絶望に生きた覚悟の戦士が幻想入り   作:高月 弾

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「なんなんだこれは!!」
未来悟飯「どうしたんですか?」
「体育祭と部活の大会とテストがほとんど被ってあるじゃんか!!こんなの辛すぎるわ!!」
未来悟飯「で、でも頑張ってくださいよ。僕たちも応援しますから。」
「だが断る!」
未来悟飯「聞こえなかったのでもう一度いってくれる?」
「精一杯やらせていた宅所存です…」
未来悟飯「それならいいんだよ。」
茶番はさておき本編入ります。


第9話 和解

 

 

「よし!悟飯!準備ができたならいこうぜ。」

 

「わかった。それじゃあいこうか。」

 

玄関まで出てきていた悟飯と魔理沙が準備を終えてアリスのもとへ向かおうとしていた。

悟飯は空中に浮くように飛び始め、魔理沙は箒をまたいで空に飛び上がる。

悟飯は迷いの竹林の竹よりも高い位置に飛んでいく。

永遠亭を振り返る。

するとそこには手を振る優曇華と鈴仙達、そしてこちらを見つめる永琳と輝夜がいた。

手を振る優曇華と鈴仙達に手を振り返すと悟飯と魔理沙はアリスの元へと飛んでいった。

 

「姫様。珍しいですね。自ら何か行動するなんて。熱でもあるんじゃないですか?」

 

そういいながら自分のでこと輝夜のでこの温度を比べる。

すると輝夜は少し怒ったようで永琳の手を強く払い、一瞬だけ睨む。

 

「バカにするのはやめなさい。永琳。」

 

そういうが、すぐにいたずらっぽく笑みを見せながら、

 

「あの人を見たときからなにか不思議なものを感じてるのよ。なにか面白いなにかをね。いままでの外来人とは違うのは誰もがわかってると思うけどあの人自体があの人のいた世界でも特別だったんじゃないかと思うのよね。だからめんどくさいけれどもわざわざかりを作ったのよ。」

 

「そうですか…(だから姫がとてつもなく珍しく自ら行動なさったのね。)」

 

そう思いながら永琳はもうひとつ思った。

 

(…あれほどの怪我をおうなんて…人造人間…何者なのかしら。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、悟飯。悟飯はどうして人造人間ってやつと戦ってたんだ?」

 

魔理沙が空を飛びながら悟飯に質問をした。

 

「なぜ?それは…奴らが悪魔みたいなやつらだからだよ…」

 

「悪魔?」

 

魔理沙はそれを聞いたときある人物(?)を思い出した。

それはレミリアの妹であるフランだ。

フランも悪魔の妹と言われ、破壊を楽しむことがあった。

そのようなものなのだろうと魔理沙は予想した。

 

「やつらは破壊を楽しむんだ。人を殺したり町を破壊することをひとつの楽しみとしか見ていないんだ…!」

 

話を聞く限りやはりフランと同じように聞こえる。

が、悟飯をあそこまでボロボロにするのならその力はフランの数倍はあるのだろうと推測していた。

 

「…やつらは…俺の友人達や仲間…ピッ…師匠まで殺したんだ!」

 

悟飯の声が徐々に大きくなる。

魔理沙が悟飯の目を見るとその瞳には憎しみが込み上げてきていた。

それを見た魔理沙は初めて悟飯と戦ったあの時を思い出す。

あの時のような憎しみをわずかだが悟飯から感じたのだ。

それに恐怖を感じる。

が、その悟飯から感じる憎しみはすぐに小さくなり、

 

「まぁ、いまそれを言っても仕方ないね。アリスって人の家までは結構距離があるのか?」

 

と悟飯は問う。

魔理沙は悟飯の怒りが消えたことに安堵しながら、

 

「う~ん、別にそんなに遠くないと思うぜ。やっぱり速い方がいいか?」

 

「ああ。できればその方がいいよ。」

 

「わかったぜ。なら全力で飛ばすからついてこいよ。」

 

「わかった。」

 

魔理沙はその返事を聞くとすぐにスピードを大きくあげて飛び始めた。

悟飯もそれに合わせるようにスピードを上げた。

飛んでから数分がたつと何やら村のようなものが目に写った。

悟飯はその村をみて少し笑みをこぼした。

そして、

 

「この幻想郷にも村があるんだね。」

 

「そりぁそうだぜ。ここだって子どもや大人だっているし、村ぐらいできるぜ。…まぁ村と言ってもここしかないけれどな。」

 

「…そっか…。」

 

そう言った悟飯はどこか懐かしそうな、羨ましそうな目で村を眺めながら魔理沙を追って飛んでいた。

そしてまたしばらく飛んでから次に悟飯が謎を感じたのは森だった。

 

(…なっなんなんだ、この森は。なにか…気持ちの悪いなにかを感じるな…)

 

「なぁ、魔理沙。」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「いったいこの森はなんなんだ?なにかスゴく気持ちの悪いもの感じるんだ。」

 

「あぁ、それは多分瘴気(しょうき)だな。この森は魔法の森っていってな色々な薬草やキノコやら魔法に必要な素材がとれるんだけど瘴気って言う少し危険なものが充満してるんだぜ。」

 

「瘴気?それがこの…ヘンな気の原因なのか…というよりそのものなのかな。」

 

「そうだぜ。」

 

そう答えると魔理沙が少しスピードを落とした。

魔理沙はあるところを指差しながら少しずつ下降していく。

その指の先を見ると森のなかにひとつだけポツンと家が建っていた。

そこに向かって降りていく魔理沙をみて悟飯もその家に向かって下降していく。

悟飯はこの家がアリスと言う人物の家なのだろうと確信した。

魔理沙は扉の前までいくと大きな声をあげ、

 

「おーーーい!!アリス~~!!」

 

いきなりのことで悟飯が少し驚いて魔理沙を見る。

すると魔理沙は、

 

「幻想郷ではこうやってやれば基本的に出てきてくれるんだぜ。」

 

といいながらウインクをする。

悟飯はそうなのか、と納得したように頷く。

すると扉が開きなかから見覚えのある人が出てくる。

金髪のショートの髪に青を主体とした服に、白い肩掛けのようなものを来た少女がいた。

 

「あれ?魔理沙、どうしたのかしら?珍しいわね。」

 

「おう、実はこいつが用があるっていってな。」

 

そういいながら悟飯をアリスの前にたたせた。

 

「あっアリスさん。」

 

悟飯がアリスの名を呼ぶ。

すると悟飯の姿を見たアリスは目付きを鋭くして警戒心を最大にして半歩下がる。

が、その警戒心をむき出しにした瞳の奥からは恐怖がわずかに感じ取れた。

それが悟飯にはとても辛かった。

自分自身が植え付けてしまった自分に対する恐怖心と警戒心に強い悔しさと悲しみを感じていた。

悟飯があの時に早とちりをしていなければアリスは傷つかなかった。

そして余計な恐怖を与えることはなかった。

そう悔やんでいたのだ。

と、そんな中魔理沙が、

 

「悟飯は別に悪いやつじゃなかったぜ。話を聞けばわかるって。」

 

明るくアリスに向かって話始めた。

 

「悟飯の話を聞けばどういうやつかわかる。それから色々考えたらどうだぜ?まぁそれは二人でな。」

 

魔理沙の台詞に悟飯が少し驚く。

 

「え?二人で?じゃあ魔理沙は!?」

 

「私はそこら辺でキノコでも採ってくるぜ。ほら、二人は家の中で話でもしろって。」

 

そう言いながら悟飯を家の中に押し込み扉を少し乱暴に閉めた。

魔理沙はすぐにどこかに走っていってしまった。

見えたわけではないが魔理沙の気が遠くにいくのを悟飯は感じたのだ。

すると悟飯の背後で椅子を引きずる音が聞こえてきた。

振り返るとアリスが椅子を引いて座れるようにしてくれていた。

 

「…とりあえず話すのなら座った方がいいでしょう?」

 

「あっ…ありがとうございます。」

 

そう言いながら椅子に座る。

すると正面に対峙するようにアリスが椅子に腰を掛けた。

すると少し悟飯を睨みながら。

 

「早速だけれども用っていったいなにかしら?」

 

アリスが冷たい声で言う。

その声に少し不安を感じたが、悟飯は話始めた。

 

「アリスさん。この間…俺があなたに見境なく攻撃をしてしまいすみませんでした!」

 

と頭を深く下げながら大きく言った。

するとアリスはまだ冷たい口調で、

 

「なぜあの時私たちを攻撃したの?」

 

と問うてきた。

 

「あの時俺は…正気ではありませんでした。俺は…あの時の記憶も曖昧であまり覚えていないんです。それぐらい意識が朦朧としてました。」

 

「嘘をいわないで。あんな動きができて、あれほどの力を出せていたのに意識が朦朧としていた?嘘も大概にしてほしいわね。」

 

「うっ嘘じゃないんです!本当なんです…いや、いまはそれを信じてもらえなくても構いません。いま俺がここに来たのはあなたに…アリスさんに直接謝りたかったんです。本当にすみませんでした。」

 

もう一度深々と頭を下げる。

それを見たアリスの目が少しだけ緩くなる。

 

(…あの時のこの人とは全く違う人に見えるわね…あの時は錯乱していたのは事実でしょうね。けれども…本当に信じて大丈夫なのかまだ確証がないわね。)

 

「わかったわ…けれども謝罪だけでどうにかなるものじゃないわよ?これだけのことをしたのだから。」

 

「分かってます。だから、俺にできることなら何でもやります!俺にできることなら!」

 

そう言いながら真剣な目でアリスを見つめる。

アリスもそのまっすぐな瞳を見つめる。

わずかな時間だがまるでその空間だけ時が遅くなったかのように長く感じた。

 

「分かったわ。…ならまずここら辺の片付けを手伝ってもらおうかしら?」

 

「分かりました!」

 

悟飯は勢いよく立ち上がり、アリスの指示に従い本や人形を整理し始めた。

悟飯の整理する手際はとてもよく、整頓も速いペースで進んでいった。

 

(…スゴいわね、魔理沙や霊夢じゃ絶対こんなにきれいにかつ早くなんてできないわね。)

 

と霊夢と魔理沙に対する皮肉と悟飯のことを少しだけ見直したようだった。

そして少しして全部の整頓が終わる。

 

「ありがとう。まさかここまで早く終わるとは思わなかったわ。」

 

アリスは目を合わせずに言った。

すると悟飯は、

 

「力になれたならよかったよ。」

 

と笑みをこぼしながら答えた。

 

(…信じても…いいのかしら?)

 

まだ確信を得ることができないアリスは心の中で疑っていた。

また悟飯があの時のように暴れてしまうのではないかと。

その時、アリスの背中から何かの影が出てくる。

それは悟飯のもとに突っ込んでいく。

 

【ボスッ】

 

「ん?」

 

「!!?」

 

悟飯の胸になにかがぶつかる。

それを確認しようとしたときに大きな声が聞こえてくる。

 

「上海!!?今すぐ離れなさい!!」

 

すると、悟飯の顔のそばになにか小さなものが飛んできた。

それは…人形だった。

しかしその人形は動いていた。

 

「シャンハーイ。」

 

そう言いながら悟飯の顔のそばを飛んでいる。

悟飯が人形のそばに手を持ってくる。

 

「逃げなさい!上海ーー!!!」

 

【ナデナデ】

 

「…え?」

 

アリスは目の前の行動に目を疑う。

悟飯は上海の頭をなで始めた。

それもわずかに顔を微笑ませながら。

 

「シャンハーイ♪」

 

上海は初めは驚いたもののすぐに気持ち良さそうに悟飯の手に自分から向かい始めた。

その様子を見たアリスは少し安心したようで、顔が揺るやかになりわずかに微笑む。

 

「スゴくかわいいね。この子は何て言うんだい?」

 

悟飯が上海の頭をなでながら問う。

 

「その子は上海って言うのよ。」

 

「上海か…よろしくな、上海。」

 

「シャンハーイ♪」

 

そう言いながら悟飯は上海の頭をなで続ける。

上海も気持ち良さそうに笑っていた。

 

「そういえば俺もまだ自己紹介をしていなかったね。俺は孫 悟飯っていうんだ。」

 

そう言いながらアリスの方を見る。

するとアリスは少し合間をおいてから胸に右手を当てて、

 

「私はアリス・マーガトロイド。アリスでいいわ。よろしくね。悟飯さん。」

 

「こちらこそよろしく。俺は悟飯でいいよ。」

 

「分かったわ。悟飯。」

 

そう言いながら悟飯のそばによる。

すると上海はアリスの手に戻っていく。

 

「この子が人形なのに動いて不思議に思わなかったの?」

 

とアリスが不思議そうに聞いてきた。

 

「あぁ、確かに始めは驚いたけど特に違和感は感じなかったよ。それに可愛かったからね。」

 

といいながら笑う。

それを見たアリスもつられて笑う。

するとアリスが少し寂しそうな顔をして、

 

「これからも上海と話したり遊んだりしてくれるかしら?あなたみたいに動く人形を好く人はあまり多くないのよ。」

 

そう言った。

悟飯はゆっくりと答える。

 

「俺にできるならやるよ。ちゃんとね。」

 

そう言った。

アリスは安心したようにありがとう。と答えると悟飯と色々な話をし始めた。

悟飯の世界のことやこの幻想郷のこと、上海のことや部屋にある様々な人形たちのことなどを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてとっ…そろそろアリスたちのところにいくかな。」

 

と魔理沙が袋一杯にキノコをもってアリスの家までやって来た。

そして扉を思い切り開いてなかに入ってくる。

 

「よお!大丈夫か?悟飯!」

 

と元気よく言うが、目の前には紅茶をのみながら何やら雑談をしているアリスと悟飯の姿があった。

アリスはとても楽しそうに笑っていて、悟飯も笑顔になりながら話していた。

が、扉の開いた音を聴いた瞬間アリスの顔が少し険しくなり、

 

「魔理沙…少しは静かに開け閉めしてくれないかしら?」

 

と呆れ半分に聞く。

すると、

 

「おう、次からは気を付けるぜ!」

 

と返ってきた。

 

「本当かしら…」

 

と言いながらため息をつくアリス。

その横で苦笑いをする悟飯。

そしてアリスが時計を見ながら、

 

「もうこんな時間なのね、話していたら時間なんてすっかり忘れていたわ。」

 

「本当だ、もうこんな時間なんですね。そろそろ戻らないと。」

 

「そうね。また話したりできると嬉しいわ。今度はさっき話した人形劇を見せてあげるわよ。」

 

「それは嬉しいな。ありがとう。アリス。」

 

「こちらこそありがとうね。」

 

そう言いながら手を降る。

上海も悟飯に向かって手を降る。

アリスと上海に悟飯も手を降り返す。

魔理沙と悟飯はアリスの家を出て夜の空へと消えていった。

 

「…悟飯…さんか…。」

 

アリスはそう呟きながら上海を手にのせる。

そして夜の空を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?こっちは永遠亭じゃないけどなんで?」

 

悟飯は永遠亭ではない方向に先導して飛ぶ魔理沙に疑問を抱いた。

すると魔理沙が、

 

「あぁ、悟飯が幻想郷で早く慣れるように私の家に泊まらせることにしたんだ。そうすれば色々なところにいきやすいしな!」

 

「えっ!でもこの傷は?」

 

「それも大丈夫だぜ!ちゃんと永琳から薬を預かってるからな。それに私も悟飯もほとんど傷はなおってるからあとは薬をつけてればなおるっていってたぜ。」

 

「そ、そうなんだ…」

 

悟飯は魔理沙の用意周到さに驚いていた…というより唖然としていた。

そんなことお構いなしに魔理沙は続ける。

 

「だから少しの間は私の家で生活だぜ!それにそうすれば…修行だって受けやすいだろ?」

 

そういう魔理沙に悟飯は少し感心する。

修行にこれだけ期待してやる気があるのならできるかぎり協力したいと思ったのだ。

 

「そうだな…なら少しお世話になるよ。よろしくな。」

 

「おう!こちらこそだぜ!!」

 

(アリスに聞いたけど、悟飯は整理整頓がうまいらしいからそれも手伝ってもらうぜ。)

 

のち魔理沙の家についてからまず家の中の整理を手伝わされたのはここだけの話。

 

 

 

 

 




どうも!弾です。
さぁこれからの章は幻想郷を回っての謝罪やらなんやらの後始末ですね。
果たして悟飯は全員から疑いを晴らすことができるのか?
あと投稿ペースですが…今年大学受験です。
ペースはかなり遅くなりますが、そこはよろしくお願いします。
それでは次回もよろしくお願いします❗

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