――――ダンっ…バンッガンっ……ザッ、ドガッ
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ………」
――――バンッ……ガンっ…ダッ!!ドガッ
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ……………」
全員目が離せなかった。それは、結界を張っている乱菊も同じだった。
「へぇ……、すごいじゃない…。」
乱菊は、市丸にむかっていく日番谷と阿散井を見て関心していた。
市丸から聞いた話が本当だとすると、あの二人は“出会ったばかり”で、“お互い協調性が全く無く”て、おまけに“自分の霊圧をコントロールできない”…いわゆる典型的な問題児だ。
その二人が、見事な連携を見せていた。
「(強い相手と分かれば、無意識のうちに他人と協力し合う…、久しぶりに骨のある新入生じゃない!)」
しかし、生徒二人に関心していたのはあくまで、乱菊
日番谷も阿散井も、鬼道の技術はおいといたとしても、剣の腕前は全員が認めていた。
全員が認めた二人が連携して繰り出す攻撃。生徒の中での、最強のタッグだった、つい先程までは……。
「まぁ……、ギンにはまだ叶わないか……。」
市丸はその二人の攻撃を、瞬歩を使いながらも、片手で握った浅打一つで防ぎきっていた。
「ギンの反撃をくらわないだけでも、凄いことなんだけど……。」
教官というには、155センチと確かに小柄な市丸の身体。しかしその実力は、尸魂界内では既に片手に入るほどの者なのだ。
これでまだ、成長途中なのだから、将来に期待がかかるのも納得できる。
「(さすが……、総隊長が新たな地位を用意してまで、そばに置いておきたいワケだわ…。
それに加えて、まだ本気を出したことすらないんだから…。)」
一緒に過ごした時間のある乱菊にはわかっていた。
市丸が尸魂界内で、一度も本気の霊圧を見せたことがないことを。
見せるとどうなってしまうのかも。
「(本当に、総隊長さんは凄いんだなぁ…。)」
それら全てを理解したうえで、市丸を自分の下に置いている総隊長の偉大さにに、改めて感服する乱菊だった。
「乱菊ーー、ぼーっとしてる暇なんて、あらへんよー。」
「ぼーっとなんか、してないわよ!!」
生徒たちが、今明らかにしてただろ!、と思ったのは内緒である。
「そろそろ
「「「「「!!」」」」」
「……分かったわよ。」
乱菊は、生徒たちを守る結界の霊圧をあげた。
「「「「「!?!?」」」」」
「あんた達も、少しだけでも霊圧あげときなさい。ちゃんと耐えなさいよ。」
理解出来ない生徒たちを他所に、乱菊の目つきも真剣になる。
しかし、さすが成績優秀者が集められたクラスなだけあり、全員がその異変に気づいた、
三人の霊圧が今までにないくらいに、あがったことに。
「やばっ……!!」
「「うわあぁぁぁ!!」」「「ギャアァァ!!」」
三人の霊圧にあてられてしまっている生徒もいた。
乱菊は、さらに霊圧をあげた。
「全く……、こっちの迷惑も考えてよ!!」
そんな乱菊の叫びを聞きながら、市丸が口を開いた。
「そろそろ、終わりにしよか。僕らの霊圧で
日番谷と阿散井は、無言で互いを見合い、霊圧を最大限に上げた。
市丸も乱菊も、さすがにここまで上がるとは予想していなかった。
「うっ…………!?」
乱菊一人なら問題ないのだが、今は自分よりも生徒を守らなくてはならない。
乱菊も負けじと、霊圧を上げ続けた。
「……二人とも、、、行くで。」
――――ダッ!
――――ダッ!
――――ドカーンッッ!!
「「「「「うわあぁぁぁぁ!!!」」」」」
市丸と日番谷、阿散井の浅打がぶつかった瞬間、ものすごい風圧が生徒達を襲った。
床に這いつくばっている者もいたが、耐えきれず壁に激突している生徒もいた。
乱菊も苦しい顔をしていた、しかし、
「へぇ…………。」
自分の目の前で、苦しい顔をしている人が『三人』いた。
「うおおぉぉぉぉ!!」
「はああぁぁぁぁ!!」
生徒二人の霊圧は、今の市丸と同格だった。
さすがに、上から二人に振り下ろされた浅打に耐えきれなくなり、市丸は両手で握っていた。
「すごいなぁ、、、二人とも。」
市丸は冷汗をかいた。
「(これから……面白くなりそうですよ、愛友隊長。)」
「まっ、これからの話やな〜〜。」
――――ドガーーーンッ!!
市丸が一瞬、わずかに二人の霊圧を上回った。
その反動でか、とんでもない風圧により、日番谷と阿散井は、雛森と吉良の方に吹っ飛んだ。
「ゲホッゲホッ…………ハァ……。」
「クッソ…………。」
「そこまでみたいね。ここも、こんなんになっちゃったし……。」
乱菊が指さした上を見てみると、演習場の天井に大きな穴が開いていた。
「あっ……、これは、、、また怒られますな…。」
「それに、私、もう耐えれないし、生徒たちも無理よ。」
「そうみたいやな……。」
戦っていた日番谷と阿散井、雛森と吉良以外の生徒たちが、気絶していた。雛森と吉良も、気絶していないのが不思議なくらい、身体を震わせていた。
「僕、四番隊の誰か、呼んできますわ。」
ギンが四番隊の方に飛び出そうとした瞬間、
「そんな事しなくていいよー、ギーン?」
「げっ……。」
後ろから、今聞こえてはいけない声が、聞こえた。
「げっ、とはどういう事かなぁ??」
「いやぁ、これは……その……、」
「言い訳無用!!」
「すいませ〜ん、、、、」
阿散井、雛森、吉良はその光景を、不思議そうに見ていた。
それもそのはず。市丸より小さい女の子が、自分たちの教官を叱っているのだ。
呆けてその光景を見ていた三人の前に、その女の子が近づいてきた。
「四人ともお疲れ様でした。大丈夫ですか??」
すると突然、自分の刀を抜いた。
自然に、三人の身体に力が入った。
「アハハ、そんな警戒しないで。怪しいことしないから。
何か唱えたかと思うと、次の瞬間、自分たちを暖かい光が包んだ。
そして、みるみる怪我が治っていった。
「へぇ……、これが愛友の斬魄刀の能力か…。」
冬獅郎が言った言葉に、全員が反応した。
「「「……愛友??」」」
「こんにちは…、というより初めまして。私が尸魂界総隊長です。」
「「「………………。」」」
市丸ギン編も、後1話ですっ!