天翔ける龍の伝記   作:瀧龍騎

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場繋ぎのために番外編パート2です。


番外編2

4話   仮面夫婦

 

播磨、姫路城。

 

 

「やっ.....やめなさい天竜!!

..........あふんっ!?」

 

「いいではありませんか十兵衛殿。

私もこうして中国攻めに加われたのですから」

 

 

中国攻めに加われないように信奈が天竜に与えた仕事。それが「紀伊攻め」。だが、天竜は同盟や和解などを駆使し、戦闘は0で紀伊を手に入れるという大挙を成し遂げたのだ。流石の信奈も中国攻め参加を認めなければならず、それを許可した。

 

 

が、現在はそれが調停中なのだ。天竜軍の詳しい配置を設定する為だとか.....

まぁ、どれだけ下方に配置されようが、「敵は毛利」というかたがきさえあれば、どうにでもなるのだが.....

ちなみに、天竜はその調停期間があまりに長く暇なので、お忍びで遊びに来てるのだ。

 

 

「だからといって、こんな所を誰かに見られたら.....」

 

「大丈夫ですよ。人払いはしましたし、良晴は今三井城の方に偵察に行ってますしね」

 

「だからってこんな.....」

 

 

天竜は今、十兵衛に後ろから抱きついていたのだ。これぞ「あすなろ抱き」!!

女性にとって、されるのは超恥ずかしいけど、1度はされてみたい伝説の行為NO.1である。

しかも、天竜は+で十兵衛の首筋に口付けをしているのだ!!

エロい!!

エロ過ぎるっ!!!

 

 

「止めるです天竜!!」

 

「そうですね~。健やかなる時も病める時もこうしていたいですね~」

 

「違~~~う!!!」

 

 

普段なら、どのような屈強な男に襲われても、簡単に投げ飛ばせるが、天竜だけはそうもいかない。

 

 

「分かってますです!!

貴方は私に術をかけて強制的に金縛りにしてるのですね!!」

 

「ふ~ん」

 

 

すると天竜は自分の右手中指から例の指輪を外す。

 

 

「なっ!?」

 

「これで私は術を使えません」

 

 

すると天竜は指輪を十兵衛の胸元に入れてしまった。

 

 

「ひゃんっ!?」

 

「いけないいけない。失礼しました」

 

 

なんと天竜は十兵衛の胸元に手を伸ばし始めた。

 

 

「やっ!やややややややや止めるです!!!

止めないとこっ.....殺しますよ!!!」

 

「それは怖い怖い。でも貴方にされるのならそれもまた一興ですね」

 

「猫を被るのは止めるです!!」

 

「好きだ十兵衛.....」

 

「えっ.....」

 

 

急に真面目になる天竜。

 

 

「好きだ.....」

 

「そっそそそ!そんな事言ったって!

私は騙されません!!」

 

 

十兵衛はようやく天竜の腕を振りほどく。

 

 

「知ってますよ!!

貴方がそこら中で女性を口説いてる事を!!」

 

「『好き』という言葉を口にしたのは君だけだ」

 

「えっ.....」

 

「愛してます.....これを言うのも君だけだ」

 

「そんな.....貴方は何も変わってないです天竜」

 

「変わりましたとも.....」

 

 

数日前、天竜は十兵衛によって説教をされたばかりなのだ。

 

 

「君が光の先祖とか.....顔が瓜二つとか.....

そんな事なんてどうでもよくなるぐらい君が好きになってしまった。愛してしまった.....」

 

「そんな.....」

 

 

こんな台詞.....良晴にも言われた事ないだろう。

 

 

「結婚して下さい」

 

「そんな!?私と貴方は主君と家臣.....」

 

「愛さえあれば、そんな物関係ない!!」

 

「ふぇっ!?」

 

 

天竜は高らかに宣言する。

 

 

「俺たちはお互いに愛しあっている.....

それでいいじゃないか!!」

 

「いつ!?(怒)

いつ私が貴方を愛したんですか!!!」

 

「結婚を前提に友達になろうと告白してくれたじゃあないか!」

 

「意味合いが全く持って違います!!」

 

 

十兵衛は顔を真っ赤にして叫ぶ。だが、天竜はヒートアップするばかりで、勢いは収まらない。

 

 

「結婚しよう十兵衛!」

 

「イヤです!!」

 

「じゃあ祝言を挙げよう!」

 

「イヤです!!」

 

「じゃあ輿入れをしよう!」

 

「イヤで.....全部同じじゃないですか!!」

 

 

普段は十兵衛が良晴に対して行う求婚だ。自分がされて初めて良晴の気持ちがわかった気がする。

 

 

「南蛮寺の教会でマリッジしよう!

そしてハネムーンは蝦夷に行こう!!

ついでにそこに移住して、静かな田舎で農園でも開こうじゃないか!!」

 

 

意外とハッキリした人生計画である。

 

 

「南蛮語で誤魔化すなです!!

それに農民になるつもりはないです!!」

 

 

当然断られた。

 

 

「うぅ.....では、あの夜の事は忘れたのか?」

 

 

 

 

「....................は?」

 

 

 

 

 

「あぁ。思えば、あの日程甘美な夜はなかったなぁ~」

 

「ちょちょちょ!!!

ちょっと待つです!!

あの夜ってなんの事ですか!!!?」

 

「あんなに声を挙げて.....それがなんとも.....恥ずかしながら俺まで声をだしてしまった」

 

「えっ.........................

 

 

 

えええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」

 

 

十兵衛は脳内でそれらしい日を探し出す。

 

 

「とっ.....十日前の.....

明智家臣団との飲み会の時ですか!!?」

 

「おぉ!!覚えてたか!!」

 

 

あの時は確か.....酔った利三達に勧められて、つい飲み過ぎてしまって.....

 

 

「その後.....覚えてないです」

 

「その後は素敵な時間だったなぁ」

 

「まっ.....まさか!?

酔ってたのをいい事に無理矢理!?」

 

「違うぞ?

十兵衛が俺の手を引っ張って、いきなり誘ったんじゃないか」

 

「えぇぇぇ!!!?私から!!!?」

 

「本格的に頭やら腰やら振って凄かった.....」

 

「やぁ~~~~~!!!

やめるですぅ~~~~~!!!」

 

「利三達の目の前で凄いはっちゃけてたよな」

 

「うえぇぇぇ!!?

目の前でやったんですか!!!?」

 

「全て出し切った後は拍手喝采だったよ」

 

「どうなってるですか、

明智家臣団は~~~~!!!!」

 

 

十兵衛の脳内がピンク色で一杯になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、十兵衛って意外と歌上手いんだな」

 

「....................は?」

 

「酔って煽てられて、俺を引っ張って歌に誘って.....利三達の目の前で共に熱唱したじゃないか」

 

「.....う..........た.....?」

 

 

十兵衛は今までとんでもない事を想像していたと知り、顔がこの上ない程真っ赤になる。

 

 

「おや?何と勘違いをしてたんだ?」

 

 

天竜がニヤリとしながら聞いてくる。

この男.....知っててわざとやったな!

 

 

「信じられないです!!

この助平天竜!!!

えぇと.....えぇと.....

バーカ!バーカ!!」

 

 

そのまま十兵衛は半泣きで出て行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....チョロいな」

 

 

天竜はドカッと座り込み、煙管を取り出して火をつける。

 

 

『煙草吸うのかや?』

 

「結婚して止めたが、最近また恋しくなった」

 

『ふ~ん』

 

 

天竜は突然現れた何者かと話す。

 

 

『そちも罪作りだのう。野望の為だけに雌を口説き、好いてもおらぬ雌に愛を語るか』

 

「黙ってろ死神!」

 

『死神とは失礼だのう?

もうちっとましな言い方は出来ないのかえ?』

 

「なら何と呼べばいい?

太陽神アメン・ラー?

魔神アモン?」

 

『この国の呼び方があるであろうに』

 

「.....アマテラス」

 

 

今までは声だけだった彼女は、ここで姿を見せる。彼女の見た目は10~13歳程の少女。滝川一益や姫巫女を連想させるが、彼女の頭には鹿のような角が生えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5話、仮の神

 

「変なものだ。国によって大きく扱われ方が違う神など.....

日本では全知全能の神。

エジプトでは支配を放棄した神。

そして、欧州では.....」

 

『天界に勝負を挑む堕天使か?』

 

「あぁ。言っておくが俺はあんたら神々の争いに参加するつもりはないからな」

 

『大丈夫大丈夫。天ちゃんが参加したとて1分と生き残れぬでありんす』

 

「天ちゃん言うな!」

 

 

この天照大御神を名乗る少女は天竜にしか見えていないようである。

 

 

「んで、あいつは何処にいる?」

 

『月かのう?あそこはこの星よりよっぽど力の回復が早いのよう』

 

「呑気だな」

 

『ほんの100年じっとしていればいいのに.....2~30年で我慢出来ずに降りてしまうからのう。そんな中途半端な体力で威張るから、愚弟のスサノオなんかにやられるのじゃ』

 

「そりゃあ、八本首の龍なんかに化ければ討たれるさ」

 

『自分でやらなければ気が済まぬのよう。300年前も意地を張って自ら神風を吹かしおった』

 

「そういえば文句を言っていたな。日本で自分は姉と同等の地位なのに知名度は天と地の差だと」

 

『昔ならまだしも、「月読命」に詳しい者は今時おぬからのう』

 

「『黒天乃衣ノ龍神』の名は最近有名だぞ?俺のお陰でな」

 

『黒き龍の子孫は白き鬼か。変なもんじゃ』

 

「そう言うな。俺も気づいたら白夜叉と呼ばれてた」

 

『ふ~ん。奴の名は欧州の方が有名であろうぞ』

 

「確かにな.....」

 

『奴の直系の子孫であるそちこそ「魔王」の名が相応しいのでは?』

 

「ふん。藤原氏さえいなければ俺の一族が帝を名乗っていたかもな」

 

『三輪明神なんぞ架空の神を作り出して、賀茂家を皇族から弾きおった。奴らこそ罰当たりじゃのう』

 

「歴史の講師をしてた時にも思ったが、日本は藤原氏に支配されてたみたいで気に食わなかったな。その点、平氏とかが出てきた時はワクワクしたもんだ」

 

『分かる!!それ分かるぞえ!!』

 

 

なんかウキウキしてる神様。

 

 

『わっちも藤原は嫌いでありんす。

おのが私欲の為にわっちの名を無断に使い、子孫達を支配し、日本を支配し、日本を壊しおった』

 

「とわいえ、俺の一族が帝を名乗れば歴史が大きく変わってたかもしれないぞ?亜細亜ぐらいなら占領できたかも.....」

 

『奴ならやりかねぬのう』

 

 

邪悪な笑みを浮かべる二人が怪しげな会話をする。

 

 

「姫巫女は俺らの計画を知っているのか?」

 

『知るべきものだけ知り、必要のないものは内緒のままよう』

 

「まぁ、馬鹿正直に全部言えないしな。近衛の目も厳しいし.....」

 

『本当!!あの藤原氏マジでウザい!!』

 

「おい。現代語になってるぞ?」

 

『構わんじゃろ。わっちもそちも平成の者じゃ』

 

「心配するな。あの男は近々死ぬさ」

 

『それは楽しみじゃのう』

 

 

そこで天竜は一息ついて、口からふぅーと、ヤニの煙を吐き出した。

 

 

「一つ聞いていいかアマテラス」

 

『なんじゃ?』

 

 

彼女は天竜の頭上を煙に同調しながら舞っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何故良晴を連れて来た?」

 

 

『..........』

 

 

 

 

 

 

 

 

この物語の根底そのものを問いかける天竜。

 

 

「あと青蘭もだ。貴様の野望を叶えるだけなら俺だけで、2人は必要ないだろう?」

 

『..........』

 

 

だが、彼女は黙ったままで。

 

 

「今までずっとはぐらかされて来たが、今日は答えてもらうぞ?」

 

 

 

 

『..........そちは、ほんに2人が来た理由に気付かぬのかえ』

 

「何っ?」

 

 

アマテラスは天竜の手から煙管を奪い己の口で咥える。

 

 

『はっきり言うぞ?

今のお前じゃ日の本の天下統一は無理じゃ』

 

「..........」

 

 

彼女はプカプカと浮きながら空に煙を吐き出した。

 

 

『憎しみのままに動くだけのそちにはな?』

 

「なにが言いたい.....」

 

 

彼女はこの上ないといった侮辱の表情で天竜に言う。

 

 

『死んだ女の亡霊に取り憑かれた哀れな餓鬼にだれがついていくのじゃ?』

 

 

そうして煙を天竜に吹きかけた。

 

 

「この駄神めっ!!」

 

 

天竜は刀を抜いて彼女の首を斬り飛ばした。

 

 

「貴様如きが.....貴様如きが.....」

 

『如きって.....わっちは神じゃよ?』

 

 

首を失っているにもかかわらず、平気な様子のアマテラス。

 

 

「ちっ!.....神を殺すはずが神の手先になるとは.....」

 

『そちの妻子を死に追いやったのはわっちではありんせん。ほんに殺したいならゼウスを殺すがよい』

 

「出来ないから貴様に頼んでいるんだ」

 

 

彼女は首の斬り口で器用に煙を吸いながら言う。

 

 

『わっちが作り直した黄泉に地獄はない。坊主共の言う「悪人正機」は本物じゃ。善も悪も洗われ、全てが平等になる。死んだら皆、仏よう』

 

「それが本当なら理想郷だな。まだ行く気にはならんが.....」

 

『だが、ゼウス達のは違う。悪は死んでも悪。地獄において、一生涯苦しむ事になる。そちの妻はそこに閉じ込められておる』

 

「光は悪人じゃない」

 

『悪かどうかを判断するのは人間じゃあない。神の仕事じゃ』

 

「結婚式か?」

 

『うむ。そこで奴らと繋がりを持った』

 

「ちっ!」

 

『安心せい。ゼウスが死ねば、そちの妻も解放されるわ』

 

「それまでは貴様の傀儡でいろというわけか.....」

 

『そう言うでない。傀儡の代償は大きいぞ?』

 

「それが天下か.....」

 

『うむ。その時が来るまで、せいぜいあの2人から真の愛を学ぶがよい』

 

「真の愛か.....」

 

 

天竜にはイマイチ彼女の言う事が理解出来ない。

 

 

『う~んと。生首、生首』

 

「眼鏡、眼鏡じゃないんだから.....」

 

 

己の生首を拾い上げ、斬り口につけるアマテラス。すると、最初から何もなかったが如く、接着してしまった。

 

 

『うんじゃ煙管は返すよ。

よい統一事業を!アディオス!!』

 

「何処の神だよまったく.....」

 

 

それからアマテラスは天竜の視界から消え失せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「独り言?」

 

 

この2人のやり取りを凪という名の少女はひっそりと見ていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6話   酒盛り

 

5月12日、安土城。

今日は信奈の誕生日。というわけで、誕生日会を開く事になった。誰かが「戦争中に不謹慎だ」と言ったが、誰かが「余裕は誰にでも必要だぜ」と言ったので、各地から家臣達が舞い戻る事となった。

 

 

「みんな有難う!今宵だけは戦もわすれて楽しんでちょうだい!!」

 

「「「乾杯!!!」」」

 

 

信奈の号令で誕生日会が豪勢に始まった。家臣達が各地から持参した名産品を料理にしたので、その会はより豪華なものとなった。主な出席者は信奈、長秀、勝家、犬千代、一益、良晴、半兵衛、官兵衛、ねね、秀俊、十兵衛、信澄、お市、美濃三人衆、天竜、三成などが参加したのだった。

 

 

「やっぱり越前雑煮が1番美味いはずだよ!」

 

「あら?若狭の磯料理の方が美味しいですわよ?」

 

 

勝家と長秀が言う。何時の間にか何処の料理が1番美味いかという流れになっていた。

 

 

「播磨の料理の方があっさりしてて上手いぜ?」

 

 

良晴も参加。

 

 

「僕はういろうが1番だと思うよ!」

 

「勘十郎.....それは料理って言いませんよ?」

 

 

奥さんに突っ込まれる信澄。

 

 

「くすくすくす.....」

 

 

そんな光景を見ていた三成が笑う。

 

 

「どうしたの三成?貴方はどの料理が美味しいと思う?」

 

 

信奈に問われた三成はみんなの前でこう答えた。

 

 

「塩です」

 

「「「塩っ!?」」」

 

 

それを聞くと、周りの者が一斉に笑い出した。

 

 

「あははははは!!

塩が美味いわけないじゃない!!」

 

「塩なんてしょっぱいだけでつまらないじゃないか!!」

 

 

信奈と勝家が豪勢に否定する。

 

 

「この話どっかで.....」

 

 

良晴はどこか引っかかる様子。

 

 

「分かりました.....」

 

 

そう言うと、スタスタと三成は部屋を出て、何処かに行ってしまう。しばらくすると、料理人達と共に戻って来た。

 

 

「私程度の者が浅知恵を言い、申し訳ありませんでした。今料理を確認しに行った所、どれも素晴らしい料理ばかりのようです」

 

 

さっきの自身たっぷりの時とは打って変わって謙虚である。

 

 

「気にしてないわ。さぁ、みんな食べましょう!」

 

 

そうして皆が一斉に箸をつけ、口にする。

すると、

 

 

「うぅっ.....何これ!?」

 

「食べれたもんじゃないですぅ.....」

 

「味がないですぞ!?」

 

 

全員の料理が不味かったのだ。中には吐き出してしまう者まで.....天竜だけは予想できており、箸すら持っていない。

 

 

「皆様が塩はしょっぱいだけのつまらないものと言われたので、料理人さんに頼んで、塩抜きにして貰いました。どうぞ召し上がれ」

 

 

完全にドヤ顔の三成である。

 

 

「やられたね」

 

「くすんくすん。美味しくないです」

 

 

なんと両兵衛すらも出し抜いたのだ。

 

 

「味を生かすも殺すも塩加減一つです」

 

 

この三成の知恵に皆が驚愕したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その中で.....

 

 

「美味しいなのです」

 

「シン.....お前、味覚崩壊してんじゃないのか?」

 

 

周りを気にせず、味なし料理をムシャムシャ食べる秀俊がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ誕生日といえばケーキが欲しいよな」

 

「「「けえき?」」」

 

 

中盤になって良晴が突然言い出した。もちろん天竜以外の全員が聞き返す。

 

 

「未来じゃあ、めでたい時に食べるんだよ。誕生日とかクリスマスとか結婚式とか.....」

 

 

「結婚式」というワードに信奈と十兵衛がビクリと反応した。良晴との結婚が主な妄想だったが、十兵衛に至っては天竜との結婚式も同時に現れてしまった為に、頭を悩ませる。

 

 

「ねねも食べたいですぞ!!」

 

「秀俊も食べたいなのです」

 

「犬千代も.....」

 

 

当然、おチビ連中の釘付けになった。

 

 

「はっはっは~!ういろう大臣の僕としては是非食べておきたいな~」

 

 

もう父親になる信澄にも釘付けになった。

 

 

「うえぇぇ.....天竜さん、どうにかして」

 

「考えなしに言ったのか.....」

 

 

天竜は大きめの机と皿を用意させ、目の前で召喚術を披露する。

 

 

「「「わあぁぁぁ!!!」」」

 

「ウェディングケーキだ。この人数なら丁度いいだろ」

 

「すまねえ天竜さん」

 

 

まるで塔のようなケーキに皆が釘付けになる。やはり女子受けはいいようだ。そして、ついでにシャンパンも用意する。

 

 

「意外と便利ですね.....」

 

 

同じ術師として少し嫉妬する半兵衛。

 

 

「じゃあ改めてハッピーバースデー!!」

 

 

良晴が号令をかける。

 

 

「はっ.....半被のばあすで??」

 

「シム。『誕生日おめでとう』という意味だね」

 

 

官兵衛の和訳でようやく理解する信奈であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねね、苺いるか?」

 

「わぁぁ!!ありがとうでござる!」

 

「ねねちゃんだけズルいな.....」

 

「おぅ、シン。あ~~ん」

 

「あ~~~ん♫」

 

 

大口を開け、満面の笑みで天竜のケーキを受け取る秀俊である。

 

 

「妹取られちゃうんじゃない良晴?」

 

「う~ん。俺と比べて天竜さんは家族サービス積極的だからなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3時間後。原因はシャンパンだった。

 

 

「あひゃひゃひゃひゃ~!

良晴ぅ~この薄情もの~!」

 

 

泥酔信奈。

 

 

「先輩と天竜.....私はどちらを選べばぁ~!!」

 

 

泥酔十兵衛。

 

 

「うわぁぁぁぁん!!

信澄がおっぱい触った~!!」

 

「うえぇぇぇ!!?

なんの話だい!!?」

 

「この浮気野郎~!!」

 

 

泥酔勝家、泥酔お市。

 

 

「酷いなこりゃ.....」

 

 

少量しか飲んでいなかった良晴は平常心を保っている。美濃三人衆に至っては腹踊りをしてる始末だ。

 

 

「ヨシ兄様が3人いますぞ!」

 

「猿の物の怪は退治なのです!!」

 

 

2人の妹まで泥酔している。

 

 

「あら~ん?天竜どの~は酔いが足りてないみたい

ですね~♡」

 

「その.....勘弁して下さい!!」

 

 

天竜に至っては酔っ払った長秀に絡まれている。普段は悪い雰囲気なだけに新鮮である。

 

 

「というか長秀さん、着物もはだけてエロいな.....」

 

「よっ.....良晴!!

鼻伸ばしてねぇで助けろ!!

.................がふっ!?」

 

「飲んで飲んで飲んで~♫」

 

 

無理矢理シャンパンの瓶を天竜の口に突っ込む長秀である。そうして.....

 

 

「や...........」

 

「や?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やらせろ~~~!!!」

 

「にゃ~ん♡」

 

 

長秀を押し倒す泥酔天竜である。

 

 

「止すんだ天竜さん!!この小説は18禁じゃないんだぞ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くすんくすん。どうすればいいんでしょう?」

 

「シム。少なくとも明日までこの酒盛りは続くだろうね」

 

「どさくさに紛れて天竜様の唇を奪えないかなぁ」

 

 

秀才の3人は危機を察知して別室に避難していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。きつ過ぎる二日酔いと記憶障害に苦しめられるメンバーだったとさ。

 

めでだし。めでたし。

 




新キャラのアマテラス。原作のイメージを壊しかねませんが、同人小説という事で登場させました。言ってしまえば、良晴達をタイムスリップさせた張本人です。しかも、欧州の神々との戦争も混ぜられてます。イマイチ想像つかないかもしれませんが、別作品を同時に読んでるつもりでお楽しみ下さい。
因みに作中のゼウスですが、キリスト教のデウスとギリシャ神話のゼウスはややこしいので統一させました。

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