私事ですが、初めて感想をいただきました!!
感激です(*゚O゚*)
お気に入りも少しずつ増えてきて、ありがとうございますっ!
今回のお話は“血”が出てきます。
それ系が苦手な方も、読めるようと思いますが…
苦手な方は「~」の愛友sideというところを、飛ばしていただくと読めると思います。
それでは新作どうぞ!
「あーあ、見られちゃったなぁ…。」
できれば見せずに終わりたかった。
いつか見られることになったとしても、
それは“今”であってほしくはなかったのだ。
「あ、ぁぁぁ……どうして…………。」
「騙してたみたいになってごめんなさいね。」
少年にそう伝えると、愛友は未だに自分の刀に力を込めてる虚を見た。
「この責任、ちゃんと取ってよね。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
《冬獅郎side》
“総隊長”
確かに聞こえた。
あの死神は確かにそう言った。
流魂街に住んでいる俺達でも知っている。
そして一つの教え。
『死神に出会ったら逃げろ。』
それが流魂街での教えだった。
かつてばあちゃんに聞いたことがあった。
「尸魂界で隊長と呼ばれる人たちはね、白い羽織を羽織っているんだよ。白と言っても返り血に染まった汚い白だけどね。」
それはばあちゃんに限らず、流魂街の人たちが口を揃えていうことだった。
でも目の前の死神は、
“総隊長”である死神の羽織は、
“美しかった”
美しい、純白の羽織に身を包んでいた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「虹鐘!水紋花!その子のことお願いっ。」
「わかっている。」
次の瞬間、少年と二つの斬魄刀を透明の膜、のようなものが包んだ。
「なんだよ、これ!!」
「暴れるな、これはお前を守るための結界だ。」
「いくら君が強くても、さすがに愛友の霊圧にはあてられちゃうと思うから!」
少年は未だに理解出来ない、というような顔だった。
だが、その疑問も次の瞬間には解決した。
「――――――――――――!!くそっ、なんだよこれ……。」
「えっ、ちょっと!大丈夫!?」
「愛友のやつ、怒っているのか?水紋花!霊圧を上げろ!!」
「わかってるよぉ!!」
かろうじて立てるようになった少年の目に映ったのは、愛友の纏う“霊圧”のオーラだった。
「!?っ」
「破道の三十一:
「ウギャーーーォォォォ」
目の前の虚が消滅した。
虚がいなくなると、結界が解け、虹鐘と水紋花は刀に戻った。その二本の刀を拾って、自分の鞘にしまうと愛友は少年の方を向いた。
「いろいろと巻き込んでしまってごめんなさい。本当に…「別にいい。」!?」
「助けてもらったのはこっちだし…それに、お前はそんな悪そうに見えない。」
「そう……。…ありがとう。」
愛友は心から感謝していた。
「あのさ、質問してもいいか?」
「…?私に答えられることなら何でもどうぞ、えっと…」
「日番谷冬獅郎だ。」
「冬獅郎か…冬に獅子と書くのね……、」
「……?」
「何でもないよ、ごめんね。それで質問というのは?」
冬獅郎が聞いたのは流魂街での噂のことだった。
先ほどの愛友の戦いを見て、噂の真偽がわからなくなったのだ。すぐに逃げなくては行けないほど、死神というのは危険なものなのか、ということが。
「へぇ、そんな噂があるんだぁ。」
「それで、その噂は本当なのか?」
「そうね…本当、かな。」
「!」
「でも一様に本当って言ってしまうのは嘘ね。確かに隊長羽織はいつも返り血を浴びて綺麗な白の羽織じゃない。けれど、その血は決して流魂街の人たちの血ではないよ。」
「……さっきの虚の、」
「そう。虚ってのはね、ここ流魂街だけでなくて、かつて冬獅郎も住んでいたであろう、現世にも現れるヤツなの。それを退治しに行くと返り血を浴びることもあるからね。だから、汚い白というのは本当かなぁ。」
愛友は苦笑しながら言った。
「じゃあ、どうしてお前の羽織はそんなに綺麗なんだ?」
「!?」
「返り血を浴びてないのか??」
「……。」
聞かれると思っていた、過去に関すること。
「実はね……血を浴びれない、って言ったら分かるかな?」
「……??」
「んー、浴びると自我を保てないって言うのかな。自分じゃなくなっちゃうんだよね、自分の身体なのに。」
「何で、そんな身体になったんだ?」
子供は純粋だ。
疑問に思ったことはすぐに質問する、正しいことだ。
それでも愛友は『冬獅郎でよかった』と思った。
「この世界でね、さっきみたいな虚と初めて戦った時に…ね、なっちゃったんだ、こんな身体に。」
誰にも話したことのない自分の過去を……一つ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
《愛友side》
尸魂界を作ってまだそんなに時間がたっていない頃。
すでに人が住み始めている“死んだ後の世界”
それはつまり、
すでに“死んだ後の魂を食らうヤツ”も現れているということだった。
まぁ、こんなことは冬獅郎には話さないけどね。
初めて流魂街に行った日。
私は初めて“虚”というものを見た。
虹鐘が教えてくれた。虚に関すること。
“魂を食べる”こと。“仮面を破壊すれば消える”こと。
前世が前世だったので、虚といえども、“消す”ことが出来なかった。
その迷いが、私の一生の罪になった。
「キャーーーーーー!!!!」
「「!?」」
虹鐘と共に、悲鳴の方に駆けつけた時には、もう遅かった。
先ほどの虚が、魂魄である少女を襲っていた。
すでに少女は絶命していた。
虚について一つ、自分で学んだ。
“放っておけば、人を襲いだす”ことを。
虹鐘にこの世界で虚に食われるとどうなるのかは、聞いていた。
『二度と生まれ変わることが出来ない。』
自分の判断が一人の少女の未来を奪った。
虚に殺された少女の血が飛んできた。
「あ……あ……あぁ……あぁぁぁぁ。」
「愛友!?落ち着け!!」
「あああぁぁぁぁぁーーーー!」
次に目を開けた時、さっきの虚はいなかった。
それだけではない。
あたりが荒野のようになっていた。
「大丈夫か?」
「虹鐘…?これは…、」
「愛友がやったんだ。」
「!?私が…?嘘…なんで…どうしてっ…。」
「………………。」
「!!虹鐘!ここにいた人たちは?ここに住んでいた人たちは?」
「安心しろ、あそこにみんないる。愛友が暴走したあとも、なぜが人だけは結界みたいなもので守られてた。」
「…………よかった。」
「愛友、お前……、」
「ごめんなさい、迷惑かけてしまって。これからは自分を保って戦うから。」
「…………背負いすぎんな、一人じゃないって言っただろ?」
このことから生まれたのか“破道”なのだ。
血を浴びなくても、大切な人を守れるように。
編み出した“技”だった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
愛友は自分の過去を話した。
自分のせいで死んでしまった少女のこと、
その時に浴びた血でトラウマになっていること、
暴走して人の命は奪わなかったものの、村を壊滅させてしまったこと、
そこから必死に“破道”を練習したこと、
さすがに“尸魂界を作った”ことや“破道を編み出した”ことは言えなかったが……
それでも、いつか伝えようと思った。“もう一つの事実”と一緒に。
「ということがあったの。」
話してる間冬獅郎は何も言わず、ただ黙って聞いていた。
「…………。」
「冬獅郎…?」
「守ってる。」
「えっ?」
「確かに過去にした罪は消えねーかもしんねーけどさ、今はちゃんと守れてる。俺も守られた。だからそんなに背負うことない。」
びっくりした。死神を憎んでるであろう少年に、かけてもらえる言葉ではなかった。
「なっ!なんで泣いてんだよ!!」
愛友は泣いていた。
嬉しかった。
誰にも話したことがなかったのは、拒絶されるのが怖かったから。
それを目の前の少年は受け入れてくれた、その事実が。
「ありがとう!!」
愛友は冬獅郎に抱きついた。
もうちょっといけるかなー、と思ったんですが笑
意外と多かったです笑笑
愛友の過去はどうでしたでしょうか?
もう一つの事実とやらはもう少し後で…
次回も冬獅郎編ですっ!!