第十二話どうぞ!
第十二話 ヒカリ
十兵衛によって、現在進行形で首を締められている、天竜であった。
「おのれ天竜!既婚者でありながら私に求婚してくるなど万死に値するです!!」
「待ってくれ十兵衛.....ギブギブ!」
「呼び捨てにしやがるなです!!」
十兵衛はさらに天竜の首を締める。
「おのれおのれおのれおのれおのれおのれ!!
これは侮辱ですか!そうやって私が慌て蓋めくのを楽しそうに眺めていたいのですか!
その...........ちょっとは期待してしまっていた私はいったいなんなんですか!」
天竜は首にかけられている十兵衛の両手をガシッと掴む。
「いい加減に.....しろぉ!!」
「きゃあ!!」
天竜は無理矢理十兵衛を引き離した。
「その様子じゃ、良晴から中途半端に聞いて飛んできたみてぇだな?.....ったく、あのボケ猿め。口軽すぎるぞ!」
「主君にタメ口すんなです!!」
「うるせぇ!!人の過去ほじくり返しやがって!!」
「くっ.....」
十兵衛はほんの少し恐れ慄いた。天竜がいつも猫を被っている事は知っていた。だからこそ、今の彼が本性を出している事。本気で怒っている事を感じ取れたのだ。
「だぁ~!!もぉ~!!くせぇ芝居なんて終わりだ!!十兵衛!!俺と婚姻し、子を作れ!!」
「だから何でそうなるですか!!自分の妻に申し訳ないと思わないですか!!」
「ヒカリはとうに死んだ!!」
「え.....」
十兵衛はそこで言葉が詰まってしまう。
「やはり良晴からは詳しく気かなかったみてぇだな。俺には確かにヒカリという妻がいた!3年も前にな!」
「...........何で亡くなったのですか?」
「癌だ」
「がん?」
「この時代じゃまだ知らねぇか。未来では不治の病って呼ばれてる」
「そんな恐しい病が、まだ知られてないですか.....」
「色々種類があるが、ヒカリは『子宮頸癌』だった」
「詳しく聞かせてほしいです」
十兵衛の目は真剣そのものだった。
「ちっ.....貴様に教えるような事ではない!」
天竜はすでに芝居をとうに止めていた。完全に素である。
「関係ない事はないです!どのような因果関係から私が求婚される事になるですか!」
「.....................」
天竜はそのまま黙り込んでしまった。
「いいだろう。だが、話すのは明日だ。今日はお引取り願いたい」
「..........明日話すんですね?ではとりあえずは退散しますです」
十兵衛は何故今日でないのかと抗議をしようかとも思ったが止めた。それが原因で臍を曲げられても仕方ないからだ。
十兵衛が去った後、天竜は荒れていた。そこらの襖や障子をバキバキと蹴り破ったのだ。
「くそっ!.....くそっ!.....」
そうして一通り暴れた後、懐からあるものを取り出す。未来から持参したとあるペンダントだ。
「ちっ!..........だから女は嫌いだ」
天竜は中に貼ってある写真を見ながら言う。
摂津、有岡城。
現在の天竜が待機している城である。史実であれば、本来は荒木村重が籠城するはずだった城だが、天竜はこの城を中心に対若狭戦線を組んでいる。どのような皮肉だろうか。
「私が本日より、羽柴秀長様の与力となった、古田佐介重然であります!」
「ふ~ん.....」
あれ?機嫌悪い?というのが佐介の第一印象だった。
「天竜様とは対若狭戦において、多大にお世話になります!これからどうぞよろしくお願いします!」
「あっそ.....」
「あぅ.....」
完全に上の空なので、言葉に詰まってしまう。
「佐介だっけ?梅千代じゃなかった?」
「佐介が本名です!」
「ふ~ん.....」
実はこの2人、初対面ではない。「安土城の変」の際に1度顔を合わせているのだ。
その後、何度か佐介は天竜へご機嫌取りの言葉をかわすが、天竜は対した反応を示さなかった。
帰りたい.....と佐介が思っていた所。
「佐介、茶を立ててみろ」
「は?お茶ですか?」
「そうだ。其方なら得意だろう」
何故知っているのだ?
そうして2人は有岡城の茶室に赴く事になる。
「そう身構えるな。気楽にやっていい」
緊張しながら、至極綺麗な姿勢で
茶を立てていた佐介に天竜が指摘する。
「.....天竜様はもっと姿勢を正して下さい」
寝っころがっている、だらしない格好の天竜だった。
茶道を知らないのか?
「粗茶ですが.....」
佐介は天竜に立てたお茶を出す。
「茶葉はうちのだぞ?」
「あっ!すみません!」
顔を真っ赤にする佐介。それをよそに起き上がって茶碗を手に取る天竜。
「香りはいいな..........ん?」
その茶碗はなんと茶柱が立っていたのだ。
「これはすごい!!茶柱が立つなんて、幸運の前兆に違いありません!この度の若狭攻めは絶対に成功しますね!」
佐介が大げさに盛り立てた。
「茶柱の下半分を潰し、熱湯で温めると、立つ茶柱が出来るそうだ」
ギクッと反応し、明後日の方向を見る佐介。
「くくくくく.....面白い女子だ。信奈様が小姓に選んだ理由も分かる気がする」
カァ~ッと顔を赤らめる佐介。
「わざわざ俺のご機嫌取りをする必要はない。
サルじゃあるまいしな。
心配せんでも其方は重要な役割として活用するさ」
「活用?」
「与力でなく、正式に俺の家臣にならんか?」
「ふぇっ!?」
「今すぐでは無理だが、其方はいずれ家老にしても惜しくない逸材だぞ?」
「そっ.....そんな」
古田佐介の本来の職は使番。足軽と比べてしまえば高い地位ではあるが、他の武将らと比べればだいぶ低い。
元小姓であった長秀や犬千代は、知識や戦闘力が高かった為に武将や家老にまで引き上げられ、各地で活躍している。
だが、古田佐介にはそのような力はなかった。
戦では特に武勇はなく、知力も高くはない。
同僚には、よくズル賢いなどと言われていたが、それだけではこの乱世では出世出来ない。
かろうじて信奈から気に入られ、この羽柴秀長の与力にまで出世できたが、正直な所佐介には不満しかなかった。
たかが使番。たかが小姓。たかが与力。
同じ与力職の犬千代とは天と地の差。
その私が大名の家臣になれる?
羽柴秀長とて、明智光秀の家臣。
だが、その階級はすでに大名の位だ。
私が家老になれる?
小姓人生だけでは決してなれなかったであろうその位に?
現在の織田家で、最も勢いある羽柴家に?
同じ羽柴姓の秀吉は明智光秀共々、毛利攻めで対した活躍はできていない。
対してこの秀長は、丹波平定。斎藤龍興軍の鎮圧。歩く大仏の撃退。土御門軍の撃退。本猫寺勢・雑賀衆の鎮圧。
ここ最近で次々に功績をあげている。
その羽柴秀長が私を認めている?
「そんな.....私は戦でも弱いし、頭もそんなに.....」
「その謙虚さも気に入った。其方には器がある!」
「器?」
「其方の情報はとうに調べている。美濃の頃から織田家に仕え、使番として数々の敵方との交渉に務めたとか!」
「数々とまでは.....」
「其方は知らぬだろうから言うが、若狭攻めが終われば、其方を信奈様に返還せねばならぬのだ」
「えっ!?そうなんですか!?」
「だが、それが惜しいのだ。其方程の逸材を小姓に戻してしまうなど.....」
「..........私がまた小姓に」
折角与力という地位を得たのに、また縛られてしまう.....
「そして、其方の友好力も良い。口先だけで次々に人々を惹きつけるその力も、私に似ている」
「.....という事は今の秀長様も口先で私を口説いているのですか?」
そこで天竜は吹き出す。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!
これは1枚取られた!さすがは古田佐介!」
「器は.....私にはありません」
「あるぞ?」
「いえ、貴方にあります!」
「俺にか?」
「ハッキリと見えました!貴方には天下人の器があります!」
「よせよせ。信奈様を差し置いて天下人など.....」
「貴方も信奈様への忠誠心はないのでしょう?」
「..........」
「私もです.....織田信奈は天下に近付く力はあっても、天下人になる事は出来ないでしょう。思想はあっても器はありません!」
「その根拠は?」
「分かりません.....ですが、人を見る目だけはあるつもりです!」
「ほほう」
「『魔王』の名が消えない限り、敵は倒せても、この日の本を統一させるのは無理です」
「そうか.....お前は反信奈派だったか.....では、もし俺が完全に信奈側だったなら、お前は裏切り者として斬らねばならぬぞ?」
「それはありません」
「ほう?」
佐介の目は自信に満ちていた。
「貴方以上に天下人に相応しい人はいないからです。それだけ、私は見る目があります!」
「ふくくくくく.....」
俺の心情まで読み取るとは、やはり面白いな。
「ふひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!
いいだろう!なってやる!天下人に!
その為の布石はもう打ってある!」
「布石とは?」
天竜は手をパンパンと鳴らすと、茶室の奥から現れたのは.....
「せっ.....せせせ千利休殿!!?」
「..........」
「えっ!?利休殿も秀長様派なんですか!?」
「利休は俺の意見にえらく賛成してくれてな。信奈を殺さない事を条件に協力してくれた」
「..........(ふんふん)」
「織田信奈は好きな子だけど、あのままだといつか暗殺される。だから天下人にはさせたくない?.....そういう考えもあるんですね」
「俺と利休の意見は一致してるが、佐介。其方はどうだ?」
「どうだとは?」
天竜は真剣な顔つきである。
「天下を.....日の本だけで済ませる気か?上杉のような保守派か?」
「..........私もできれば日本の伝統は壊したくありません」
「ほう」
「ですが、保守のみに頼れば日の本はいつか滅びます。ですから、世界の文化も少しは取り入れてもいいのではないでしょうか?」
「うむ。過度の取り入れは乗っ取られを意味するからな。やはり其方は俺が見込んだ通りの女子だ」
「いえ、それ程でも.....」
佐介の頬がほのかに赤く染まる。そこで丁度、利休が立てたお茶.....ではなく葡萄酒が天竜に出された。
「...........(ふんふん)」
「え?秀長様は大人だけど私はまだ未成年だから飲めないって?失礼ですね。焼酎程度のお酒なら窘めます!」
ふ~っと利休は溜息をついて、天竜に佐介にも葡萄酒を回すよう指示する。
「言っておくが、佐介。初めての赤ワインは少々きついぞ?」
「垢和印?大丈夫ですよ!これくらいなら...........うぇっ!!酸っぱい!!」
「言わん凝っちゃない」
利休の下に戻ってきた葡萄酒に、利休は西洋風のまじないをかける。すると、葡萄酒が金粉に変わってしまった。
「ほう。錬金術だな。では、俺も.....」
天竜は懐から鉄扇を取り出し、金粉入りの茶碗に被せる。そして、今度は東洋風のまじないをかける。すると金粉は、金製の簪に変化してしまった。
「...........(ふ~んふん)」
「お褒めの言葉、有難く頂戴するよ」
天竜は簪をそれぞれ利休と佐介に付けてやる。
「わぁ~!素敵です!」
「...........(ポッ)」
利休も顔を赤らめた。その後は3人でお茶会ならぬ葡萄酒会を楽しんだという。
「それから佐介。俺の事は天竜と呼ぶがいい。秀長と呼ぶ奴は俺の身内にはいないぞ?」
「あっ.....はい!宜しくお願いします天竜様!」
帰り際、佐介のいない所で天竜は巻物を取り出し、そこに記されていた、とある2人の名前に縦線を引いて消した。
「千利休、古田織部、調略完了」
そこには、他にも多くの名前が記されてあった。
翌日、有岡城。
天守に移動し、天竜と十兵衛以外は誰であろうと寄せ付けないよう命令した。
「さぁ。話してもらうです!ちゃんと1日待ちましたです!」
天竜は渋々な顔つきではあったが、話す気であった。良晴にすら打ち明けてないその事実を.....
「十兵衛は子供の作り方を知っているか?」
「とっ.....突然なんですか!?」
もう、猫を被る気もないようである。
「そっ.....そんなの!結婚して、同じ布団に入り、共に口付けをしながら、天井染みを数えていれば、コウノトリが運んで来てくれるのでしょう?」
色々混じっているが、間違いである。
「では、子宮は知らないか.....」
「知ってますとも!赤ん坊を連れてきたコウノトリは母親の子宮に赤ん坊をねじ込むんですよね?」
どのような学び方をすればそうなる?
「兎も角、ヒカリが子宮頸癌だった事は昨日伝えたよな?」
「覚えていますです」
「実は死んだのは、ヒカリだけじゃない。もう1人いたんだ」
「それは.....つまり.....」
「ヒカリは身籠っていた」
3年半前。良晴には1年半前の事。
「結婚式は教会で挙げたい?お前、キリシタンだっけ?」
「..........クリスチャンの事?」
「そうとも言うな」
「竜ちゃんの日本史酔いは相変わらずね。キリシタンなんて、今時誰も言わないわよ?」
「それで、お前はクリスチャンなのか?」
「違うけど.....私の家も竜ちゃんの家も古い家の生まれじゃない?普通はお寺や神社であげるでしょ?」
「まぁ、お義父さんもお義母さんもそれを勧めてたしな」
「だから反骨心が湧いたのかな?『逆に西洋風に結婚してやる~』ってね」
「くくくくく.....お前らしいよ」
「着物は今後も何度か着るだろうけど、ウェディングドレスはこの時だけだもんね」
「そりゃそうだ」
「それとあれもやりたい!
えぇと..........フラワーアタック?」
「ブーケトスか?」
「そうそれ!」
「お前も対して変わらないだろ」
「あはははははは.....」
この時の天竜は一際穏やかな顔をしていたかもしれない。
「音.....聞こえるかな?」
「まだ3ヶ月じゃ無理よ」
ヒカリは身籠っていた。本来ならお見合い婚のはずだったが、先にできてしまったばかりに、できちゃった婚になってしまった。(ショットガンマリッジ)
神父は言う。
「光さん。貴方は神に対し、この天竜さんを夫とし、常に夫を愛し、敬い、慰め、助けて変わることなく、その健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、死が2人を分かつ時まで、命の日の続く限り、貴方の夫に対して、堅く節操を守る事を誓いますか?」
「誓います」
「天竜さん。貴方は神に対し.....」
「誓うような神など、信じちゃいない」
「えっ!?」
神父は思わず声を出してしまった。結婚式でそんな台詞を言ったのは天竜が初めてだったからだ。
「俺の今までの人生は、泥を啜るような地獄だった。それが神の仕業なら、俺は今更そんな奴に誓いを立てる事は出来ない」
神父だけでなく、来賓席や、新婦のヒカリまでもが困惑の表情をする。
「だからこそ、今この瞬間が俺の人生で最頂点に達している。どうせ誓うのなら、古代の英雄であった、
我が勘解由小路家の始祖。賀茂忠行に。
ヒカリの○○家の始祖。○○○○に誓おう!
勘解由小路天竜は生涯妻を愛すると!!」
この天竜の大々的誓いに感動できたのは新婦のヒカリだけだったろう。神父はどうしていいか分からず、ヒカリの○○家の一族は勘解由小路家の一族を睨み、勘解由小路家の一族は肩身の狭い思いをしたという。
とある病院にて。
明らかに陣痛とは違う痛み方をするヒカリを連れてきた天竜はそこで衝撃の事実を知る。
「子宮.....頸癌?」
「えぇ。奥さんは癌です」
「ふっ.....ふざけるな!!!」
天竜は憤って医者の襟首を締め上げる。ヒカリは真っ青な顔色で、心ここにあらずといった様子だった。
「今すぐ手術すれば、奥さんは助かります!」
「赤ちゃんは.....?」
ヒカリが恐る恐る聞く。
「子宮を全て摘出する事になります。ですから、諦めて頂くしか.....」
「それで.....ヒカリは本当に助かるのか?」
「確立は低いですが.....」
「いや!」
ヒカリは涙を流しながら訴える。
「私は死んだっていい!!だから赤ちゃんだけは!この子だけは助けて下さい!!」
「ヒカリ.....」
「今、胎児を摘出してもまだまだ未熟児です!生まれてもすぐにまた死が待ってるんです!」
「だって.....子宮取っちゃったら.....もう二度と.....」
ヒカリがバランスを崩して倒れそうになった所を天竜が支える。
「俺はヒカリに生きていてほしい。だから約束しろ!絶対にヒカリを助けろ!」
「出来るだけの事はします」
結局、手術は失敗。
胎児はおろか、ヒカリの寿命まで大幅に削られる事となった。
最期の日のヒカリの言葉。
「ねぇ.....竜ちゃん」
「ヒカリ!?」
ヒカリは限界まで窶れており、その声もか細かった。
「私が死んだら.....悲しい?」
「何言ってんだよ..........悲しいに決まってるだろ!」
「ふふ.....嬉しい」
「畜生!使えない陰陽術なんて覚えていたって意味ない!!その陰陽術でヒカリを助けやがれ!!」
だが、何も反応する事はなかった。
「ねぇ。竜ちゃん。私の事はもういいの」
「ヒカリ.....」
「私のせいで竜ちゃんを傷つけちゃった.....私のせいで赤ちゃんを死なせちゃった.....」
「そんな.....」
「だから私が死んだ後は別の人に愛を注いでほしい。私や赤ちゃんに与えられなかった分の愛情を.....」
「そんな.....そんな事言わないでくれ.....」
「竜ちゃん.....愛してる...........」
それ以降ヒカリが口を開く事はなかった。
「ヒカリ?...........」
「このヤブ医者めがぁ!!!」
「ぎゃあ!!」
ヒカリの手術を担当した医者をぶちのめす天竜。
「いっ.....言ったでしょう!成功率は低いと.....」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!!!!!!!!
ヒカリをよくも殺しやがって.....
貴様も同じ目に合わせてやる!!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!!」
数時間後、天竜は殺人犯として指名手配される事となる。これは良晴がタイムスリップした翌日の事だった。
「気に食わない輩を何人殺そうとも、この気持ちは変わらない。ずっと灰色のままだ.....」
「神よ!貴様は最後の最後まで俺に苦痛を与えるのか!!俺がもがき苦しむのをケラケラ笑っているのか?さぞ愉快であろうな!!」
『神が憎いか?』
誰かの声が聞こえる。
「あぁ、憎い!!殺したい程に.....」
『違うな.....間違ってるぞ』
その声の主はこう言った。
『お前が神になれ。全てを壊し、全てを作り上げる全知全能の神に!そして、今の神をその座から引き摺り下ろしてやれ!』
「そっ.....そんな過去が.....」
天竜の過去を知り、驚愕しかない十兵衛。
「待って下さい!それと私にどんな関係があるですか?」
天竜は懐からペンダントを取り出し、十兵衛に渡す。
「これは?」
「『写真』といって未来の絵画のようなものだ」
「こっ.....これは!!」
最初、十兵衛は鏡を見ているのかと思った。だが、それはまさしく天竜の元妻。勘解由小路 光である。
「ヒカリの旧姓は『明智』
明智家の正統な子孫だ」
「えっ.....」
「そして、あんたに会って確信した。ヒカリはあんた.....明智光秀の生まれ変わりだ」
天竜は立ち上がって十兵衛に宣言する。
「改めて言おう!!
十兵衛!!俺の子を産め!!
そして、もう一度ヒカリをこの世に呼び戻せ!」
利休が信奈側ではなく、天竜側につくという異例な展開で、大丈夫かな?
少しずつ天竜の野望が現わになってきましたね。
次回予告
荒木村重
~うちはもう戻れへんのや信奈はん~