

納得してくれた。

 

 

「どうしたですか天竜?」

 

 

十兵衛に問われる。若天竜は一益の顔をまじまじと見つめていたのだ。

 

 

「滝川一益って.....アマテラスに似てるなぁって.....」

 

「!!?」

 

 

アマテラスは天竜が17歳の時既に会っていたのだ。

 

 

「確かに.....言われてみれば似てますですね」

 

「まさか子孫だったりしてね」

 

「まさか!それでは、姫巫女様と同族という事になるではないですか!」

 

 

よもや双子の姉妹とは、気づくはずもなかった。

 

 

 

 

「ところであとどれくらいで着くのかな?そろそろ?」

 

「え?天候の影響から考えても、あと1月ぐらいじゃないかと」

 

「....................え?」

 

 

嘉隆の答えに、天竜は息が詰まる。そのうち多量の汗がダラダラと流れ落ちる。

 

 

「どっ.....どうしたですか天竜?」

 

「ごめん」

 

「は?」

 

「計算ミスった.....」

 

「三栖?」

 

「船が帆船だって事を計算に入れるの忘れてた」

 

「ふぇっ!?」

 

「未来の船はずっと高性能だから3日ぐらいで行けるんだよ.....まさか1ヶ月かかるとは.....」

 

「え?え?え!?

どうするですか!?」

 

「3日で渡明して、2~3日で説得してすぐ帰ってくる予定だったのに.....往復で2ヶ月だと、その間に毛利に攻められる.....」

 

「肝心なところで何してるですか!?」

 

「これは完全に僕の責任。ごめん。

これが若さゆえの過ちというものなのか.....」

 

「訳わからない事言ってないで何とかしなさいですぅ!!」

 

 

大人天竜は、二手三手どころか四手五手先をも読む異才であったが、この若天竜は二手先が限界だったようだ。

 

 

「嘉隆さん!急いで日本に戻って!計画を練り直す!」

 

「えぇ!?やっと風に乗ったのに.....

今引き返すと返って時間かかるよ!?」

 

「そんなぁ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか十兵衛に裏切られるなんて.....」

 

 

安土城にて信奈は落胆していた。

十兵衛が天竜と共に船で旅立ったという情報が入ってきたのだ。

凪という忍に天竜の暗殺を依頼して以来、ろくな情報が入って来なかったが、

「十兵衛と駆け落ちした」なんて情報が入ってくれば、落胆もしたくなるだろう。

 

 

「もしや.....凪殿はとうに返り討ちに合っているのでは?」

 

「そんなはずはないわ。だとすれば、少なからず私にも情報が入ってくるわ!」

 

「では、どうゆう事なのでしょう.....」

 

「シロが思っている以上に警戒しているか、慎重に事を進めているか.....」

 

「姫さま」

 

「何よ万千代?」

 

「いい加減その呼び方をお止め下さい。『シロ』という呼び方は貴方と羽柴天竜の友好の証として作られたもの.....それが無くなった今、その呼び方はもはや無意味です」

 

 

信奈の脳内に「安土城の変」のあの光景が映る。

 

 

 

「私と共に天下を目指そうではありませんか」

 

 

 

それが彼の言った言葉。あの時は確かに2人の間には信頼があった..........そう思い込んでいた。

 

 

「そうね。もう『シロ』とは呼ばない」

 

「一度凪殿とも連絡をとった方がよいかもしれませんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰と連絡を取るって?」

 

「!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは..........良晴だった。

 

 

「申し訳ありません信奈様」

 

 

隣には凪までいた。

 

 

「..........話したの?」

 

「はい」

 

 

彼女がそう答えた瞬間、信奈は刀に手をかける。

 

 

「信奈落ち着け!」

 

 

だが、間に良晴が立ちふさがる。

 

 

「分かってる.....分かってるから.....」

 

 

そう目で訴える。良晴は天竜より信奈を選んだ。そうゆうことである。

 

 

「よ.....しは.....る」

 

 

急に信奈から力が抜け落ちる。

 

 

「ごめんなさい!ごめんなさい!

私.....私.....」

 

 

良晴は彼女を抱き寄せる。

 

 

「分かってるから.....

今度は俺にも相談してくれ.....

個人で背負い込まないでくれ.....」

 

「.....うん」

 

 

その光景を見て、長秀は己の行いを後悔する。半分は私情も入れ、容易に天竜の暗殺に賛成してしまった己の愚かさを.....

 

 

「信奈は悪くない.....

悪いのは天竜さんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こうなったら.....」

 

 

天竜は左中指にはめていた例の指輪を手に取る。

 

 

「どうするですか?」

 

「暴君竜に教えられたんだ.....

困った時には、この指輪に助けをこえって.....」

 

「指輪に.....助けを?」

 

「まぁ、危機的状況には変わらないからね。

............助けて下さい!!」

 

 

すると、急に突然指輪から煙がもくもくと発生する。

 

 

「まっ.....ままままさか!?

またあの月読命が!?」

 

 

十兵衛が危機を感知するのも束の間、煙は次第に人の形に変化してゆく。

 

 

 

だが、そのシルエットは思ったより小さくて.....

 

 

『呼ばれて飛び出てジャジャジャーン!!』

 

「アマテラス姐さん!?」

 

「天照大御神様!?」

 

 

天竜も十兵衛も驚く。まさかこっちの神様が出てくるとは.....

 

 

『このネタには無反応でありんすか.....』

 

「アマテラス姐さん!船を明まで送り届けて下さい!お願いです」

 

『ん~!可~愛いっ!!

大人天竜と違って子供天竜は素直じゃ!

オバちゃん頑張るでありんす!』

 

 

アマテラスが指をパチンッと弾く。

その瞬間、嘉隆の船は海上から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?..........ここは?」

 

 

目の前に陸があった。

 

 

「明に.....着いた?」

 

 

港に突然現れた日本の軍船に驚き、中国っぽい服装の民衆が続々と集まってくる。

 

 

『特別に足利義輝のいる場所の近くの港まで動かしてやった。感謝するかや?』

 

「ありがとうアマテラス姐さん!

お陰で助かった!!」

 

 

天竜はアマテラスの手を取って満面の笑みで言う。

 

 

『ん~!森水青蘭が惚れるのもわかる気がするのう!』

 

「神様は何でもありですね.....」

 

 

十兵衛が呆れた声をだした。

どうやらアマテラスは若い頃の天竜に「姐さん」と呼ばせていたらしい。

 

 

「姫さまが.....2人!?」

 

 

一方、驚いていたのは嘉隆を含めた船員達だ。もちろん一益も.....

一益とアマテラスの大きな違いは頭の鹿角ぐらいであろう。

 

 

「だっ.....誰なのじゃ!?

何故、姫と同じ顔なのじゃ!?」

 

『そちとわっちが同じ面影の理由は、そちが一番分かっているのでは?』

 

 

一益には、これと似たような経験があった。茶人津田宗及に誘われ、茶屋へ訪れたところ、そこに旅籠を持った近衛前久が現れ、姫巫女も.....

自らが姫巫女の双子の妹だという事を教えられたばかりだったのだ。

 

 

「まさか.....姫巫女.....」

 

『ブッブー!ハズレ~!』

 

「なっ!?」

 

『わっちの名は天照大御神。

姫巫女以上にやんごとなき、

全知全能の太陽神でありんす』

 

 

一益は唖然とする。アマテラスは姫巫女の祖先の神。という事は自分の......

 

 

「姫の.....ご先祖様!?」

 

『ピンポ~ン♬

ひいひいひいひいひい.....(以下省略)

おばあちゃんであるぞ!

そちの姉は即歳かのう?

ついでに、天ちゃんの

大大大大大大大大大大大大.....(以下省略)

叔母ちゃんである!』

 

「姐さん.....それ今関係ない」

 

『そうかや?』

 

「まさか本当に子孫だっとは.....

ってゆうか、一益殿と姫巫女様が姉妹!?」

 

 

さっきまでの会話が事実であり、しかも一益の出世に混乱するばかりの十兵衛である。

 

 

「姉妹ねぇ..........なるほど」

 

 

一方、天竜は何やら邪悪な表情をする。

 

 

「取り敢えず僕と十兵衛は義輝の所に行ってくる。嘉隆さん達は船見ててね!行くよ十兵衛!」

 

「あっ!待ちなさいです天竜!」

 

 

嘉隆は返事をする余裕もなかった。2人はさっさと船を降り、明に上陸してしまう。

アマテラスは船に残り、一益らと睨み合っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか本当に子孫だったとは.....」

 

 

未だに驚きを隠せない十兵衛である。

 

 

「天竜は知ってた....わけないですよね。

一益殿とも初対面ですし.....

天照大御神様とはいつお会いに?」

 

「確か.....高校編入の時に知り合った女子生徒と行けるとまで進んで、さぁ、初体験だ!って時に、突然正体が神様ってバラされてビビったのが初めてかな?」

 

「は?」

 

「ごめん忘れて」

 

 

この話は後日するとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、十兵衛。君って髪結える?」

 

 

天竜はその長いざんばら髪を弄りながら言う。

 

 

「普段はゴムで縛ってんだけど、この時代にはないからね。だから紐で縛りたいんだけど、自分では上手く出来なくてね。やってくれる?」

 

「よく分からないですがいいですよ。そこに座って下さい」

 

 

十兵衛は偶然見つけた切り株を指す。天竜は悠々とそこに座り込み、髪を十兵衛を任せる。

 

 

「不思議な色の髪ですね.....

前まで.....大人の貴方は黒髪だったのに.....」

 

「あぁ.....それは多分白髪染めを使ったんだろうね。僕は茶髪の方が地毛なんだよ。よく染めてるのと誤解されて先コウに怒鳴られてたよ。

.....まぁ、その度にボコってやったけどね。

あははは」

 

「私の分かる言い方をしやがれです」

 

「生まれつき茶髪ってこと」

 

「はぁ.....」

 

 

十兵衛は櫛で彼の髪を解きながら束ねてゆく。

 

 

「貴方は本当に不思議な方ですね.....

何度も何度も死ぬ死ぬ詐欺で私を驚かし、かと思えば急に若返り.....

誰をも寄せ付けぬ程強いかとおもったら、ゴキブリが苦手だったり.....

直様手の届かぬ所に行ってしまうかと思えば、近所の川で溺れてたり.....」

 

「ちょっ!?僕が泳げない事何で知ってるのさ!?」

 

「大人の貴方が突然足を滑らせ、川に転落したんです。水深は首までくる所でしたが、足が付かないような深さでもないですから、ほっといてたのですけど、暫くしたら沈んでいって.....」

 

「僕、大人になっても泳げないのかよ!?」

 

 

今になってカナヅチを本気で克服しようと決意する天竜であった。

 

 

「はい。できましたです!」

 

「おぉ!綺麗に結えてるじゃん!」

 

 

十兵衛が整えた侍ヘアーにはしゃぐ天竜。

その時、

 

 

「天竜!」

 

「十兵衛!?」

 

 

十兵衛がいきなり彼の背中に抱きつく。

 

 

「ちょっと!?当たって.....」

 

「貴方が好きです!!」

 

「!?」

 

 

十兵衛から突然の告白。思えば、天竜と十兵衛が2人きりになるのは久方ぶりなのだ。

 

 

「切ないんです!貴方をどれだけ好いても、貴方が私をほとんど覚えてないのが.....」

 

 

決意はした。したはず.....

だが、そう簡単に思い人を忘れられる訳がない。十兵衛は戦っているのだ。自分自身と.....

 

 

「お願いです.....少しだけこのままで.....」

 

「十兵衛.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「稍微好嗎?」

 

「「.....!?」」

 

 

突然明の人に話しかけられる。

十兵衛は慌てて天竜から離れる。

 

 

「你們是是不是日本人?」

 

「あうあうあうあう~!!

漢文は読めるですが、話せないですぅ!!」

 

 

混乱真っ最中の十兵衛だ。

 

 

「是。我們從日本來了」

 

 

なんと天竜が流暢な中国語で返す。

 

 

「還是想的那樣!」

 

「おっ、通じた」

 

「明の言葉が分かるですか!?」

 

「うん。学校の先コウが、世界に出てくなら英語と中国語は完璧にしとけって」

 

 

学校や習い事で英会話で子供に力と金を注ぎ込む大人が多いが、実戦で役に立たないのが関の山であろう。それではドブに金を捨てているようなものだ。天竜のように全てを利用し尽くすようなタイプは希少価値かもしれない。

 

 

「何て言ったですか?」

 

「別に.....『日本人か?』って聞かれたから『日本人だ』って答えただけ.....」

 

「よく分かりますですね.....」

 

 

むしろ日本語があまりに難しい為に、日本人は英語や中国語などの言語が覚え辛いと言える。

 

 

「是為了幹什麼來的嗎?

(何しに来たのですか?)」

 

「在尋找某人物

(ある人物を探している)」

 

「那個位的名字是什麼?

(そのお方の名前は?)」

 

「足利義輝」

 

「得!?義輝!?」

 

「是不是知道!?

(知ってるのか!?)」

 

「即使知道什麼都.....我是他的廚師

(知ってるも何も.....私は彼の料理人です)」

 

「料理人!?」

 

「你們呢?

(貴方達は?)」

 

「啊.....是義輝的朋友喲

(ええと.....義輝の友達だよ)」

 

「朋友!?ナラ話早イアルヨ!」

 

「日本語喋れたのかよ!?」

 

「ゴメンアル。デモ義輝ニ言ワレテ、信用デキナイ相手ニハ、日本語ヲ使ウナト.....」

 

「警戒してるですね.....」

 

 

十兵衛が口を開く。

 

 

「松永久秀に襲われて国外逃亡までする男なんでしょ?それなりに対処してるだろうね」

 

「手間ヲカケサセチャッテゴメンネ。スグニ案内スルアルヨ」

 

「ちょっと待って。君の名前は?」

 

「私ハ、黄黄(ファンファン)。ヨロシク!」

 

「羽柴天竜秀長だ.....」

 

「明智十兵衛光秀です.....」

 

 

何故かトントン拍子に事が進み、少し不安が残る2人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「義輝サーン!友達連レテ来タアルヨー!」

 

「むっ?」

 

 

噂通り、義輝は今日も剣の修行をしていた。

 

 

「誰かねその2人は?」

 

「!!?知ラナイ人アルカ!?」

 

「あぁ」

 

「ウゥ~!!騙サレタアル~!!」

 

「すまん黄黄。悪気はなかった」

 

 

天竜は泣き叫ぶ黄黄を余所に義輝に近づく。

 

 

「誰かな君は?日本からの刺客か?」

 

「違うよ。あんたの命なんて興味ない」

 

「では何者だ」

 

「純粋な話だよ..........あんたを連れ戻しに来た」

 

「.....................私はもう将軍をする気はない」

 

「安心して。将軍ならもう別の人が就いてるよ」

 

「なら何故!?」

 

「あんたの妹の義昭が新しい将軍を蹴落とそうと戦を始めたんだよ」

 

「!?」

 

「これはさぁ~.....応仁の乱と被ってるとは思わない?」

 

「..........」

 

「前将軍としてじゃなくて1人の兄としてさ、あんた何やってんの?」

 

「...........」

 

「妹が戦で多くの血を流させてるのに、あんたは明で知らんぷりかよ。

それじゃあ、応仁の乱を放置した愚将軍足利義政とも被ってると思わない?」

 

「先代を馬鹿にするでない!」

 

「日本馬鹿にしてんのはどっちだ!!」

 

 

天竜が突然声を張り上げ、義輝に掴みかかる。

 

 

「あんたが逃げたせいで歴史が狂いまくってんだよ!!松永久秀に襲われたのは同情するが.....

何故日本に残り、戦わなかった!!」

 

「..........」

 

「あんたは残るべきだった!!

例えそれが身を滅ぼす事になろうとも、それでも国を命がけでまとめ上げるのが、上に立つ者の宿命じゃないのか!?

己の仕事を全部放置して、明でぬくぬくやってるようなてめぇなんか、ただの腰抜けだ!!!」

 

「天竜!!」

 

 

十兵衛が慌てて天竜を引き離す。

前とわいえ、将軍にここまで文句を言えるのは、天竜ぐらいだろう。

 

 

「全ては過去の話.....今はどうする事も出来ない」

 

「過去だからいいんだ!!」

 

「!?」

 

「それは過去に流せる!大事なのは現在、未来だ!」

 

「未来?」

 

「まだ変えられる!あんただけが変えられる!今ならあんたの罪も許される!」

 

「..........」

 

「足利義輝!!」

 

「くくくくく.....

将軍家に生まれて以来、私にここまで訴える男子(おのこ)は初めてだ。面白い」

 

「なら!」

 

「男子なら言葉より行動で示すものだ。君の決意を見せて貰うよ。それ次第で私の決意を見せてやろう!」

 

「決意?」

 

「これよう」

 

 

義輝は腰に刺した刀を示す。

 

 

「あははっ!なるほどね!」

 

 

天竜も刀を構える。

 

 

「ちょっと.....天竜!?」

 

「大丈夫。剣豪将軍を説得するに当たって真剣勝負になるのは予想してたし、負ける自信もないし!」

 

 

勝てる自信ではなく、負ける自信なのだ。自身過剰な点は昔からのようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐ~~~!!

 

 

 

 

 

 

 

将軍から思いもよらぬ音がする。

 

 

「おや?腹の虫が鳴ったようだ。

今日はやめておこう。黄黄、夕食を作ってくれ」

 

「アイサ!」

 

「僕ら急いでんだけど.....」

 

「安心せよ。急がば回れだ」

 

 

意味が違うような.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、天竜はまだ彼の底しれぬ実力に気付けずにいた.....

 




原作には、名前は出るけど登場しない人物足利義輝。
剣豪なら熱そうだけど将軍だからそうでもなさそうな、キャラ付けの難しいお人。
今のところ、特徴は全くありませんが、少しずつ作っていこうと思います。
次回予告
少年天竜の冒険(後編)
~朧月光流~

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