初代一番隊結成まで。【新たな出会い】
――――ヒュンっ――ヒュンっ――ヒュンっ
――――ヒュンっ――ヒュンっ――ヒュンっ
「――――997!――998!!――999!!!」
一心不乱に刀をふる少年、日番谷冬獅郎。
「いやぁ、若いってすごいね。」
「愛友……、この世界って年齢あるの?」
「さぁ……?」
それを遠くから見る隊長、愛友と斬魄刀の水紋花。
「1000!!!!」
「「おーーー!!」」
息切れの激しい日番谷に、見ていただけの愛友が近づき、差し入れされる飲み物。
「お疲れ様、冬獅郎。1000回ももう余裕か…。すごいなぁ…。」
「ハァ……、余…裕……なわけ……ねーだろっ。」
「んー?でも、振り切れただけでも、すごいよ。」
愛友による修行は、翌日からすぐに始まり、今日で三日目。
元々、刀を持ったこともなかった日番谷の型は、我流。いや、最初に見た形が愛友であるためか、少し似ている点もあった。
一日目は、素振り。型を教えることから始まる。……が、愛友も元々我流だった為、教え方は雑。
それでも、日番谷も日番谷なりに自分の型を見つけていき、二日目には、見れるものになった。
それでも、500回までしか振れなかったのだが、まぁなんと優秀な子なのか…、次の日には1000回振れるようになった。
さすがだなぁ、と愛友が感心していると
「……なぁ、実践練習とかしねーのか?」
飲み物を置き、聞いてきた。
日番谷は別に、これといってしたい訳では無い。ただ、現世実習が迫っている中、基礎だけをやり続けてるのもどうなんだろう、と思ったのだ。
「んー、、、やっぱりちょっとは不安になるよね〜。」
「やっ、別に文句じゃねーからっ、基礎なってないのは分かってるし…、いいんだけど…な。」
愛友が本気で悩み出したことで、慌てる日番谷、
「アハハ、そんな心配しないで、冬獅郎!」
を他所に、愛友は言った。
「ちゃんと考えてるよ。冬獅郎は事情が事情だからね、本番一発はきついと思ってたから。」
「……愛友が相手してくれんのか…?」
嬉しいけど、嬉しくない。日番谷の心境は複雑だろう。
なんせ、尸魂界内で一番強い人なのだから、……これでも。
「ごめんよ、冬獅郎。私より先に、相手して
「欲しい…って……。」
「愛友隊長、遅くなってしまいすいません。」
一番隊舎の修行場に突然の来客。
長い黒髪を、一つで束ねた……、美しい顔の少年?と思われる人が立っていた。
「おっ、来たきた。大丈夫だよ、時間ぴったり!」
「…………、」
日番谷は呆然としている。
そりゃあそうだ、普通に愛友と話し始めたのだから。
「冬獅郎、この人が相手して欲しい人だよ!」
「今日は、よろしく頼む。」
背は…、市丸より少し小さいぐらい。いや、同じぐらいか??
つまり、愛友よりも断然大きい。
「あっ、よろしくお願いします。日番谷冬獅郎です。」
日番谷が頭を下げる。
「私の名は、朽木白哉だ。」
「……朽木??えっ!?朽木って、あの四代貴族のうちの一つのですか!?」
「あぁ、今は一番隊第三席を、務めている。」
――――まじでか。
日番谷の心の中を察知したかのように、愛友は笑った。
「愛友隊長、彼のことは任せてもらえるんですよね?」
「うん、こっからはよろしく白哉。
頑張ってね、冬獅郎!」
「……はっ、はぁ!?」
驚く冬獅郎に、ヒラヒラと手を振り愛友は出て行った。
「なんだあれ……。」
「愛友隊長は、ああいう方だ。
とにかく、現世実習まで後4日しかないが、それまで相手は俺が務める。」
「はいっ。よろしくお願いします。」
こうして、日番谷冬獅郎と朽木白哉は出会っていた。
「とりあえず、お前の実力が知りたいから、一つ手合せをするか。」
「……っ!分かりました。」
二人は少し離れて、見合う。
「行くぞ、本気でこい。」
「はいっっ!!!」