天翔ける龍の伝記   作:瀧龍騎

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色々あってやっと新章ですよ。でもいきなり番外編です。ずっと艦こればっかやってて、更新忘れてました。
新刊出ましたね。何を血迷ったか、本能寺の変飛ばしていきなり九州戦ですよ!てなわけで、又もや私のオリジナルキャラが潰されそうだ!しかもあっちはまた美少女で、こっちは四兄弟中3人がオッサンだよ!でも設定変える気は無いよ!オッサン達のいい雰囲気を出していきたいからねぇ!でも家久は死んだけどね!チェケラ!


五章 終わりの始まり
過去編3


そう、あの日も同じだった。学校が終わっって、帰宅後に自分の部屋に篭もると、いつものようにパソコンの電源を入れ、お気に入りのゲーム『織田信長の野望』を起動。そして、時間も宿題も忘れてゲームをのんびりとプレイ。

いつもと同じ時間。いつもと同じ行動。いつもと同じ、いつもと.....

 

 

「がぐっ.....!!?」

 

 

時は突然訪れた。プレイ中に身体にあちこちで激痛が走り、俺は座っていた椅子から転げ落ちたんだ。

 

 

「良晴っ!?」

 

 

その騒音に驚いた母、葉子が部屋に飛び込む。突如として意識不明の重体に陥った俺を抱き、直ぐ様病院へ連れて行った。

 

 

 

だが、どの病院に行っても医者は匙を投げた。俺が何故倒れたのか、厳重な診査をしても分からなかったのだ。身体は至って問題がないにも関わらず、苦痛が広がり、熱は40度近く上がり、発作も止まらない。治すどころか、何故彼がこうも苦しんでいるのか、原因が一切不明だったのだ。

 

 

 

知らせを聞きつけた父、敏晴が出張先のジャカルタより急遽帰国。瀕死の息子を心配していた。

 

敏晴のコネで腕の立つ海外の医者らにも救いを求めた。でも、結果は全て同じだった。

 

 

 

「もしかしたらこれは病気ではなく、呪いか何かではないか?」

 

 

 

追い詰められた2人は、そんなオカルト的なものにまで頼る他なかった。それからは、医者探しから霊媒師探しに変わった。

敏晴は持てる資産全てを使ってまで有能な霊媒師を探した。だが.....

気休め程度のお祓い。インチキ霊媒師。詐欺師などに騙され、2人精神をズタボロにするだけの結果となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時、1人の陰陽師を名乗る人物が2人の元を訪れた。それが天竜である。

 

 

「驚いたよ先生、まさか君が陰陽師とはね。どうして隠してたんだい?」

 

「むしろ公言してる連中の方がどうかと思いますね。そういう連中は大抵偽物のクズなんで、気をつけた方がいいですよ?」

 

「あ、あぁ.....」

 

「さて、いっちょ始めますか」

 

 

天竜は持参したアタッシュケースの中から何やら古びた剣を取り出した。

 

 

「なっ、何だいそれは!?」

 

「天叢雲剣。草薙剣って言った方が分かりやすいか。三種の神器とされるアレだよ。それから、コレとコレも」

 

 

すると、天竜はひょいひょいと残りの神器、 八咫鏡と八尺瓊勾玉を取り出し、並べる。

 

 

「れ、レプリカか何かですか?」

 

「うんや?これは正真正銘本物の三種の神器。皇居とか神宮にある方が贋作なんだ。アレはアレでBランク相当の高い宝具だけど、これには及ばないね」

 

「なっ、何で君がそれを持ってるんだい!?」

 

「大昔から代々受け継がれてるんですよ。戦国時代を経て朝廷の力が限りなく小さくなった時期に、当時の帝が信用できる陰陽家にこの三種の神器を全て預けたんです。土御門らが武家と手を組んでいたと事もあって、ほぼ滅亡していた勘解由小路に託したみたいです。

明治期に皇族から返還を求めて来たみたいだけど、その時にそっくりな贋物を贈ったらしいの。俺の高祖父がそれに当たるんだけど。神器の魔性に惹かれたのかね。ずっと保管してたらしいのよ。

当時はバレたら処刑ものだし。今だってバレればマスゴミが五月蝿いからね。これは内緒っすよ?」

 

「うっ、うむ.....」

 

 

すると、天竜は八咫鏡で良晴を写す。

 

 

「う"があ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!」

 

 

急に良晴が苦しみ出した。

 

 

「あちゃー。かなり進んでんなぁ」

 

「ちょ、ちょっと!何を.....ひいいぃぃ!!?」

 

 

敏晴が鏡を除き込んだ瞬間、甲高い悲鳴をあげた。つられて同じように除き込んだ葉子もまた黄色い悲鳴をあげる。

 

 

「何なんだ!?.....そ、それは!!?」

 

「これが良晴ですよ」

 

「はぁ!?」

 

 

鏡に写っていたのは、良晴の顔ではなく、猛獣とも爬虫類とも取れる、悪魔的面相であった。

 

 

「良晴の体内にはとある悪魔が封じられています。それがこの間の地震によって無理に開かれた龍穴に呼応して解かれつつあるんです。それを今から封じ直す」

 

「あっ、悪魔?.....天竜くん、君は一体」

 

「17年前に貴方達夫婦に良晴を預けたのは私の親です」

 

「なっ!?」

 

 

良晴本人は知らないが、彼は敏晴の養子なのだ。

 

 

「生物学的は別として、神類的にはこいつは私の弟なんですよ」

 

「っ!?............君が良晴の本当の家族」

 

「家族.....まぁそういう言い方でもいいかもしれない。俺も良晴も所詮、神や悪魔に利用されるだけの兵器に過ぎない」

 

「一体何を言って.....」

 

「さて、第二段階だ」

 

 

天竜が八尺瓊勾玉を良晴の額に置く。するとその直後の事、彼が今まで以上に苦しみ始める。

 

 

「さて仕上げだ。あとはこの剣で胸をぶっ刺せば、封印完了となる」

 

「何だと!?」

 

「この悪魔に最も因果となる剣だ。ただの神剣よりも高い効果が見受けられるだろう」

 

「そうじゃない!!.....良晴を刺すのか!?俺の息子を殺す気かぁ!!」

 

「安心して下さい。天叢雲剣は武器としては人外にしか効きません。中の悪魔だけを刺し、良晴自身には影響を及ぼさない(.....ということにしとこう)」

 

「ふざけるなっ!!.....天竜くん、君が本当は何者かなんて私には分からない。だがな、息子が刺されようとしているのを黙って見ている親がいてたまるか!くだらないオカルトなら他所でやってくれ!これ以上、私達を馬鹿にするならただじゃおかないぞ!出て行ってくれ!!」

 

「こちとら本気でやってんだ。邪魔をするなら、あんたら方が出て行ってくれ!」

 

「何だとっ!?良晴は君のオモチャじゃないんだぞ!!」

 

「素人が口を出すんじゃないよ。俺だって神の血は流れてはいるものの、ほとんど人間だ。ただの人間には神器の扱いには骨が折れすぎる。今だってかなりの神経を使ってるんだ。邪魔するなよ!!」

 

「狂ってやがる!!君を少しでもいい人と思った俺が間違ってた!もう二度と君を良晴に近付けないようにしてやる!」

 

「混乱してるのはどっちだ!.....敏晴さん、貴方の気持ちは充分に理解している。だから!今だけは俺を信じて良晴を任せて下さい!!」

 

「うるさい!!うるさい!!もう私らには構わんでくれぇ!!!」

 

 

 

『ガァァウ!!』

 

 

 

「何っ!?」

 

 

突如覚醒した良晴はその場から跳ね起き、天竜を裏拳で弾き飛ばした。

 

 

「がぐっ!!?」

 

 

飛ばされた天竜は近くの本棚に激突し、そのまま崩れた木材やら本に埋もれてしまう。

 

 

「てっ、天竜くんっ!!?」

 

『ぐぅぅぅ....グルるるるる.....』

 

「良晴!お前なんてことを..........えっ?」

 

『...........』

 

 

 

 

敏晴は気づいた。そう、気づいた。

 

 

 

 

 

 

息子が既に.....良晴ではなくなっていることに。

 

 

 

 

 

 

 

「離れろ敏晴さん!!!」

 

 

瓦礫の中から天竜が叫ぶ。だがもう遅かった。

 

 

『ちね.....』

 

 

足元に落ちていた天叢雲剣を拾いあげ、敏晴に向かって振り上げた。

 

 

「ちっ!」

 

 

ズガンッ!

懐から出した拳銃の弾丸が良晴の右腕を貫き、天叢雲剣を弾き飛ばした。

 

 

『いだい.....いだいよぉぉ.....』

 

「化物め。良晴からさっさと出ていけ」

 

「けっ.....拳銃!?それは.....本物!?」

 

「伏せてろ敏晴さん。ソレはもう、あんたの息子じゃない」

 

「え.....」

 

『おま"え.....ヅグヨミの仔かぁ?』

 

「そうだ。死した母に代わり、貴様を封じに来た。大人しく去れよクソ神」

 

『なるぼど〜.....なら殺ざねぇと.....ヅグヨミもアマ"デラズも.....その末裔にいだるまで.....』

 

「......何する気だ?」

 

『皆殺じだ!!』

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

「「なっ.....!!?」」

 

 

それは唐突であった。悪魔に取り憑かれた良晴は、その手刀によって母葉子の胸を貫いていたのだ。

 

 

「よっ...........葉子ぉぉぉぉぉ!!!」

 

「くっ.....!!」

 

『ケヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!

まずは、一人め"ぇ〜』

 

「野郎.....!」

 

 

葉子の胸から引き出した心臓を良晴は大口を開けてバクリと食してしまう。

 

 

『ん〜。よいよい。沁みる。沁みるぞぉ〜』

 

 

人の生き肝を食した影響からか、良晴に取り付いた悪魔の知能が上がっている。

 

 

「...........いいぜ?やってやるよ」

 

 

天竜は持参してきた荷物の中から袋に入った日本刀を取り出す。

 

 

「上手くいけば使う予定はなかったが、死人まで出た以上、仕方があるまいて.....」

 

『莫迦め。この俺に刀("人間の武器")なんかが効くか』

 

「そりゃそうだ。"神"にはこんなナマクラ効くかよ。だからコレを巻く」

 

 

天竜はもう一つ、ガムテープのようなものを取り出し、日本刀の刀身にぐるぐると巻き付ける。よく見れば、それには細かく呪文のようなものが描かれている。

 

 

「えぇっと〜.....古代ヘブライ語だったかな?こっち側のバ神に言われて写経しただけだから、俺もぶっちゃけ読めないんだよねぇこれが」

 

『ぐっ.....!!』

 

「にしてもヘブライ語ねぇ。実の所、お前さんが何処の墜ち神かは全く聞かされていないんだけれども、大体の想像はつくな。恐らくは旧約聖書における『バアル神』と言ったところか.....そこんとこどうなんですかね"ムシキング"さん?」

 

『.....その減らず口の苛立ちさはあの2人とよく似ているな。見ているだけで無償に腹立たしいのう』

 

「あらまビンゴ?察するにアマテラスやツクヨミの後釜狙って失敗したって所か?それで封印されてんだから、お笑い草だぜ?」

 

『神に向かって何て言い草だ。そうまでして死にたいか.....ヒューマン!!』

 

「話はそれだけかムシキング。んじゃ、神狩りの時間だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相良敏晴は困惑していた。出張先で息子の危篤を聞きつけ、仕事もほっぽり出して帰国したというのに、目の前で起きている現象は理不尽そのものだった。悪魔だか悪い神様だかに憑かれた良晴は、強靭的能力を手に入れ、妻の葉子はそんな息子の突きで心臓をもぎ取られ、死亡した。そんな人殺しの息子は息子で、彼に憑いた悪魔を祓いに来た担任の先生と殺し合いの真っ最中だ。

 

だがそれは殺し合いというよりは、一方的な惨殺というのが正しいであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良晴に手も足も出ない天竜がボロボロにされていた場面であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どうしたヒューマン?先程までの減らず口は何処へ行った?んん?どうしたよぉ!おいおい、もうちっと頑張れよぉカスがよう!!』

 

「あ.....」

 

『あぁ?』

 

「あまり強い言葉を使うな.....弱く見えるぞ精螻蛄(しょうけら) 」

 

『ちっ.....』

 

 

良晴は天竜の顔面を掴んで引き上げる。そして手刀にて天竜の胸を突き破る準備をする。

 

 

『身内の好みだ。最期の言葉くらい聞いてやる』

 

「(くたばれ虫野郎) לעזאזל ממזר חרקים 」

 

『死ねヒューマン』

 

「ちっ.....!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ.....」

 

 

天竜が気付いた時には窓の外に放り投げられていた。だがそれは良晴によって行われたものではない。2人の邪魔をした第三者による影響なのだ。

 

 

「天竜くん.....」

 

「つっ.....!?」

 

 

天竜は突進してきた敏晴のせいで良晴の拘束を解かれ、窓を突き破って外へ投げ出されていた。

 

 

「疑ってすまなかった..........息子を頼む」

 

「敏晴さん!?」

 

 

天竜が最後に見た彼の顔は、とても落ち着いた穏やかな表情であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ..........くそったれ」

 

 

庭の木の枝に引っ掛かりながら1階に落ちた天竜。しばらく翻弄としていたのだが、すぐに覚醒し、2階へと戻った。

 

 

「なっ.....!?」

 

『お、戻ったのかい?そのまま逃げると思ったのだがね』

 

 

奴は更に知恵を付けたようだった。それもそうだ。"人間の2人分"の栄養を得たのだから。

 

 

「あぁ.....そうだな。分かってたよ。神を相手にすればこういう事もあるって.....あんたもそうなるって分かって俺を助けたんだ。同情はしないよ」

 

 

敏晴は死んでいた。胴体から一文字に切り裂かれたか。奴は先程落とした天叢雲剣を持っている。アレで斬られ、即死したようだ。

 

 

「あぁ.....同情はしない。そこのオッサンの死はそいつの自業自得だよ。自ら犠牲になったのだ。後悔だってないさ。.....しないがな..........くそ腹立つんだよ虫けら野郎!」

 

『すぐ貴様もこうなる。このようにっ!』

 

 

良晴が天叢雲剣を大いに振りかざした。そう、たったコンマ1秒でこの剣は天竜の肩から斬り込み、脇下へと抜ける。先に殺された相良敏晴と同様に真っ二つに両断されるであろう。その速さは人間には認識不可能。どんな武道の達人であろうと、その一撃を捉える事は無理だ。

 

 

「フッ.....」

 

 

 

 

だが天竜は微笑する。何故なら天竜には驚異的な速さなどが全くの無意味なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「   "止まれ"   」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「所詮.....全てのオチは他愛もない、つまらないものだよ」

 

 

止まっていた。全てが停止していた。そこにいる全ての生物は停止し、時計の針も止まっていた。

 

 

「返せ。それはお前が持つには重すぎる代物だ」

 

 

良晴の手から天叢雲剣を引き剥がした。

 

 

「この能力は俺に生まれつきあったんだ。先祖代々にあった術書に書かれた陰陽術は一切使えなかったのに、これだけは使えた。誰も知らない俺だけの能力。.....ふんっ」

 

 

そうして剣を彼の胸に突き刺した。

そして時は動き出す。

 

 

『うぐうぅぅぅ.....!!?』

 

「理解できないか?そりゃそうだ。違う次元に生きてたんだから。.....普通、神様には通用しないんだよこの技。でもお前は人間の肉体を得ていたからな」

 

『がふっ!!?.....貴様ぁぁぁ.....!!』

 

「おや?その様子じゃ、意識だけはあったのか?なら尚更屈辱だったろうな。動きたくても動けず、お気に入りの武器を取られ、それで刺されるなんてな」

 

『ヅグヨ"ミ"ィィィィィ!!!!』

 

 

 

 

「理不尽か『スサノオ』よ。これが現実だ」

 

 

 

 

剣を更に突き刺し、背中を抜ける。その瞬間、良晴から邪気が消えたのがわかった。

 

 

「これは時間を止めたんじゃない。何故なら"動いてたのはアンタら"だったんだからな」

 

「ん..........んん.....」

 

 

良晴の胸の傷が回復していく。それもそうだ。良晴が死ねば中の奴も死ぬ。完全に復活するまでは良晴を生かしておくだろう。最も、肉体をやる気も復活させる気もないのだけれど.....腐腐腐。

 

 

「お前の敗因はたった一つだぜムシキング。たった一つのシンプルな答えだ。お前は俺の作品.....じゃない、お前は俺の生徒を傷つけた。

別に怒ってないしな。人はいつか死ぬんだ。2人はちと運が悪かったんだ。成仏しろよ?南無南無。

 

でもしょうが無い。死人が出た以上、事後処理しなきゃな。流石にこのままじゃ良晴が親殺しの罪で捕まっちまう。弟の為に死体処理しなきゃな。良晴は当分、朧組で軟禁だなぁ。やれやれだぜぇ。

 

.......................................は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっく............せ.....先生?」

 

 

良晴が気付いた時、目の前には担任の教師の天竜の姿があった。だが、狼狽えている。

 

 

「莫迦な!!?『天岩戸』は開かないはずじゃ.....そんなはずは!!?」

 

「先生?」

 

「騙したなアマテラス!!最初からこれが目的で良晴にスサノオを!あんの性悪魔神め!!.....くそっ!!」

 

「えっ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで良晴の記憶は途絶えた。次の瞬間には尾張の地で織田と今川の戦いの真っ最中だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは.....?」

 

 

見知らぬ地、見知らぬ国に天竜はいた。ここは本当に何処だ?

 

 

「あれは?」

 

 

すぐ近くを行軍する部隊がいた。旗は赤旗に白い月と星。

 

 

「トルコ............いや、オスマン帝国!?」

 

 

何故数百年前の帝国の旗を持った軍隊がいる!?映画の撮影.....なんて茶地なものではない。俺には分かる。あれは本物だ。

 

 

「あうぅ.....ああぁぁぁ!!おぎゃああ!!」

 

「は?」

 

 

足元に赤ん坊がいる。誰かの捨て子か?

 

 

「っ.....!?」

 

 

自らの容姿の変化に気づく。若返っているのだ。身体は縮み、顔立ちはあの頃のものに.....整形してまで変えたかった女の顔に。

 

 

「時空嵐による成長率の変動だっけか?バ神のいらん知恵が役に立つとはね。となるとこの赤ん坊は.....」

 

「おぎゃああ!!おぎゃああ!!」

 

 

もう、訳が分からない。

 

 

「ふぅー.....どれ」

 

 

赤ん坊を抱き寄せる天竜。

 

 

「あぅぅ。ばぶ」

 

「よちよち。しゃーなしだ。とりあえずあそこのトルコ人どもにSOSしにいきますかね。あーあ。自分の順能力が恨めしい恨めしい」

 

 

女性の容姿をした天竜は歩きだした。悪魔を宿した赤ん坊を連れて。

 

 

 

 

 

「さてはて、どうなるやら」

 

 

 

 

 




これが良晴がタイムスリップした真相です。次回から本編に戻りますよ。シーユーアゲイン!

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